第2R『筋肉料理人vs猛獣!?』
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■シリーズシナリオ
担当:紅茶えす
対応レベル:5〜9lv
難易度:やや難
成功報酬:3 G 29 C
参加人数:8人
サポート参加人数:6人
冒険期間:06月20日〜06月25日
リプレイ公開日:2005年06月22日
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●オープニング
キャメロットから南西二日ほどの所にギルフォードという街がある。
そこに『レックス亭』という一軒のスープ専門店があった。
シェフのレックスは、世界各地を巡って料理の腕を磨いてきたというので評判である。
彼は新作スープ開発のため、店の命運を賭け、月道を使ってある具材の取り寄せを手配していたのだった。
月道で輸入された荷物は、キャメロットの港へ集荷される。
そこで仕分けされ、依頼主が取りにくる事となる。
布が被せられた一際大きな荷物を荷車に載せた所で、何やら唸り声が聞こえ、ビックリしたように人足が飛び退く。
「うわ、誰だよ! こんなとんでもないモノを輸入したのは!?」
ここは冒険者ギルド。
冒険者達が仕事の斡旋を求めて集う場所である。
「仕事の斡旋か? キミ達ならば信頼できそうだな。この依頼を引き受けてくれないか?」
真剣な面持ちで冒険者ギルドのおやっさんが依頼書のひとつを見せる。
『求む、信頼できる冒険者!
当店の命運を賭けた荷物が月道を通り、キャメロットの港に保管されています。
それを当店まで運ぶ事が、ひとつめの依頼。
更にもうひとつ。当店のパフォーマンスとして、とある猛獣と戦って頂きたい。
相手は猛獣。勿論、武器も魔法も使用OK!
当日には、すでにギルフォードの領主様の御予約が入っています。
お客様や店に被害が及ばないよう、くれぐれも注意されたし。
ギルフォード・スープ専門店『レックス亭』店主レックス』
「依頼人は、冒険者ギルドを信用して、荷物の引換証を預けてくれている。こちらもその信用に応えられる冒険者に依頼を託さなければならない。頼めるか?」
まじまじと冒険者達の顔を見るおやっさん。
果たして、荷物とは何なのか。レックス亭には何が待つのだろうか。
●リプレイ本文
「いや凄いよ。壮観だよ。初めてじゃなかろーか。こんなの」
「どうやら素敵な状況になっているが、たまにはこういうのも良いかもな‥‥たまにはだが」
依頼を受けたメンバーを見てレナン・ハルヴァード(ea2789)と、フィル・クラウゼン(ea5456)が顔を見合わせる。なんと8人全員ファイターなのだ。
まず、港で荷物を受け取るということで、見送りの者達も一緒だ。
「猛獣相手の団体戦かい‥‥」
ネイラ・ドルゴース(ea5153)が呟く。
「いいな〜」
エリナ・サァヴァンツ(ea5797)見送り組のレイが羨ましそうに言う。
「旨い物も喰えるらしいしナ〜役得役得‥‥ところで、猛獣って何なんだろうナ?」
何となくカクカクしているエリナ。
「どうやら荷物そのものが猛獣らしいぜ」
同じく、エリナ見送り組のロレックス。一足先に馬で港の様子を見てきたのだ。
「まぁ、細かい事はキニシナイ!」
トンボ羽根を羽ばたかせ、楽観的に言うエリナ。
そして、港で荷物を受け取る。
布が被せられていたが、話通り猛獣の入った檻のようだった。エサの干し肉が付いている‥‥。
「何が入ってるんだろうな?」
多少、動物などの知識があるフィル、エリナ、レナンが見たところ、おそらく『虎』と呼ばれる猛獣だろう。
「ほほぅ‥‥」
闘技場の常連ゴルス・ヴァインド(eb0970)が興味深そうに覗く。
「うぅん、やっぱり可愛くないなぁ」
猛獣にさえ、可愛さを求めるティズ・ティン(ea7694)。
「これと戦う事になるようだな‥‥腕が鳴る」
不敵に笑うコロス・ロフキシモ(ea9515)。
「おい‥‥分かったかァ〜?」
彼の見送りに来たヴァラスが、何やらアレクサンドル・リュース(eb1600)に絡んでいる。
「まさかこれが食材なのか‥‥? 運ぶ物がものだけに、まわりに知られないようにしたいが‥‥」
あまり気にした様子もなく、小声で呟くアレクサンドル。異国の猛獣を檻に入れて運搬中だと知れたら騒ぎになるだろう。
依頼人のレックスは具材にするつもりらしいが食べられるのだろうか‥‥どちらかと言うと逆に食べられてしまいそうだが‥‥。
「くれぐれも気をつけて下さいね」
「土産話を楽しみにしておるからの」
レナンを見送りに来たレテとヴィクトリアが激励する。
「何時も保存食ばかりでは飽きてしまうでしょう?」
エリナに手作り弁当を渡すクウェル。
こうして、冒険者達は出発した。
道中。虎には定期的に干し肉を与え、夜は交代で見張りをしてギルフォードを目指す。
エサをやろうとして噛みつかれそうになったり、保存食を忘れてしまったレナンが、間違っても虎のエサに手をつけないよう仲間達で食料を分けたり、エリナが見張りをサボろうとしたりといったアクシデントもあったが、輸送自体は滞りなく、無事ギルフォードへと到着した。
レックス亭では『裸エプロン?』のマッチョがポージングして出迎えてくれた。
「新顔も居るようだな、儂がシェフのレックスだ。無事届けてくれて感謝しているぞ」
一人一人、ガッチリ握手していく。それほどに大切な荷物なのだろう。
裏口から荷物を運び込み、セッティングを手伝う冒険者達。
そう、依頼は輸送の他にもうひとつあるのだ。
夕刻。
店内に緊張が走る。
予約を入れていたギルフォード領主が来店したのだ。
「紅茶男爵様にお越し頂き、誠に光栄の至りで御座います。お約束通り、本日は新メニューを御用意しております」
レックス自らテーブルに赴き、礼を尽くす。
「うむ、特別なパフォーマンスもあるとか」
男爵に食前酒を運んでいるのはティズである。
「男爵様、お久しぶりです。ぜひ楽しんでいって下さい‥‥」
面識のあるコロスも挨拶に現れる。
そして。
「それでは本日のメインイベント!」
パッツンパッツンの服を着たウェイターが叫ぶと、暗がりになっていた舞台のランタンに火が灯される。
檻に囲まれた舞台が灯りの中に浮かび上がる。
中には、武装した冒険者達が並んでいた。
(「‥‥男爵?」)
緊張したように敬礼するレナン。堅苦しいのは苦手のようだ。
(「筋肉とかマッチョとか暑苦しいのはキライだけど、後腐れなく戦えるし、文句は言わネーゼ!」)
少々失礼な事を思いつつも、戦いの前の緊張感に酔いしれるエリナ。
普段の陽気で豪快な性格とは打って変わって、真面目で冷静な雰囲気を漂わせるゴルス。
(「予想以上に舞台は狭いな‥‥」)
距離感を測るアレクサンドル。耳はバンダナで隠している。
(「とりあえずやる事はひとつ、囲んで殴る。分かり易く問答無用だな」)
目で合図するフィル。
「GuRuRuRu‥‥」
そこへ、猛獣の唸り声が聞こえてくる。
普段は闘士を兼ねるウェイター達と共に、健康的で筋肉質なナイスバディに最小限の衣装を身に着けたネイラが、虎の入った檻を運んでくる!
どよめく周囲。舞台へ運び込むと、ウェイター達は外へ出る。
「筋肉バトルを売り物にしている店なんだから、せめて衣装ぐらいはビシッと決めないとねぇ、せっかくの筋肉を鎧で隠すのは無粋ってもんだろう‥‥?」
ネイラは勿論、舞台に残っている。
「客人よ。此度の命を懸けた戦い、しかと目に焼き付けてゆかれよ!」
そして、全てのお客さんへアピールするコロス。
「武運を祈っているぞ」
舞台へ向かうコロスとティズに声を掛ける男爵。
ティズは振り返り、裾を摘んで礼をすると、舞台へ入り、檻を閉めた。
「この8人の冒険者達が、異国の猛獣タイガーを相手に戦います! 見事仕留めた暁には、当店のシェフが腕によりをかけた新作スープを披露致します!」
再び、ウェイターが叫んだ!
「魔剣の使い初めだ」
(「どうせならデビルとか、普通では切れない敵で試してみたかったけど」)
魔剣「トデス・スクリー」を構えるレナン。
「Guoooッ!」
小さい檻を開くと、虎が舞台へと飛び出す!
「狂化などして足を引っ張るなよ‥‥では参るぞ!」
「この顔触れならなら、魔法や飛び道具による流れ矢の危険性はないな」
コロスの言葉をかわすアレクサンドル。
「カタカタカタカタ!」
歯を打ち鳴らして奇妙な音を出すエリナ。震えているのではなく、どちらかと言えば人形のような動きだ。
「さあっ、来な! お前のその爪と牙で、あたしの肉体を見事壊してみるがいい!」
指を突きつけるネイラ!
「Gaaaッ!」
恐るべき跳躍力で虎が冒険者達へと襲いかかる!
「この新しく手に入れた武具、おぬしの体で試させてもらうぞ‥‥ムン!」
聖者の槍による『フェイントアタック』を仕掛けるコロス!
各々、得物を振るい、虎を攻撃しようとするが、
「うわっ! あ、あぶねー‥‥。味方の剣にやられたら洒落にならんって」
仲間の武器が目の前をかすめ、身をひくレナン。
(「野生の一撃、堪能しているよ‥‥戦場なら絶対食らいたくないものたが、見せ場を作るためならそうもいくまいね」)
素手のまま、受け身に回るネイラ。
「てっ!」
一撃喰らいつつも、所狭しと跳ね回る虎に対し、連携できるよう立ち回るレナン。
「これならどうじゃっ!」
それまで盾受けしていたゴルスが『デッドorアライブ』で受け止めて見せる!
虎の爪さえカスリ傷程度だ!
「痛痒とも感じぬ‥‥!」
そして、完全防備の『ガード』で虎の爪を防ぎきるコロス!
「今だよっ☆」
魔法少女のローブ姿で踊り、魅了して一瞬の隙を作り出すティズ!
シフールの小さな身体とスピードを活かして、『スタッキング』で虎の懐に飛び込むエリナ!
ナイフ二刀流でチクチクと切りつける!
このチャンスを逃さず、虎を完全包囲する事に成功!
「トドメを刺すゼ!」
懐のエリナを振り払おうとした虎の爪へ『カウンターアタック』!
それを合図に、攻勢に出る冒険者達!
「ティズ、いっきま〜す!」
「くらえっ!」
「立ち塞がる者は打ち砕くのみっ!」
ティズ、レナン、フィルの『スマッシュ』!
「ムオアアアアアアッ!!」
コロスの『スマッシュ+フェイントアタック』!
更に、ゴルス、アレクサンドルの『スマッシュEX』!
「この瞬間を待っていたのよ!」
這うような姿勢から一気に回り込むネイラ!
「タイガースープ・レックス!」
完璧な『スープレックス』!
そう、彼女は修得していたのだ!
「素晴らしい!」
立ち上がって拍手する男爵。
勝ち名乗りを上げ、喝采を浴びるネイラ。何だか胸元が涼しくなっている事に気づく。
どうやら、虎の爪がかすって破れかけていた衣装が、虎と一緒にトドメを刺されたようだ。だが、これによってまた新たなファンを獲得したに違いない。
「それにしても、なんかコレ曰くあり気な剣だよなぁ。夜中に変な夢見そうだよ」
ぽつりと呟くレナン。
そして冒険者達は、虎を担ぐと舞台から厨房へと消えていった。
「これが異国の味か‥‥。独特の珍味だな」
新メニュー『タイガースープ』を堪能する紅茶男爵。
どうやら食用には適さないようだが、レックスは珍味として見事に仕上げていた。
そして、支払い(なんだか凄い金額らしい)を済ませた男爵を見送るため、冒険者達も全員整列する。
「男爵様、楽しんでいただけたでしょうか?」
一礼するコロス。
「今日は楽しかった。また寄らせてもらうとしよう」
冒険者達一人一人とも挨拶を交わし、男爵は満足そうに帰っていった。
「諸君のおかげで大成功だよ。さあ、後片付けが済んだら賄いを出すから、もう一頑張り頼むぞ」
ニカッと笑ってポージングするレックスであった。
「男爵様が、冒険者諸君にも是非と言っていたのでな」
賄いに『タイガースープ』を出してくれるレックス。
「頑張って働いた後の飯は上手いなー。‥‥俺も料理覚えるかなぁ。そんなに不器用な方じゃないし、いいセンいくかも」
「弟子入り歓迎だぞ?」
レナンの言葉に真顔で迫るレックス。
こうして、冒険者達は『タイガースープ』を堪能したのだった。
「まだ、筋肉つていないよね」
自分の腕を見て、女の子らしい心配をしているティズ。
「さらばだ‥‥」
別れの挨拶をするコロス。
「また冒険者の協力が必要なイベントを企画しているから、その時はまた頼むぞ!」
ポージングして冒険者達を見送るレックス。
「次も期待しててくれよ〜!」
真似してポージングで返すレナンであった。
レックス亭の明日はどっちだ!?