近江の豚鬼退治2−5

■シリーズシナリオ


担当:

対応レベル:6〜10lv

難易度:難しい

成功報酬:4 G 50 C

参加人数:5人

サポート参加人数:-人

冒険期間:07月18日〜07月23日

リプレイ公開日:2007年07月27日

●オープニング

●近江の豚鬼退治2−5
 朱に交われば赤くなると言うが豚鬼達の公道はその物である。
 人間と戦う事で戦いを学習していく。
 豚鬼達に人間の領土を欲する欲は無い。
 有るのは戦いたいという闘争本能と食欲、性欲だけである。

 説明しよう
 近江の国。
 京都の東に有る天下の米所として有名で琵琶湖の水のおかげで美味しいお米を大量に生産することが出来る。日照りとか干ばつとか知らずの取ってもすばらしい国である。
 そんな近江にはいくつかの人知を超えた大問題がある。
 比叡山の酒呑童子や琵琶湖の九月鬼などがそうである。

 そのなかでも近江で有名な問題として蓬莱山の豚鬼が上げられる。

 彼らは蓬莱山を中心に琵琶湖の北西に豚鬼の王国を築き上げ、1000を超える豚鬼達が1万人を超える人間達を支配していると言われている。

 その頂点に立つのがオークロード鐵。そしてその部下に6匹の豚鬼王達を統べている。


 彼らは定期的に‥‥儀式的にも似た戦を多々人間達と‥‥近江武士団と刃を交えている。

 この半年近く彼らが静かだったのは犬鬼達の強襲があったからだ。
 それが一段落付いて、また人間達との戦いが始まろうとしていた。

 停戦状態のままの数ヶ月は、近江の国に平和が訪れていた。
 このままこの平和が続けばナント良い事か。そう思った武将も居ただろう。

「豚鬼達が活性化している。比叡山の影響を受けての事だろう。多かれ少なかれ豚鬼達を倒さなければこの騒動は収まらぬだろうな。

 そんなわけで豚鬼退治をするメンバーを募集。
 敵の数は約20名前後、出来れば接近戦で敵を倒してくれる力強い仲間を募集する。
 こちらの援護は弓兵が10名程度、後方から弓を撃って援護する。
 そんな依頼が京都のギルドを戸を叩いたのはそれからまもなくの事であった。

●今回の参加者

 ea8384 井伊 貴政(30歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 ea8616 百目鬼 女華姫(30歳・♀・忍者・人間・ジャパン)
 eb0711 長寿院 文淳(32歳・♂・僧兵・人間・ジャパン)
 eb1528 山本 佳澄(31歳・♀・志士・人間・ジャパン)
 eb6553 頴娃 文乃(26歳・♀・僧侶・人間・ジャパン)

●リプレイ本文

●近江の豚鬼退治2−5
 皆さんは豚という生き物をご存じだろうか?
 豚は案外きれい好きで、繁殖力が異様に高い。
 沢山の子供を産んで、それらは立派な大人へと成長する。
 豚鬼達の繁殖力もすばらしく、沢山の子供を産んで成長させる。
 蓬莱山の豚鬼達は有る程度大きくなると、戦にかり出され実戦経験を積む。
 実戦経験を積んだ豚鬼達は徐々に力を付け、戦馴れして行く。
 もちろんその仮定で沢山の豚鬼達は死んで行き、一握りのエリートな豚鬼達が生まれる。
 もし、蓬莱山の豚鬼と戦を辞め、平和的な関係を結べば、豚鬼達は異常繁殖してその数を爆発的に増やすだろう。
 そうならない為にも近江衆は定期的に豚鬼と戦いその数を減らさなければ成らないのだ。

 出来る限り安全で出来る限り被害を出さないように豚鬼達の数を減らす事、そのために近江衆と豚鬼達の戦いの場にはいくつかのルールが存在する。

1.戦って良いのは日の出から日没までの間だ、戦いの合図に法螺貝を吹いてそれを知らせ、戦いの終わりにも法螺貝を吹いて知らせること。

2.何の合図も成しに蓬莱山に近付かないこと、また夜の間にも蓬莱山には近付かないこと。近づいた場合、豚鬼達も無言で攻撃してくることがある。

 他にも火を使った攻撃をしてはいけない。
 まねされるとしゃれに成らない攻撃はしない‥‥などの約束事はあるが、おおむねそんな所である。

「まぁそんなわけで今回の戦は消耗戦じゃ。敵の数を減らす事が第一、余り無理をして深手をおわぬように注意してくだされ」
 神楽坂紫苑の号令で10名の弓隊が左翼に、冒険者5人が右翼に展開する。
 神楽坂紫苑はあくまでも全体指揮。むやみに矢の届くところまでは足を進めない。
 20を数える豚鬼と熊鬼の合同部隊も山の斜面のあちこちに陣を張っている。

 井伊貴政(ea8384)が太刀を構えて右翼の陣頭指揮を取る。
 どうやら彼が今回の攻撃の要らしい。
 蓬莱山は難攻不落の自然の要塞、戦うには不利だが、今回の豚鬼達は新兵、上手く立ち回れば十分倒せる筈‥‥である。
 傾斜60度の坂を一気に駆け上がる井伊貴政。それに合わせるように3匹の豚鬼達が井伊貴政を包み込む。
 豚鬼新兵の棍棒が井伊貴政に振り下ろされる。
 それを太刀で受け流す井伊貴政。
 2匹目の豚鬼の棍棒が彼の肩に振り下ろされる。
 3匹目の豚鬼の棍棒が彼の胴体へとたたき込まれる。
 肩にたたき込まれた棍棒から井伊貴政に対して激痛が走る。
 っが、胴体にたたき込まれる筈だった棍棒を百目鬼女華姫(ea8616)が野太刀で受け止めている。
 今回は前衛に回った百目鬼女華姫。井伊貴政が囲まれないようにサポートしている。
 長寿院文淳(eb0711)が2人を追うようにして坂を駆け上る。
 井伊貴政を中心に右手に百目鬼女華姫。左手に長寿院文淳が回っている。
 井伊貴政が超重い一撃が正面の豚鬼に炸裂する。
 肩から袈裟懸けにばっさり斬られる豚鬼。
 右足で蹴りを入れながら刀を引っこ抜く井伊貴政。
 脂肪の塊とも言える肉の壁を切り裂き、かなりの深手を負わせたような。
 左手からの攻撃を長寿院文淳がそつなく交わす。
 右手からの攻撃を百目鬼女華姫がそつなく交わす。
 2人は回避能力に優れているため、新兵の棍棒を軽々と交わしていた。
 無論足場が悪いというハンディはあるが、そんなことを気にすることは無かった。
 攻撃の要の井伊貴政だけは回避が不得手な様で、逆に攻撃に専念している。
 山本佳澄(eb1528)のライトニングサンダーボルトが豚鬼を捕らえる。
 普通なら飛び道具は前衛が居るときには撃ちにくい物なのだが、傾斜と豚鬼の必要以上の巨体のおかげで、後ろからでも十分狙える立ち位置に成っている。
 実力はこちらが圧倒的に上、地形の不利を差し引いて、数が同じなら圧倒的に有利、敵の数が少なければ一気にたたみ込む事が出来る。
 周辺に散っていた豚鬼達が血気盛んに加勢に入る。

 山本佳澄が刀を抜き、60度の斜面を一気に駆け上がる。
 井伊貴政の太刀が2匹目の豚鬼を血祭りに上げる。
 負傷した豚鬼に容赦なく百目鬼女華姫の野太刀が炸裂する。
 傾斜60度、鬱蒼と木の生えた斜面での戦いは熾烈を極めていた。
 迂闊に回避運動を行えば、斜面を転がるように落ちるだろう。
 豚鬼と異なり安定した体重を持ち合わせていないからだ。
 百目鬼女華姫も長寿院文淳も最小限身体を動かして敵の棍棒を回避している。
 さほど恐れる事の無い棍棒の攻撃だが、蓄積されると負傷が増す。
 これは致し方ないことだ。
 井伊貴政と山本佳澄がオフェンスに回り、トータル11匹目の豚鬼を血祭りに上げたとき、2人は返り血と自らの血にまみれ、肩で息をしていた。
「はい、1・2・3・4・5っと」
 頴娃文乃(eb6553)が後方から坂を上り、負傷した2人にリカバーをかける。
 傷がみるみるうちに回復してゆく。

「ふむ‥‥流石に戦い慣れておる冒険者は違うのう」
 後方から神楽坂紫苑の声が聞こえる。
 冒険者達が11匹目の豚鬼を倒している間に、弓兵達も左翼のオークを5匹ほど血祭りに上げている。
 20匹居たはずの敵の豚鬼達はその殆どが重傷もしくは致命傷を受け地に伏している。
 何匹かは絶命した物もいるだろう。十分な戦果を上げている。

「さて、予定に有った豚鬼達は既に撃破されておる。これ以上は掃討戦になるぞよ」
 神楽坂紫苑がそう言って豚鬼達の指揮を取っていた豚鬼に語りかける。
「またれよ、人間の大将、話がある」
 いつの間にか山の中腹から山姥らしい影が神楽坂紫苑へと話しかける。
「話とはなんじゃ? 停戦か?」
 今回は圧倒的有利な立場に成っている、ゆえ上からの立場で話すことが出来る。

 この後神楽坂紫苑と山姥はなにやら訳ありの内緒話を小一時間ほど行い、今回の戦は終了と言う事になった。

 何だかは分からないが、交換条件と言うことで豚鬼を3匹ほど比叡山討伐に混ぜろ‥‥っと言う物らしかった。紫苑は交換条件を呑むことでそれを受け入れた。
 ‥‥‥‥っが、それはまた別のお話。

 かくして近江の危機は冒険者の手によって救われた。
 ありがとう冒険者諸君。流石だ冒険者諸君。
 だが、戦いが終わったわけではない。
 次の戦いの為に羽根を休め、また頑張って頂きたい。

どっとはらい