生ける屍の村 死臭の章
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■シリーズシナリオ
担当:塩田多弾砲
対応レベル:11〜lv
難易度:やや難
成功報酬:8 G 76 C
参加人数:8人
サポート参加人数:-人
冒険期間:03月05日〜03月10日
リプレイ公開日:2008年03月14日
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●オープニング
それは、惨劇の後に生まれた悲劇。
殺戮の宴が終わった後に、新たに生まれたおぞましき宴。
人が命を終えた後。その骸が放置されているのと、骸を再び動かされるのとでは、どちらが残酷であろうか?
加え、後者は逃れるすべの無い状況に陥っているとしたら。つまりは、死した後に、命無き肉体を動かされ、腐敗し崩れ落ちる。そのような運命を、受け入れねばならない状況におちいってしまったならば。
今回、村の住民たちはそういった状況におちいってしまったのだ。
江戸から内陸に、東北方向へ二日。そこには滝ノ沢村がある。滝ノ沢村の周辺は険しい山に囲まれ、北と南に通る街道が他の地域とこの村を繋げている。
村の中心部から外れた場所には小高い丘があり、丘の上には寺が、滝山寺が建っている。
村の人々は人懐っこく、よそから来た者を歓迎してくれる。それゆえ、旅の商人・小次郎はこの村を通るたびに、村での歓迎と見知った人々との交流を楽しみにしていた。
品物をたくさん積んだ荷車を馬に引かせつつ、この品物を買ってくれる村人とその笑顔を見ることは、小次郎のひそかな楽しみ。
今回は、塩漬けにした魚や干物をたっぷり積んでいる。江戸で仕入れた分、ここで買ってくれることを期待しつつも村が見える場所へと差し掛かった。
「? 一体全体、どうしたってんだ?」
夕食の時間に間に合うようにと、この村にたどり着いた。いつもならば夕食の支度をする村人たちの煙がたなびくものだが‥‥。
それが、まったくない。いや、それ以上に‥‥、じきに日が暮れるというのに、家々には明かりが全く点っていない。
「何かあったのか?」
滝ノ沢には、知り合いになった者が多くいる。お得意さんもいる。彼らに何が起こったというのだ?
馬の足をいそがせ、彼は村に入っていった。
「‥‥なんだ? どうしたってんだ?」
村には、誰一人いなかった。夕方ならば、誰かが村の入り口にやってきて、訪問者を迎えてくれるものだが。なのに、それがない。
静か過ぎて、不安がさらに胸中で大きくなってくる。誰もいない、誰かの気配、生きている存在の気配すら感じられない。自分の足音が、こんなにも大きく響くなんて思いもしなかった。
不安が大きくなるにつれ、小次郎の喉の渇きも強くなってきた。近くの川か、どこかの家の汲み置きでも飲ませてもらおう。
この村は、滝ノ沢と言うだけあって、飲み水は近くの滝、ないしは川から汲んでくる。ここの川の水はうまく、醸造する酒もまた良いものが多い。
あの酒に、もう一度ありつきたかったが、どうもそれはかないそうに無いだろう。どことなく、そう思う。
小次郎は、御隠居の小屋へと向かった。村を訪れたら、必ず寄るところだ。いつもここの縁側に座って、淹れてくれる茶を飲んで世間話していたのだが、今回はどうもそれがかないそうにない。
御隠居の姿が見えず、灯火もついていない。戸を開けても、中には誰もいない。
変だ。
ここで小次郎は、ようやく事の異常さに気づき始めた。
まるで、自分はなにかの罠に引っかかっているようだ。飢えた獣が近くにいて、自分を食らおうとしてるような、そんな危機感を感じてしまう。
戻るか‥‥。恐怖が募り、そう決意した矢先。
「? 御隠居? 留さんかい?」
小屋の裏手、藪があるあたり。そこで留吉の姿を見つけた。背中を向けて、何か苦しそうに唸っている。
「いったいどうしたってんだい御隠居。夕食時だってのに村はばかに静かだし、だれも夕飯の支度をしていない‥‥」
留吉が振り向いた。そこには、いつもの好々爺の顔は無く、おぞましい顔が変わりにあった。
暮れなずむ中、夕日が景色を赤く染め上げている。薄暗くなりかけていても、小次郎は見逃さなかった。留吉の顔が、青がかった灰色になっている事を。
その口からは、液体が滴っている。よだれではない。よだれがあんなに大量に、しかも赤色をしているわけが無い。
小次郎は、村では夕食の支度をしていないと思っていたが、それは間違いだと悟った。すでにここでは、夕食にありついていたのだ。
ただしそれが、人の死体であり、調理せずに生のままでかぶりついている事に気づかなかっただけ。現に留吉が、目の前でその様相を見せている。老人が手に持つそれは、人の腕に他ならない。指のつき方からして、おそらく子供‥‥ご隠居の孫の、秀坊に相違あるまい。
孫を食うのに飽きたのか、留吉は小次郎の姿を認め‥‥彼に向かって近づき始めた。よろよろした動きで立ち上がり、血にまみれた口を開いてうめき声を上げる。
絶叫した小次郎は、背中を向けて走り出した。
繋いでいる馬のところまで、何度も転びそうになりながら走る。が、馬の悲鳴が聞こえ、小次郎は家畜の運命を悟った。
目の前で、馬は何人もの村人たちに噛み付かれ、生きながらに食い殺されかけていたのだ。暴れた馬は、数人の村人を蹴り倒す。が、引き綱と荷車に固定された状態ではろくに動けず、やがて砂糖にたかるアリのように、数十人の村人たちに完全に覆いつくされてしまった。
引きちぎり、ばらばらにした馬の体の各部を、村人たちはうまそうに食いつき始めた。
数人の村人が、小次郎の姿を認め、迫ってくる。それにようやく気づいた小次郎は、叫び、逃げた。
「‥‥と、こういうわけです」
滝ノ山村。滝ノ沢村から山ふたつほど離れた場所にある村の若衆元締め、武士の御堂三太郎がギルドにて依頼していた。
「滝ノ沢村は隣村、離れてるものであまり交流無かったんですが、小次郎殿が逃げてきてこういうもんですから、驚いてしまいまして。うちの村からも若いのを何人か遣し、調べてみたところ‥‥確かに、村人は尋常な様子ではなかったようです」
そして目撃できた村人も、まるで死人のようだった、と。半ば腐りかけ、変色した皮膚で、集団でよろめき歩く。その様子を見た者は、「筆舌に尽くしがたいおぞましさ」との事。
「聞くところによると、数日前から黒衣の男たちが村へと向かっているところを、滝ノ山村の猟師が目撃しているそうですが‥‥それが何者かはわかりません。ですが、猟師のみならず数人の人間たちが目撃しているので、何かの見間違いではないとは思われます」
御堂は話を続ける。
「小次郎殿は、あまりに恐ろしい御隠居の顔を見て、震えてろくに話も出来ない状態です。ギルドの皆様には、よろしければ滝ノ沢村を調べて、何が村に起きたのかをつきとめ、生存者がどこかにいたならば助けてはくれませんでしょうか? 私はこれから、この事を領主殿に報告せねばならず、その後に他の領地へと警告しなければならないので、しばらく村へと直接赴くことが出来ないのです。人手が要るのでしたら、自分のところからも人を寄越しましょう。どうか、よろしくお願いします」
●リプレイ本文
冬の寒さが漂う村。そこにあるのは、まだ使われるのを待っている家財道具、住む人間が戻るのを待ちたたずむ家屋、略奪された痕跡など見られない、人の姿無き村。
しかし、不気味な静寂が村を支配していた。まるで墓地のように。村の内部に立った冒険者たちは、ここに立ち入ってから若干の寒さを覚えていたが、その原因は冬の寒気だけでない事は明らかだろう。
土を踏みしめる不揃いな音とともに接近してくるそれは、腐りかけた死体。だが、それは顎を無くしていた。残った口に残っている舌がうごめくのを、荒巻美影(ea1747)は見た。目前のそれは、熟練の冒険者である彼女ですらたたらを踏む異様さ、異常さをかもし出していた。
「美影!」
闇目幻十郎(ea0548)。夫の声によって我に返った美影は、すぐさま鉄扇を手に構えた。幻十郎の月霞が一閃すると、そいつの首は飛び、動く死体から動かない死体へと変貌した。
だが、死人一人が斃れたとともに、周辺から数体の死体、まだ動ける死人が、引き寄せられるかのようにして姿を現したのだ。
それを見た幻十郎と美影は、恐怖に陥った。そして数秒で恐怖を克服すると、それらを誘き出すようにして、誘うように向かっていった。
忍者の夫と武道家の夫婦は、死人憑きを誘い出しつつ、作戦立案の時を思い出していた‥‥。
「方法としては単純だが、確実な方法だね〜。誰かが囮となり誘き出し、その隙に調べるんだね〜」
トマス・ウェスト(ea8714)、道化の仮面をかぶった医師が、作戦内容を口にした。
「囮は、幻十朗さんと美影さんが受け持ち、残りの僕たちが調査に‥‥。成功するか否かは、お二人にかかっているということですね」にこやかな笑みとともに、瀬戸喪(ea0443)が補足する。
「すべての死人憑きを誘い出すのは無理だとしても、十分に時間は稼げるはず。頼むぞ」超美人(ea2831)が、「丁々発止」の柄に手をかけつつつぶやく。「が、こちらも死霊や不死の化け物についての知識を仕入れておかねばの」
「ええ。見境なく噛み付いて喰おうとするなんて‥‥。 やっかいね」マクファーソン・パトリシア(ea2832)が、超の言葉に相槌をうった。
「それでは皆様、よろしくお願いします。我々の方で、何か他にお手伝いできる事はありますか?」
「そうですね、それでは‥‥」
シャーリー・ザイオン(eb1148)は、御堂に質問した。
「借りた呼子、よし。村の概要図、よし。あとは‥‥」シャーリーは、御堂より得た情報といくつかの道具とを確認し終えた。
あとは、実際に行動するのみ。
「うまくいくといいが‥‥」
不安のつぶやきを、山下剣清(ea6764)は口にした。鎧兜に身を包み、鋭い剣を携え、それを操る技量もまた人一倍備えている。が、やはり事にあたる直前には、不安に苛まれる事もしばし。
彼らは、少し離れた場所。村の入り口付近を見下ろせる小高い場所の、藪の中に身を潜めていた。六人の冒険者たちが、二人の仲間の動向を見守っている。生ける屍の群れが現れ、幻十郎と美影の二人を追い始めたのを認めると、ウエストは立ち上がった。
「さ〜て、それじゃあ行くとするかね〜」
幻十郎は、後悔し始めていた。自分も、愛する妻も、戦闘に関しては並以上の実力を持つ。そしてすばやさに関しても同様、普通以上に優れたものを持つと自信を有していた。対する死人憑きは、うろうろとよろめくようにしか動けず、なおかつ戦闘能力も低い。一対一、または一対十くらいならば間違いなく倒せる確信を持っていた。
しかし、そんな自信など、今の状況を見た限りでは無駄であり無意味以外の何ものでもなし。二人の「生」の臭いをかぎつけて近寄ってくる歩く死者たちの数は、尋常ではなかったのだ。
一体を切り伏せると、同時に二体が襲ってくる。その二体を同時に倒しても、次の瞬間に四体がつかみかかる。勝敗は時間の問題であり、勝者は死人の群れである事は明らかであった。彼らの勝機は、ほんのわずかな隙を見つけること。それさえ見つければ、数の多さで死者どもが勝利する。
そして、わずかな隙はどんなに熟練した冒険者と言えども見せるもの。まともに向かっていったら、「必ず」やられる。今までの冒険で培われた、危険を感じ取る本能めいた予感。それを思うと、幻十郎は不安を感じずにはいられなかった。
「幻十郎さん、大丈夫!」
が、妻はそんな夫を励ます言葉を口にした。
「彼らと切り結ぶのでなく、彼らを誘い出すのが私たちの今の戦い。素早さと賢さなら、私たちは確実に勝っています。ならば、十分に勝てます!」
「そうか‥‥ああ、そうだな!」
そうだ、不安はこの任務が終わったあとでたっぷりと感じればいい。今は、やつらを誘い出せ。
おびえた自分を叱咤し、幻十郎は妻とともに死者の群れを誘い出し続けた。
御堂から聞いた話によると、もしも村に人が立てこもるとしたら。それは中心部近くにある村長の屋敷か、あるいは村の端にある寺のどちらかだろう、との事だった。
それ以外は、正直に言って隠れる場所もなく、たとえ隠れられたとしてもすぐに死人憑きに襲われるだろう‥‥と。そして悪い事に、両方の場所はかなり距離が開いていた。
「それじゃあ、手はずどおりに‥‥」
「ええ、頼みましたよ〜」
ウエストの声を受け、シャーリーは山下、マクファーソンとともに寺へと向かった。
「さて、それじゃあ僕たちは村長さんの屋敷へと向かいますか」
「うむ、では‥‥参るぞ!」
瀬戸と超が、その身体に力を滾らせ、死者が闊歩する中を疾走し始めた。
シャーリー、山下、マクファーソン。
弓を構えたイギリスのレンジャー、日本刀を手にしたジャパンの侍、フランク王国からのエルフのウィザードは、周囲に目を配りつつも寺の境内へと乗り込んでいった。
「‥‥嘘! まだいるの!?」
惑いのしゃれこうべが、あごをカタカタと鳴らしている。魔力を秘めた頭蓋骨を携えたマクファーソンは、新たに出てきた死人憑きの存在に脅威と恐怖を感じていた。
「! はっ!」
しかし、山下の日本刀「姫切」の白刃が、接近してきた死人憑きを切り捨てる。優良視覚でマクファーソンは、ほとんどの死人憑きが幻十郎と美影により誘い出されたと確認した。が、それでも全部が誘い出されたわけではない。
ではあったが、山下の剣とシャーリーの弓とが、新たに出てきたおぞましき死人憑きを葬っていく。己も韋駄天の草履を履いているため、移動するのは比較的楽ではあった。さらに、自分には呪文がある。いつでも呪文を唱えられるように、マクファーソンは構えつつ、寺の本殿へと足を踏み入れた。
「‥‥!」
そこにあったのは、凄惨きわまる情景であった。
超の鋭い視線と集中力が、周囲を見極め、見据え、状況を調べ上げていく。
村長の屋敷には、即席ではあったが防壁が作られ、内部に何者かが立てこもっているのはまず間違いが無い。
しかし、問題はその何者かが、こちらの存在を知らないだろう事。自分たちが助けに来たと伝えようとしたその時、屋敷周辺にまだ残っていた数体の死人憑きが超、ウエスト、瀬戸に向かって来た。
「‥‥臭いんですよ、近づかないでもらえます‥‥かっ!」
瀬戸が手にしていた得物‥‥修羅の槍が、死人へと放たれた。槍の穂先が死人に突き刺さり、切り裂き、長柄で薙ぎ払う。たちまちのうちに、数体の死人が片付いた。
反対方向からの死人憑きは、超が相手をする。
「ええい近づくな! 貴様らなどとやりあっている暇は無い!」
「丁々発止」の鋭い刃が、腐りかけた死人憑きの手足を切断し、不快だが無害なものへと変貌させていった。やはりこちらも、たちまちのうちに戦闘を終了させる。
「ふーむ、さてと〜‥‥うん?」
が、屋敷内部から響いてきた声を聞き、ウエストはいぶかしんだ。
「どうやら、中に誰かいるのは間違いなさそうだね〜」
塀を乗り越え、中に入り込んだ三人。そこに彼らは、地獄絵図を見た。
死人憑きに、身体を食いちぎられている人間の姿を。
マクファーソンたち三人が、寺で見ていたのもまさに同じ光景であった。
ドスッという音とともに、シャーリーが放った矢が死人憑きの頭部を貫き、引導を渡した。
「しっかり! 気を確かに!」
マクファーソンが御薬酒を飲ませようとするが、襲われていた人間はもはや手遅れなのは明らかだった。腕が両方とも、ほとんど食いちぎられていたのだ。
「か、書付が‥‥そこに‥‥水を、川と井戸の水を、飲んではだめ‥‥」
犠牲者はそこまで伝えると、そのまま事切れ、動かなくなった。
周囲を見ると、どうやら助けられる者はいないようだ。‥‥そこには、死人憑きと化した小さな子供が、母親とおぼしき女性の死体に噛み付いていた。胴体を失った首が転がっているが、その首が何かを伝えるかのように唇を動かしつぶやいているのが見えた。
「‥‥戻りましょう。これ以上ここにいたら、私たちもおかしくなりそうです」
シャーリーの言葉に、二人は即座に賛成し、行動に移した。シャーリーは御堂から借りた呼子‥‥撤退の合図の呼子を吹き鳴らした。
「ウエスト殿。それでは、生存者はいなかったのですね?」
調査を終え、死人憑きの群れから逃れてきた八人の冒険者たちの報告を受け、御堂は信じられないとばかりにかぶりを振っていた。
今彼らは、滝ノ山村で休みつつ、御堂に今回の件を報告していたところだ。
「うむ、残念ながら生存者はいなかった。しかし〜‥‥」
死の間際に残した書付を、ウエストの方でも所有していた。
「ざっと読んでみたが‥‥どうやら、夕食時に水を飲んだ者が、いきなり倒れ、そして死人憑きとなって村人に襲い掛かったと、そういうことらしい」
「ええ、私たちの方もおなじようなものです」超の言葉に続き、マクファーソンが言った。
「『死人憑きの群れに周囲を囲まれ、篭城することに。しかし汲み置きの水を飲んだ子供がいきなり倒れ、死亡。数時間後に死人憑きとしてよみがえり、襲い掛かってきた』‥‥と、このように書かれています」
シャーリーが、マクファーソンの言葉を補足する。
「書付には続きが書かれていましたね。『この村の水源近くを、黒衣を着た男たちがうろついていたのを見た‥‥と、村の若者が言っていた。今となっては、そいつらが犯人であっても、関係の無い事だが。しかしもしも、これを目にしている人がいたら、どうか注意して、そして敵討ちをしてほしい』‥‥。黒衣の男たちが、この事件の犯人だと見てまちがいないのでは? おそらく、毒を村の水源に入れて回っていたのでしょう」
「でしょうね。でも‥‥」
幻十郎とともに、無事に帰還した美影が疑問を口にした。
「その『黒衣の男たち』は、なぜこんなことをしたんでしょう? 村をひとつ壊滅させるなんて、一体なんのために?」
「ああ。この村には怪物や悪霊を封じたような言い伝えも事件もなかった。ならば‥‥誰かが起こした事件に間違いないが、誰が、なぜ?」
妻の疑問を幻十郎も口にする。が、その答えを口にできる者は誰一人としていなかった。
「‥‥ともかく、この件はもうしばらく続くことでしょう。冒険者諸氏、どうかしばらくお付き合いください。‥‥この事件、解決に導いていただきたいと、改めて依頼する所存です」
御堂の言葉は、この事件が新たな事件の始まりにすぎないだろう事を、冒険者たちに予感させていた。