●リプレイ本文
色町への入り口。
そこで待ち合わせとなっており、竜の字‥‥つまり、竜祐とは既に合流。
いざ色町へ!という所なのだが、ここでとんだ邪魔が入っている。
「むむ〜、のび‥‥いや竜殿、このままいいい色町ちちちちちなどという桃色破廉恥なところに入り浸るとは!」
「いや、だって俺それが趣味だし」
「ミーが性根を叩きなおして明るい家族計画を実現するでござるよ〜」
「‥‥まぁ、待て。お前の言っている事の方が破廉恥な気がするのは俺だけか?」
暮空銅鑼衛門(ea1467)の暴走に対し、マナウス・ドラッケン(ea0021)が冷静なツッコミを入れる。
かくして、このような面子で色町がどのように染まるのか‥‥記録係はとても楽しみにしております!
●エルフの耳は素敵耳?
「色町‥‥ね。行って悪いとは言わんが、ある程度身を守る技術も必要だろうさ。今回は俺が護衛代わりやるけどな。やりたくないけど」
マナウスがぶつくさとぼやく中も、竜祐はどんどん色町の中を突入していく。
「大体、何で俺が野郎の護衛‥‥いや、でもこれも仕事なわけで‥‥」
「あらっ!あらあらあらっ!そこのお兄さんっ!」
いきなり呼び止められる。自分のことだと思うまい。
マナウスは竜祐が呼ばれてると思ったのか、呼んでやろうと思って辺りを見る。
‥‥‥‥いない。
何処にもいない。誰もいない。みんないない。
「俺かッ!?」
「アンタ以外に誰がおるんや♪お兄さん、素敵な耳もっとるなぁ♪」
「みっ、耳ィ!?いや、これはエルフ耳といってエルフなら誰でも持ってるわけで‥‥!」
「エルフ耳って素敵やないの♪なぁ、お兄さん、うちと遊んでいきはらへん?」
速攻だ!速攻誘われてるぞっ!どうするマナウスっ!
「うわぁ♪ええ耳やぁ‥‥もっと触らせてぇ?」
「わっ‥‥!ち、ちょっと、まっ‥‥!くすぐった‥‥」
「かわええ声しはるなぁ♪」
もうすぐ大きな悲劇が飛来するという事も知らずに、尚もマナウスは色町の女性に捕まっている。
しかも顔はとっても真っ赤。道端でイチャつくな、このエルフめっ。
そんな時、グイッと色町女を引き剥がす一人の女性の出現だっ!どうやら助けが来たらしい?
「はいはい、貴女。ちゃんと楼で待っててって行ったでしょう?」
「せやかてセンセ、この耳ええ耳やねんもん‥‥」
「はいはい、また今度触らせてもらっときなさい」
色町女をシッシッと追い払う一人の女性。白い上着を羽織っている。見たところ医者。女医だ。
「白衣の女医に助けられるとはまた幸運で‥‥」
「貴方、冒険者ね?」
「え?」
女医の手に大きなハリセンが持たれていて。マナウスの直感が危険を察知した。
「まぁ、なんだ。お互い不幸な事故だったということで此処は一つ…だが一つ言うべき事があるとしたら‥‥もう少し成長しとけ」
「‥‥‥」
胸を見たマナウスの素直な感想だと女医も直感で感じ取る。やはりこれは飛ばすしかないのかっ!
「まて、余計な事言ったのは謝るがとりあえず待て何処から取り出したそのハンマーってか何でハンマーをがっしりと持つってか何でそんな大きく振りかぶるかなというか‥‥!!」
「竜祐の所にとっとといってきなさいっ!」
いつの間にかハリセンからハンマーにクラスチェンジした武器でマナウスに葬らんを見舞う。
キランッと星になったマナウスはふと思う。
「彼女‥‥竜祐と知り合いか‥‥?」
飛びながら考えることではないと思う。
●色町って怖いとこ。
「‥‥ひょっとして‥一人で来たのは‥拙かったかなぁ‥?」
一人色町に佇む女。女性であることを忘れ、怒りに身を任せて色町に突入していた。
空漸司影華(ea4183)。狙うべきはナンパ男。
「うぅ‥此処の雰囲気‥なんか嫌な感じがするなぁ‥‥」
そんな時、肩に誰かの手がトンと乗る。
条件反射で思いっきり拳が飛ぶ!
グシャリと崩れ落ちる男の姿。やっぱりここは怖いところだったのかっ!
「うあぁぁっ!もういや、ここーーーー!早くあいつ等来ればいいのにぃぃぃ!」
彼女の活躍はもうちょっと後になりそうだ。
●ここだけちょっとまともな空気?
「ジャパンにはエルフっていないのかな‥‥」
皆が皆お仕置きモードの中。一人黄昏モードの青年。
どうやら同族をお探しのご様子。
ファラ・ルシェイメア(ea4112)、学生である。
「人間には興味ないし‥‥遊女じゃなくてもいるような気もするけど‥‥」
「あ、あの‥‥あ、貴方、エルフ‥‥ですよね?」
一人の少女が声をかける。まるでこの場にはそぐわない、そんな年齢の少女。
まぁ、エルフにとってはもういい歳なのだろうけど。
「珍しい、ですね‥‥同族の方がここにいらっしゃる、なんて」
「君も、エルフなのかい?」
「は、はい。出身は、フランクの方、ですけど‥‥」
「へぇ‥‥でもどうしてこんな遠くにいるんだい?ジャパンじゃエルフも大変だと思うんだけど‥‥」
「その‥‥ジャパンの隠れ里の方に、引っ越したんです。フランクの‥‥隠れ里は、あまり‥‥」
そんなまともな話を繰り広げるファラと少女。
何だ、ここだけ別世界。なんかこのままじゃこの依頼の真髄が消えてしまうっ!
「ジャパンにエルフは‥‥本当にいないのかな?」
「いますよ。人里の近くに、ないだけで‥‥ちゃんと‥‥」
「そういえば、名前まだ言ってなかったね。僕はファラ。君は?」
「えっと、私は‥‥エレクトラ‥‥きゃっ!?」
少女が名前を告げた瞬間、遥か彼方からファラに向かって落下してくる飛来物。
マナウスだ。先程飛ばされたマナウスだ。しかも同じエルフだ。エルフ仲間集まった!
何よりも喜ばしいのはこの依頼の真髄を守ってくれた事。‥‥守らせたといった方がいいの?
少女、エレクトラはそれに驚いて急いで逃げてしまう。
その場に取り残されたのは、マナウスに潰されて気絶しているファラと、その少女を見送るマナウスだけだった。
●ろりきゅあ‥‥?
そんな騒動を一人眺める浪人が一人。
「‥‥ふん。このような場所、俺の肌には合わぬ‥‥」
いや、そんな事言いながらも物色するような目が‥‥ネタに満ち溢れてますよ、貴方?
そんな彼に一人の遊女が声をかける。
「お兄さん、アタシと遊んでいきはりまへん?」
振り返る夜十字信人(ea3094)。
そこに存在するのは見たまんま10代だろ、こいつ?ってぐらいの少女。
しかも色白で結構美人。将来有望。
暫し見惚れるも無視。少女は無言で袖を引っ張ってくる。
「‥‥‥‥」
「‥‥‥‥」
歩き出す信人。そして袖を掴んだまま一緒に歩く少女。どうやら返答待ちのご様子。
これが返答だというのに諦めない。
「‥‥‥‥」
「‥‥‥‥」
足を速める信人。少女も足を速める。しかも袖掴んでるのでちょっと転びそうになりながらも。
罪悪感が少し生まれるも、これも自分の為と心を鬼に。‥‥してるの?
「‥‥‥‥」
「‥‥‥‥」
遂には走りだす信人。少女もつられて走り出す。どうやらこの少女、走る事には自信があるようだ。
これぞ本物の女難?女難なのか!?
「‥‥‥‥!」
「‥‥‥‥!」
最後にゃ全力疾走。こりゃ傍から見れば鬼ごっこ。
そして遠くから悲鳴が聞こえる。
「俺は幼女趣味やないぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」
悲痛な叫びは遊郭に木霊するだけ‥‥合掌。
●飛ばし、飛ばされ色町楽し?
「みなさん、どうもこんにちは!さあ始まりました、『ぶらり色町の旅』。果たしてどんな楽しい事が竜祐さん達を待っているんでしょうかっ」
アキラ・ミカガミ(ea3200)のナレーションが始まる本隊(?)組。
「どこからでもかかってくるでござ〜る!」
そして正義感たっぷりで頑張ろうとしている男。銅鑼衛門は完全武装していらっしゃる。
よく止められなかったな、君。いや、竜祐が口利いてくれたからだけども。
そしてそんな彼等の前に一つの恐怖がたどり着く!
「はぁ‥‥はぁ‥‥や、やっと来たわね‥‥!こ、怖かったんだから‥色々と‥!」
ハンター影華の登場だ!やばい、やばいぞ男組!!
「お?綺麗な姉ちゃんだなー。でもちぃっとばかし危ないっかねぇ?」
けらけら笑う竜祐。その後ろで色町マップなるものを作っていた九十九嵐童(ea3220)は何か恐怖を感じていた。
「こ‥‥こんな所で遊んでないで‥‥もっと真面目に仕事を探すとか‥‥!」
「俺のお仕事がこれだもん、おゼゼ入ったらだけどもー」
煙管を咥えてケタケタと笑う竜祐。ふるふると震える影華。
遂に目覚めるか、奈落の使者!
「‥‥わ、分かってくれない‥ならば『纏めて』その性格‥叩き直すっ!!」
「まっ、纏めて!?」
「ちょ、ちょっと!僕は関係ないじゃないですか!」
「問 答 無 用!」
ダメだ、もう彼女の耳には何も届かない。アキラが咄嗟に逃げに乗じる。
ちびっこくなれば何とでも誤魔化せる!‥‥なんだかずるっこーいとか思う記録係です。
「‥‥地獄ってこんな身近にあったのか‥‥」
「と、とりあえずどうするでござるか!?」
「仕方ない。影華のことだ、俺達をまず標的にするだろう」
嵐童がそう話していると、本気モードで影華が此方に突貫してくる。
竜祐は最後のシメとして残しておくつもりだ!どうする、嵐童!?
「こうなったら最終手段だ、行け!」
「派羅・婆離亜!!」
‥‥なんちゅうねぇみんぐ?とりあえず、パラを守る為のバリアらしい。
しかし、そのバリアである銅鑼衛門にも危機が!
「往生なさいっ!」
メキィッ!
‥‥顔面に物凄い蹴りがクリティカルヒット。
そのまま銅鑼衛門は地面に崩れる!
「‥‥秘滅道愚『派羅・婆離亜(パラ・バリア)』が破られるとは‥‥。暮空‥‥お前の死は無駄にしない!!」
そんな感じで影華と嵐童の鬼ごっこが始まるのであった。
それを回避していたアキラがふいにぼやく。
「‥‥おや?そういえばひなたさんは?」
忘れがちになっていたが、美芳野ひなた(ea1856)は今も尚迷子状態。
そんな中でも聞き込みは忘れない!どうやら女の魅力を捜しているらしい。
「ひなたにも女の人の魅力あるといいなぁ〜‥‥」
「ふっ、大丈夫。美芳野には美芳野の魅力が‥‥」
「いい加減になさいっ!」
どうやら乱闘の近くにいたらしい、ひなた。
嵐童がひなたにそう色恋囁くも影華によって天誅を喰らう。
しかし、ここで諦めては色町マップなんぞ!
立ち上がったその時、嵐童めがけて巨大ハリセンが唸りをあげて衝突する。
これぞ場外葬らん‥‥。
やっと落ち着いた影華がハリセンの持ち主を見ると、先程マナウスを葬らんした女医の姿があった。
片手にはマナウスとファラが猫掴みされている。
「ちょっと、煩いわよ。仕事に集中できないじゃない。暴れるなら他所でやりなさい」
「げ‥‥神無月‥‥お、お前今日仕事だっけ‥‥!?」
「あら、竜祐じゃない。アンタ、またここで女買ってたの?どーでもいいけど商売の邪魔するようなの連れてこないでよ」
マナウスとファラをドサリと地面において、神無月は影華の耳元でこう告げる。
「今がチャンスよ。とっとと連れてかえんなさい」
その言葉がカギとなり、竜祐とその他諸々はひなたと影華の手によって撤収させられ、小一時間の説教を受けたのである。
●番外編
結局追いかけっこしていた信人は最後には少女の涙に負けて、仕方なく少女の愚痴を聞かされていた。
しかも、適当に相槌を打っている姿はもう、涙さえ‥‥。
「うち、身寄りあらへんさかい。結局遊女としておるしかあらへんのやわ‥‥」
「そうだな‥‥。で、俺はそろそろ行きたいんだが‥‥」
「うちの事買ってくれはったら♪‥‥冗談や♪せめてここの支払い、よろしゅうな♪」
「‥‥何か俺、振り回されてないか‥‥?」
ちゃん、ちゃん♪