第1R『筋肉料理人vs冒険者』
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■シリーズシナリオ
担当:紅茶えす
対応レベル:5〜9lv
難易度:やや易
成功報酬:3 G 30 C
参加人数:5人
サポート参加人数:1人
冒険期間:05月31日〜06月07日
リプレイ公開日:2005年06月07日
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●オープニング
キャメロットから南西二日ほどの所にギルフォードという街がある。
そこに『レックス亭』という一軒のスープ専門店があった。
シェフのレックスは、世界各地を巡って料理の腕を磨いてきたというので評判である。
そして、この店には目玉とも言えるパフォーマンスがあった。
「オーダー入ります!」
お客さんの注文を受けたウェイターが上着を脱ぎ捨て、舞台に上がる。彼の鍛え抜かれたマッチョバディはなかなか見事であった。
そして、舞台にはもう一人、負けず劣らずのマッチョが待ちかまえていた。
二人はガッチリ組み合うと、
「ジャーマンスープ・レックス!」
見事な『スープレックス』を披露する!
お客さんからは、拍手喝采とおひねりが飛び交うのだった。
『ジャーマンスープ』は豚肉たっぷり、隠し味にジャーマンアイリスが使われているレックス亭のメインメニューである。他にも様々なオリジナルスープがメニューに並び、新作開発にも余念がなかった。
ここは冒険者ギルド。
冒険者達が仕事の斡旋を求めて集う場所である。
「仕事の斡旋か? これなんかどうだい?」
いつものように冒険者ギルドのおやっさんが依頼書のひとつを見せる。
『求む、屈強なる冒険者!
当店の特別セール期間用に臨時店員を募集しています!
筋肉自慢大歓迎!
ギルフォード・スープ専門店『レックス亭』店主レックス』
「筋肉自慢‥‥? 体力自慢じゃないのか? まあ、似たようなものか。だが先方は、わざわざ冒険者に臨時店員を頼もうってんだから、案外ハードな仕事をさせられるかもな」
そう言って笑うおやっさんであった。
果たして、レックス亭には何が待つのだろうか。
●リプレイ本文
「なんか面白そうで、つい引き受けちまったよ‥‥あはは」
ファイターのレナン・ハルヴァード(ea2789)。少し後悔気味に乾いた笑いを浮かべる。
「や! 貴殿の武器、ぜひともこのわたくしめにお見せ下さい!」
コロス・ロフキシモ(ea9515)の見送りに来たゼクウ。
依頼を受けたのはファイター揃い。こう頼まれて悪い気はしないだろう。
小柄なティズ・ティン(ea7694)の持つラージクレイモアが特に目を引いている。
「はぁ〜‥‥見ているだけで飽きませんなぁ〜」
そう名残惜しそうに見送るのだった。
「しまった、保存食を買い忘れた‥‥」
道中、それに気付くネイラ・ドルゴース(ea5153)。見かねた仲間達が食料を分けてくれた。持つべき者は友である。が、冒険者として食料の準備は大切だという事を忘れてはいけない。
そんな事もありつつ、やってきましたギルフォード。
まだ準備中の札のかかったスープ専門店『レックス亭』へと入る冒険者達。
「よく来てくれた! 儂が店主にして筋肉料理人レックスである!」
筋骨隆々の上半身を露わに、エプロン姿でポージングで迎えるレックス。これが噂に聞く『裸エプロン』だろうか? 否、断じて違うと信じたい。
「依頼人殿、よろしく頼む」
代表して挨拶するコロス。
「ウェイトレス兼務の闘士かぁ、私はメイド兼務の護衛なんだけどなぁ」
レックスに仕事の説明を聞き、ちょっとライバル心を燃やすティズ。
イギリスにおける『メイド』とは、『貴族令嬢の他家での花嫁修業、及び貴族女性の他家での家事手伝い』を指すため、侍女や給仕より高い位置にあるのだが、レックスは特に追求はしなかったようだ。
(「一風変わった店のようだが‥‥客商売には違いないし。店員の彼らはあまりそういう事にはこだわりは無さそうだが、客は嫌がるかも知れんしな‥‥」)
ハーフエルフである事を気にして、髪とバンダナで耳を隠しておくアレクサンドル・リュース(eb1600)。
「良い心がけだな」
少々、辛辣な態度でコロス。同じ依頼を受けた仲間同士だが、多少個人的な好き嫌いが出てしまうのは仕方のないことだろうか。
「では、念のため実技を確認しておこう」
そう言って冒険者達を試すレックス。
「メイドをなめちゃダメだよ!」
家事の得意なティズは、調理補助、掃除、皿洗い、配給とてきぱきこなして見せる。
「即戦力だな、助かるぞ」
それを見て感心するレックス。
『この卑しいケダモノめ! ケダモノめ! ケダモノめ! イギリス語で言うところのアニモ〜ル!!』
ネイラの華国語とイギリス語の入り交じった気合いの言葉と激しい打撃音が聞こえてくる。
「ううむ、やはり調理補助には向いていないようだな。せっかくイイ体格をしてるんだ。闘士の方を頼めないか?」
苦笑いしつつ、レックス。
ネイラは少し嫌がる素振りを見せるが、これも仕事。やるしかない。
「ウェイターなど、生まれてこの方やった事がないのでな‥‥」
と言うコロスは、レックスや闘士達の指導を真摯に指導を受けている。
(「全然筋肉なんかないのに‥‥どーするよ、俺。いやそれなりに鍛えているから、全然ってことは無いと思うけど‥‥」)
チラリとジャイアント族の二人を見て冷や汗を流すレナン。
「武器使ってもいいのぉ? って使わないと、私ってほら、筋肉ないんだよね」
そう尋ねるティズ。
「いや、武器は使わないでくれ。怪我をしてしまうからな。パフォーマンスとして持ち込むだけならいいぞ」
そう言って笑うレックスであった。
さあ、開店時間だ!
冒険者達のレックス亭臨時店員としての仕事が始まった。
セール期間という事もあり、お昼時から多くのお客さんがやってきている。
「オーダーを受けたら、舞台へ上がるのだ」
「闘士として戦うのも構わんが」
レックスの言葉に舞台へ向かうアレクサンドル。
(「なんか、脱いでいるのが気になるんだけど」)
ウェイターをしつつ横目に見て冷や汗を流すレナン。
「‥‥待て、何故脱ぐ!?」
舞台で待つマッチョ闘士が服を脱ぎ捨てた事に目を丸くするアレクサンドル。
「服を着たままでも闘えるだろう‥‥? その趣向でなければ駄目なら、俺は遠慮しておく。雑用にでも使ってくれ」
そう言って舞台に背を向けるアレクサンドルだが、
「お客様が待っている、そのままでいいから来い!」
闘士に掴まれてしまう!
だが、アレクサンドルも見事な格闘術で対抗する!
「‥‥つーか、この手のパフォーマンスがウケる時点で、ちと怪しいんだけど‥‥この店」
ぽそりとレナンが呟く。
「あのウェイター、着やせして見えるけど、綺麗な筋肉をしてそうよ‥‥ああ、脱がないのかしら?」
注文をしたおばちゃん達が、そんな事を言っている。
(「なんなんだ‥‥おい」)
アレクサンドルが気を取られた一瞬のスキに!
「サイドスープ・レックス!」
闘士の見事な『スープレックス』が決まる!
拍手喝采!
『サイドスープ』は『ジャーマンスープ』と具材は同じだが、ボリューム控えめで女性に人気なのである。
だが、アレクサンドルも漢である。その後も黙々と仕事をこなしていくのであった。
次にオーダーを受けたのはティズ。可愛いウェイトレス姿のまま、ラージクレイモアを担いで舞台に上がる。
「美少女ウェイトレス、ティズだよ!」
ラージクレイモアを一振りし、舞台の脇に立てかけると、素手の『バーストアタック』で果物を砕いてアピール!
闘士の周り、舞台を所狭しと動き回って見事な格闘術でパンチキックを繰り出していく!
「そう簡単には‥‥あっ」
しかし、ついに闘士に掴まれてしまう!
「フロントスープ・レックス!」
闘士の見事な『スープレックス』が決まり、拍手喝采!
『フロントスープ』は、あっさり野菜のオードブルスープである。
(「‥‥おばさん達の視線が痛い。趣味がヤバそうな男連中の視線がもっと痛い‥‥」)
オーダーを受けてしまったレナンが、舞台へと向かう。
「これも仕事仕事。割り切ってがんばろー」
観念して上着を脱ぐレナン。コロスとアレクサンドルに「あんたらも脱げよな」という視線を送る。
マッチョバディで両手を広げる闘士。
「騎乗戦闘の方が得意なんだけど‥‥」
せっかくのレナンのウォーホースも店内では使えない。
「ジャーマンスープ・レックス!」
闘士の見事な『スープレックス』が決まり、拍手喝采!
メインメニューの『ジャーマンスープ』は、やはり注文数も多い。そのボリュームの多さは、並の男性なら充分満腹の一品である。女性が2、3人で取り分けているテーブルもあるようだ。
続いて、舞台に上がったのはネイラ。
健康的で筋肉質なナイスバディに最小限の衣装という艶かしいスタイル!
「あたしゃねえ‥‥モンゴルにいた頃、仲間達と獣相手に散々馬鹿やったんもんだけど‥‥こういう店がモンゴルにもあったらとつくづく思うよ‥‥」
どうやら、こういう闘いをするのは初めてでは無いようだが、
「ジャーマンスープ・レックス!」
闘士の見事な『スープレックス』が決まる!
だが、オーダーは一品では無かった。
今度は激しい力比べ!
「お次はこっちの番だよ!」
後ろに回り込むネイラ!
「ジャーマンスープ・レックス!」
間違っても『スープレックス』とは呼べないような、ただ力任せにブッ飛ばしただけである。一瞬、ブーイングが起こるが、しかし!
「「いいぞーっ!」」
男性客のそれが歓声に変わっていた。
ブッ飛ばされた闘士が手に何か掴んでいるのに気付く。
「ま、待ってくれ!」
そこへ追い打ちをかけるように、馬乗りになると、拳を振り上げるネイラであった。
‥‥闘士が手に掴んでいたのは、ブッ飛ばされる時、咄嗟に掴んだネイラの衣装の胸元部分だったのだ。
胸がやけにスースーする事に彼女が気付いたのは、男性客の拍手喝采を受け、舞台を降りた後だった。
「なんか憧れちゃいましたね、冒険者に‥‥」
女性客からも彼女の勇気ある(?)闘い振りは評価されたのである。
「客人よ! 我らが技巧、しかと見てゆかれよ!」
次にオーダーを受けたコロスが、上着を脱ぎ捨て舞台に上がる!
「ムウンッ!」
勿体つけるように、リストの取り合いから‥‥!
「ムン!」
『フェイントアタック』でリストを取ったのはコロス!
だが、この特殊な環境においてならば、闘士も負けてはいない!
「来られよ!」
がっちり組み合うコロスと闘士!
「ノーザンライトスープ・レックス!」
「ムンオオオオオオ――ッ!!」
闘士の見事な『スープレックス』を受けるコロス!
拍手喝采!
『ノーザンライトスープ』は、果物入りのデザート風な冷スープ。食後の注文だけでなく、間食時にも人気のメニューである。
「効かん‥‥!」
すっくと立ち上がりポージングを披露すると、ウェイター業務に戻るコロスであった。
こうして、冒険者達は二日間に渡って臨時店員を勤め上げ、レックス亭の特別セール期間は無事終了した。
「諸君のおかげで、セール期間を大繁盛で乗り切ることができた。感謝の気持ちだ、自慢のスープフルコースを食べていってくれ!」
冒険者達を労い、腕を振るうレックス。
「仕事の後の酒が美味いんだよ!」
早速、食前酒を飲み干すネイラ。
「ちょっと楽しみだったんだ♪」
待ってましたとばかりにレナン。
「遠慮なく頂くよ」
スープを口に運ぶアレクサンドル。
「なかなかに体力を使う依頼だったな」
「やっぱり、女の子として、筋肉はあまり付けたくないなぁ」
コロスの言葉に、自分の腕を見てぼやくティズ。
『ごちそうさま』
そして冒険者達は、美味しいスープを堪能したのだった。
「‥‥それでは、さらばだ」
レックスに挨拶するコロス。
「実は、次の月道で特別な素材を仕入れるのだ。その時はまた諸君の力が必要になる! 宜しく頼むぞ!」
ポージングして冒険者達を見送るレックスであった。
レックス亭の明日はどっちだ!?