幻夜〜前編

■シリーズシナリオ


担当:立川司郎

対応レベル:3〜7lv

難易度:普通

成功報酬:1 G 64 C

参加人数:6人

サポート参加人数:-人

冒険期間:12月15日〜12月20日

リプレイ公開日:2004年12月22日

●オープニング

 何時の間にか、周囲に霧が立ちこめていた。どこで道を外れてしまったのか、自分たちは見たこともない場所を放浪していた。
 真っ白い霧が木々を包み込み、右を見ても左を見ても民家や道らしきものが見えない。空を見上げてみるが、霧のせいで星は見えなかった。どうやら日が暮れてきているらしく、次第に森は薄暗く‥‥闇に包まれていく。
 どこからか、遠吠えが聞こえる。霧を吹き流す風に混じって、甘酸っぱい刺激臭がうっすら漂っていた。これはこの周辺に漂っているようだ。恐らく木の臭いか何かだろう。
 獣が居るのかもしれない。このままここで野宿する方がいいのだろうか。
 その時、遠くに明かりのようなものがうっすら灯った。
 幻覚か?
 ここで立ち止まるか?
 いや、ここに居ても仕方ない。ゆっくり明かりに向かって歩き出す。その明かりは、近づいていっても消える事は無かった。光が、目の前に現れる。
 白く輝く霧の中からぬうっと現れたのは、一軒の館であった。
 こじんまりとした二階建ての、白い館が深いの森の中にぽつん、と立っている。よく見ると、道が家の前に延びている。この道を辿れば、元の街道に戻れるかもしれない。
 しかし‥‥。
 夜は更けていく。
 迷った末、ドアを叩いた。
 しばらくして、ドアがゆっくりと開かれた。細い手がドアノブを握っている。
「‥‥どなたかしら?」
 一人の女性が、見上げている。黒い東洋の衣装を着た、東洋の女性だ。黒い髪に黒い瞳‥‥とても整った顔立ちをしている。どこか不思議な雰囲気を漂わせていた。
 彼女は、すうと微笑してあなた達を館の中へと導いた。
「そう‥‥道に迷ってしまったの。ここは一年中霧が立ちこめる森‥‥道に迷う方も、よくおいでですわ。さあ、どうぞ一晩休んでお行きなさいな」
 部屋に足を踏み入れると、ふわりと女性は歩き出した。二歩‥‥歩いて、ぴたりと止まった。
「そう、私の名前を名乗っていませんでしたわね。‥‥私は八重と申します。一人暮らしだから満足なお世話が出来ないかもしれませんが、それでもよろしいかしら?」
 こくりと頷いたあなた達に、八重は静かに頭を下げて手を奥に差し出した。
 さあ、どうぞ‥‥暖かい暖炉の側に。
 今夜はきっと、あなたのなつかしい夢が見られるわ。ここに来る方は、みんなそう‥‥あなたがの望む夢が、きっと見られる‥‥。

●今回の参加者

 ea1807 レーヴェ・ツァーン(30歳・♂・ファイター・エルフ・ノルマン王国)
 ea3062 リア・アースグリム(27歳・♀・神聖騎士・人間・ノルマン王国)
 ea4284 フェリシア・ティール(33歳・♀・ナイト・人間・ノルマン王国)
 ea4526 マリー・アマリリス(27歳・♀・クレリック・エルフ・ノルマン王国)
 ea4820 メディクス・ディエクエス(30歳・♂・神聖騎士・人間・神聖ローマ帝国)
 ea6332 アヴィルカ・レジィ(16歳・♀・ウィザード・エルフ・ビザンチン帝国)

●リプレイ本文

●霧の中の一軒家
 まとわりつくような湿った霧から解放され、室内に足を踏み入れると空気は一変した。暖炉の温もりが屋敷の中を包み込んでいる。最後に入ってきたアヴィルカ・レジィ(ea6332)は、八重と目が合うと軽く礼をした。しかし口をきくこと無く、すう、と暖炉の前に行く。
「突然お邪魔してしまって、すみません」
 マリー・アマリリス(ea4526)が八重に笑顔で話しかけると、八重は奥からカップを出しながら首を振った。
「いいのよ、気にしないで。さあ、お茶をどうぞ」
「頂きます」
 マリーはカップを受け取り、皆にも催促するように振り返った。アヴィルカは一言八重に礼を言い、カップを取る。ふ、と見ると暖炉の脇で、リア・アースグリム(ea3062)が外套を脱いで自分の体をあちこち見下ろしていた。
 その脇に視線をやったレーヴェ・ツァーン(ea1807)が、ぐい、と二の腕を掴む。
「リア、怪我をしているぞ」
「‥‥ここでしたか。すみません」
 どこか腕の辺りに怪我をしている感触はあったのだが、どうやら依頼で闘った時についたものらしい。リアは椅子に掛けると、傷口をさらけ出した。傷はそれほど深くは無く、治癒の魔法を掛けなくともしばらくすれば治る程度だ。
 レーヴェは、改めて自分の格好を振り返る。自分は怪我をしていないが、皆大なり小なり怪我や擦り傷を作っているようだった。
「あなた達は、どこから来たの?」
 森を抜けてきたにしては、格好や傷の具合が妙だ。八重がそう聞くと、マリーが答えた。
「私たちはパリの冒険者ギルドの依頼を受けて、ここを通りがかったのです。依頼の帰り道に森を抜けようとしたのですが、迷ってしまったみたいで‥‥」
 マリー、そしてレーヴェもアヴィルカもエルフだ。森には決して疎くは無いはずなのだが、これほど霧が濃いとは予想していなかった。
 八重に依頼の話をするマリーを微笑を浮かべて見つめるメディクス・ディエクエス(ea4820)を、フェリシア・ティール(ea4284)がため息をもらして見やる。神聖騎士じゃなかったのかしら、と聞くフェリシアに、メディクスが答えた。
「綺麗な人だ。‥‥おまけに、一人だ」
「‥‥でも、こんな所に一人で暮らしているなんて‥‥妙だと思わない?」
 こんな深い霧の森に、一人で住んでいるのだろうか。使いの者一人居る様子がない。
 すう、と彼女がこちらを見た。軽くフェリシアが会釈する。すると八重がほほえんだ。
「今日はごゆっくりお休みください。きっと、いい夢が見られます」
 ここは、そういう所なの‥‥。

●物言わぬ躯
 先ほど外で剣の素振りをした後から、ずっと意識がぼんやりしていた。すぐにベッドに入ると、闇に引きずられるように眠りについた。隣のベッドに寝ているマリーは、しっかりとクロスを握りしめていた。微かにうめき声が聞こえた気がする。
 何か嫌な夢でも見ているのだろうか。
 夢が見られる‥‥と言った。リアには、見たい夢など無い。見るとすれば、辛い過去しか無いから。
 何の臭いだろうか‥‥先ほどからずっと、臭いがする。何かの刺激臭が‥‥いや、これは‥‥。リアが静かに目を開くと、リアの目の前に地面があった。
 ここは? リアが起きあがろうとすると、辺りから悲鳴が聞こえてきた。剣を取って闘うか、仲間を避難させるか、何故かリアの脳裏に浮かばない。視線を背後に向けると、凶悪なオーガ族の姿が数体、そこにあった。
 お父さん、どこ?
 体を起こそうとしたが、恐怖でリアの体は硬直したまま、動かない。奴らが迫って来る‥‥。リアがようやく体を起こすと、その影はもうすぐそこに迫っていた。
 父は何処に? 弟は‥‥。リアが駆け出すと、後ろから巨体が影を落とした。殺されるのは嫌だ! リアは必死に走った。一瞬、影の動きが止まる。何故かは考える暇が無い。聞き慣れた声が、悲鳴となって耳に入ってきた。
 リアが足を止めて振り返ると、自分のすぐ後ろに父の姿があった。リアを庇うように立ちふさがった父は、戦士でもなければウィザードでもない。戦う力は何一つ持っていない、単なる学者だった。
 その腕で、あの巨体のモンスターに立ち向かえるはずがない。無惨に血を吹く父の体を目の当たりにして足は凍り付き、地面に杭うたれたようにその場に立ちつくしていた。
 巨体がリアの腕に手を伸ばす。それでもリアの視線は、父の物言わぬ躯に向けられていた。弟の泣き声が、どこかで聞こえている。
 リアの脳裏にぐるぐると、時のとまった父の冷たい表情が回っていた。せめて、この子は守らなければ‥‥。弟は、この私が‥‥。そう思う心がまだ暖かく体を支えていたからなのか、それとも何かを必死に掴もうとしていたのか、リアはしっかりと胸元を抱きしめていた。
 リアが目を覚ますと、開け放たれた窓から風が吹き込んでいた。じっとりとした霧が、差し込んでくる。リアの胸元には、もう物言わぬ弟の体は無かった。ゆっくりと体を起こすと、リアはまだ夢の中の感触が残る自分の胸元を見下ろし、ぎゅっと膝を抱えた。

 どこかで泣き声が聞こえる。重い瞼を開いて頭を右に向けると、向こうのベッドにリアが起きあがっていた。泣いていたのは彼女のようだ。膝を抱え込んで、泣き声を上げていた。あんな風に感情をあらわにしている彼女を、マリーは見たことが無い。
 彼女に一言声を掛けてやりたかったが、瞼がとても重い‥‥。
 何だろう、疲れが溜まっているからなのか。彼女の泣き声が、気になって仕方なかった。胸元にしっかりとクロスを握りしめ、再び眠りにつく。
 どうか神よ、彼女にひとときの安らかな眠りを‥‥。
 リアの泣き声は、あの子供達の声に似ている。とても孤独で寂しそう。
 エトワール・ダルジアン(エーデルワイス)の花が咲き誇る、夏の日の‥‥あの日に、泣いていた。あれは、マリーがまだ少女の頃だ。エルフであるマリーが少女の頃といえば、人の時では二〇年も前の話になる。
 時は過ぎていっても、何も代わりはしない。変わったのは、マリーの金色の髪の毛は長くのばされる事が無くなった‥‥というだけで。
 あの日の思い出とともに、マリーの髪はぶっつりと切られた。切っても切っても髪は伸び、記憶も鮮明に思い出される。忘れるつもりが無い‥‥のだろう。
 泣いていた。恐怖と悲しみで。
 たまに訪れた旅人を歓迎するのが、過ちだろうか? たとえ見知らぬ者であろうと、あんな山深いのどかな村にも、死臭が忍び寄るとは、誰が予想するだろうか?
 マリーが少し目を離した間に、平和な村の一夜は変化していた。
 熱を出した子、寝付けない子、看病している子‥‥。彼女がささやかな暖かさをゆだねた孤児院は、もう安らかな居場所ではなかった。見知らぬ旅人が訪れた晩、突然死者“アンデッド”が起きあがるとは‥‥誰が予想するだろう。
 こんな小さな、聖なる母の慈悲に包まれた村にでも、戦いは絶えないのだ。いつどこから忍び寄るかわからない。マリーは、吹き付ける風に揺れる髪を手でなでつけ、天を仰いだ。ぷっつりと金色の絹糸が断ち切られ、マリーの肩をするりと舞い落ちていった。

●別れと出会いと
 部屋の隅に、誰か立っている気がする。
 夢だろうか?
 そうっ、と白い髪を揺らし、アヴィルカはベッドから起きあがった。体がやけに軽い気がする。‥‥夢かもしれない。ベッドからはい出すと、アヴィルカは隣を見た。フェリシアは、静かな表情で眠りについている。何かいい夢でも見ているのだろうか?
 裸足で歩き出すと、部屋の端に向かって歩いた。近づくと、次第に影がはっきりとしてくる。時がさかのぼった気がした。アヴィルカは、駆けだした。
 いつの間にか、アヴィルカは部屋に立っていた影‥‥少年を追って、草原を駆けていた。幼い少年と幼いアヴィルカは野原を駆け、森に入り、川に飛び込んでどこまでも向かって、好奇心を満たした。
 幼いアヴィルカには、あの子と遊ぶのが何より楽しかったから、違う所があるとは思ってはいなかったのだ。
 そうして三年が過ぎた。少年は、少しからだが大きくなっていた。
 小さいアヴィルカは、少年の後を追って走った。少年の笑顔を見ているのが楽しかった。共に過ごすのが何より嬉しかった。ただ、時々アヴィルカと少年とでは、少し‥‥違う考え方や感情が芽生えてきているのは、感じていた。
 そしてまた三年。アヴィルカは、まだ小さいままだった。
 しかし、少年はあの頃とは見違える程たくましく大きくなっていた。アヴィルカが少し時を経た間に、少年の時間はあっという間に過ぎていた。少年はもう少年とは呼べなかったし、小さいアヴィルカと野山を駆け回るのが何より楽しい、と思う程には子供では無くなっていたから。
 少年は、エル・レオンを目指す、とアヴィルカにきらきらとした目で話してくれた。そうして彼は、アヴィルカの元から旅立っていった。
 人とエルフとでは、生きる時が違う。どんなに大切な人であっても、彼らはエルフの三分の一の時しか生きられない。それは、つかの間の夢のようにあっという間に過ぎ去る、悲しい現実。
 八重のように一人で生きていく事も出来るのだ。しかし、結局自分は冒険者として、仲間と旅をしている。
 きっと自分は、まだ繋がっていたいのだろう。
 アヴィルカは、ぼんやりと天井を見つめながら、再び夢の中に戻った。

 夢を見る、と八重が言った。その言葉を、フェリシアは思い返していた。
 冒険者をしている位なのだ、きっと皆いい夢ばかりではあるまい。しかしアヴィルカは、うなされている様子は無い。いい夢を見られたのだろうか?
 ベッドに潜り込むと、フェリシアは瞼にある人を思い返していた。
 霧のせいだろうか、先ほどからずっと意識がぼんやりしている。うとうとしては目覚め、またうとうとする‥‥その繰り返しだった。月あかりが、窓から差し込んでいる。すう、と視線を窓に向けると、フェリシアはいつの間にか白い部屋の中に居た。
 懐かしい部屋だ‥‥。そっと部屋を歩き回る。これはきっと、夢なのね。
 フェリシアは部屋を一回りすると、ドアを開けた。
 階段を降りて暖炉の前の居間に向かうと、なつかしい顔がそこにあった。思わず笑みがこぼれる。フェリシアととてもよく似た、青年が立っている。ねえさん、と彼は呼んでこちらに歩いてきた。今日はとても顔色がいいわ、とフェリシアが言うと、彼は笑顔を返した。
 窓辺の椅子に彼を掛けさせると、フェリシアはその後ろに立って窓から外へと視線を向ける。涼しい風が吹き込んでくる。
 家を飛び出した事、病弱なあなたを置いていった事、家督相続から逃げ出した事。全て、弟とともに置いていった。そうフェリシアが言うと、彼は静かに首を振った。
 ねえさんの拳、見てみたかった。弟がそうフェリシアに言って笑った。まだあの事を覚えているの? 私の所に夜這いに来たあの男、あれからどうなった? 親戚の押し進めた婚約者を張り飛ばしたというのに、フェリシアは笑顔だ。
 全て置いて行った。だから、こうして顔を見られただけでも、フェリシアは満足だった。たとえ、夢であっても‥‥。
 あのね、あなたの事がずっと気になっていたわ。話しておきたい事があったから‥‥。私、大切な人が出来たの。女として見てもらえなくても‥‥それでもあの人の側に居られれば、幸せなの。彼を守りたい‥‥だから、もうあなたの事だけを思う事は出来なくなったのよ。ごめんなさいね。
 あなたが自由をくれたから、私はこうして彼と出会えた。だから精一杯生きて、あなたの幸せを祈っているわ。
 大切な、私の弟‥‥。
 意識がホワイトアウトする瞬間、彼は笑顔で頷いた気がした。

●そして夜が明ける
 メディクスが階下に降りてくると、丁度暖炉の前のテーブルに八重が食器を並べている所であった。まだ少し、頭がぼんやりしているが、目が覚めた時よりは意識が幾分はっきりしていた。
「‥‥お早いですね」
 メディクスが、やや掠れぎみの声を発すると、八重はにこりと笑った。
「よい夢が見られまして?」
 いつものように一言二言、彼女に言葉を投げかけようとして、メディクスは苦笑を浮かべた。
「ええ‥‥素敵な夢が見られました」
 それは良かった。そういう彼女のその笑顔は、どこか自分の心を見透かしている気がした。振り返ると、メディクスと同じ部屋で眠っていたはずのレーヴェが降りて来ていた。
 起こしただろうか? メディクスが聞くと、レーヴェは首を振った。
「いや、そうでは無い。‥‥普段見ない夢を見たものでな」
 レーヴェは、せわしなく動いて食事の用意をしている八重の様子を見ながら、メディクスとともに窓辺にゆく。外は、白い霧がたちこめていた。しかし、昨夜ほど濃くは無いようだ。
「これならば、どうやら迷わず道に戻れそうだな」
 ちら、とレーヴェがメディクスを見ると、彼は何か考え事をしていたのか、はっ、とレーヴェの方を振り返った。
「ああ‥‥そうだな」
「どうかしたか?」
「いや‥‥俺も普段見ない夢を見ただけさ」
 メディクスは肩をすくめると、テーブルの椅子を引いた。
 夢で弟が出てくるなど‥‥。彼は、メディクスとは腹違いの弟だ。
「あいつが小さい頃、父が連れてきた。あの頃はまだ‥‥良かったな」
 たとえ腹違いでも、自分の弟に違いは無い。小さな手は、頼りなげにメディクスの手を握り返してきた。この小さな手を、守っていきたいと思った。
「‥‥それなのに、俺は弟を傷つけた。恐怖に震える弟を助ける事が出来なかった」
 と、そこまで話してメディクスは笑った。八重にあんな目で見つめられたからだろうか。何故レーヴェに話しているのだろう。するとレーヴェは、笑いもせずに答えた。
「誰しも、恐怖に立ち向かえる程強い訳ではない」
「あんたも、そういう事があったとか?」
「私はそういった記憶は無い‥‥。過ぎ去った記憶といえば、昔の傭兵隊位のものだな」
「へえ、傭兵だったのか」
 メディクスが、声をあげた。確かに、戦い慣れした感じは受ける。
「レーヴェというのは、獅子の名だ。傭兵隊の中では、牙(ツァーン)という名を冠し者を率いる。皆種族も違えば、生まれも育ちも違う。‥‥単なる、より集めだ」
 その仲間も、今はどこで何をしているか分からぬがな。
 レーヴェは、静かな口調で話した。何故傭兵隊から冒険者に身を転じたのか、メディクスは聞かなかった。す、と視線を上げると、八重が脇に立っていた。
「過去は過ぎ去っていった記憶‥‥。今為さねば、永遠に辛い過去の記憶の繰り返し。過去は霧の中の夢のようなもの」
 ちらりと八重は階段に視線を向ける。
 良い夢が見られてまして?
(担当:立川司郎)