轟!義侠塾!! 〜さらば戦友よ、遥か(略

■シリーズシナリオ


担当:小沢田コミアキ

対応レベル:フリーlv

難易度:やや易

成功報酬:4

参加人数:8人

サポート参加人数:2人

冒険期間:10月06日〜10月14日

リプレイ公開日:2005年10月14日

●オープニング

 江戸より京を目指して旅立った義侠塾生。神奈川、名古屋、大阪と転戦して惨面拳やオンドルら友を失いながらも、塾生たちは遂に京を目前としていた。
「いよいよ襲愕虜皇も最後じゃ!」
 三人の刺客を倒した壱号生。その彼らをこの上何が待ち受けているというのか‥‥。鬼髷が声を張り上げた。
「今回貴様らが行うのは、華国の伝説に基づく教練じゃぁ!!」

 古代華国における漢中一番乗りの争いの中、二強の競り合いの影で第三の勢力が動いていたことは余り知られていない。第三の男は辺境部族の将・捨入暴流。漢中一番乗りに覇を夢見た彼は、莫大な賞金を賭けて諸国に猛者を募った。この呼びかけに各地の武人や侠者、果ては方士の類までもが名乗りを上げ、一斉に漢中を目指したのである。
 これに端を発する華国各地での紛争は捨入暴流(すているぼうる)の乱と呼ばれ、華国全土の猛者達が一番乗りの武功と賞金を目指して競り合ったといわれている。なおこの乱において一番乗りを果たしたのは豪族・礼須(リィ・スゥ)だと一説には言われている。彼の名が後に西洋でいうレースの語源となったのは言うまでもない(太公望書院刊『逆襲の騎馬民族』)

「一番乗りは武功の誉れ! その誉れを賭け、貴様らに京への一番乗りを競ってもらう!! これはまさしく捨入暴流の乱の再現じゃぁッ!!」
「そうデス。
 暗がりから男が姿を現した。この男の名は――。
「生きていたのかオンドル!!」
 お約束。
「心の京都を目指す旅、襲愕虜皇もいよいよ最後。ならばこそ我らは一点の曇りもない有終の美を飾らネバなりません」
「ほう、オンドル殿。何か策があると見えるな」
「私の心の京都はすなわちエジプト! 侠ならどんと大きく、世界を股にかけて義侠の気炎をあげマショウ!!」
 日本海を股に掛け、広大なユーラシア大陸を駆け抜け、地中海を望むスエズ地峡のその先。ナイルの育む肥沃なる中東の大都。その名はカイロ。
「わかったか壱号坊ども!! これより義侠塾は遥かエジプトはカイロを目指す! 貴様らの力でディオを倒すんじゃ!!」
 ‥‥って、誰?

●今回の参加者

 ea0270 風羽 真(36歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 ea0452 伊珪 小弥太(29歳・♂・僧兵・人間・ジャパン)
 ea0561 嵐 真也(32歳・♂・僧兵・人間・ジャパン)
 ea0639 菊川 響(30歳・♂・侍・人間・ジャパン)
 ea2406 凪里 麟太朗(13歳・♂・志士・人間・ジャパン)
 ea3865 虎杖 薔薇雄(35歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 ea6381 久方 歳三(36歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 eb0568 陰山 黒子(45歳・♂・僧兵・人間・ジャパン)

●サポート参加者

タケシ・ダイワ(eb0607)/ 小野 麻鳥(eb1833

●リプレイ本文

「いよいよ襲愕虜皇も捨入暴流の乱で最後でござるか‥‥。拙者もまた、最後の漢気を示すでござる!」
 カイロへ向けてそれぞれの旅が始まる。久方歳三(ea6381)は二頭の愛馬に最低限の荷と食料を積み込み、まさに出発する所だ。男らしく正攻法で街道を進みつつ、馬の疲労を抑えるために二頭を連れて交代させながら進む策だ。
「よっしゃ!DI●だな! んな奴ぁ俺に任せとけって!」
 伊珪小弥太(ea0452)はガラベーヤ姿にむりやりファラオのネメスという間違ったエジプトルックで、義侠塾のファッションリーダーの座をほしいままにしている。相棒のぴゅんぴゅん丸もファラオのマスクでおめかしもバッチリだ。
「とりあえず目指しまくるぜカイロ野郎!‥‥ってどこよ?」
 いまいち勘違いしてる気がするのが不安だがやる気は十分! 愛馬に飛び乗ると手綱を握る。びゅんびゅん丸も伊珪の相棒だけ合ってノリで激しく駱駝になりきって側対歩でガッシュンガッシュン歩くものだから、鞍上で伊珪もガックンガックン。あとマスクで前が見えてないので順調に街道をそれてどっか遠くへ行ってしまった。
 凪里麟太朗(ea2406)も気を引き締めて旅路へと踏み出す。
「よし、と」
 草鞋の緒をしっかりと締め、街道へ臨む。凪里が選んだのは、己の足で道程を駆け抜けるという苦しい道だ。
「先日の神剣争奪にて、神皇様のお役に立てる事が出来なかった。神皇様へのお詫びを込めて、何も乗らずに自力で京都へ向かうのだ」
 塾生たる者、何にも頼らず己が力のみでただ邁進することこそが侠らしい。愛馬黒皇と仁人参伽駆で体を縄でつなぎとめ、共にその長い道程へ第一歩を踏み出した。
 思えばこの一年、塾生として歩んだのは様々な教練の過程。風羽真(ea0270)は去来する想いを噛み締めた。
「‥‥ふむ、1年もの永きに渡って続いた義侠塾も取り敢えずはお開きか‥‥フッ、まさかこの義侠塾までもが『十回の法則』から逃れられんとは‥‥毒捨闇刑闘、恐るべし」
 颯爽と愛馬へ跨ると真もまた旅路へと身を投じた。街道には各々のペースで先を行く同輩達の姿。それに混じって南蛮丸というか菊川響(ea0639)の姿もある。
(「江戸を離れないって言ったのに、弟達にはやっぱり裏切ったって思われてるかなぁ‥‥それにしても毅業院先輩の影を踏まなかったからといって正体がわかって貰えるわけじゃなかったよ!」)
 どうやって塾友に正体をバレようかというメタな考え事をしつつ、愛馬やまざきを連れてとぼとぼと歩いていく。見かねた真がその背へ声をかけた。
「何か考え事か? 兎に角走って走って、誰よりも先にカイ‥‥もとい、京都へ赴いてディ‥‥もとい、襲愕虜皇を終了させようか、響?」
「ああ、そうだな」
 と何となく生返事で頷いてしまった菊川。真が肩を竦めて苦笑をこぼす。
「‥‥むぅ、京都に向かっていた筈が、今や流れに流れて最終目的地が懐炉とは‥‥流石義侠塾はスケールが違う」
 そう言うと鞭を入れて真は菊川を追い抜いていった。その背を見送りながら、菊川は両頬を叩いて気合を入れ直す。
(「そうだよな、未来(あした)もっとでっかい侠になるために!」)
「憂いは半分無くなった! 一番乗りにて残りは晴らすべし!」

 それぞれの道で京を目指す壱号生達。街道を行く彼らとは離れて、また別の道を進む者もいる。虎杖薔薇雄(ea3865)と盟友モハメド・オンドルは道なき道へ馬を進めている。
「ふっ、我が心の友オンドル君が生きていたとは‥‥これは気合を入れなければいけないね。我が茶狸乙も喜んでいるよ!」
 薔薇雄の跨るは全身薔薇で飾った愛馬。つか、棘で血だらけ、ふらつく馬の足取りも儚げで何かすごい耽美な感じで頑張っている。美しすぎるぜ薔薇雄さん!
「それはさておき、このまま進むと山間へ分け入るのだが」
「ふっ、望む所ではないか。ただ一直線に茶狸乙に乗って無心で進むのみ!! 障害となるものだけ美しく切り伏せる‥‥これぞ努紺状帰流!!」

 由来
 その昔、一匹の蛙が川へ帰る途中で潰され着物の一部となるも、ただその根性で只管川を目指し、遂には川へと帰りつき泳(略

「ブラボー、おおブラボー!!美しく進むのがフランク人のたしなみというものだよ」
 手にした刀で茂みや藪を薙ぎ払い、一直線に目指して走り抜ける。その二人の脇を駆け抜ける影があった。全身を上気させて草履履きで駆け抜けたのは紛れもなく壱号生筆頭嵐真也(ea0561)。前回は同輩に遅れを取ったが次こそは一番乗りを果たして汚名を雪ぐのみ。
「ふん、流石は締めの教練。面白い!我が名のごとく、駆け抜けるのみ」
 褌一丁に気合を込めて颯爽と二人を追い越し、最短距離を目指して山野の森へと駆け込んだ。
(「辛い修練の日々だった。だが、これも真の義侠となる為」)
 これまで歩んだ苦難の成果を出しつくし、厳しい道程を踏破する。たとえ待ち受ける敵が強大であろうと、それでも前へ進むのみだ。
「一番乗りは、頂く」
「ふっ、流石は嵐筆頭」
 その背を見送りながら薔薇雄が髪を書き上げた。
「だが私には心の友オンドル君がいる。彼との美しい友情に勝てるものはいないね。
 その髪型は勿論、惚馴夫! 薔薇雄とオンドルも負けじと嵐に追いすがる。しかし彼らの前に大自然の驚異が立ち塞がる。眼前に現れたのは切り立った崖! 
(「ふっ、迂回するか? それとも敢えて‥‥いや、この高さは‥」)
 その時だ。薔薇雄の視界の端、左右に細い獣道が飛び込んでくる。
「フッ、左の道は私が行く。オンドル君は、ここはインド人を右にだ!」
「Yes I am!」
 両脇の迂回路へ素早く二人が回りこんだ。一瞬の判断は二人が勝った。このままでは嵐は後塵を拝することになる。だが嵐は敢えて!
「何ィィ!」
「と、飛んだ!?」
 全身のバネを使った跳躍。その両腕は鳥の翼へと変化し、大空を翔る。
「これぞ風羅李覇射・改だ」
 悠々と飛んだ嵐は断崖の頂に着地した。その背はすぐに遠くなる。それに気を取られたのがオンドルの命取りとなった。
「オンドルーーー!!」
 手綱捌きを誤ったオンドルは落馬して斜面を転がり落ちていく。結果としてこの迂回路を取ったのが勝敗を分けた。オンドルに誘われるように、薔薇雄もまた全身を薔薇で血だるまになりながら山を転げていった。

 ***襲愕虜皇の死嗚裏***
 ■インド人を右に → 訂正:インド人を右には『エジプト人を右に』の間違いでした。訂正してお詫び致します。


 そろそろ日も落ち、褌一丁の身には寒さが堪える。だが嵐はその足を止めない。道なき道を一直線に進む三人の勝負、制したのは嵐。かに見えたが。
「俺もまだ負ける訳にはいかないんだ! この義侠塾魂に賭けてッ!」
 脇の森から飛び出てきたのは南蛮丸、もとい菊川壱号生! 彼もまた街道を捨て、猟師の知恵を頼りに獣道を掻き分けるショートカットを試みていた。
「流石は嵐筆頭! だがエジプト一番乗りを譲る気は毛頭ない!!」
 足りない食料は現地で狩りつつ、泥だらけになりながらもひた走る。共に韋駄天の草履で地を蹴り、競うように二人はカイロを目指す。まさしくデッドヒート。同じ頃、やはり街道組でも同様に激しい攻防を繰り広げられようとしていた。
 先頭を行くのは久方だ。これまで二頭の馬を交互に乗り継ぎ、時に韋駄天の草履で自ら走って来た久方。しかし先頭を走る重圧は思いのほかに厳しく、その足取りにも疲れが見える。しかし旅立つ彼を見送った友の言葉に励まされ、久方は最後の追い込みに入った。
(「そうでござる、拙者は義侠塾生、気合を入れてやりとげるでござる!」)
 だがみすみす独走を許す同輩達ではない。
「ここで後塵を拝したとあっちゃ暗黒流の名折れ。このまま行かせはしねーぜ!」
 後方から急激に迫るのは伊珪。ファラオのマスクには目穴を開けてびゅんびゅん丸も視界確保。自慢の駿脚で何とか追い縋る。だがその背には。
「‥‥はっ‥!」
 ぴったりとつけているのは真の馬だ。前の馬を風除けに体力を温存させるその技の名は掏摸通歩素通里異夢(すりっぷすとりぃむ)。
「そして次に見せるのは、秘奥義『馬通圏散馬(まつけんさんば)』だ!!」

 馬通圏散馬とは、髪の毛程の隙間も見逃さず最速で走り抜けるルートを瞬時に見極めそれを突破する人馬一体の秘奥義である。熟達者ともなると駆け抜ける際にその氣が黄金色に光り輝き、驚いた他の馬は思わず足を止めてしまい独壇場となる。そのように他の馬を散らしながら独走する様からこの名がついたといわれる。

 一瞬の隙を突き、二人の間をすり抜けて真がトップに躍り出る。代わって最後尾となった凪里も引き離されぬ様に歩調を速める。凪里が荷物から進化の人参を取り出した。
「我が愛馬黒皇もまた侠なれば、同輩の後塵を拝す訳にはいかないのだ。今こそ羅笥都諏派亜徒(らすとすぱあと)だ黒皇!」
 と思って無理やり食べ与えさせようとするが、黒皇に食べる気配がない。怪訝な顔の凪里が慌てて荷を確認すると、保存食の数が少し足りない。プイと目を逸らす黒皇。
「こ、黒皇‥‥‥‥!」
 ゴゴゴゴ‥‥
 黒皇にはその後きっついお仕置きが待っていたかはさて置き。保存食で泣いたのは凪里だけではない。またしても弁当を忘れて三日ほど絶食していた伊珪。ぐぎゅるる〜と豪快な音を立てながら力尽きた。ついでに巻き込まれて久方も盛大に落馬(お約束)。
「歳ちゃん感激〜!」
 三者が脱落し、遂に街道を制したのは義侠塾随一の技巧を誇る真! 同時に獣道では筆頭嵐と南蛮丸こと菊川が激しい一番乗り争いを繰り広げる。果たして、この激闘を制するのは‥‥!!

 (イイとこだけど字数制限で二話分くらいごっそり割愛)

「とうとうここまで来たか。後はもう不退転の覚悟で望むしかあるまい」
「DI●、それは旧義侠塾を閉鎖させた宿敵の本名か? 遂に宿願を適える時が来たのか!?」

(前回までのあらすじ)
 死闘の果てにエジプトの地を踏んだ義侠塾生。だが彼らの前には、ファラオマスクを身に付けた謎の宿敵DI●が待ち構えていた。遂に始まる最後の戦い。

「貴殿の現れることは先刻承知。策はある」
 菊川が静かに告げると、それに頷いて凪里が詠唱を始める。
「焔の志士には、神皇家より真の侠のみに贈与される恩賞を託されている。不肖このわたしが、日ノ本を支える英傑とみなして、これより死闘を迎える義侠塾の同志に勲章を授与させて頂く!」
 凪里の操るそれは『旭日昇(=フレイムエリベイション)』! 熱き義侠の気炎が壱号生達の身に宿る。かくして死闘の幕は開ける!!
「食らえ、射射忍虞斌雅亜でござる!!」
「必殺! 挑転自護魔!!」
「行け、茶狸乙!」
「塾友には使えぬこの業を、繰手刈必倒‥‥ぐばぁ!」
「ひ、久方殿ォォォオオオ!」
「はっ‥‥これは大衝音の叡流‥‥友がまだ拙者に戦えと言っているでござるか!?」
「こ、この風は神風!! 天をも味方した我等が負ける訳にはいかない!」
「行くぞ、俺たちは一騎当千のもののふだ!!」
「暗黒流奥義・魔畏武痲威鵡!! 最後だしフルパワーばーじょんだぜ!!」
「食らえ、蛇是亥に舞瀬射!!」
「いけ、やまざき! DI●殿にお手!」
「棲汰悪腐羅血那座・我留怒‥‥うぎゃあ!」

  (字数制限により大幅に割愛)

 とまあ、そんなハイライトシーンはやっぱり置いといて。何かどさくさに紛れて久方が必要以上に血まみれになってるが、遂に壱号生は宿敵を追い詰めた。
「DI●、君の敗因は一つ。そう、たった一つだけだ。君は、私たちを怒らせた」
「‥‥み、見事であった!」
 その時だ。ファラオのマスクが割れ、そこに現れたのは。
「じゅ、塾長!!」
「貴様らの教練の成果、しかとこの目で確かめさせて貰った。貴様らこそは真の義侠! この学び舎で培ったその技をもって、真の義侠として国のために大働きするがよい!!」
「押忍!」
 塾生が一斉に礼をする。やがて顔を起こした塾友達の視線が自然と嵐の元に視線が集まった。
「確かにこの教練は、完遂した。だが、俺たちの旅路は続く。義侠の中の義侠を目指してな‥‥」
 どこからともなく鼓の音。それは我らが義侠塾塾歌のイントロだ。 
「皆、去来(さらい)の大合唱で、教練の完遂を祝おうじゃないか」
 去来、それは去りとて止まん塾生魂。いま道は別れようとも、再びあの桜咲く義侠塾の校庭にて相見えん。凪里の配った黄色い着物に着替えた一同は、互いに肩を組み、塾歌を斉唱する。伊珪も義侠魂ここにありとばかりに大団旗を掲げて見せる。嗚呼塾長、そして義侠塾に栄光あれ!
「わしが義侠塾塾長の雄田島である!!」
 塾長が腕組みをして目を細めた。その先には長く続く坂。これから彼らの歩む苦難の道を暗示するかの様に酷く傾いた道程だが、その先の青空へと果てしなく未来は広がっている。
 ふと誰ともなくその道程を振り返った。そこへ遠く坂道に黒子頭巾の頭が覗く。その姿はまさしく陰山黒子(eb0568)。
 (めくり)
 待っていろ、DI●! 友よ! 黒子は必ず帰るぞ。友を殺させてなるものか。
 私の身代わりとなった友よ。
 その信頼に応えるためにも、私は走らなければならぬ。

 (著作権とかいろいろ大人は大変なので割愛)

 まだ陽は沈んでおらぬ。
 私は帰ってきたぞ!
 DI●を殺してはならぬ!
『黒子はここにいるぞ!!』(←めくり)
 激流の阻まれたり追剥に身包みはがされたりして既に頭巾一丁。せくしぃばでぃを惜しげもなく晒しながら、ふら付く足取りで坂を上らんと足掻く。ちなみに一人だけ韋駄天草履じゃなくてガチで踏破してますから。
 不意に彼の身に桜吹雪が舞う。いやこれは火山灰だ。
「うむ。毅業院も貴様らの教練の完遂を祝っておるようだな!」
 と同時に完走した黒子がその場で倒れ込んだ。塾友達が彼を抱え起こす。互いに肩を組み合うと、その目には滝涙。
「俺達の義侠魂はこれからだ!」
 肩を組み合い涙して、塾生達は一斉に坂を駆け上がった。
 そう、俺たちはまだこの長い侠坂を上り始めたばかりなんだ!!
 ――轟!義侠塾!! 第一部・完。



 エンディングテーマ:
    義侠塾塾歌〜去来罵阿痔四(さらいばあぢょん)

  日本男児の生き様は 勇あり 義あり モハメドあり
      色恋金子(きんす)に背を向けて 
  進めや義侠(おとこ)の本道を
      嗚呼 我ら義侠塾 日ノ本支える礎(いし)とならん










 ふと舞台袖に黒子の姿。
 舞台へ向けて控えめに頭を下げると、さっとめくりを進める。
『長らくお付き合い戴きました【轟!義侠塾!!】もこれにて終幕と相成りまする。しかしながら我ら塾生一同、これからも義と侠の道を邁進する所存なれば』
 袖からすすすと緞帳を引いて黒子が深く頭を下げた。
 でん、どどどどでん!
『いつしか再びまみえる日を』
 どどん!
『刮目して待てぃッ!!』