【村から町へ】町までの道のり
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■シリーズシナリオ
担当:STANZA
対応レベル:フリーlv
難易度:普通
成功報酬:0 G 71 C
参加人数:8人
サポート参加人数:-人
冒険期間:05月15日〜05月21日
リプレイ公開日:2008年05月23日
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●オープニング
「あと、どれくらいだろうなぁ‥‥」
見た目、殆ど変化がないように見える村の様子を眺めながら、開発責任者ウォルフリード・マクファーレンは大きな溜息をついた。
確かに変化はある。集会所の隣に出来た小さな浴場や、森をほんの少し切り開いて作られた教会の予定地。だが、目に見える変化はそれだけだ。
「何も見た目が変われば良いってもんじゃないでしょ?」
そんな様子を見て、ハーフエルフの少女ブランが笑う。
「うちの母さん、あれから町の薬屋さんとこに森で採れた薬草届けに行ってるんだよ。もう2〜3回行ったかな。こないだは注文も貰って来てたし‥‥なんか定期的に買ってくれるみたいだよ? それにね、学校とは呼べないかもしれないけど、ちゃんと先生が来てくれるようになったんだ。しかも週3回も!」
近くの村に住む、元冒険者。引退して暇を持て余していたその人物を、薬屋が紹介してくれたらしい。
「おじいちゃんだから、そんなに長くは出来ないだろうけど」
こらこら、失礼な。
「ちゃんと学校が出来る頃には専門の先生だって決まってるだろうし。ほら、こないだ言ってた3人。今は農作業の方が大変だからって、あんまり顔出してくれないけど‥‥でも、作って貰った教科書とかもあるから、先生がいない時でも自習とか出来るしね」
計画が上手く軌道に乗れば、全てが順調に回り始めるだろう。
「あとね、最近はお風呂に入りに来る人もいるんだよ」
「え‥‥村の、外から?」
「うん、仕事の後にここで汗を流すとサッパリするからって。ただ、そういう人達が入るとお湯がドロドロになっちゃって‥‥一度きれいに洗い流してからじゃないと他の人が入れないのが、ちょっと困るかな。それに、あの人達って‥‥」
湯着、着ないのよね。と、ブランは困ったように視線を逸らし、頬を赤らめる。
「あ、別に覗き見したとか、そういうんじゃないからねっ! ただ、大人の人達がそう言ってたから‥‥っ!」
「水浴びの感覚なら別におかしくないと思うけど? オレも最初は全部脱ぐもんだと思ってたし」
それにジャパンでは何も着ないのが普通らしいし、とウォル。
「でも、そんなスタイルが流行っちゃったら、その‥‥困るじゃない!」
「なんで? そこの川でだって、みんな裸で泳いでるじゃん?」
大人も子供も、男も女も。この時代、それが一般的な感覚だった‥‥ごく一部、思春期真っ盛りの女の子達を除いては。
「お風呂と川は違うのっ!」
――ばちぃーーーん!
「いってえぇっ!!」
「‥‥えぇと、そんな訳で‥‥」
後刻、タンブリッジウェルズの城に戻ったウォルは、左の頬をしきりに気にしながら師匠に現況を報告する。あれからすぐにリカバーをかけたものの、手形が残っていたりはしないだろうかと心配しているらしい。
弟子のそんな様子には気付かないふりをしながら、報告を聞いた師匠は言った。
「町作りは順調に進んでいる様ですね」
「そうかな‥‥だって、出来たのはお風呂と教会の土台と、それに温泉の設計図くらいだし」
「ウォル、あなたが思い描く町とは、どんなものですか?」
「どんなって‥‥」
突然そう尋ねられ、ウォルは視線をあちこちに泳がせつつ暫く考え‥‥
「町って言ったらさ、やっぱり人がいっぱいいて、道が広くて石とかレンガとかで舗装されてて、店がいっぱいあって‥‥とにかく、賑やかなとこ?」
と、この城下町の様子を思い出しながら答えるウォルに、師匠は穏やかに言った。
「‥‥あなたや、仲間の皆さんが目指しているのも、あの村をそんな風にする事ですか?」
「そうじゃ、ないけど‥‥」
はっきりと目に見える成果がないと、今ひとつ達成感に乏しいと感じるのは仕方がないか。
「村には教会、村の外には温泉‥‥今の所、資金面でも労働力の面からも、この二つを作るのが限界でしょう。他に必要なものは、計画が軌道に乗ってからでも遅くありませんからね」
まず最初に希望があったのは学校だが、それも今の所は集会所で間に合っているし、教会が完成すれば校舎と兼用に出来るように設計も考えてある。温泉の設計図も細部の手直しを専門家に依頼し、後は実際に建築に取りかかるだけだ。
だた、教会はまだしも温泉施設は完成までに時間がかかる。きちんとした物を作るなら、冬の始め頃までかかるかもしれない。
「えっと‥‥じゃあそれまでオレ達、何もやる事がないって事?」
「それは‥‥」
どうでしょうね、と師匠。
それまで休んでいても良いし、何かやる事があるなら今まで通りに継続して構わない。逆に、もう何もやる事がないと思うなら一旦ここで解散しても良い。
「うん‥‥わかった。皆に聞いてみるよ。ええと、後は‥‥」
何か言い忘れた事はないかと、ウォルはミミズがのたくったよりもまだ酷いカオスっぷりを見せるメモに目を落とす。
「あ、そうだ。教会の‥‥アレはどうすんの? もう土台は出来てるから、6月にやるなら何とか建物の方も間に合わせるってリドが言ってたけど‥‥」
教会の壁、もしくは板に刻んで誰からも見えるようにする案と、土台の石に刻んで建物で塞いでしまう案。
「師匠はどっちが良い?」
「私は‥‥石の方が良いかな」
少し照れながらそう答える師匠に、ウォルが心配そうに尋ねた。
「やっぱり、おおっぴらに見えるようなトコじゃヤバイの? えっと、立場とか、そういうの」
だが、師匠の答えは‥‥
「木よりも石の方が長持ちするでしょう? その‥‥ほぼ永久に」
あ、そう。
「キイタオレガバカデシター」
棒読みで答える弟子。
どうやら心配するような事は何もない様だ。‥‥もし何かあったとしても、誰にも邪魔はさせないし、文句も言わせない。そんなオーラが、師匠の背から立ち上っているように見えるのは‥‥多分、いや絶対、気のせいではない。
「じゃあ、それも皆に伝えとくから」
そう言えばこの間、誰かが6月に結婚すると言っていたような。
「‥‥式、ここで挙げれば良いのにな。せっかく教会作るんだし、それに多分‥‥イギリスじゃここでしか出来ないだろうし。第一号ってなんかカッコイイよな」
今度会ったら、それも聞いてみよう。
ウォルはもう一度メモに目を落とし、言い忘れた事がないかを確認すると、ギルドに依頼を出すべくキャメロットへと向かった。
●リプレイ本文
「‥‥そうでしょうか」
村全体を取り囲む様に植えられたサンザシの生垣には、白い花が溢れんばかりに咲いている。マイ・グリン(ea5380)はその甘く濃厚な香りにむせかえりそうになりながら、余り達成感を感じていない様子のウォルに言った。
「‥‥見た目の変化は小さいかも知れませんけど‥‥村の空気は随分変わりましたね。‥‥ほら」
彼等の姿を見付けた村人達が、嬉しそうに手を振っている。広場で遊んでいた子供達が、わあーっと駆け寄って来た。
「‥‥最初の会議の時と比べると、よく分かるのではないでしょうか。‥‥それにあれは、村の外から来た人の様ですし」
マイの視線の先には、商人と思しき男がリドと何やら話し込んでいる姿があった。
「商売の話かな?」
公正な取引が行われているかどうかのチェックも兼ねて、後で少し話を聞いてみようと、デメトリオス・パライオロゴス(eb3450)が言った。
「大事なのは建物じゃないと思うの。村の皆が笑顔でいてくれる事、それがウォルが頑張っている一番の証だと思うわ 」
頭を撫でたくなる衝動を抑えながら、クリステル・シャルダン(eb3862)が言う‥‥が、星宮綾葉(eb9531)はお構いなしに‥‥
「そうそう、ウォル君は頑張ってるわ♪」
ぐりぐりぐり。
「撫でんなー!」
「ああ、その台詞も暫くは聞けなくなるのね」
ウォルの抗議をものともせず、名残惜しそうにもう一度撫でながら小さく溜息をつく綾葉。
「やはり皆さんも、ここで一旦切って仕切り直す方に賛成なのでしょうか?」
ルーウィン・ルクレール(ea1364)が尋ねた。
「うん、村は村の人達のものだしね。自助努力で、うまくやってくれることを期待するよ」
「でも、これでずっとお別れと言う訳でもありませんし‥‥また何かあれば、呼んでいただければ駆けつける事も出来ますわ」
と、綾葉に弄られ続けるウォルの様子をハラハラと見守りながら、サクラ・フリューゲル(eb8317)。
「そうね。ひとまずは、悔いのないように頑張りましょう。お風呂に何か問題があるという事でしたか?」
心配そうなサクラの様子に気付き、ウォルを解放した綾葉が言った。
「‥‥なるほど、確かにこれは汚れていますね」
お湯が汚れるという話を聞いて、現場の風呂を覗いたエリス・フェールディン(ea9520)が言った。
折しも畑仕事を終えた村外の男達が3人ほど、風呂から上がった直後。浴槽の底にはうっすらと泥が溜まり、お湯も何となく濁って見える。
「泥とは、土が礫や砂よりも細かく分解され状態です。これらの不純物を取り除く方法としては濾過するか、沈澱させるかしありません」
‥‥はい?
「しかしながら、これでは温泉としては機能しませんので、温泉に入る前に洗い場を設ける事を提案させていただきます」
「ええと、つまり‥‥かかり湯ですね?」
綾葉が言った。
「そうだね、掃除の手間も省けるし‥‥ここの風呂場だけなら採算とかは気にしなくて良いだろうけど、温泉施設が出来たら掃除するにも経費がかかるし」
今のうちに「正しい入り方」を呼び掛けた方が良いだろうと、デメトリオス。
「専門に一人、かけ湯呼びかけの人をおくのが一番じゃないかな」
「‥‥でも、今は何かと忙しい様ですし、常駐は難しいと思います。‥‥代わりに、案内板を設置してはどうでしょうか」
不特定多数の人が快適に利用出来るようにとの名目で、字が読めない人用の図も付けた物を。
マイの提案に、クリスが自分が作ろうと申し出た。
「あの‥‥案内役、私にやらせて貰えないでしょうか‥‥その、案内板が出来るまでの間だけ、ですけど‥‥」
エスナ・ウォルター(eb0752)が言った。彼女なりの「人見知り克服作戦」の一環らしい。
「私もジャパン代表として説明させて頂きたいと思います。ただ、それが通じるかはわからないし、余所の人を受け入れる為にはルールは欠かせませんけれど、厳しすぎても良くないかと‥‥」
「案内板を置いても、そういうの見ない人もいそうだよね」
綾葉とデメトリオスは考え込んでしまった。
「子供さんの誰かに頼んでみるのはどうでしょうか? 大人の方も、子供さんのお願いなら無視する事も難しいでしょうし、子供さんにもお勉強にもなると思いますわ。最初はエスナさん達に付いていて貰って‥‥」
「あ‥‥私も、それが良いと‥‥思います」
サクラの提案に、エスナが頷く。
「えと、じゃあ‥‥子供達にもきちんとお給料と言うか‥‥お駄賃のようなものを払ってあげた方が‥‥良いですよ、ね」
「労働に見合った対価を得る事は良い経験になるでしょうね。錬金術の場合も、等価交換と言って‥‥」
まあ、エリスの錬金術講座は置いといて。
「でも、ここじゃお金で貰っても‥‥使う場所、ないよな」
と、ウォル。
「お金より、お菓子とかの方が良くね?」
「あ、じゃあ‥‥買い出しに、行って来ます。お金は、私に出させて下さい‥‥ね?」
「別に構わないけど‥‥じゃ、材料買ってきてくれる? 作るのはオレ達で出来るからさ」
と、ウォルは周囲の女性達を見渡す。
「‥‥あー、エスナも、冷たいもの系で‥‥ほら、こないだのヤツなんか、風呂上がりに良さそうだし。そだ、名物料理にしても良いんじゃん?」
後は浴場を少し拡げて専用の洗い場を作った方が良いか‥‥と、ウォルはルーウィンを見る。
「わかりました、その辺は力仕事ですからね‥‥」
当面の課題についての大体の方針を決めると、冒険者達はそれぞれの仕事に取り組むべく散って行った。
「そうか、さっきの商人さんは注文をしに来たんだね」
リドに注文書を見せて貰いながら、デメトリオスが言った。
「でも、この値段‥‥少し安すぎないかな?」
「そう? どうせタダで手に入る物だから‥‥と思ったんだけど」
「でも、今は森で採るだけかもしれないけど、いずれは育てる事も考えた方が良いと思うよ。とり尽くしても、他の場所で生える可能性もあるけど、いちいちそれを探すのも大変だもんね」
「育てる‥‥ねぇ」
リドは腕組みをしながら言った。
「森の恵みを人の手で育てるなんて、考えもしなかったけど‥‥売り物にするなら、それも必要かもしれないわね。ありがと、助かるわ」
一方、学校代わりの集会所ではクリスとサクラ、そしてエリスの三人が子供達の勉強を‥‥見ようと思ったのだが。
「あのねー、せんせーはあした来るの。むかし、ぼーけんしゃやってたんだって」
「皆も冒険者なんだよね? 冒険者って、どんな事するの?」
「あたしもなれる?」
子供達は勉強そっちのけで質問責め。
「だって、勉強は先生がいる時に出来るもん」
「それは、そうですね。では、逆に私から質問しましょうか」
エリスが言った。
「皆さんは将来、何になりたいですか? 将来の夢を実現する為にはどうすれば良いのか、どんな勉強をすれば良いのか、知りたくはありませんか?」
勿論、彼女としては「錬金術師になりたい」という答えを期待しての事だが‥‥まあ、それが儚い期待である事は本人にもわかって‥‥いる、のか?
「もし出来るなら、子供達が将来の夢を叶えられる学校ができますようにと刻んでみたいものですが‥‥」
「あ、教会のアレ?」
様子を見に来たウォルが、そんなエリスの独り言を聞きつけて口を挟む。
「オレも、周りの雰囲気によっては、ドサクサに紛れて何か刻んでみよっかな‥‥とは思ってるけどさ」
「‥‥ウォルは刻みませんの?」
遠慮がちに、サクラが尋ねる。
「え? だってあれ、らぶらぶカップル限定だろ? 何かのお祝いついでに皆で寄せ書きするとか、そういうのだったらアリかもしんないけど」
そして、そのついでにこっそり刻む程度なら。
「サクラは相手いないの?」
無神経なお子様だな、オイ。
「‥‥気になってる方はおりますが‥‥もし良ければ‥‥一緒にどうですか?」
「オレと? なんで?」
いや、なんでって訊かれても。
「‥‥それとも‥‥私がお相手では‥‥嫌です‥‥か? 私はウォルとなら平気です‥‥いえ‥‥貴方とが‥‥良いです」
「‥‥やっぱサクラって変な奴だな」
ウォルは困った様に頭を掻いた。
「どうしてもってんなら、付き合ってやっても良いけどさ‥‥どっちにしろ来月とか、もっと後の話だぜ?」
「あ‥‥そ、そうでした‥‥わね」
とりあえずOKは出た様だが‥‥どうも今ひとつ、意図と言うか、想いが伝わっていない様な‥‥まあ、仕方がないか、まだお子様だし。
「ここはとりあえず一緒にアレしておいて、後でその意味に気付かせる‥‥という展開も良いのでは?」
ラブ臭を嗅ぎつけたのか、いつの間にか隣で聞いていた綾葉がサクラの耳元で囁いた。
「きっと、とても面白い見物になると思います‥‥楽しみですね」
くっくっく‥‥。
さて、村で過ごす、とりあえずは最後の日。
「風呂の拡張の方も、何とか終わりましたし‥‥これは、ここで良いですか?」
クリスから入浴法を説明する案内板を受け取ったルーウィンが、脱衣所となっている個室の壁に掛けた。
子供達にも理解して貰えたその案内板は、文字の読めない大人が見ても判って貰えるだろう‥‥見る気さえあれば。
「大丈夫‥‥だと思います。暫くは子供達も手伝ってくれるって、言ってましたから‥‥」
エスナが言った。
「湯着も随分作りましたから、村の外から来られる方が増えても当分は賄えそうですわ」
と、クリス。商売として営業を始める際には、この何倍もの数が必要になるだろうが‥‥
「そうだ、今から村の人達に作っといて貰えるように、頼んどこうか? 布だって、そんなにいっぺんに多くは手に入らないだろうし、買い占めとかしちゃっても他の人が困るだろうからさ」
「村の人も、機織りや裁縫くらいは出来るだろうし、良いんじゃない?」
ウォルの提案に、デメトリオスが頷く。
「作って貰ったのを、おいら達で買い取っても良いかな。開業資金で賄えるだろうし」
「うん、後は桶も増やしといて貰って‥‥」
問題は、それらをきちんと使って貰えるかどうか、だが。
「村の人間で率先して使って、『なんとなく使う』空気を作っていけばいいのではないかしら?」
「‥‥後は‥‥使わざるを得ない雰囲気にしてしまう、とか‥‥でしょうか」
「って、どんな?」
「‥‥先日、浴槽にハーブを入れてみたのですが‥‥流石にそこで体を洗おうという気は起きなかった様です」
本当は薔薇風呂を試してみたかったのだが。
「‥‥本格的に栽培が出来るなら、期間限定で色々とやってみるのも良いかもしれません」
「あ、こないだ作ったジャムとかお茶とか、お土産にしても良いしな」
構想は果てしなく広がる。
だが‥‥交流が拡大するのは良い事だが、その分心配事が増えるのも確かだ。何か揉め事があれば、村は今まで以上に閉鎖的になってしまうかもしれないと、クリスの胸に小さな不安がよぎる。
「心配しすぎなら良いけれど‥‥少し気にかけてあげてね」
「わかってるよ、オレだって時々は様子見に来るし‥‥これでも責任者なんだから」
「そうでしたわね‥‥」
サクラが言った。
「それでは、責任者さんが今までの経緯と現状をどう纏めたのか、聞かせて頂きましょうか」
「ええ!?」
「ボールス様に報告する際の練習代わりにもなるでしょうし」
「そんな、急に言われても‥‥っ!」
狼狽える様子を見ながら、それでも確かに、ウォルにも変化はあった様だとマイは思う。‥‥まあ、自覚はない様だが。
(「‥‥この村で始まった変化は、少しずつ周りに影響して‥‥、良い変化ばかりになるかどうかは努力次第ですけど、本当にこの国全体に影響を与える日が来るかも知れませんね」)
「これから、時間をかけて発展していってくれるといいな」
デメトリオスが言った。無理のないように、急ぎすぎて躓く事のないように。
「そのために協力できることは、今後もやっていきたいけど‥‥」
「あの、再開後に役立つよう、今までしてきた試算や調査の取りまとめ‥‥しておきました。温泉で出せそうな料理なんかも‥‥」
エスナが分厚い資料を差し出す。
「だから、また‥‥協力させて、ね?」
「ああ、冬頃には建物も出来てるだろうからさ、また頼むな?」
ウォルは一同を見渡す。
「ええ、また頭撫でに来ますね♪」
と、綾葉。
「だから‥‥っ」
お馴染みの声が村じゅうに響き渡る中、エリスはひとり呟く。
「あとはこの村から優れた錬金術師が生まれるのを楽しみに待つのみですね‥‥」
それは、どうなんだろう‥‥。
まあ、とりあえず今は静かに見守ろう。村と、そして責任者殿の成長を。