近江の豚鬼退治2−4

■シリーズシナリオ


担当:

対応レベル:11〜lv

難易度:普通

成功報酬:8 G 65 C

参加人数:8人

サポート参加人数:5人

冒険期間:03月02日〜03月10日

リプレイ公開日:2007年03月12日

●オープニング

●近江の豚鬼退治2−4
 雪深く一面銀世界の西近江。
 豚鬼達は活発に何かを行っている。
 相変わらず犬鬼とは戦っているらしいが、人間との戦いも望んでいるようだ。
 犬鬼達との戦いで何かを学んだらしく、相変わらずの猿まねで人間と戦う様子。

 説明しよう
 近江の国。
 京都の東に有る天下の米所として有名で琵琶湖の水のおかげで美味しいお米を大量に生産することが出来る。日照りとか干ばつとか知らずの取ってもすばらしい国である。
 そんな近江にはいくつかの人知を超えた大問題がある。
 比叡山の酒呑童子や琵琶湖の九月鬼などがそうである。

 そのなかでも近江で有名な問題として蓬莱山の豚鬼が上げられる。

 彼らは蓬莱山を中心に琵琶湖の北西に豚鬼の王国を築き上げ、1000を超える豚鬼達が1万人を超える人間達を支配していると言われている。

 その頂点に立つのがオークロード鐵。そしてその部下に6匹の豚鬼王達を統べている。

 彼らは定期的に‥‥儀式的にも似た戦を多々人間達と‥‥近江武士団と刃を交えている。

 数ヶ月前に鐵との会談に成功。一ヶ月の間の停戦協定が結ばれた。

 停戦状態のままで数ヶ月が経過、近江の国に平和が訪れていた。
 このままこの平和が続けばナント良い事か。
 そんな話が上がっている中で、一部の豚鬼達は里をおり、また町を荒らしているらしい。
 敵の本体‥‥っと言う訳ではなくはぐれ豚鬼‥‥っと言う形である。

「先ずはコレを討つことで我々も遊んではいなかったと言うことを示そうではないか」
 神楽坂紫苑の指揮の元でコッソリとガンサイ率いる長弓兵隊が育てられていた。
 その数ざっと10数名。
 その中で実戦に耐えられるのは数名だろう。

 そんなわけで豚鬼退治をするメンバーを募集。
 敵の数は約20名前後、出来れば接近戦で敵を倒してくれる力強い仲間を募集する。
 こちらの援護は弓兵が10名程度、後方から弓を撃って援護する。
 そんな依頼が京都のギルドを戸を叩いたのはそれからまもなくの事であった。

●今回の参加者

 ea8384 井伊 貴政(30歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 ea8616 百目鬼 女華姫(30歳・♀・忍者・人間・ジャパン)
 eb0160 黒畑 丈治(29歳・♂・僧兵・人間・ジャパン)
 eb0334 太 丹(30歳・♂・武道家・ジャイアント・華仙教大国)
 eb0711 長寿院 文淳(32歳・♂・僧兵・人間・ジャパン)
 eb1421 リアナ・レジーネス(28歳・♀・ウィザード・人間・ノルマン王国)
 eb1528 山本 佳澄(31歳・♀・志士・人間・ジャパン)
 eb3225 ジークリンデ・ケリン(23歳・♀・ウィザード・ハーフエルフ・フランク王国)

●サポート参加者

榊原 康貴(eb3917)/ ヴェニー・ブリッド(eb5868)/ 頴娃 文乃(eb6553)/ 雀尾 嵐淡(ec0843)/ 雀尾 煉淡(ec0844

●リプレイ本文

●近江の豚鬼退治2−4
 雪深き近江のとある村。
 村人達はかろうじて難を逃れたが、村は豚鬼達に占領されていた。
「ちっ肉が有るかと思ったが‥‥米しかないな(鬼語)」
 蓬莱山の豚鬼達は大きな規律によって組織化しているが、中にはそれが守れない者達もいる。
 そんな彼らははぐれオークとなるのだが、問題点は食い物だ。
 豚鬼達のヒエラルキーが高いほど美味しい肉や魚を食べる事が出来るが、ヒエラルキーの低い低レベル豚鬼達は雑炊などを啜っている。

 豚鬼達は元々肉食、肉が食いたい、魚が食いたい、そのために偉くなるように活躍する。
 それが『合戦の場』である。
 つまり合戦が無いと美味しい物を食べるための努力が出来ないので非常に困るのだ。
 人間との戦いがしばらく停戦していて為にそんな努力が出来ない豚鬼。
 どうしても肉が食べたかった豚鬼達が集団を作り村を襲うのである。

 それが『はぐれオーク』集団である。
「肉が食いたい鬼! 魚が食いたい鬼! オグオグ!(鬼語)」
 そんな豚鬼達を許さない存在が2つある。
 一つは人間達の対豚鬼部隊‥‥鋼鉄山猫隊アイアンリンクスの面々。
 そしてもう一つは組織を作っている豚鬼達である。
『裏切り者には制裁を、規律を乱す物には制裁を』それが彼らのルールだ。

「私が上空から偵察してきましょう。」
 リアナ・レジーネス(eb1421)がマリーナフカ(若いロック鳥)に乗り、空からの状況偵察を申し出た。
 体長10mの身体を持つ若きロック鳥に乗って上空偵察はお手の物だった。
 ブレスセンサーを使って敵の吐息の数を数えるリアナ・レジーネス。
「24〜25? 思ったより多いですね」
 村の上空を一周して敵の数を数えるリアナ・レジーネス。
 当然向こうからも丸見えである。
「なんだアレは(鬼語)」
 見張りオーク達が次々にそれに反応する。

『敵を見つけたが、自分も見つかってしまいました。』
 っと言うちょっとお茶目な失敗を残し、敵の豚鬼達が陣形を組んで入り口付近の人間達に襲いかかった。

「先ずは一匹!」
 井伊貴政(ea8384)が順調な太刀捌きで、豚鬼の一匹を血祭りに上げた。
 彼の剣の腕前は達人を凌駕する。
 完全無欠の一撃に、地面が真っ赤にそまり、見回りだった豚鬼の一匹が絶命する。

 2匹目の豚鬼がその場から逃げ出そうとして、背中に10本の矢を浴びせられたのは、それからまもなくの間の事であった。

「お久しぶりね〜。百目鬼女華姫よ♪覚えてるかしら?」
「鋼鉄山猫隊隊員としても、このお仕事に参加する義務があるわね〜」
 百目鬼女華姫(ea8616)が神楽坂紫苑に話しかける。
 井伊貴政を壁にし、3匹目の豚鬼を血祭りに上げる百目鬼女華姫。
 一匹づつに一人づつ攻撃を仕掛けるのではなく、井伊貴政の攻撃している敵を一緒に殴って倒す‥‥っと言う戦法を取っている。
 コレは決して卑怯ではない。ニンジャとして当然の行動なのである。
「うむ。久しいの。今回は良く集まってくれた。感謝する」
 神楽坂紫苑が百目鬼女華姫にぺこりと一礼をする。
 続いて神楽坂紫苑が井伊貴政にも頭を下げる。
 それに釣られて井伊貴政も神楽坂紫苑に頭を下げる。

 ロック鳥騒ぎのおかげで敵がわらわらと出てくる。
 黒畑丈治(eb0160)がそのうちの一匹に対して両手に装備したナックルと殴りつける。
 流石にタフネスが売りの豚鬼だけあって相手の動きは鈍いが倒れない。
 敵の攻撃を交わし、数発のパンチをたたき込む、やっと敵の動きが鈍くなったという所で、太丹(eb0334)の間髪入れない槍の一撃が入って、何とか絶命に追いやる。

 オーラパワーとオーラエリベイションをかけて必殺コンボの槍である。
 到底並の豚鬼に何とか出来る物ではない。

「2人とも久しいな、元気にしておったか?」
 神楽坂紫苑の言葉に挨拶を交わしながら黒畑丈治と太丹のコンビネーション攻撃が炸裂する。
 コアギュレイトで動きを固め、槍でトドメを刺す‥‥っと言う軽快なパターンである。

4人が次々と豚鬼を倒していくのを見て、少々汗をかく長寿院文淳(eb0711)。
 弓隊の盾になり相手の攻撃を受け流す予定だったが、敵がサクサク死んでいくので出番が少ない。
 それでも豚鬼の攻撃を捌き、ガンサイ率いる弓兵部隊の前に敵を誘導する剣の腕前は、達人の領域のそれである。

 マリーナフカが死体に成っている豚鬼の肉をちびちびついばむ。
 当初の予定ではずっと飛んでいて情報を送る予定だったが、あまりに目立ちすぎるので、弓隊と合流と言うことに相成った。

「唸れ! ライトニングサンダーボルト!」
 それでもリアナ・レジーネスの魔力は健在である。
 弓兵と共に魔法を飛ばし、地味に豚鬼を蹴散らしているのである。

「唸れ! ライトニングサンダーボルト!」
 山本佳澄(eb1528)が後に続くようにいかづちを飛ばす。

「敵の戦力は半減しています。攻めるなら今‥‥かも知れません」
 索敵行動を行うジークリンデ・ケリン(eb3225)
 敵の場所を把握し、それを各個撃破していくという作戦により戦況は思いのほか校長に進んで行く。

「これで14匹目‥‥だ」
 井伊貴政がそう言ってやや大きめの豚鬼を仕留める。
 無論その影に百目鬼女華姫有りではあるが。

 豚鬼達の殆どを全滅に追いやったその大いなる力はすばらしい物である。
 流石名声の高い冒険者‥‥流石達人の剣のなせるワザと言う所である。

「みなご苦労、殆どの豚鬼を殲滅することが出来た。残党も山へ帰るであろう。何か礼をしたいがどうじゃ? 坂下城でフロにでお入ってゆかぬか? 天然の温泉を引いた風呂ゆえ、汗も流せるであろうよ」

 神楽坂紫苑の招き入れで坂下城に入りゆっくり汗を流す面々。
 血を拭い、用意された夕食に舌鼓を打ちながら今回の戦いを振り返っていた。

「今回の戦いではボスクラスが居なかった。それにいつもと違い地面が斜面では無く平坦だった。たったそれだけの差だが、これほど戦いやすい‥‥とは思わなかった」
 井伊貴政がそう言って用意された酒を突きながら温泉を堪能する。

「それだけ‥‥だけどそれが重要なのよね」
 百目鬼女華姫がそう言って自らの身体に付いていた血を拭う。
 蓬莱山は自然に出来た難攻不落の地形が豚鬼達に味方している。
 蓬莱山には蓬莱山向きの戦い方を考えなければ成らないだろう。

「私の夢はオークロード鐵に勝てるほど、強くなりたい。そのために私は手段を選びません」
 黒畑丈治がそう言って神楽坂紫苑から杯を受け取り酒を口に運ぶ。
 そう言えば太刀持ちと言うことで刀を2本預けた気もするが、アレはどこへ消えたのだろう。

「この後は宴会っすね。楽しみっす」
 太丹がそう言って頭から湯を浴びる。
 もちろん労いの意を込めて、風呂上がりには食事が用意されている。
 太丹は何よりその戦いの後の飯を楽しみにしていた。

「今回は美味く戦えました。次回も美味く行けばいいのですけどね」
 長寿院文淳がそう言って苦笑する。
『何はともあれ‥‥最低限後衛に被害が及ばない様にはしなければ』
 そう願った彼の戦いは見事に成功したのだ。

「ちょっと今回は目立ちすぎたかしら」
 リアナ・レジーネスが苦笑する。
 マリーナフカ(若いロック鳥)は隠密行動には少々向かないかも知れない。
 今回の戦いで憶えた事は良い勉強に成った。
 ‥‥前衛として使えばもっと活躍出来たかも知れないが、矢の通り道を塞いでしまうのでそこが少々難しい。

 山本佳澄は魔法を使いすぎたのかすっかり眠りかかっている。
 ウトウトと風呂に顔を落としそうなほどだ。

「私は満足でしたよ。魔法も沢山撃てましたし」
 ジークリンデ・ケリンが今回の戦いを思い返す。
 スモークフィールドで敵の視界を奪い、インフラビジョンで敵を見つけて攻撃する‥‥っと言う作戦は、大成功だった。これほど効果的な魔法は希だ。

 皆からも、勝算の声が上がっている。
 魔力は使ったが流石と言わざる終えないだろう。

「本当にお疲れ様でした。」
ジークリンデ・ケリンがそう言ってにっこり微笑む。
 雪が溶けるのは近江ではまだ早い。
 戦いはまだまだこれからが本番になるだろう。
 雪が溶けてからの一戦。
 それを胸にトドメながら、今日の勝利を明日の勝ちへと繋ごうと思う面々なのでした。