新ギルフォード戦隊6『野望の男』

■シリーズシナリオ


担当:紅茶えす

対応レベル:7〜13lv

難易度:やや難

成功報酬:5 G 1 C

参加人数:8人

サポート参加人数:2人

冒険期間:05月23日〜05月29日

リプレイ公開日:2005年05月26日

●オープニング

 キャメロットから南西二日ほどの所にギルフォードという街がある。
 街の周辺には農耕や狩猟を中心とした小さな村が点在しており、森林地帯が多い。
 領主である紅茶男爵の方針で、森林開拓や街道の整備に力を入れているのが特徴のひとつである。
 道を作るのに必要な物のひとつが『石』だ。

 カブト山賊団インセクターの秘密アジトにて。
「ヘラクレス様! その傷は‥‥!」
「切り札のスコーピーを使ってなお、ようやく一人‥‥しかも余に手傷を負わせるとは、ギルレンジャーZ‥‥侮れぬ敵よ」
「多くの怪人、テシターを失った今、インセクターは‥‥」
「何を言う気だ? クインビーよ。インセクターは余ある限り不滅」
「どうあってもギルレンジャーZと決着をつけると‥‥。ならば、私も、私もお供します! もう弓も握れぬ身ですが‥‥」
「良かろうクインビー。今一度、余の勇姿を間近で見物するが良い。何も心配は要らぬ」
「ヘラクレス様‥‥」
 愛しき男の腕に抱かれ、しかし彼女は、ある決意を固めていた。
「テシター総員に告ぐ! 我らが宿敵ギルレンジャーZを倒さねば、インセクターの明日は無い! 出陣!」
「「「ゴキーッ!!」」」

 採石場。そこは様々な用途に使われる石を削りだすギルフォード重要地点のひとつ。
 その採石場は、再び現れたヘラクレス率いるインセクターに占拠された。
 始まりの決戦の地にして、最後の決戦の地として‥‥。

 ここは冒険者ギルド。
 冒険者達が仕事の斡旋を求めて集う場所である。
「諸君、事件だ!」
 いつもと違う口調で冒険者ギルドのおやっさんが依頼書のひとつを見せる。

『ギルレンジャーZ宛
 再び、採石場がヘラクレスと名乗る輩と、覆面をしたヤツらに占領されてしまいました。以前現れたクインビーという女もいます。
 ヘラクレスは、ギルレンジャーZと決着をつけると息巻いています。どうか、ヘラクレスを打倒し、採石場に平和を取り戻して下さい!
 ギルフォード採石場責任者ロック』

「ついに最後の決戦を挑んできたようだな‥‥。
 敵はギルフェンリルが死んだものと思っているに違いない。だが、今こそギルレンジャーZの底力を見せる時だ! 諸君の健闘を祈る!」
 冒険者達を励まし、送り出す冒険者ギルドのおやっさん。
 ヘラクレスを倒し、採石場に平和を取り戻すことが出来るのだろうか!?

●今回の参加者

 ea0263 神薙 理雄(28歳・♀・志士・人間・ジャパン)
 ea1442 琥龍 蒼羅(28歳・♂・志士・人間・ジャパン)
 ea2634 クロノ・ストール(32歳・♂・ナイト・人間・イギリス王国)
 ea2699 アリアス・サーレク(31歳・♂・ナイト・人間・ノルマン王国)
 ea3468 エリス・ローエル(24歳・♀・神聖騎士・エルフ・イギリス王国)
 ea3991 閃我 絶狼(33歳・♂・志士・人間・ジャパン)
 ea5322 尾花 満(37歳・♂・ナイト・人間・ジャパン)
 ea5984 ヲーク・シン(17歳・♂・ファイター・ドワーフ・イギリス王国)

●サポート参加者

逢莉笛 舞(ea6780)/ 巫覡 彌涼(eb0832

●リプレイ本文

「遂に最後の戦いが来ましたね。皆さん心して掛かりましょう」
 気を引き締める神聖騎士エリス・ローエル(ea3468)。
「此処で負けたら今までの戦いが無駄になる。負けるわけにはいかんな」
 クインビーの存在にも注意を払う志士の琥龍蒼羅(ea1442)。
「最後の決戦か、ケリをつけてやるぜ」
 同じく志士の閃我絶狼(ea3991)。
「インセクターの怪人達‥‥いずれ劣らぬ強敵であった。だが、その戦いも今日で終わる‥‥否、終わらせる」
 太刀を背に、大鎧を纏った浪人の尾花満(ea5322)。
「教えられない事も無いけど‥‥」
 何やら彌涼に頼み込んでいるのは志士の神薙理雄(ea0263)。これも何か重要な準備だろうか。
「ついに最後か‥‥必ず勝利しこの地に平和を取り戻す!」
 強く決意するナイトのクロノ・ストール(ea2634)。
「悔いのないよう思い切り戦ってこい」
 舞に見送られ、出動する冒険者達。

 採石場付近の避難所にて。
「今日で皆さんの手当も最後となるのでしょうか」
 怪我人に『リカバー』を掛けるエリス。
「「「そうなるよう、頼むぜ!」」」
 口々に励ましの言葉をかけ、冒険者達を送り出す人足達であった。

 採石場。背を向けて崖の上に立つ複数の影!
「悪を浄化する聖なる炎、ギルフェニッス参上です!」
 マントを翻し、指差すエリス!
「ギルフェンリルの分までお相手致そう‥‥受けよ我が牙、ギルタイガー!」
 太刀を片手に構え、見得を切る尾花!
「魔斬の閃剣ギルパンサー! 悪を滅しにただいま参上! 貴様らの野望、ここで砕かせてもらう!」
 絶狼が!
「黒き翼は刹那にて、悪を切り裂く一陣の風。黒翼の風ギルレイヴン!」
 蒼羅が!
「蒼き隼! ギルファルコン!」
 そしてクロノが、威風堂々名乗り、『オーラエリベイション』を発動させる!
「男のメンバーが減ったからって喜んでないぞ‥‥多分」
 ぼそっと呟くファイターのヲーク・シン(ea5984)。
「愛・戦士ギルスタリオン参上!」
 ヘビーヘルムに無理矢理くっつけた駿馬の被り物が凛々しい!?
 最後に、古今和歌集を手に十二単を纏い、厳かに登場したのは!
「たとえ何人倒れようとも、この地を守る戦士が尽きる事は有りませんのね。新たなる戦士、ギルホークですの」
 そう言って鷹を紹介する理雄!
「さぁ、お行きなさいギルホーク‥‥って、痛っ! 引っ掻かないで下さいの〜〜。キャ〜〜何処突っついてますのね〜〜〜このエッチ〜〜!!」
 どうやら、まだ懐いていないらしい‥‥。
 気を取り直し、
「暗雲切り裂く正義の刃!」
 槍に『オーラパワー』を掛け、合図するクロノ!
『我らギルフォード戦隊! ギルレンジャーZ!』
 声を合わせて叫び、両手で『G→Z』の文字を作るキメポーズ!
「ギルレンジャーZよ、苦し紛れの増員が鷹とは笑わせてくれるが、ここまで我がインセクターを苦しめた事、誉めて遣わす」
 ハルバードを構えるヘラクレス!
「「「ゴキーッ!」」」
 それに呼応し、テシターがバク転しつつ冒険者達を包囲する!
「どいて貰います。ギルチャージ!」
 『チャージング』を仕掛けるギルフェニックス=エリス!
「最早雑兵で止められる我々では無い! 衝撃よ、薙ぎ払え! ファルコン・インパルスッ!」
 『ソードボンバー』で薙ぎ払うギルファルコン=クロノ!
(「‥‥クインビーの奴、怪我が治ってないようだが何をしに? ‥‥もしや対ギルスタリオン用トラップ?」)
 『ローリンググラビティー』でテシターを転がしつつ、警戒するギルパンサー=絶狼。
「やっぱりこの格好じゃ動けませんのね‥‥返り咲きの紫電華・ギルバイオレット! オリエンタルパワーで魅惑の華を咲かせたり!!」
 和歌集を捨て、十二単も脱ぎ捨てるエリス!
 現れたのは露出度の高い踊り子の衣装!
「「「ゴキ‥‥ッ」」」
 生唾を飲むテシター。
「その程度でテシターを魅惑できると思って‥‥?」
 艶めかしいナイスバディを誇示し返すクインビー!
 テシターとギルスタリオン=ヲークの視線が二人の間を行ったり来たり‥‥。
「「「ゴキ〜〜♪」」」
 数名はギルバイオレット=理雄にメロメロになってしまったようだが、ほとんどの視線はクインビーへと止まった!
「ギルスタリオンまで‥‥っ!」
「だって大きい方が‥‥」
 ギルスタリオン=ヲークの言葉にテシターも頷いている。彼らに冷たい視線が突き刺さる!
「許せないですの!」
 キレて暴れ出す彼女を敵陣へ誘導‥‥ああ、テシターが蹴散らされていく。

「雑魚が何人来ようと無駄な事は承知であろう。さっさと出てくるがよい」
 太刀を両手持ちに構え直し、ヘラクレスを挑発するギルタイガー=尾花。
「最早テシターでは傷一つ与える事が出来ぬほどに成長したか、ギルレンジャーZ。だが、余ある限りインセクターは不滅なのだ!」
 突進してくるヘラクレス!
「荒ぶる力のみで世を制しようとする貴様の野望もここまでだ!」
 仲間達と陣形を組むギルファルコン=クロノ!
「我が大地より召すは闇を穿つ破邪の閃光‥‥ギルブレード!!」
 剣を捨て『クリスタルソード』を発動させるギルパンサー=絶狼!
「以前改心すると仰っていましたが、どうでしょう? この辺で別の道を進まれては?」
 クインビーを牽制しつつ、説得を試みるギルフェニックス=エリス。
「それは貴方達次第よ。貴方達にヘラクレス様を変える力があるとでも言うの‥‥?」
「勿論あるわ‥‥!」
 そう言って、ヘラクレスと対峙する仲間達を見遣るギルフェニックス=エリス。

「余の前に屈するが良いギルレンジャーZ!」
 『チャージング』を仕掛けるヘラクレス!
 仲間達を制し、前面を受け持ったのはギルパンサー=絶狼!
 彼の構えた軍配が、ハルバードの刃を受け流す!
「砕け! ストライクギルブレイカー!!」
 そして、勢い余るヘラクレスに『バーストアタック+スマッシュ』を叩き込むと、自慢の兜が砕け散る!
「フハハハッ! 殺すには惜しい人材よ。その気があれば、インセクターでの地位を約束する所だ‥‥」
 それでもなお余裕を見せ、残る冒険者達の連携攻撃を最小限のダメージに抑えるヘラクレス!
「流石は首領‥‥、一筋縄ではいかんな」
 更に『ウインドスラッシュ』で牽制するギルレイヴン=蒼羅! すでに刀を捨て『ライトニングソード』が握られている。
「ここから先ギルレンジャーZと言う仮面の名では礼を欠く‥‥。
 我は蒼空の騎士クロノ・ストール、蒼き空の騎士の誇りに誓いヘラクレス、お前の野望を討つ!」
 距離を取り、聖者の槍を構えるクロノ!
「やってみるが良い! 余こそが王者に相応しいのだ!」
 ヘラクレスが応える!
 一瞬の静寂‥‥そして、一気に距離を詰める!
「我が魂の一撃がお前の野望を砕く!」
 ヘラクレスの『チャージング』を、空を翔る蒼き隼の如き『チャージング』で迎え撃つギルファルコン=クロノ!
 交錯する槍と槍!
 ニヤリと笑ったのは‥‥ヘラクレス!
「フッ‥‥私には仲間が居る‥‥」
 片膝をつくクロノ。同時に仲間達が動く!
「ヘラクレス、哀しき男よ‥‥野望がその技を鈍らせた」
 太刀を振りかぶるギルタイガー=尾花!
「襲いかかる百の刃、貴方に避けきれますの? 雷華闇閃・百影!!」
 『ライトニングアーマー』の残影を利用した『フェイントアタック』を仕掛けるギルバイオレット=理雄!
「これで終わりだ‥‥、零式奥義・月影残空牙」
 『トルネード』で吹き飛ばし、落ちてくるヘラクレスを斬り上げるギルレイヴン=蒼羅!
「正真正銘、これが最後だ‥‥終われ! ギルスマッシャーオメガ!!」
 ギルパンサー=絶狼の『スマッシュEX』!
「ヘラクレス様!」
 間に飛び込もうとするクインビーをギルスタリオン=ヲークのチェーンホイップが絡め取る!
「このままお持ち帰り‥‥」
 ふざけた事を言いかけると、再び冷たい視線が突き刺さる。
「コホン、君はまだ死んでは駄目だ、ヘラクレスの分も強く生きるんだ‥‥お腹の子供の為にも‥‥」
「なぜそれを‥‥?」
 頬を染めるクインビーに、言ったギルスタリオン=ヲーク本人が驚いている。
 その想いが届いたのか、トドメの一撃は寸前で止まっていた。
「これ以上の戦いに意味は無い‥‥お前を失えば悲しむ女性がいる‥‥愛を知るならば退けヘラクレス!」
 罪を憎んで人を憎まず、クロノ。
「拙者は‥‥最強など求めぬ。唯一人を守る力があれば、それでよい」
 納刀し、背を向けるギルタイガー=尾花。
「フハハハ‥‥余の完敗か。力も心も‥‥な。野望に目が眩み、大切な物を失う所だった」
 鎖を解かれ、駆け寄るクインビーを抱き寄せるヘラクレス。
「‥‥どうやら終わったようですね。次は道を踏み外さぬよう」
 二人に祝福を授けるギルフェニックス=エリス。
『我ら、ギルフォード戦隊ギルレンジャーZ!』
 去りゆく二人に敬意を表し、全員で『G→Z』ポーズ!

 こうして悪は去り、採石場に平和が戻った。
「最終回で行方不明になろうと思ってたのに〜」
 先を越されたと呟きつつ、崖に花束を供えるギルスタリオン=ヲーク。
「「「勝手に殺すな!」」」
 仲間達の総ツッコミ!
 そして、冒険者達の顔に笑みがこぼれていく。
「遂に平和を取り戻りました。願わくばこの平和が続くと良いのですが」
 祈りを捧げるギルフェニックス=エリス。
「‥‥しかし、これで狙われるの2回目か、ここ。何でだろ?」
 首を傾げるギルパンサー=絶狼。
「またいつの日か、この地が悪の組織に狙われるときが来るのでしょうね、その時に活躍する『Zに続く者』は『ZZ』でしょうか? それとも『グレート』?」
 そう言って笑うギルバイオレット=理雄。
 この地には、戦いを呼ぶ何かがあるのかもしれない。
 全ての悪の芽を摘み取る事は難しい。だが、悪が芽吹く時、また正義のヒーロー達が現れる事だろう。
「愛の心がある限り、青い空は何時も共にある。平和と共にな」
 空を見上げ静かに語るクロノ。
 カブト山賊団インセクターとの長い戦いは終わったのだ‥‥。
 さらば! そして有り難うギルレンジャーZ!
 ギルフォード戦隊に永久の栄光あれ!!