●リプレイ本文
「じゃあ、ヨロシクお願いするわね?」
診療所にて、依頼を引き受けるという事を知らせにいった冒険者達。
殺女はどうやら忙しいらしく、手も放せない。なので完全にそっちのけ状態。
彼女も一応困っているようだった。
一同は騒ぎの種を探しに京の町を歩き出す。
其処に騒動がいっぱいなのを知らずに‥‥。
●女は野菜。なら男は肉か?
「本当は、こんな依頼も受けたくはなかったでござるよ」
色町へと歩き出していた山野田吾作(ea2019)は深い溜息をつく。
彼の任務は「竜祐を連れ戻す」事。
とりあえずまずは現地に赴こうというのだ。
「あらん、凛々しいお兄さん♪うちを抱いていきはりません〜?」
「ぬ、ぬうっ!野菜!女性は皆野菜であるっ!」
「あらあら、可愛らしいなぁ‥‥ほな、お野菜とりはりません?必要やろぉ〜?」
完全に揚げ足をとられた田吾作。これは絶体絶命か!?
「せ、拙者は竜祐という男を連れ戻さねばならんでござる!よってこんな所で戯れている場合ではないのでござる!」
「あら、貴方あのおにーさん知り合いですのん?」
「知り合いというか、連れ戻してくれと頼まれたでござる!」
懸命に鼻血を抑える為に頑張る田吾作。
遊廓の女は、なるほどと小さく頷いて田吾作の手を引く。
「こっちですわ、彼がおらはる遊郭は?おにーさん、紹介して貰われへん?うちの好みやさかい〜‥‥おにーさんでもええんやけど♪」
「なっ、何を言うでござるかっ!恥じらいを少しは持つでござる〜〜!」
悲鳴だけが木霊した気がしたり。
数分後。やっとこ辿りつけた田吾作は、竜祐と面会することが可能となった。
其処には煙管をふかしてぐったりとしている竜祐の姿。
モロ「めいいっぱい遊んだ後」っていう姿である。
「竜祐殿、起きるでござる!とっとと店から出るでござるよ!」
「あー‥‥でも手伝いがなぁ?」
「拙者も手伝う故、早く準備を‥‥!」
「あらん、凛々しいおにーさんが守ってくれはるんやて♪」
「嬉しいわぁ♪うち守って〜♪」
「ぎゃあぁぁぁぁっ!?」
何時の間にか群がる女達に手篭めにされていく田吾作。
竜祐はちょっと恨めしそうに見ていたりだとか‥‥。
●色町は、純粋な人をも飲み込んで‥‥
「やれやれ、どうやら田吾作さんは飲み込まれてしまったようですね」
遠くからそんな光景を見ていた緋桜水月(eb2961)が小さく溜息をつく。
彼もまた竜祐を連れ戻す為に店を訪れた一人。
外見は女性にも見える彼は、色町というものを知らない為、堂々と店へ入る。
「あらいらっしゃい。可愛い女の子がここに何の御用かしら?」
「えっと‥‥竜祐さんに会いたいのですが」
「あら、もしかして中にいる殿方?痴話喧嘩とかはやですよ?」
話の早い女性は、水月を中へと招き入れる。
女性であるが故?‥‥男性なのに。
「竜祐さん、いますか?」
「お?お前さんもオレを連れ戻そうって奴?」
「えぇ、一応。お手伝いは用心棒ぐらいしか出来ませんが、働いてもらえますよね?」
笑顔で刀を抜こうとする。田吾作は既にアウト・オブ・眼中らしい。
しかし、其処ですかさず竜祐の反撃は訪れる!
「お前さん、女?」
「いえ、男ですけど?」
「信じられねぇわなぁ‥‥おーい、嬢さん方!ちょっと確かめて貰えねぇ?」
「あら、面白そう♪私やる〜!」
「私も〜!」
遂には水月までも女の餌食に。冒険者すら食わせるとは‥‥。
「ち、ちょっと‥‥あの、やめっ‥‥!」
無表情を保つものの、水月も飲まれた‥‥という事にしておこう(合掌)
●怒りの鉄槌は誰にでも。
「全く!あの二人は役に立たないわね、これで!」
一人怒っているのは毎度お馴染み鉄槌役の空漸司影華(ea4183)
田吾作、水月と戦闘不能(?)になったのを見て、ご立腹の様子。
とめに入ってもいいんだろうけど、それじゃあ店の仕事を増やすだけ。
話のわかる女将さんに事情を話して、用心棒をする為に店番も兼ねて座っていた。
「う〜ん‥‥やっぱり此処の空気には慣れない‥‥むしろ慣れる方が拙いんだけど」
「まぁ、そう言わんといておくれやす。うち等かてこれでおまんま食べてるわけやから」
色々な事情があるんだなぁ‥‥と心の中で呟く影華。
そんな時、一人の客が店に入ってきた。
「あ、いらっしゃいま――」
「お?新しい姉ちゃん入ってるやんけ! 女将はん、この子がええわ!」
「兄さん、その子はちが――‥‥」
「わ、私は此処の店の人じゃないからっ!! こんな所に居ないで仕事しろっ!」
スパコーンと男をどつく影華。米神を押さえる女将。
「‥‥まずは接客から教えなあきまへんな」
「‥‥ご、ごめんなさい‥‥」
どうやら、彼女もアウトのようでした。
●一人の奴隷と一人の大ボケ
「むむむむ〜〜、竜祐殿はいまや京の都を救った英雄でござる!古人いわく『英雄色を好む』竜祐殿の色好みこそ英雄の証、真の漢のたしなみでござる〜〜」
「‥‥殺女様の依頼‥‥無事に成し遂げなければどんなお仕置きがまってる事やら‥‥」
一人は何か妄想ふんだんに混ぜ込まれた暮空銅鑼衛門(ea1467)。彼は竜祐捜索班のはずなのだが、呼び込みをしている為こんな所にまでいたりする。
いや、実際には妄想分が入り混じっている為、遠くでもやれるだろうって事らしいが。
そしてもう一人、がくぶると震えて焦りを見せているのは九十九嵐童(ea3220)
完全に殺女の下僕と化している彼は、失敗した時のお仕置きの事を考えると、顔面蒼白である。
「‥‥こんな事もあろうかと色町詳細図【京都編】を持ってきたはいいが‥‥まだ未完だし微妙に使えないな、コレ‥‥」
「だったら今ここで完成させるでござるよ!ふふふ、それならば呼び込みも行えて一石二鳥でござる〜!」
「ほ、ホントに大丈夫なんだろうか‥‥」
一瞬嵐童の脳裏に殺女の笑顔が過り、恐怖に震える。
が、しかし。銅鑼衛門に引きずられ、色町探索へと向かうのであった。
「しかし色町というのは広いものでござるなぁ」
「うむ、この色町マップも結構出来上がってきたはいいが、目印がないと戸惑うな」
何を真剣にそんな話をしているのやら。
ちょっと呆れる記録係がここにいたりするわけです。
そんな時、女性の声が聞こえた。そして、その単語は恐怖の単語。
「あら、殺女センセ♪診察ですか?」
「えぇ、そうよ。診療所も忙しいけど、これだけはサボれないから。‥‥あら?」
ターゲットロックオン。
色町マップ片手だから言い訳不可能。
笑顔で近づいてくる殺女。まずどつき倒したのは銅鑼衛門。
「アナタ、竜祐は一体どうしたの?呼び込みとは聞いたけど、ここじゃないでしょう!?」
「竜祐殿は英雄で‥‥」
「何をワケの解らない事いってるのかしら?‥‥で?嵐童?」
「ギクリ‥‥い、いや!このマップは違うんですよ、殺女様!?」
「そんなに色町を知りたいのならあたしが教えてあげるわ、いらっしゃい?」
妖艶な笑みを浮かべる殺女。
恐怖に怯える嵐童。
‥‥数時間後、色町の女の話では。
嵐童は顔真っ赤にしてとある遊郭から殺女と一緒に出てきたという話であったとか。
●勘違いって恐ろしい。
カール・リヒテン(eb2863)は隠密行動のような行動をとりながら、京の町をふよふよと飛んでいた。
「レイチェルにだけは見つからないように‥‥!とりあえず、エレクトラを‥‥あ、すいません、金髪の娘さん知らないか?」
「あら、エレクトラちゃんのこと?確か、あそこの遊郭で何かお手伝いしていたけれど、何かあったの?」
「は?お手伝い‥‥?」
ちょっと嫌な予感が過ぎった。
まさか、色々ヘマして体売らされてるんじゃあ?とか何とか。
とりあえず急いでいかなければ!と飛び出すのはいいものの、その遊郭の前で見つけてはいけないものを見つけてしまう。
「あら?愛しのカール様〜〜〜!」
「うげぇっ!?見つかった!?」
そう、其処にいたのはレイチェル・フロウワンス(eb2865)
どうやら酔って一緒のベッドで寝ていただけで、操を奪われたとか思っているらしく‥‥。
いや、既成事実って結構大事デスヨ?堪忍したらどないです?
‥‥記録係が言えるわけはないんだけど。
「レイチェル、落ち着け!今はエレクトラを探すことが先決で‥‥!」
「いーえっ!今度こそ結婚を認めて貰いますわ!!」
「か、勘弁してくれよっ!?」
本人曰く、悪い気はしないという事なのだが、条件反射でやっぱり逃げてしまうんだろう。
結局彼等の鬼ごっこは夕刻まで続き、捕まって頬擦りされるという事で決着がついてしまったのだとか‥‥。
私的に言えば、私は女性を応援します。
●最後に残るは天然わぁるど。
「いいか、落ち着け俺‥‥落ち着くときには素数を数えるんだ。2 3 5 7 11 13 17 19 23 29‥‥こんな状況で落ち着けるかぁっ!」
後ろでシフール二匹の追いかけっこが始まっていた最中、得た情報にあったエレクトラがいるという遊郭の前で叫んでいた。
エルフ耳の所為で弄繰り回された彼、マナウス・ドラッケン(ea0021)である。
エレクトラを探し出し、殺女に連れて行くのが彼の役目。
何があっても引っ張られない!という決意を決めて、いざ中へ!
「は、はうぅぅぅっ!ご、ごめんなさあぁぁいっ!」
入った途端少女の声が聞こえた。
もしかしたら?と思って中へ進むと、其処には金髪のエルフ娘と気絶して倒れている大男の姿。
一体どうしたものか?とマナウスも考え込んでしまう。
「全く!男にロクに体を触らせない女郎が何処にいるんよ!?」
「でっ、ですからぁ〜〜!私は違うんですぅ〜〜!」
どうやら勘違いで働かされているようだ。
マナウスはやれやれと溜息をついて、女将に事情を説明する。
「あら、アンタ殺女センセとこの助手さんだったの?だったら早く行ってくれればよかったのに。体を触ろうとする男を殴るもんだからさぁ?」
「‥‥豪腕?」
「そ、そんなことないですよぉっ!」
必死に否定するエレクトラ。
とにもかくにも、彼女を連れて帰ればミッションは達成だ!
「でも、ここから診療所までってどう行くんだ?」
「わ、私も解らないです‥‥こればっかりは」
「‥‥どうやってここまで来たんだ、君?」
「‥‥忘れちゃいました」
天然エルフがここに二人揃いました。揃っちゃいました!
仕方ないので頑張って帰ろうとする二人。
だが、天然×2な為、迷いに迷った挙句、夜も更けたりして。
結局診療所に戻ったのは朝になってしまっていた。
「と、言うわけだ。ちゃんとエレクトラ嬢を連れて帰って――‥‥」
「で、朝帰りなわけ?」
マナウスの目の前に仁王立ちする殺女の姿。
マナウスの額からは冷や汗が流れて‥‥。
「落ち着け先生、俺もこの状況だとちょぉーっと弁解は難しいかなーと思わないまでも無いが、人間理性って大事だよな?」
「エレクトラ、どうなの?」
「マナウスさんったらとっても優しくしてくれたのですよ、先生♪」
「そうそう、エレクトラ、頼むから君の方から誤解を解くような説得を‥‥って何寝ぼけて俺に頬擦りしてマスカっ!?更にはちょい誤解混じりの発言は待った!!」
顔を少し赤らめながら、マナウスに頬擦りするエレクトラ。どうやら懐いてしまったようで。
まぁ、その姿を見れば完全に「寝ました」って言ってるようなものですよね。
「そう。エレクトラを傷物にしたわけね?いい度胸じゃない?」
「殺女様だってオレを傷物に‥‥いや、何でもないです‥‥」
真っ赤になる嵐童。そしてマナウスをがっしりと捕まえる殺女。
必死に抵抗するも、エルフの力じゃ敵わない。
影華、田吾作、水月‥‥完全に天誅を加えるつもりで、それぞれ得物を手にとって‥‥
「そーれっ!」
影華が投げる!
「とーす‥‥」
田吾作が投げられたマナウスを拾って更に水月の方へ。
「あたーっく‥‥!お願いします、殺女さん」
水月がマナウスをアタックして、殺女の方へ。
殺女は既にやる気満々で巨大ハリセンを構えて振りかぶる!
「エレクトラの事、責任とりなさい‥‥ねッ!」
「ちょ‥‥まて皆、俺を掴むな投げるな振りかぶって思いっきり撃つなぁー!」
星になったマナウス。
結局エレクトラ傷物の責任は「取らせる」という形に終わり
嵐童の責任も何故か殺女がとるとか取らないとかそんな話題になってしまったという。
その語の話、竜祐は結局その遊郭に住みつきで働いているそうな‥‥。