新・謎の温泉教団の温泉宿1

■シリーズシナリオ


担当:

対応レベル:フリーlv

難易度:やや難

成功報酬:1 G 1 C

参加人数:8人

サポート参加人数:-人

冒険期間:02月27日〜03月07日

リプレイ公開日:2006年03月07日

●オープニング

●新・謎の温泉教団の温泉宿1
 温泉が好きかい?
 温泉が大好きかい?
 温泉に入っていると幸せかい?

 ここに一つのカルト(宗教的な愛好者による熱狂的)な集団がある。
 その名を『謎の温泉教団』という

 謎の温泉教団は、八百万の神を信仰する宗教団体である。
 温泉には神が宿り住んでおり、温泉に入ることが神様の恩恵を授かることを教義としている団体である。
 温泉に入るための礼儀作法には厳しいが、それ以外はおおむねざっくばらんである。
 彼らは温泉寺に住み、檀家の者達おも温泉へといざなう。
 温泉寺の裏はもちろん露天温泉である。温泉に入り身体を癒し、心を癒し、平和に生きてい
こうと言うのが彼らの考え方である。
 現在露天風呂(岩風呂)を掘り広げ、沢山の信者やお客さんに対応するために増築している。

 石灯籠の明かりの中でのんびりと温泉に入るのが彼ら流のやり方だ。
 温泉脇には屋台が数軒並んでいる。甘酒や蜜柑酒、よく冷えた瓜、馬肉のすき焼きや新鮮な果物なども売られている。

 冬の味覚の熱い鶏蕎麦を看板に、甘酒を片手に塩煎餅を楽しむ人達、近江名物のソバ粉で作ったソバ団子に甘美の声を上げる者達、鯨肉のステーキ丼を笑顔で頬張る人達。近江自慢の近江牛の鋤焼きを頬張り、満面の笑みをあげる物達、謎の温泉教団の温泉宿は温泉を楽しみながら竹のせせらぎと食欲を満喫する人達でいっぱいであった。
 無論温泉と女体を楽しむ者達も多い。
 うら若き乙女によるマッサージのサービスを堪能することも出来るサービスも好評をきしている

 近江の御家老浅井長政様のお言葉を受け、近隣の村人達の憩いの場と成る温泉街を作るために、日夜奮闘している。

「しかし‥‥困ったわねぇ‥‥この雪」
 北近江に位置する温泉宿は現在雪に埋もれまくっていた。
 従業員総出で除雪作業をしているが、追いつかない状況である。

 そんなこんなで除雪を手伝ってくれるうでっききの冒険者を募集中である。
 手伝ってくれた人達には暖かい露天風呂と美味しい料理をご馳走してくれるそうだ。

 そうだ‥‥貴方も温泉教団に入ってみませんか?

●今回の参加者

 ea0299 鳳 刹那(36歳・♀・武道家・人間・華仙教大国)
 ea0547 野村 小鳥(27歳・♀・武道家・人間・華仙教大国)
 ea3075 クリムゾン・コスタクルス(27歳・♀・ファイター・人間・イスパニア王国)
 ea5209 神山 明人(39歳・♂・忍者・人間・ジャパン)
 ea5322 尾花 満(37歳・♂・ナイト・人間・ジャパン)
 ea6557 フレイア・ヴォルフ(34歳・♀・レンジャー・人間・イギリス王国)
 ea7487 ガイン・ハイリロード(30歳・♂・ナイト・人間・イギリス王国)
 ea8189 エルザ・ヴァリアント(19歳・♀・ウィザード・エルフ・イギリス王国)

●リプレイ本文

●新・謎の温泉教団の温泉宿 1

 謎の温泉教団は、八百万の神を信仰する宗教団体である。
 ‥‥詳しい話は依頼書で説明したのではしょるが、みんなで仲良く教義に乗っ取って温泉入ろうって集団である。

 江戸から京都に出てきた彼らは、近江に安く広く良い温泉を発見し、移り住み、温泉宿をチャクチャクと建築しつつ、広く布教活動にせいを出している。

 京都を出発して一日。
 大津港に到着すると、専用の丸子船に乗って真北を目指す。

 琵琶湖の北岸にある港で降りて、港町を抜け、真っ直ぐ北へ山道の石段を登っていくと温泉教団の温泉宿は有る。
 元々は山寺が有った場所を利用しているので敷地はべらぼうに広い。

「彩花ねぇさんお久しぶり〜」
 当然の如くに彼女に抱きつく鳳刹那(ea0299)。
 そんな彼女を抱きしめてくれる彩花。

「それでは雪かきと雪下ろしの方、ヨロシクお願い致します」
 謎の温泉教団温泉宿の女将彩花は静かに頭を下げた。

 外は晴れてはいるが、雪が積もっている。
 鳳 刹那が納屋から薪を持ってきて、たき火を始める。
 火の気が無い場所では流石に身体の芯まで凍えるだろうと思ったからだ。

 手桶に温泉を入れ、柄杓ですくって雪にかける。
 チョットづつ温泉を解かしていこうという作戦である。

 クリムゾン・コスタクルス(ea3075)は大きく打って出た。
 合掌造りの温泉宿の上に昇っていき、屋根の上の雪を一気に落とす作戦だ。
「よし、これで雪かきするんだな、任せとけ!」
 鍬を一気に雪に突き刺し、力一杯雪を切り裂いていくクリムゾン・コスタクルス。
 使い方が間違っている。彼女はまるでバターを切るかの様に雪を切り裂いていく。
 当然切り裂かれた雪の塊が下へめがけて落ちて行く。
 そして今まで雪が有った部分が空白となり、その上に有った雪がバランスが崩れて流れて行く。
 次々と雪が落ちていく‥‥もちろん彼女もろともである。

 縦横10m、厚さ1mの雪の塊と一緒に地面に落ちてくるクリムゾン・コスタクルス。

 神山明人(ea5209)が雪に埋まったクリムゾン・コスタクルスを掘り返す。
 中から半分凍り付いたような彼女が掘り起こされる。
「寒かったでしょう? 甘酒をどうぞ?」
 野村小鳥(ea0547)がほどよく暖まった甘酒を用意して配る。

「‥‥死ぬかと思った」
 よいこは決して真似しては行けない。

 屋根から落とした雪が地上に溜まる。
 尾花満(ea5322)はそんな雪の除雪作業を行っていた。
 簡単に言えば雪を温泉で溶かして捨てるのである。

 普通に溶かすと氷りに成って非情に危険なので、キチンと溶かして排水のためのどぶに流すのである。
 そんなわけで雪を手桶に入れて移動する。これも結構重労働である。

 信じられないかも知れないが、温泉教団には下水道がある。
 っと言うかどぶがあるのだ。

 温泉は源泉元から竹を通して引いているため、ほっておくとあふれ続ける。
 それを河に流すためのどぶの溝が掘ってあるのだ。
 雪を溶かした水はこの溝を通して少しづつ捨てられる。

「この辺で猟なんか出来そうな所は無いか?」
 フレイア・ヴォルフ(ea6557)が彩花に対して質問する。
 晩の料理に一品添えようと言う話だ。
「この辺の山は素人さんにはちょっと辛いと思いますよ? 熊も出ますし、鬼も出ますし‥‥漁でしたら琵琶湖で鱒やら鮭やら‥‥赤身白身のお魚が捕れますけども」

 彩花の言葉ににっこり微笑むフレイア・ヴォルフ。
「お気遣いどうも。でも、一応素人じゃないからな‥‥まぁ鬼が出るなら控えておこう」
 そう言って彼女は渋々と雪運びの手伝いをすることにした。

 開拓地域の全てを使っている訳ではないので、使っていない方向へ雪車に乗せて雪を捨てに行くのも仕事の一つ。
 ガイン・ハイリロード(ea7487)は邪魔に成らない程度の雪を積んで、何度も何度も往復する。

「ファイヤーボーム!」
 そびえ立つ雪の壁にファイヤーボムをたたき込むエルザ・ヴァリアント(ea8189)。
 雪が一定量吹き飛んで、中から石灯籠が顔を出したりする。

 この雪はとても危険だ。
 中に何が入っているか分からない。
 さっきも吹き飛ばしたら、中から木が出てきてりしている。

「ファイヤーボムは余り意味がないからヒートハンドだな」
 そう言って雪を一生懸命溶かそうとする彼女だが、やっぱり温泉かけた方が効率は良いらしい。

「皆さん沢山汗をかいたでしょう。風邪を引かないうちに温泉で暖まってくださいな。‥‥えーと素人さんも多いようですので、刹那さんと小鳥さん説明よろしく」
 彩花がそう言って、宴の準備を始める。

「‥‥えーと、温泉教団の温泉は、混浴露天風呂に成っております。温泉には神様が宿り、温泉に入ることで、神様の恩恵を受けるのです。‥‥神様の前ではみんな裸。男女平等なのですよ〜。それでは脱衣場へ移動しましょう」

 2人の先導も元で皆脱衣場へ移動。手ぬぐいと湯煙で身体を隠しながら温泉へと進む。

「先ずは手桶で肩からお湯を浴びて、湯の中に入ってくださいな。‥‥あっ、手ぬぐいは湯船の中に入れると不衛生なので厳禁だよ〜」

 小鳥の説明で手ぬぐいを皆桶に入れて湯に入る。雪で温度を調整して、じんわりと暖かいお風呂が身体を包み込む。

「うわー両手両足が伸ばせる風呂ってすごいじゃん?
 クリムゾン・コスタクルスがそう言って湯の中で大きく身体を伸ばす。
 ここの風呂は別格に広い。
 場所に寄って深さ50cm〜1m程の湯が、縦100m 横100mの庭の6割ほどを掘って作られている大露天風呂である。

 湯船の中に小島があり、直系2mの巨大な傘が、島や湯の中に何本か備え付けられている。
 ちなみに泳ぐ事も可能。
 問題は入る場所によって温かったり熱かったりと温度調整が出来ていないことらしい。

「十分に身体が暖まったら、折を見て、垢擦りで垢を落としてくださいな。お料理とかお酒とか湯の中に落とさないようにしてくださいね」

 そんな刹那の言葉を聞きつつも、神山明人は慣れた者。屋台でクジラ丼を買って、縁台に座ってそれを口いっぱいにほおばっている。

 尾花満が白身魚の刺身を突きながら、宿の自家製のどぶろくを口に運ぶ。
 布でこしてあるため米が混じっているなんて事はない。
 どぶろくと言うよりは濁り酒である。

 さて、その新妻のフレイア・ヴォルフはと言うと、琵琶湖で取れたての蟹を頂いて、酒をグイグイと飲み進めている。

 初めての温泉を楽しむのは彼らばかりでも無い。ガイン・ハイリロードも十分に楽しんでいる。

 湯の中に沈められている背もたれ付きの竹製の縁台に腰掛け、クジラ丼をザクザクと口に運んでいる。

 熱くなったら湯から上がり、火照ったからだが冷めたらまた湯に入る。
 腹が減っては飯を食い、喉が渇けば酒を呑む。
 月明かりの中で行われるそれらが、温泉教団の行為である。

 昼間はお客を取って温泉を開放し、夜は教団と関係者が月明かりの中で湯を楽しむのである。

 エルザ・ヴァリアントもはじめのウチは全裸で入る温泉にかなり困惑していたものの、慣れてしまえばそれはそれ、存分に温泉を楽しんでいる。

 既に身体を隠すことなく、泳いでいる始末である。

「お疲れ様でした。私も入らせて貰いますね」
 彩花がそう言って静かに湯の中に浸かる。

「彩花ねぇさん‥‥せっかくだから私に‥‥温泉教団直伝のマッサージをさせてくださいな」

 鳳刹那がそう言ってつついと、彩花に近寄っていく。

「ふふ、良いわよ? 少しは上達したかしら?」
 そう言って彩花が艶やかな笑みを浮かべる。

「温泉教団の‥‥マッサージ?」
 クリムゾン・コスタクルスが話を断片的に聞いて、首をかしげる。

「温泉教団には門外不出のマッサージが有って、身体の疲れを取ったり、胸を大きくしたりする作用があるのですよ。もちろん温泉に来た女の子はみんな楽しむんですよ?」

 小鳥の言葉を真に受けるクリムゾン。
 小鳥のそのマッサージとやらをして貰おう事にする。

 小鳥がクリムゾンの胸を優しくなで始める。
 手のひら全体を使って、円を描くように、優しく、強弱を付けながら、彼女の胸をマッサージしてゆく。

「あっ、いや、ちょっとまて、これ‥‥凄く気持ち良いんだが‥‥」
 突然の彼女を襲う感覚に困惑するクリムゾン。
「マッサージが気持ち良いなら良いんですよ〜」
 胸を中心に全身優しくなで回され‥‥マッサージされると、甘いと息が漏れ出す。
 全身の筋肉が、徐々に徐々に柔らかくなる。
 それが温泉成分を全身にしみこませる手助けをする。
 それが身体中の疲れを温泉に溶け流す手助けをする。

 一方鳳刹那と彩花の方はというと、いつの間にか立場が逆転しており、鳳刹那が彩花のマッサージを受けている。
 しかも彩花のマッサージは本場仕込み、とてつもない快楽の波が襲ってくるため、鳳刹那は必死で唇を噛み締め、声を漏らさないように必死に耐えている。


 寒桜がつぼみを付ける3月。
 温泉教団は初めての近江での冬を何とか乗り越えた。