●リプレイ本文
「天にまします我らが神よ、勇敢なる彫刻家と冒険者をお守り下さい」
祈りを捧げるクレリックのギルス・シャハウ(ea5876)。
「次はドラゴンって言ってたけど‥‥よりによって‥‥まぁ、なんだかんだ言って受けてるんだけど‥‥」
相手が相手だけに沈み気味なウィザードのロット・グレナム(ea0923)。
「先達曰く、飛行してる竜とは戦うな‥‥か」
兄から聞いた言葉を呟く浪人の御山閃夏(ea3098)。
「‥‥ドラゴンと戦うのは冒険者にとっての本懐。面白いじゃねぇか」
「相手に不足はねぇが、さて」
出来る限り情報収集をしておくファイターのリ・ル(ea3888)と、浪人の陸奥勇人(ea3329)。今回、重装備のリ・ルに代わってギルスの荷物を持ってあげている。
「フッ、最後の最後で選んだ相手がドラゴンか。つくづくありがたい依頼人がいたものだ。戦いたいと思ってもそうそう戦えない相手だからな‥‥」
不敵に笑うナイトのシュナイアス・ハーミル(ea1131)。
「良い色使いだな。何の準備だい?」
何やら色を塗っているナイトのミルク・カルーア(ea2128)に尋ねるガンツ。
「護衛に役立てようと思って」
美術センスを活かし、毛布や彫刻保護用の布を迷彩色に塗っていたのだ。
準備完了、出発だ。
「こんどの相手はドラゴンだ〜。飛んでて、でかくて、つっよいぞ〜♪
どんなに大きい敵だってパラの戦士は負けないぞ〜♪」
今日も陽気に歌うファイターのボルジャー・タックワイズ(ea3970)。リルも一緒に合唱している。
「今回は二人とも装備が違うからね! 今度はどうなるかな? 勝負だ!!」
またも休憩時間に模擬戦を始めるボルジャーとリル。
共に盾受けを駆使する見事な戦いぶり。重装備のリルの方が受けるダメージが少なく、またわずかに技量でもリルが勝ったようだ。
「生き残ったらまたやろうぜ、師匠」
お互い、今回の装備での戦い方は掴めたようだ。
大半の行程を荷車を引いて移動し、険しい所からは編んだロープを使って岩を担ぐ。
「これが最後の岩運びになるのかな」
そう呟くリル。
程なくして山頂付近に到着。おそらくウィングドラゴンの狩り場なのだろう岩場で準備する冒険者達。
「ここにしましょう」
戦いやすく、そして隠れられる場所があり、盾に出来るような障害物がある、といった様々な条件を満たす場所を確保するミルク。
「命あっての創作ですよ」
ロープを借りて命綱にしておくギルス。
ガンツにはミルク、ギルス、ロットがついて、迷彩をかけて身を隠す。他のメンバーのバックパックもそこに集めておく。中身を整理してポーションを取り出しやすいようにしておく閃夏。
そして、少し離れた場所で焚き火をしてウィングドラゴンを誘き寄せる作戦である。
「縄張り意識がありゃあ大抵は引っ掛かると思うが」
昇っていく煙を見上げる勇人。
程なくして。
「来たか‥‥オーラエリベイション!」
殺気感知に長けたシュナイアスが上空から一直線に飛来するウィングドラゴンに気付き、オーラを発動させる。
「来やがったな。死か名声か、だ。いくぜ」
正面から迎え撃つリル、閃夏、シュナイアス。
「なるほど。この間の梟よりもデカイか。さすがドラゴンだな」
側面に回る勇人、ボルジャー。
「ShaGyaaaッ!」
ウィングドラゴンの『ランディングアタック』!
標的はシュナイアスだ! 全体重の乗った一撃を辛うじて盾で受ける!
「ドラゴンが強いかパラの戦士が強いか勝負だ!!」
ボルジャーが叫ぶ!
そのまま着陸したウィングドラゴンを囲んで防御姿勢になる冒険者達。
大きく羽ばたいて暴風を巻き起こし、ホバリングし始めるウィングドラゴン!
「これが‥‥ドラゴンの‥‥力っっ!」
風に飛ばされまいと必死に踏みとどまるリルと冒険者達。
更に少し旋回したウィングドラゴン! ボルジャーと勇人に『フラップストーム』!
ボルジャーが後方へ吹き飛ばされる!
何とか持ちこたえた勇人には更に爪が襲いかかる!
「さすがに手強さも一味違うな。へっ、面白いじゃねぇか」
『オフシフト』で見切る!
「大きくてもおいらは負けないぞ!!」
体勢を立て直し、再び接近していくボルジャー!
「すげぇ‥‥創作意欲が湧いてきたぜ‥‥」
まだ隠れつつ、抑えきれない様子のガンツ。
再び首を巡らせたウィングドラゴンが息を吐く!
それが真空刃となって閃夏を襲う!
重傷を負った閃夏を下がらせ、立ちはだかるリルとシュナイアス。
「こっちだ、こっち。その爪で捕らえられるかどうかやってみな!」
「さあ、ドラゴンめ。お前の相手はこっちだぞ!」
引きつけようとする勇人とボルジャー。
「これくらいじゃ倒れてられない‥‥帰ったら誕生日のお祝いするって‥‥約束したんだから‥‥!」
恋人との約束が閃夏の気力を保たせていた。
「神様とガンツさんがじ〜っと見ています。頑張って下さい!」
最大の『リカバー』を掛けるギルス!
「俺達も行動開始だ!」
ガンツとミルクが彫刻用の岩へ移動し、彫刻を開始する。充分に離れていてもウィングドラゴンが巻き起こす風が髪を逆立たせる。
「白き神よ、勇気ある者を守りたまえ!」
『ホーリーフィールド』を掛けるギルス。
やがてホバリングしていたウィングドラゴンが着陸する。巨体を支えてのホバリングアタックは長時間は使えないようだ。
「さぁ、切り札を使わせたここからが勝負だ!」
いつでも魔法を撃てるようにしておくロット。
何度もホバリングと着地を繰り返すほどの間、ガンツの要望を聞き入れてウィングドラゴンを誘導しつつ、冒険者達は見事に戦い抜いた。
「父と子と精霊の御名において、お願い、止まって!」
距離を保ったまま、最大の『コアギュレイト』で援護するギルスのおかげで、随分時間を稼ぐことができたのも大きかった。
そして、再びウィングドラゴンがホバリングしている最中、
「ありがとう、みんな。無理させちまったな。ここまで出来れば後は大丈夫だ!」
ガンツのゴーサインと同時にミルクの『オーラショット』がウィングドラゴンに炸裂する!
「蒼天二刀流と戦った証、その体に刻み込んでやる!」
ハルバードを振るい、攻勢に出るリル!
盾を捨て、ライトハルバート二連撃を仕掛けるボルジャー!
囮に徹しつつも、隙を見て刀で斬りつけていく勇人!
「裂波!」
刀とフランベルジュによる『ダブルアタック』を仕掛ける閃夏!
「前より成功率が上がってるんだ‥‥ま、それでも分の悪い賭けだけど」
最大威力の『ライトニングサンダーボルト』を放つロット!
「切り札ってのはな‥‥最後まで取って置くものなんだよ!」
更に高速詠唱の『ライトニングサンダーボルト』で追撃!
「Gaaaッ!」
なおもホバリングアタックを仕掛けてくるウィングドラゴン!
剣も盾も捨て、ラージクレイモアを取り出して肩に担ぐようにし、ウィングドラゴンを見上げて薄く笑うと『オーラパワー』を掛けるシュナイアス!
「竜の力、存分に堪能した。楽しませて貰った礼だ! 受け取れ!!」
ウィングドラゴンの爪を『デッドorアライブ』で受けての『カウンターアタック+スマッシュEX』が炸裂!
更に、刀に『オーラパワー』を掛け、突撃してきたミルクの『チャージング+スマッシュEX』!
「Gyaaaーッ!」
断末魔と共にウィングドラゴンが墜落する。
その後も暫くの間、ガンツの彫刻する音が山に響いていた。
戦闘で受けた傷は、ギルスの『リカバー』によって全員全快することができた。
「パッラッパパッパ! おいらはパラっさ!!
パラッパパラッパ! おいらはファイター!!」
彫刻の音に合わせて、ちょっとへたっぴぃだが歌い踊るボルジャー。
そうして大雑把に出来上がった彫刻は、まだ仕上げ前だと言うのに動き出しそうな雰囲気さえあった。
「これなら、俺らも命張った甲斐があるな」
彫刻を撫でる勇人。
保護用の布を被せ、冒険者達は無事帰還した。
「本当に有り難うよ。じっくりと最高の作品に仕上げるぜ」
ガンツは最高の笑みを浮かべて、冒険者達と握手を交わしていく。
「正直言って、最初は彫刻に命まで懸けるのはどうかしてると思ったけど‥‥考えてみれば、俺だって冒険者として夢の為に命懸けてるんだよな。だからさ、また何かあった時は力を貸すよ。‥‥あ、もちろん依頼料は貰うけどな」
「‥‥あんたの持ち込んだ依頼は俺としても楽しかった。また何かやる気になったら声を掛けてくれ」
そう言って笑うロットとシュナイアス。
「また、どこかで会えたらいいね」
「色々あったが、結構面白かったぜ。また何かあったら声を掛けてくれよ」
続いて閃夏と勇人。
「助手も護衛も、必要な時は呼んで下さいね」
「ガンツさん、これからもがんばってね!!」
そして、ミルクとボルジャー。
「僕達はたとえ離れていても、あなたの活躍をじ〜っと見守っていますからね、じ〜っと」
ニッコリと笑顔で返すギルス。
「ガンツさん、あんたも含めて、みんな最高の仲間だったよ」
道場の子供達にいい土産話が出来たと喜び、全員に握手を求めるリル。
ウィングドラゴンを倒した。それは大きな自信となって冒険者達の心に刻まれただろう。
彼らも英雄の仲間入りをしたと言っても過言ではあるまい。
ガンツと冒険者達の未来に栄光あれ!