冒険者。をプロデュース

■シリーズシナリオ


担当:小沢田コミアキ

対応レベル:1〜5lv

難易度:やや易

成功報酬:1 G 29 C

参加人数:10人

サポート参加人数:2人

冒険期間:03月27日〜04月03日

リプレイ公開日:2005年04月05日

●オープニング

  依頼 小鬼退治

   募集対象:駆け出し冒険者
   予想難易度:普通
   成功報酬:1G35C
   参加人数:4〜6人
   冒険期間:03月27日〜04月01日

  依頼内容

   武蔵国の外れ、江戸から徒歩で二日あまりの村に小鬼が出た。
   小鬼の数は3匹、村の社で神職を殺して住み着いている。
   家畜が襲われたり田畑が荒らされたりと被害が出ている。これを退治してほしい。
   小鬼の武装は錆びた農具で、鎧はつけていない。食費を含めて路銀は村が負担。

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 今日も多くの依頼が張り出された冒険者ギルド。小鬼退治の依頼を食い入るように見ている青年の姿がある。身を包んだ真新しい皮鎧から察するにまだ駆け出しの冒険者。それもおそらくは今回が初めての依頼なのだろう。傍目にも緊張が窺える。
 青年が依頼の説明書きを手に取った。意気込んだ様子で深く息を吸い込むと、その足で番頭の下までやってきた。
「俺を、モテモテの冒険者にしてくれぇぇェェ!」
 青年は床に頭をこすり付けて泣きついた。
「ん? 小鬼退治の依頼を受けるのではないのか?」
「そうだ。依頼は受ける。だけどさぁ‥‥」
 青年は奥多摩の更にその外れの辺鄙な田舎に住んでいた。元は薬の振り売りで生計を立てていたが、思うところあって廃業。一念発起して剣の腕を磨き、遂に冒険者となったのだ。
 肩書きはこの通り冒険者だが、これまで荒事とは無縁の人生を送ってきた彼。魔法も使えない。闘気も使えない。ついでに剣の腕もダメ。たった一つ誇れることがあるとするならば運くらいのものだ。冒険者となれたのも、実はまったくのマグレ。頼みの運もこれで使い切ってしまったという訳だ。
「俺、まだ怖くて松之屋にも行ったことねえんだよぉ」
 などと情けないことを言う。
「小鬼退治の依頼は受ける。でも俺からもギルドに依頼させてくれ」
 怪訝な顔の番頭へ青年は有り金をはたいて切り出した。
「小鬼退治に同行して、俺をカッコイイ冒険者にしてくれ。後生だ、頼むぅぅぅ!」
 さえない容姿にさえない名前。ついでに中身も冴えない彼が、はたして一人前でなおかつかっこいいモテモテ冒険者になれますや否や‥‥‥?

●今回の参加者

 ea5164 大曽根 浅葱(28歳・♀・浪人・人間・ジャパン)
 ea8634 琳 思兼(39歳・♂・僧侶・エルフ・華仙教大国)
 ea9771 白峰 虎太郎(46歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 ea9884 紅 閃花(34歳・♀・忍者・人間・ジャパン)
 eb0568 陰山 黒子(45歳・♂・僧兵・人間・ジャパン)
 eb0569 小 道具(35歳・♀・武道家・ハーフエルフ・華仙教大国)
 eb0576 サウティ・マウンド(59歳・♂・ファイター・ジャイアント・ビザンチン帝国)
 eb0591 大 道具(51歳・♂・武道家・人間・華仙教大国)
 eb0738 ショウ・メイ(17歳・♂・ジプシー・シフール・エジプト)
 eb0804 キーパット・ターイム(25歳・♀・バード・シフール・ビザンチン帝国)

●サポート参加者

郭 梅花(ea0248)/ ベル・ベル(ea0946

●リプレイ本文

 小鬼退治への出発を明日に控えたその日。早朝から郊外の河原に集まる者たちがいた。
「さて、冴えない冒険者の方を裏で操って私好みの冒険者に調教――ではなくて、訓練する依頼ですね。まあ、楽しくやりましょう。ふふふ、うふふふふ‥‥」
 怪しげな笑みを浮かべているのは紅閃花(ea9884)だ。
「‥‥今回は裏方に全て回るとのことですので、私もそのようにがんばろうかと思います」
 大曽根浅葱(ea5164)も同業の仲間に声を掛けて駆けつけている。出立の前に、例の薬売りを一人前の冒険者にするため、これから一日かけて地獄の猛特訓が行われようとしている。さて、その中に何やらやたらとテンションの高い集団が。
「冒険者をプロデュースか! 裏方組の本領発揮だな!!!」
 鎧姿のジャイアントが叫んだかと思うと、その横には黒ずくめの男の姿。男が用意していためくりを開いた。
『彼の活躍を裏から支え盛り上げるため。任侠・裏方組、推して参った』
 ででん!
『任侠裏方組所属、黒子担当――陰山黒子(eb0568)!」
「同じくタイムキーパー、キーパット・ターイム(eb0804)です」
「ボクは照明担当のショウ・メイ(eb0738)、ヨロシクッ」
「大道具は俺に任せな、大道具(eb0591)だ」
「小道具担当――小道具(eb0569)っす!」
「音響担当、サウティ・マウンド(eb0576)だ!」
 ででん! それでは皆さんご唱和を。
『野郎ども!』
 ――カチコミじゃーーーーっ!!
 でででででんっ
 太鼓の音が鳴り響き、皆があっけに取られてる中で6人が揃って拳を突き上げた。
「うふふ‥‥こういう依頼を待ってたっす‥‥!」
 小が期待にうずうずと体を震わせている。
「裏方組に入って早(ピー)年、やっと演出し甲斐のある人物に出会うことが出来たっす! これこそ裏方組の出番!」
 裏方に徹することで依頼人に目立ってもらい、モテモテの道を歩んでもらうのだ。
「野郎どもカチコミじゃー!」
 感極まって小はもう一度鬨をあげ、仲間の声が再び唱和する。
「えーっとこの人が今回の冴えない依頼者ですか」
「松本清です、よろしく頼んます先生!」
 そういった依頼人の周りをショウがくるりと回って飛ぶ。じっと見詰めると次の瞬間、清にはお構いなしにショウは大笑いをあげる。
「ホントに冴えないね外見だね。何とかして輝かせてあげないと」
「まずはファッションチェックっすね」
 今度は横から小。ぎくりと肩を竦めた清へ、値踏みするように爪先から順に視線を遣る。
「だめっす、だめっすよぉ。着こなしがなってないっす」
 いまいちパッとしない地味な見た目に止めを刺しているのが真新しいレザーアーマーだ。いかにもこの日のために頑張って新調しましたと言わんばかりに傷一つ無い。
「これじゃ服に着せられてるみたいな感じっす。その割にインナーはボロボロのものを着てるから貧相ーな感じっすね。コーディネートを考えないのは論外、それから小物を手抜きするのも×っす」
 事細かにチェックを入れられ早くも意気消沈の様子の清。
「清さん、自分がモテナイ君だということを自覚するべきっす。そう、今まで告白するも全員に振られるようなキングオブド庶民が清さんっす!」
「そ、そこまで‥‥」
「中身はどうあれ、貧相な見た目ではモテモテへの道は遠いっす。よって、そのレザーアーマーをまずアレンジするっすよ」
「よーし! んじゃその間は剣術の特訓だ」
 鎧を脱がされた清を、今度はサウティが捕まえた。手渡された木刀を言われるままに清が構えると、それを見下ろすようにサウティも構えを取る。まずはやはり形からということで、格好いい構えの仕方をレクチャーだ。
「ん、そんな感じだ! 大体でいいんだ、大体で! そして戦いは臨機応変!!」
 と、いきなり今度は清の肩を打ち据えた。
「隙ありだ! その場その場の状況にあわせて戦い方や武器を変えなきゃ生き残れねぇぞ?」
 とまあ臨機応変にそのまま係り稽古に突入。ちなみにサウティ、江戸の武闘大会では上位の常連で、優勝経験を持つほどの使い手だ。
「その俺が言うんだから間違いはねぇぜ」
「いや、そんな問題じゃなくて‥‥」
「問答無用!」
 何やらボコボコにされる清。その様を琳思兼(ea8634)はのんびりとお茶をすすりながら眺めている。
「フム‥‥なんとも無謀な若者よの〜‥‥いや小僧かのう?」
 何せ素人同然のとこを一日でいっぱしの冒険者になろうというのだ。ほとんどオーバーワークの特訓だが、このくらいでもしないと如何にもならないのもまた事実。
「まずは自分の力でがんばるのじゃな。わしが力を貸せるのはその後からという訳じゃ。どれ」
 ぼろぼろになって河原に転がった清へ、琳が歩み寄った。手をかざすと、そこからみるみる傷が塞がって行く。
「何回でも、倒されて来るのじゃ。その度にわしが治してやろう、お主の心が折れぬ限りの」
 この状況では無間地獄な気もしなくはないが、ここで諦めるようでは確かに話にならない。立ち上がった清を見て、琳は満足げな表情を浮かべる。
「取り敢えず、わたくしからは女性の扱いについてです」
 浅葱のその言葉にちょっと真剣になった清。
「もし、襲われている女性が目の前にいたらどうしますか?」
「ええと‥‥助けてお近づきになる‥?」
 正しいんだかどうなんだか微妙な答えだが、それにも浅葱が懇切丁寧にアドバイスしていく。
「頑張ってください。これからの冒険、こういった場面に出くわしてその女性を助け、恋に落ちる‥‥という事もないとは言えませんでしょうしね。それに女性の扱いが上手くいけば、子供にも応用できますしね」
「そうっす。正義のヒーローたるもの、襲われる女性のピンチには必ず駆けつけなければならないっす。戦いの中から生まれる恋だってあるっすよ」
 言いながら小がレザーアーマーを清へ着せる。色落としをしてワイルドに少し渋めの風合いを出している。鎧装束の清を影からショウが魔法で照らし、輝きも2割り増し。鎧の色に合わせたマントも羽織らせるとなかなか様になっている。
「後はソードを両手で持てば、かなりそれっぽい感じになれるっすよ」
 手渡されたそれを構えると外面だけはいっぱしの冒険者風だ。満足げに清が刀を鞘に収めた所で。
 ででん!
『冒険者は身体が資本! 装備を整えた所で今度は腕立て伏せ、腹筋各50回ずつを5回!!』
「え、ちょっと、もう少し休ませ‥‥」
 でん! でん! でん!
 太鼓の音に合わせて、そのまま筋トレ開始。その横に紅がしゃがみ込んで声を掛ける。
「時間もありませんし、やりながら聞いてくださいね」
 ぜえぜえ言ってる清へ、心構えを説く紅。
「緊張や混乱は最大の敵なので、そういう状況に陥ったら落ち着きが(〜中略〜)という場合も想定に入れた上で、いざとなれば周りの人たちを利用して(〜中略〜)の場合はであるからして
 何かいらんことも吹き込んでいるような気もするが、この状況できちんと耳に入ってるかどうかは五分五分のようだ。だが紅は構わず講釈を続ける。
「それから常に周りは良く見ておくように。このくらいでしょうか」
 苦しげに目を白黒させながらも、腕立はやめずに清は視線を辺りへ向かわせる。もっともダウン寸前で視線がさ迷ってるだけな気もするが。
「余所見してる場合じゃありませんよ!」
 そんな清を今度はキーパットが一喝した。
「いや、だって周囲を常に‥‥」
「あまったれんなぁぁぁぁぁ!!」
 ビタァァァァァン!!
 シフールのビンタなので大したことなどないのだが、それでも倒れかねない程にへろへろの様子だ。
「次は美しいジャパン語講座です」
 この日のために用意した分厚いテキストを取り出した。
「何時いかなる時も言葉は発します、そこでもっとも美しい、好印象を持たれる会話術を」
 好感を持たれるには第一印象が重要だ。相手への印象が固まるのは最初の三分が勝負。聞き手を飽きさせず、なおかつ自分へ興味を持たせる小技の数々が叩き込まれる。まだ息を切らしたままの清の耳に入ってるかどうかはやや疑問だ。
「カッコよくモテモテになりたいんだったら、多少荒っぽい口調で話すのが良いと思うぜ」
 その横から大も口を出した。
「語尾は『〜じゃん、だぜ、じゃねーの、〜じゃんか』、一人称は『俺』二人称は『あんた』、基本的に敬語は使わず名前も呼び捨てだ。これをしっかり使えるようになっておくんだなぁ?」
 ステレオ音声で
その間もしっかりショウが清を照らしている。
「じゃん・だぜ・じゃねーの・じゃんか、ほら、言ってみな」
「きめ台詞はこんな感じでどうかな‥‥オレは松本だ。この刀は飾りじゃないからな、気合入れていくぞ!!‥‥なあんて」
「‥‥その時に気持ちを素直に言えばいいと思いますが‥‥」
 そこへ浅葱も口を挟み、キーパットや大たちも一緒にまくし立てると清はぐるぐると目を回している。
「じゃん・だぜ、これが基本だ。これが変わるだけで印象が決まるからなぁ」
「もう一つ考えた――オイ子鬼共、このオレが来たからにはお前達の悪行もこれまでだぜ、覚悟しろ!!ってのもいいよね」
「いいですか、三分ですよ、三分が勝負です」
「いいか、じゃん・だぜ・じゃねーの・じゃんか――『このオレが来たからにはお前達の悪行もこれまでだぜ』。さ、言ってみな」
「ええと、じゃんじゃぜじゃねーのか‥‥俺が来たからもうお仕舞いじゃぜ?」
 ででん!
『なんか色々混ざった気もしなくもないでやすが次のメニュー!』
 めくりを進めると今度は。
『総ての武道は足腰が基本! 走り込み3里!!』
「む、無理ですよぉぉぉぉ!」
 流石に無謀すぎて泣き言を漏らしたが清。だがその額を琳が杖で小突いた。
「これ。かっこいい冒険者になりたいと言ったのは何処のどちらさんじゃな?」
「俺達に頼るのは別に構わねぇ。だが、漢になれるかどうかはお前次第だぜ・・・?」
 泣きそうな顔で眉根を寄せた清だが、次の瞬間には殆どヤケクソ気味に立ち上がった。サウテイと陰山について走り込みへ出かけたその背を目に、琳は目じりを下げる。
「戦って倒されて、それでもなお立ち上がってくる。そんな不屈の精神を持った者は端から見れば、雄々しく美しいのじゃ。‥‥ふむ、いわゆる“漢”という者じゃな」
 精神の限界まで肉体を追い込んで、初めて道は極められるものだ。極限状態で3里もの走り込みを終えた清は何か吹っ切れた様子で帰ってきた。
「あは、あははは‥‥」
 吹っ切れたというか何と言うか。
「では次の特訓です。色仕掛けの敵が出てきたらとか言う場面も想定しないといけませんね。こればかりは知識だけでは心許ないですし‥‥わたくしが何とかします‥」
「わ、わ、わ、‥‥」
「‥そのような演技も、実は昔やったことありますので」
 頬に朱を差しながら浅葱が腕を絡ませると、顔を真っ赤にした清は今にも倒れそうだ。だがそんな彼にはやはり構わずに特訓は続けられた。更にはショウが振り付け、後は料理の作り方まで仕込まれたりとぶっ続けでレクチャーが叩き込まれ。そうして遂に日が暮れた。ありとあらゆる訓練をやり遂げた清は
「よし! じゃあ次は旅の実地訓練だ」
 ぎょっとした表情の清には構わず、サウティが引き摺っていく。
「野宿の仕方と獣道の歩き方だ! 森まで走るぞ!」
 サウティに引き摺られながら拉致された清がぼろぼろになって帰ってきたのは、深夜を回った頃であった。こうして地獄の特訓は終わった。旅立ちを前に、冒険者たちは河原で遅い夕食を取っている。
「そういえば清さんの姿が見えませんが」
 ふと紅が辺りを見回した。
「もしかして、しごき過ぎて倒れてしまったのでは‥‥」
 キーパットも心配そうな表情を浮かべるが。
「それなら大丈夫ですよ」
 と浅葱。にっこりと笑って見せる。
「もうすっかり元気になって、お花畑でベルさんを追いかけてますわ」
 どうもやりすぎたらしい。
「最初からあれこれ整い過ぎるのもなんじゃ‥‥寧ろ荒削りの原石位の方が丁度よいのじゃ。早くからこじんまりに整い過ぎるとのちのち、大物に成長するのは難しいからのう」
「とは言っても冴えない人だからそうそう上手くは行かなかったよね」
 ショウは悪びれた様子もなく爆笑した。まあ結果どうあれ、この特訓を最後まで挫けずにやり遂げたということは認めてあげてもよさそうだ。
「最初から戦いを上手く立ち回れるとは、毛頭も思ってはおりゃせんわい。寧ろ傷付き、倒されて来るのを願っておるのじゃ」



 そして当日。
「オレは松本清だぜ。この刀は飾りじゃないからな、気合入れていくぞっっっ!!」
 口の端には楊枝を銜え、他の冒険者たちへ清は声を張り上げる。その目は何かイッっちゃってて、アブナイ香りを漂わせている。
「この人‥‥なんて迫力だ‥どんな恐ろしい修羅場を潜ってきたというんだ」
「は、はい! こちらこそ宜しくお願いします」
 その迫力で清はすっかり他の冒険者からイニシアティブを取ったようだ。清は彼らを率いると、昼間のうちに正々堂々と小鬼のいる社へ向かった。集まった小鬼へを前に清が名乗りを挙げる。
「オイ小鬼共!! この松本清が来たからにはお前達の悪行もこれまでだ、覚悟しろ!!」
 でん!
 矢面へ立った清が鬼達へビシッと指差した。見ようによってはちょっとカッコイイかも知れない。が、小鬼が口上を聞いてくれるはずもなく、鍬で横っ腹を殴られる清。だが。
「フッ‥‥侠たるもの慌てず騒がずじゃん?」
 ニヒルな笑いを浮かべる。かなり痩せ我慢だが、結果としてこれが味方の士気に火をつけた。もとより数ではこちらが上、あっという間に冒険者達は鬼を追い詰めた。だが。
「ぐはあっ」
 最後の一匹へ止めを刺そうとした仲間が、反撃を食らって転倒した。ちょっと露骨に自分からぶつかって倒れたように見えなくもないが、清が彼を抱え起こす。
「あ、後は頼んだぜ‥‥」
「さ、サウティ―――ッ!」
 絶叫する清。でででででん! 鼓の音が辺りを揺るがし。そして。
「食らえ!」
 既に瀕死だった小鬼へ清の一撃が決まり、こうして小鬼は無事に退治された。
「ありがとうごぜえますだ。しかも田畑などの補修までやってもらって」
「例には及ばないじゃん? 当然のことをしたまでだぜ」
 村長へ報告を終えると、最後にか清は仲間達を振り返った。
「今回の依頼、皆の力で無事に解決できたじゃん? 依頼主も喜んでいたし、次に逢った時も頼むぜ」
「は、はい!」
 そう言って仲間達へ爽やかに笑いかけた清の背には後光が差している。成果はまずまず。こうして新米冒険者・松本清は、その冒険の第一歩を歩みだしたのだった(続く)。