【憂愁】白鐘の紋左衛門

■シリーズシナリオ


担当:想夢公司

対応レベル:フリーlv

難易度:難しい

成功報酬:0 G 93 C

参加人数:8人

サポート参加人数:-人

冒険期間:10月28日〜11月04日

リプレイ公開日:2006年11月05日

●オープニング

 石川島・人足寄場の責任者を仰せつかった、現凶賊盗賊改方長官補佐の彦坂昭衛が船宿綾藤に受付の青年を呼び出したその場に、凶賊盗賊改方与力・津村武兵衛がやって来たのは日も既に落ちようという、とある秋の夕刻のことでした。
「色々と困ったことになってな‥‥力を貸して貰いたいと思ってやって来た」
 そう言うと武兵衛は腰を下ろして茶を一杯啜ると小さく息をつきます。
「実はな、とある香具師が盗賊と通じていると確たる証がある、と別の香具師から情報を提供するとの申し出が少し前にあり、それについて話を進めていたはずなのだが‥‥」
 そこまで言って溜息を吐く津村武兵衛。
「突如、昨日になって先方より『筋を通さぬ冒険者とやらを使うは信用ならん』と使いの者がそのような手紙を携えてやって来てな。どうやらその香具師の名を使い与力の姿を映し騙った者がおるようでな‥‥」
 冒険者処か、改方もその香具師の力の及ぶところでは表だって近寄ることも出来なくなっているそう。
「我々は今までの積み重ねから身内同然と感じておる‥‥なればこそ、我々の信を置く冒険者にその態度なればと腹も立つが、何より、誤解を受けこのままおればその香具師の方も態度を硬化させていかぬとも限らぬ」
 深く息をつく武兵衛、それは身分を隠し探索に当たる間、もし身元を押さえられていれば、そこで何が起きてもおかしくない状況に曝されると言うこと。
 沈痛な面持ちで額に手を置く受付の青年、昭衛は顎をさすりつつ暫く何かを考えているようで。
「恐らくは、筋を通さない者はと言うのなれば、勝手に挨拶1つ無く名を騙り姿を騙った事を怒っておるのであろう。なればこそ、我らは違うときちんと誤解を解かねばどうにもならん。それに‥‥」
「それに、その香具師が言っておった盗賊、凶賊である可能性が高いのだ」
 昭衛の言葉を引き取り言う武兵衛にさっと青ざめる受付の青年。
「それじゃあ‥‥」
「近くに盗めがあれば血を見るであろうし、恐らく、此度に香具師の怒りを解いたとしても、間に合わん可能性が高い」
 ぎりと扇を握りしめ言う昭衛に、まだ決まったわけではないですが、と言う武兵衛ですが、武兵衛の表情にも焦りに似た色が浮かんでいます。
「とにかく、なんとしても、些細なことででも情報が欲しい」
 武兵衛が言うのを依頼書へと書き付け、顔を上げる受付の青年。
「では‥‥」
「此度は有る一体を縄張りとしている香具師、『白鐘の紋左衛門』の怒りを解いて貰いたい」
 昭衛が言えば、受付の青年は頷いて依頼書へとその名を記すのでした。

●今回の参加者

 ea2988 氷川 玲(35歳・♂・浪人・人間・ジャパン)
 ea3827 ウォル・レヴィン(19歳・♂・ナイト・エルフ・イギリス王国)
 ea6982 レーラ・ガブリエーレ(25歳・♂・神聖騎士・エルフ・ロシア王国)
 ea8922 ゼラ・アンキセス(23歳・♀・ウィザード・ハーフエルフ・ビザンチン帝国)
 eb2004 北天 満(35歳・♀・陰陽師・パラ・ジャパン)
 eb2719 南天 陣(63歳・♂・志士・人間・ジャパン)
 eb2872 李 連琥(32歳・♂・僧兵・人間・華仙教大国)
 eb3605 磐山 岩乃丈(41歳・♂・忍者・ジャイアント・ジャパン)

●リプレイ本文

●遣り切れぬ想い
「知らない間に此方も大変そうだな」
 南天陣(eb2719)が傍らに北天満(eb2004)を控えさせながら声をかければ、おお、と眉を上げる武兵衛。
 ここは改方役宅、同心たちの溜まり部屋で。
「本人が居れば諭して詫びを入れさせて、それからスッパリ水に流せるのに‥‥」
「この事態を想定していなかった我々が悪い。だが現状では我々改方の人間の話を聞こうとする意志がそもそも無い‥‥畜生め、腹立たしいっ」
 苛ついた様子で帽子をぐいと引き下げるゼラ・アンキセス(ea8922)に、普段はあまり表立って感情を見せることがない伊勢同心も腹立たしげに吐き捨てるように言い爪を噛みます。
「何にせよ、ごめんなさいね、私は直接会いに行くのはやめておいた方が良さそうだわ‥‥」
「謝ることはない。出来るのならば我々が行くべき所だ、それに無理に頭を下げる必要はない」
「平行し調べも進めているしな。なぁに、一つ駄目でも別の手立てが必ずある」
 ゼラの言葉にきつい口調できっぱりという伊勢同心、幾つか綴じられた調書を手に入ってくる田村同心も言い、文机へと着いてそれをぺらぺら捲り始めます。
「まぁ、実際見知らぬ人間に名を騙られ好き勝手されたの知ったらそりゃ腹が立つよなぁ」
 紋左衛門から伝えられた話を聞きながらうーん、と頬を掻くのはウォル・レヴィン(ea3827)。
「冒険者はけしからんとひとくくりにされるのは何だけど、駆け出しの冒険者のやった事だと言われれば一概にそいつだけが悪いとか切って捨てるのも‥‥うーん」
 俺は出来ないなぁ、と苦笑するウォルに先程から難しい顔をして眉を寄せているのは李連琥(eb2872)。
「私はその件に全く無関係とは言えぬ。まさか、そのような事をしていたとは露も思わずこのようなことになり‥‥」
「むー、仕方ないじゃん。李さんは悪くないじゃん?」
 言いながらもこちらも困ったようにむーと腕を組むレーラ・ガブリエーレ(ea6982)。
「我が輩の調べたところ、底知れぬ所はある物の普段は温厚、香具師と言っても幾つかの花街と参拝道を束ねる元締めのようでござるな、白鐘の紋左衛門殿とは」
「俺もちと伝手で聞いて見りゃ、土地の者にゃ筋さえ通せば仏みてぇな元締めと言われてるらしいな」
 磐山岩乃丈(eb3605)が軽く調べたことを告げれば、茶を啜りながら氷川玲(ea2988)も感心したように頷き。
「高い所場代取られるでもねぇし、表にゃ滅多に顔をださねぇが子飼いの者達が無頼浪人が暴れたときも怪我をも厭わず守るってぇ話だな」
「後今ひとつ‥‥実は我が輩誰か紋左衛門殿が好意を抱いていそうな人間に口添えを頼もうとちと調べてみたのでござるが‥‥本所の銕、とは‥‥」
「あー‥‥」
「うん‥‥それは私もとても心当たりはあるのだけれど、ちょっと‥‥」
「?」
 本所の銕とは銕三郎、つまり平蔵の若き日の名であり、連琥などは怪訝そうにその名が分かる面々の顔を見回します。
「まぁ、もう少し当たって、我が輩は我が輩なりに動いてみるでござるよ」
「ああ。ただ向こうも気が立っているだろうから、気をつけろよ」
 磐山が言えば氷川はそう頷いて応えるのでした。

●調査
「そうですか、少なくとも紋左衛門さんの件と関わりがありそうな人たちが記されていれば大丈夫です」
 密偵の1人、利吉から報告を受けた満が応えなにやら書き付けを受け取れば、直ぐ近くの参拝道は紋左衛門の縄張りのようで。
 そろそろ年の暮れに向けて人々が賑やかに屋台の間を進むのを茶屋で茶と団子を出されつつ眺める陣はその通りの様子を眺めていますが、不思議なことに活気はあるのに見たところ小競り合いが起きるようなこともないよう。
「ふむ‥‥これぐらい賑わっていれば小競り合いの一つも起きるものだろうに」
 不思議なこともあると小さく呟けば、店のおかみさんが笑いながら口を開きます。
「この辺りはね、元締めの所の若い衆が見回っていてくれてるんでね、質の悪い奴らも最近じゃあ居着かなくなったんですよぅ」
「そうか。それは良いことだ」
 おかみさんの言葉に笑みを浮かべて頷くと茶を啜る陣。
「情報が入ってきたときの為にもこれが有れば心強いですが‥‥ですが陣様、これだけでは‥‥やはりその香具師の元締めの情報が必要かと」
 おかみさんが立ち去ったのを見計らい言う満に頷く陣。
「冒険者の事を纏められても困る。彼の周辺の者に冒険者にもいい人物がいるというのを知って貰えば風当たりも多少は弱まるだろう」
 茶代を置き立ち上がる陣に、満も席を立ち連れ立って屋台の間、賑やかな参拝道の中へと歩を進めるのでした。
「誰がそれをしたのか、どのような事を起こしたのか、それを調べるためにも少し中に入れて貰いたいの」
 出来るだけ気を落ち着かせようと緩やかに息を吐いてゼラが言えば、白鐘の元締めの代理と名乗った男は暫く考える様子を見せると声を上げて若い衆を数名呼びます。
「調べるのはよござんすが、相済みませんがこちらの人間を付けさせて貰いやすよ」
 細身で居ながら低く吐かれる言葉に頷くゼラ。
「それで良いわ、有り難う」
「お坊様がそちらに居るなら嘘も何もありますまいが、紋左衛門様がお怒りである手前と理解いただけりゃ幸いでやす」
 その言葉から僧侶には敬意を持ち対応するようよくよく申しつけられているようで、ちらりと同行している連琥に目礼をする男。
「忝ない、宜しく頼む」
 若い衆にそう礼を言い、ひとりひとりお目付役を付けての花街の聞き込み。
「急に騒ぎが起こってねぇ‥‥その時に若い男か女か分からない様な浪人がね、こう『ここが何処のシマかくらいは知っているだろう? お頭は御上の介入を嫌う‥‥』そうそう、そんなこと言ってねぇ‥‥」
 揉め事が起これば若い衆が駆けつけて納めるため、そして名を騙られたと花街の人々が分かるのは当然、知らぬ顔がそこで香具師のことを言えばあからさまに怪しいといもの。
「その者の事を調べていれば、妙なことにその日の揉め事も男性のはずなのに違和感を覚えるような、そんな人間が居漬けの客に挑発をし、襖は蹴破られの大騒ぎ。だがな、その男とやらは騙った人間が割って入ったそのどさくさに消えちまったって訳だ」
 ゼラについて花街のとある一軒の茶屋に来た若い男は肩を竦めて深く溜息を吐きます。
「でも、それだけでは‥‥」
「なんで、割って入った方を調べ探し、様子を張っていたところ、この辺の側を通ったって言う。そして、その通った日に高東の旦那が姿まで騙られて出てきたってぇいう」
 そこまで言ってから出された熱い茶をぐと呷り小さく咳き込む若い男。
「で、兄ぃに言われたとおり後を尾行けたのが、この俺って訳で‥‥上方言葉を使う女でして、その女、とある寺に入ったんですがね、そこで例の浪人者もいて、付近に聞いて見りゃ子供の護衛に冒険者も一緒に滞在していると、こう分かったわけで」
「‥‥はぁ‥‥」
 怒ると言うよりはもはや呆れたと言うように溜息を吐くゼラ。
「でも、特定の人がと分かっているのならば‥‥」
「冒険者という存在は、大分浸透はしてきやしたけどね、それまで関わっていなければ、誰だって海の物とも山の物ともわからねぇんですよ」
「‥‥知っているものからしか判断できない、そう言う訳ね」
「‥‥残念ながら」
 帽子を目深に被り目を伏せるゼラに、流石に同情をしたか深く溜息を吐いて肩を竦めるのでした。
「高東殿か?」
「いかにも。其方は?」
 連琥は着いてきたレーラと共に若い衆の1人に案内されて番所までやって来ていました。
「‥‥むぅ、勝手に名前を騙ったり、同心の振りをして嘘をついたりするのはだめじゃん
これじゃ怒るのも当たり前‥‥」
 高東同心に話を聞いてむーと眉を寄せて言うレーラですが、ばと顔を上げて口を開き。
「でっ‥‥でも、俺たちはそんなことしないじゃん! 俺様はちゃんと筋を通すじゃん! こんな風なことはしないし!」
 ぶんぶんと手を振るレーラに面食らいつつ見る高東は連琥へと目を向ければ、厳しい顔をして目を伏せる連琥。
「‥‥その仕事の時、知らず共に私は依頼主を警護してた。それを止めることに思い至らず、ただ申し訳なく‥‥」
 くっとどこか苦しげに息を漏らす連琥に深く溜息を吐いた高東は、その時のことを詳しく話してくれるのでした。
「ありがとう、助かったよ」
 ウォルが声をかけているのは白鐘の昔のことを知っているらしい古い酒場で、幾つか、白鐘が好むという者を教わっていました。
「まぁ、なんだ、大変だろうが頑張れよ、兄さん」
 酒場の主が言えば笑って頷くウォル。
 暫くの間酒場の主の差し入れもどきなお茶と茶菓子を頂きながら、ウォルは書き付けた紙に目を落としつつ物思いに耽るのでした。

●白鐘
「おおっと白鐘の紋左衛門殿ともあろうお方が、今更嫌とはおっしゃらぬでござろう。まあ、若造に少々お付き合い下され」
 磐山の言葉に眉を釣り上げる白鐘の配下。
 ここは町中のとある小さな酒場で、あちこち聞いて回っていた磐山が漸くに聞き出すことが出来た店の一つでもあり。
「ぶしつけな言い方で申し訳ないでござるが、白鐘の紋左衛門殿。紋左衛門殿の配下にも、色々な者がいるでござろう? 様々な外れ者、荒くれ、そういった者を併せ呑み、束ねているからこそ、親分として崇められておるのでござろう」
 そこまで伝えると白鐘の紋左衛門に向かい頭を下げる磐山。
「冒険者とは束ね無き者達でござる。時に思慮が足らず、あるいは勇み足で無茶をする者もいるでござるでござるが! 我等、それぞれのやり方でお江戸の、ジャパンの。いやさひいてはジアースの為に働いている、と自負しているでござるよ」
 そんな様子を一言も言葉を発そうとせずにじろりと見ていた白鐘、何も言わずに酒を飲んでいるのでした。
 さて、そんな中、船宿綾藤でなにやらお藤とお青を付き合わせて話し合っていたようですが、やがて満足げに小さく頷く氷川、白鐘の代理人の所へと足を進めて言うのでした。
「‥‥白鐘の紋左衛門へ伝を頼みたいのだが」
 氷川がそう言いながら白鐘の紋左衛門へと預ける詫び状とお藤に書いて貰った宴席へのお誘いのお手紙。
 ウォルなどが紋左衛門のことを聞いて回れば、紋左衛門は滅多に人前にでないそうですが、綾藤を何度か利用していたりするそうで、綾藤の料理を好むらしいとの話しもあり。
「伝えるだけは伝えよう」
 氷川の差し出す手紙を、代理の男が受け取ると奥へと戻っていくのでした。

●筋を通す
 お藤の顔を通すという名目で、最終日に綾藤へと顔を出した白鐘の紋左衛門は、がっしりとした体つきの一見福々しい顔をした穏やかそうな老人でした。
「良く来てくなすった。俺は玲と言う、お初にお目にかかる。一旦腹を割って話したく、一席設けさせていただいた」
 そう出迎える氷川を見やりつつ、進められる上座へと着く紋左衛門。
「お前さん方からの詫び状は読みましたよ」
 お藤に酌をして貰いつつ口を開く紋左衛門は、その穏やかそうな風貌からは考えられないような小声そうなほどに冷たい声でぴしゃりと言いますとじろりと一同を睨め付けます。
「たしかに我ら冒険者たちの中に筋を通さなかったものがいたのは知っている。しかし冒険者全体がそのような考えなどでは断じて無い」
「人は誰でも若い時や過ちを犯す時があるモンだ。過ちは過ちとして、人は憎まないでやって欲しいかなと」
 連琥が礼を尽くして述べればウォルが伺うように口を開いて言い。
「‥‥俺様たちは、筋を通すつもりで話し合いをしたい! だけど、顔を見せてもらえないってのは、話すって言う約束破るのは筋が通ってないじゃん?」
 一生懸命に言うレーラが預かってきたじゃん、と差し出す手紙を手に取り見てふむとばかりに息をつくと煙管盆を引き寄せる紋左衛門。
 レーラが預かっていた手紙はゼラからでした。
 『騙る事は、相手の信用を損なわせ名誉を傷つける事。名誉を尊ぶ白鐘の紋左衛門様の怒りは至極尤もですが、その為に手がかりの糸を断ち切られてしまっては、凶賊の蛮行を止められず、不幸になる人が出てしまいます。それが紋左衛門様の名誉になるとは思いません。今一度改方に凶賊捕縛の機会を与えて戴きたく御座います。:ゼラ・アンキセス』
 そう書き付けられた手紙に太く息を吐くと手紙をたたみ直す紋左衛門。
「あんたの周りにも、色々な人が居るだろう…?それをあんたは香具師として纏め上げてるわけだ。あんたはとある芸人が悪事を働いたら、その芸をする者全てを絞り上げるのかい? そうじゃねぇだろう。その悪事を働いた当人に裁きを与えるだろ? 俺らはあんたを侮辱した輩とは違う、わかって欲しい」
「‥‥言いたいことは分かりましたよ。確かに筋を通さないのはいけない」
 そう呟くようにして煙管の灰を盆へと落とすと新しい煙草を詰め直しつつちらと鋭い視線を投げると紋左衛門は続けます。
「酒を手に来たお人も、あたしのところで迷子の親探しやらなにやらとをやっていたのもお前さん方の仲間だね? あたしは、まず酒と肴を手に額を地面に擦り付けた人の顔を立てるつもりでここに来て見たら‥‥」
 あたし好みの餅やら次の間に昔馴染みを呼んだのも、と付け足すと苦笑するように僅かに口元を歪める紋左衛門、それを見てレーラがぶんぶん腕を振りながら声を上げます。
「凶賊は許すまじ! なので、一緒に協力しよう!! きっちり筋を通すのは約束するじゃん」
「‥‥では、一つ条件をだそうかい」
「‥‥条件?」
「あたしは直接冒険者という者がどういうもんかを良く知らない。此度の一件が終わるまで、逐一報告をして貰おう、あなた方冒険者に、ね」
 機密で差し障りがあることは言えとはいわないがね、そう言う紋左衛門は、これから先を見ながら判断をしていく、と言いたいよう。
「分かった」
 氷川が頷けば後ほど改方に約束の物を後で届けさせよう、そう言って煙管に火を入れると、紋左衛門は改めて一同を見回すのでした。