ギルフォードの迷宮4:その扉の向こうに

■シリーズシナリオ


担当:紅茶えす

対応レベル:3〜7lv

難易度:難しい

成功報酬:2 G 95 C

参加人数:8人

サポート参加人数:-人

冒険期間:12月06日〜12月13日

リプレイ公開日:2004年12月09日

●オープニング

 キャメロットから南西二日ほどの所にギルフォードという街がある。
 領主、紅茶男爵本邸の庭に出現した穴は、謎の迷宮へと繋がっていた。
 探索に向かった冒険者達によって持ち帰られた『鉄製の鍵』と『謎のプレート』。
「男爵様。ようやくプレートの解読が終わりました」
「御苦労‥‥ふむ、彼らを呼ぶ時が来たようだな」
 執事から報告書を受け取り、目を通した紅茶男爵はキャメロットへと使者を送ったのだった。

 ここは冒険者ギルド。
 冒険者達が仕事の斡旋を求めて集う場所である。
「仕事の斡旋か? 紅茶男爵様から依頼の使者が来ているぞ」
 冒険者ギルドのおやっさんが紅茶男爵の使者を紹介する。
「男爵家本邸の地下迷宮探索の依頼に参りました。こちらが依頼書です」
 使者が依頼書を提示する。

『冒険者諸君が発見したプレートの解読が完了した。
 おそらくは共に発見された鍵と関係があるに違いない。
 再び迷宮へと赴き、探索の続行を依頼する。
 依頼内容は、探索結果の報告をしてもらう事である。
 地下迷宮で発見された財宝は、発見者である冒険者諸君に所有権を認め、諸君に不要な財宝がある場合は、男爵家が正当な報酬を支払って引き取るものとする。
 探索期間は三日間(移動日を含む依頼期間は七日間)とする。
 ギルフォード男爵』

「そして、こちらがプレートを解読したものだそうです」
 使者がもう一枚、報告書を提示する。

『迷宮へと挑む1000の勇者達よ。
 101本の鍵を使い、謎を解き明かすが良い。
 死をも超越した10000の魔物が迎え撃つだろう。
 手始めに『鉄の鍵』1本を使い、地獄への扉を開くが良い』

「この依頼は、先日の依頼を引き受けて頂いた冒険者に依頼するよう仰せつかっておりますが、都合がつかない場合は他の冒険者にも依頼するよう言われております。
 ギルフォードまでは二日で到着できます。食料は用意してありますのでお持ちになって下さい」
 こうして、新たな依頼を受けた冒険者達。
 ギルフォードの地下迷宮には、何が眠るのだろうか‥‥?

●今回の参加者

 ea0021 マナウス・ドラッケン(25歳・♂・ナイト・エルフ・イギリス王国)
 ea0337 フィルト・ロードワード(36歳・♂・ナイト・人間・イギリス王国)
 ea0356 レフェツィア・セヴェナ(22歳・♀・クレリック・エルフ・フランク王国)
 ea0640 グラディ・アトール(28歳・♂・ナイト・人間・イギリス王国)
 ea0974 ミル・ファウ(18歳・♀・バード・シフール・イギリス王国)
 ea1402 マリー・エルリック(29歳・♀・クレリック・パラ・イギリス王国)
 ea3117 九重 玉藻(36歳・♀・忍者・人間・ジャパン)
 ea5592 イフェリア・エルトランス(31歳・♀・ナイト・人間・イギリス王国)

●リプレイ本文

 ギルフォード紅茶男爵本邸へとやってきた冒険者達。執事を伴い、男爵自ら出迎える。
「プレートから、その文字が何時頃、何処の国で使われていたのかなどが分かったなら教えてくれないかしら?」
「遺跡などから見つかる古代魔法語と呼ばれる文字との事だ。解読は出来たが、それ以上の事は分かっておらん。諸君の成果に期待しておるぞ」
 忍者の九重玉藻(ea3117)に尋ねられた男爵が答える。
 更に男爵の許可を得て、ギルフォードの地図を閲覧し、地下迷宮の地図と照らし合わせてみる玉藻。どうやら迷宮外壁の一辺がギルフォードを流れる川沿いに作られているように思える。
 迷宮地図の写し、プレート(イギリス語訳付き)、鉄の鍵を受け取り、各自装備を確認して迷宮へと潜る冒険者達。

「今回はこれに沿って外堀を埋めながら探索するのはどうかしら?」
 と言う玉藻の提案を取り入れ、入り組んだ迷路のような通路を進み、地図の続きとなる部分を探索していく冒険者達。
 気心の知れた仲間となった彼らは、自然と隊列を組んでいる。
「前回も何のための迷宮かわかんなかったな。こんなの無意味に作るわけもなし、情報が少なすぎだ。それとも‥‥まだ前哨に過ぎないのか? この迷宮自体が」
 探索用アイテムをバックパックの取り出し易い所に入れておき、シルバーナイフの柄に糸を結んでおくなどの工夫をして迷宮に挑むファイターのマナウス・ドラッケン(ea0021)。
「‥‥これだけの迷宮を何の理由もなしに造るとは考えられない、やはり、何か特別な理由があるのか‥‥?」
 相槌を打つナイトのグラディ・アトール(ea0640)。
「迷宮の存在意味は大体限られているものだ。修行の場、訓練場、強大な権力の象徴‥‥」
 そう推理するナイトのフィルト・ロードワード(ea0337)。彼が『鉄の鍵』を預かっている。
「オーガ系のズゥンビが財宝を守護するように配置されていたし、このプレートを見るかぎり人がこの迷宮を作ったのよね。これだけ大規模な迷宮なのに関連する文献が見つからなかったのも不思議よね。かなり古い時代の遺跡なのかしら? 相当な労働力と期間が必要だったはずだけど‥‥」
 ランタン片手に先頭を行くレンジャーのイフェリア・エルトランス(ea5592)。
「‥‥何にせよズゥンビ大量発生の原因が此処にはあるはずなんだよな」
「これでズゥンビがいなくなってくれるといいんだけど。なるべく早く楽にしてあげたいし」
 マナウスの言葉に続くクレリックのレフェツィア・セヴェナ(ea0356)。仲間達からはレツィアと愛称で呼ばれている。
 直接迷宮探索するにあたって、よほど気になるようだが憶測の域を出ない。現時点では明確な回答を得る術は無かった。

 探索中、ズゥンビゴブリンなどと遭遇する事もあったが、特に苦戦する事もなく、順調に進んでいると言えるだろう。
 ランタンの油で時間を計り、無理しないよう休息をとる冒険者達。
 なるべく進入路の限定された部屋を選び、念のため玉藻が鳴子を仕掛けておく。
 休憩中、プレートをいろいろ弄ったりしてみるマナウス。
「ただの鉄なのか‥‥? 案外地図の代わりとか、このプレート自体が何かの鍵とか在るかもしれないと思ったんだけどな‥‥」
 残念ながら、新しい発見は無かったようだ。
「プレートの内容は謎掛けみたいだから、迷宮の中の事を教えてくれる訳じゃないみたいだけど‥‥。わざわざ地獄なんて表現を使うんだから、何か大変な物が残ってるのかな?」
 それを見てバードのミル・ファウ(ea0974)が呟く。
「地図合わせ‥‥」
 ここまでの地図を他の者の地図と見合わせるクレリックのマリー・エルリック(ea1402)であった。

 探索三日目。
 迷宮地図もかなり完成に近づいている。
 そして冒険者達は、複数の鍵穴の付いた扉を発見した。
「初めて迷宮の製作者の意図が感じられる場所‥‥この先が興味深いわね」
 扉を調べるイフェリア。そして、ミル、玉藻、マリー。どうやら『鉄の鍵』が使えそうなのは間違いないようだ。
 また、扉の向こうに複数の何かが居る音を聞き取っている。
「こういうことは専門家に任せておくのが一番だ」
 調べるのは任せ、戦闘に備えておくフィルト。
 この複数の鍵穴、おそらくダミーが混ざっており、それに鍵を挿してしまえば何かしら罠が作動するに違いない。
「『手始めに鉄の鍵1本を使い』から一番下の鍵穴を開けるとすれば、1の数字の場所に鍵を使うのかな‥‥?」
 プレートの訳を見ながらグラディ。確かに鍵穴の配置は、上から四つ、三つ、五つ、一つとなっており、プレートの数字配置と同じだ。
 つまり、
 ●○○○(1000)
 ●○●(101)
 ●○○○○(10000)
 ●(1)
 黒丸が鍵を使う所ではないか、というわけだ。
「うん、それで良いと思う。僕も最初そうかなーって思ったし。ホントはそういうの考えるの苦手だから僕のだといつも不安がられちゃうんだけどね」
 少し恥ずかしそうにレツィア。
 鉄の鍵を使う前に、戦闘準備しておく冒険者達。
 前衛に『オーラパワー』を掛けていくフィルト。相手がこれまでに出現したアンデットならば最も有効な支援魔法のひとつである。
 『疾走の術』を掛けておく玉藻。
「頑張れ‥‥負けるな‥‥力の限り‥‥!」
 『グットラック』を掛けておくマリー。
 そして、謎解きに従って鍵を開ける!
 がちゃり!
 見事、扉が開いた!
「「「Zu‥‥!」」」
 中には宝箱を守るようにズゥンビ化したバグベアとバグベア闘士が配置されていた。
「お行きなさい! エリザベス!」
 突入と同時に『大ガマの術』でエリザベスを召喚し、仲間達の盾となるよう指示した上でバグベア闘士ズゥンビに突撃させる!
「どんな敵が来ようと、負けるわけにはいかない‥‥!」
 ノーマルソードを構え、前衛に立つグラディ。
「こっちは俺が専門家だ」
 先手必勝で攻撃を仕掛けるフィルト。
「ふう、なんだかどんどん上位のオーガが出現してるわね‥‥でも私は前衛の方達を信じて出来ることをするのみよ」
 敵の移動力を奪うため足を狙って『シューティングPAEX』を撃ち込んでいくイフェリア。
 玉藻自身はバグベアズゥンビを担当し、手裏剣での牽制攻撃に徹している。
「なんか、囮役をこなすのも難しいほど敵が強くなってきてるかも‥‥。まだ、何とかなるかな?」
 後衛に迫るバグベアズゥンビの前に飛び出し、ひたすら回避行動に専念するミル。
「神の力の元に‥‥朽ちよ‥‥!」
 敵を引きつけるミルと連携するマリー。バグベアズゥンビに『ピュアリファイ』でトドメを刺すことで、完全に消滅させていく。
「‥‥オーラリカバー!」
 ダメージを受けても自力で回復し、戦い続けるグラディ。
 勿論、レツィアとマリーも負傷した仲間にすぐさま『リカバー』を掛けて援護している。

 確実にバグベアズゥンビを倒し、受けたダメージを回復していく事で有利に戦いを進める冒険者達。残る敵もバグベア闘士ズゥンビのみとなった。
 シルバーナイフを『シューティングPA』で投擲し、バグベア闘士ズゥンビとの距離を詰めるマナウス。
「Zu‥‥!」
 バグベア闘士ズゥンビの攻撃を誘って『カウンターアタック』を狙う。避けきれないと判断し『デッドorアライブ』で受け止める!
 それでもなお大きなダメージを受けるが、同時に投擲したナイフと同じ所へ反撃を叩き込むのが狙いだ。流石に『シューティングPA』のようにはいかずナイフからは逸れてしまうが、それでも威力は充分だった。
「全方位武術外式:偽闘神‥‥即興だが悪くも無いだろう? 全方位武術師に死角は無いんだ」
 傷を押さえつつ、崩れていくバグベア闘士ズゥンビに言葉を掛けるマナウスであった。

「我が神‥‥セーラの名において‥‥今‥‥奇跡の力を‥‥!」
 マナウスに『リカバー』を掛けるマリー。他の負傷者も、レツィアと協力して全員完全回復させる。
 そして、調べることに長けたメンバーが部屋や宝箱を調査した結果、宝箱に仕掛けられた罠を見事に解除し、更に地下へと続く『隠された階段』を発見!
 念のため先を確認した所、まだまだ迷宮が奥深い事を冒険者達は予感した。プレートの『地獄』とは、この先のことだろうか?
「‥‥みんなが先に選んでいいよ。僕は余ったものから選ぶから」
 と言うグラディだが、残念な事に宝箱に入っていた大半の物は朽ちて使い物にならない状態だった。だが、発掘品としては紅茶男爵に喜ばれそうである。
 ポーションなど、利用可能な物を分配し、冒険者達は帰還することにした。

 出迎えた紅茶男爵の厚意により、ティータイムを共にする冒険者達。
「おお、地図も完成したようだな‥‥ん? 更に地下があると言うのか!?」
 地図に目を通し、冒険者達の報告を聞いていた紅茶男爵が興奮したように尋ねる。
「どうやら、これで終わりという訳にはいかないようです」
「おそらく、その先にもこの地図と同程度の広さの迷宮が広がっているだろう」
「それが何階層も続く可能性も出てきたな」
 グラディ、マナウス、フィルトが答えていく。
「まだたくさんのズゥンビが彷徨っているのかと思うと悲しいよね」
 そう言って紅茶をすするレツィア。
「‥‥どうして‥‥作られたとか‥‥いつ頃の建造物かなどは‥‥全く‥‥」
 いつものタメの多い口調で話すマリー。
「それにしても、迷宮のズゥンビ達って何かおかしいよね‥‥。上手く表現しにくいんだけど、都合よくオーガ系のズゥンビが下から順に‥‥なんて、誰かがそうなるように迷宮を作ったからだってしか思えないんだけど」
「封印や研究施設の防衛のためと言うより、侵入者そのものの実力を試す修練場のようにも思えるわね」
「ほほう、面白い推理だな」
 ミルとイフェリアの言葉に神妙な顔をする紅茶男爵。
「まずは、ここまで探索してくれた諸君に礼を言おう」
 席を立ち、全員と握手していく紅茶男爵。
「今後、この迷宮の処置はどうされるのかしら?」
 尋ねる玉藻。
「この迷宮を完全に調査するのは相当に大変なようだ。我が輩は、この迷宮を他の冒険者達にも開放し、調査を進めていこうと思う。今後も機会があれば、是非この迷宮の調査に参加してくれたまえ」
 紅茶男爵は、そう決定したのだった。
 ひとまず、迷宮探索にも大きな区切りがついたと言えるだろう。その後、冒険者達がどんな道を行くのか。それは冒険者達それぞれが決めることだろう‥‥。