正義のヒーロー1『ニューヒーロー誕生!』

■シリーズシナリオ


担当:紅茶えす

対応レベル:7〜11lv

難易度:普通

成功報酬:4 G 55 C

参加人数:8人

サポート参加人数:-人

冒険期間:06月14日〜06月20日

リプレイ公開日:2005年06月18日

●オープニング

 キャメロットから南西二日ほどの所にギルフォードという街がある。
 街の周辺には農耕や狩猟を中心とした小さな村が点在しており、森林地帯が多い。
 領主である紅茶男爵の方針で、森林開拓や街道の整備に力を入れているのが特徴のひとつである。
 道を作るのに必要な物のひとつが『石』だ。

 採石場。そこは様々な用途に使われる石を削りだすギルフォード重要地点のひとつ。
 以前、悪の脅威にさらされた事もあったが、冒険者有志によって平和を取り戻していた。
 だが、そんな束の間の平和を再び脅かす影が忍び寄っていた。
「「「ゴブーッ!」」」
 雄叫びと共に採石場へと雪崩れ込んできたのは‥‥!
「な、なんだ!? ゴブリンっ!?」
 慌てふためく人足達!
「落ち着け、皆! これまで幾多の脅威を乗り越えてきた我らが、ゴブリン如きに後れをとるはずがない!」
 敢然と立ち上がったのは、採石場責任者ロック!
「そうだな、ゴブリンくらい!」
 勇気を振り絞り、立ち向かう決意をする人足達!
 だが!
「威勢の良い事だゴブ。このゴブリン怪人ブリリアント様に刃向かった事を後悔させてやるゴブ!」
 ゴブリンのリーダー格らしきヤツが突然喋った!?
 いや、彼らはゴブリンじゃない!
「教えてやろう、我ら『オーガ山賊団エヴォリューション』こそ、人類最高の進化であるオーガ族を目指す集団なのだゴブ!」
 そう、ゴブリンのような覆面をしているだけだったのだ! さり気なく、訳の分からない哲学まで披露している始末。
 しかも、ザコっぽい覆面ゴブリン達は、華麗にバク転とかしている‥‥気付くの遅いよ。
 そして、人足達はコテンパンにやられ、採石場付近にある詰め所へと退却したのだった。
「ようやく平和になったと思ったのに、また変なのが来てしまったなぁ‥‥やはり、ここは悪と戦う正義のニューヒーローを呼ぶしかあるまい!」

 ここは冒険者ギルド。
 冒険者達が仕事の斡旋を求めて集う場所である。
「諸君、事件だ!」
 いつもと違う口調で冒険者ギルドのおやっさんが依頼書のひとつを見せる。

『求む、冒険者! いや、ここは『正義のニューヒーロー』と呼ぼう!
 採石場にゴブリンが! いや、ゴブリンのような覆面をした集団が現れ、乗っ取られてしまったのです!
 リーダー格の男は、ゴブリン怪人ブリリアントなどと名乗っておりました。
 どうか、採石場に平和を取り戻して下さい!
 ギルフォード採石場責任者ロック』

「諸君は選ばれたのだ! 正義のニューヒーローとして! その事を忘れるな!」
 ノリノリのハイテンションで、冒険者達を送り出すおやっさん。
 新たなる悪の出現に立ち向かう冒険者達よ!
 今こそ立ち上がる時なのだ!

●今回の参加者

 ea0029 沖田 光(27歳・♂・志士・人間・ジャパン)
 ea1450 シン・バルナック(29歳・♂・ナイト・人間・イギリス王国)
 ea2207 レイヴァント・シロウ(23歳・♂・ナイト・エルフ・イギリス王国)
 ea2699 アリアス・サーレク(31歳・♂・ナイト・人間・ノルマン王国)
 ea2889 森里 霧子(30歳・♀・忍者・人間・ジャパン)
 ea4137 アクテ・シュラウヴェル(26歳・♀・ウィザード・エルフ・ノルマン王国)
 ea4238 カミーユ・ド・シェンバッハ(28歳・♀・ナイト・人間・ノルマン王国)
 ea9420 ユウン・ワルプルギス(20歳・♀・ウィザード・ハーフエルフ・ロシア王国)

●リプレイ本文

 採石場避難所へとやってきた冒険者達。
(「新たな正義を求める声に惹かれ、地獄の底より甦ってきた‥‥」)
 ナイトのアリアス・サーレク(ea2699)。そう、ここへ来るのは初めてではない。
「お久しゅう、ロック殿‥‥また勘違い美学コスプレ山賊団か? この採石場、変態ばかり産出するなぁ」
 溜息をつく忍者の森里霧子(ea2889)に苦笑するロック。その内、特産品になるかも?
「ヒーローの何たるかこれから学ばねばならないですわね。よろしく御指導下さい、先輩方」
 ウィザードのアクテ・シュラウヴェル(ea4137)が微笑む。
「溢れる想いと勇気を胸に、仲間達と共にギルフォードの平和を守る!」
 志士の沖田光(ea0029)が誓う。
「正義となりてオーガ山賊団エヴォリューションを叩きのめす!」
 ナイトのシン・バルナック(ea1450)はノリノリだ。
「華麗に勝利したいところだよね」
 ウィザードのユウン・ワルプルギス(ea9420)が相槌を打つ。
(「いつもと違う自分というのも面白そうですわ」)
 ナイトのカミーユ・ド・シェンバッハ(ea4238)。少し震えているのは、直接の戦闘経験が皆無なためだろう。
「変なの‥‥いや新たな悪は我らに任せられよ」
 そう請け負う霧子であった。

 採石場を我が物顔で練り歩くオーガ山賊団エヴォリューション!
「待てぃ! ギルフォード戦隊・ギルセイヴァーX(クロス)参上!」
 悪事を咎める叫び声を上げたのは霧子だ!
「では、Ahead Ahead Go Aheadだ! 銀の剣で夜を斬り、金の翼で騒々しく夜明けを告げ、百鬼夜行をぶった斬るぞ諸君!」
 駿馬に乗って現れたのは、ナイトのレイヴァント・シロウ(ea2207)!
 同じく馬に乗り、口笛も高らかに、
「天が呼ぶ、地が呼ぶ、人が呼ぶ、悪を倒せと俺を呼ぶ! 愛と哀しみの戦士ギルキャリバー! 心に愛がある限り私の正義は砕けない!」
 スタッと飛び降りキメたのはシン!
「この世に悪がはびこる限り、正義の光もまた甦り、光牙となりて悪を斬る! 俺は冥府より甦りし月狼の牙、銀の月盾ギルフェンリル!」
 左手を天に掲げ、『オーラエリベイション』『オーラシールド』を発動させる懐かしきポーズから、
「そして新たなる名を、月の銀龍ギルムーン!」
 ドラゴンズヘッドを被り、太刀を構える新ポーズを決めるアリアス!
「そして、表裏一体、零鬼=ギル・シャドウ・ムーン!」
 そのアリアスと対を成すように鬼面を被るレイヴァント!
(「キラキラで迷彩にならん‥‥」)
「秘めるは羅刹、透みわたる修羅、東洋の神秘ギルクリアー改め、ギルジルコン!」
 水晶のペンダントを胸に、新たな名を名乗る霧子!
「採石場に咲く一輪の花・ギルガーネット参上ですわ」
 『フレイムエリベイション』を発動させ、『G&X』を指で作るポーズのアクテ!
「ギルサファイア!」
 マスカレードで素顔を隠し、自らの瞳にちなんで名乗りを上げるカミーユ!
 『オーラエリベイション』を発動させ、バッチリ決まった所で、ふと冷静になって赤面する。
「登場! ギル‥‥なんとかー!」
 最後に颯爽と現れたかと思ったが、どうやら名乗り口上がまとまらなかったらしいユウン。
 まだまだ足並みも揃わず、誰か足りないような気もするが、その登場は鮮烈だった。
「ギルセイヴァーΧ‥‥? 我が名はゴブリン怪人ブリリアント! 人類最高の進化を目指す『オーガ山賊団エヴォリューション』に刃向かうつもりかゴブ?」
 余裕を見せるブリリアント。
「ブリリアントに問い質しますわ。何ゆえ、オーガを人類最高の進化と思われるのかしら?」
 馬に乗り、高い目線を確保をして問いかけるギルサファイア=カミーユ。
「オーガ族こそ、進化した人類の姿! 人類は進化途上の不完全体なのだゴブ!」
 宣うブリリアントに、すかさず!
「語るに落ちますわ! オーガをして人類最高というのであれば、ゴブリンがどうして最高の進化でありますのかしら?」
「ゴブリンの生命力、繁殖力は人類を遙かに凌駕しているのだゴブ!」
 腰を振ってアピールするブリリアント。なんだかとっても見苦しい。
「オーガと一括りに言っても、ゴブリンもオーガもオークも様々におりますわ。ゴブリンであるあなた方は、結局は他人からこき使われる哀れな生き物でありつづけるのですわ! 即ち、あなた方に最高の進化を語る資格はありませんわ!」
「ゴブリンをザコ呼ばわりする事は許さないゴブ!」
「「「ゴブーッ!」」」
 怒りにまかせたブリリアントの指令で、バク転しつつ動き出す手下達!
「今です! お行きなさい、ギルフォード戦隊!」
 見事、精神的優位を勝ち取り、指令を出すギルサファイア=カミーユ!
「敵もまだそんなに強そうじゃないけど、油断はできないよね」
 手下の覆面ゴブリンどもの出鼻を挫くように、『サイコキネシス』で投石するユウン!
 場所柄、石や岩には困らない。
「むむむ、まだ言うかゴブ!」
 さり気ない言葉にまで反応してしまうブリリアント。
「インセクターとの戦いで研いたこの剣捌き、貴様らに見切れるか! ギル・ムーンスパイラル!」
 流れるような太刀捌きで覆面ゴブリンを切り払うギルムーン=アリアス!
「かの『地獄の番犬』は一人で百を切り伏せたという。ならば『鬼』の号を持つ私に出来ぬ道理はなかろう!」
 霞刀で次々と覆面ゴブリンを切り伏せていくギルシャドウムーン=レイヴァント!
 名の示すとおり、見事なコンビネーションだ!
「キャリバーブレイド!」
 負けじと『オーラソード』を発動させるギルキャリバー=シン!
「キャリバーキック&パンチ!」
 だが、なぜか素手のまま戦っている!
 命あるもの全ての幸せを願う彼は、敵の命も奪う事はない!
 集めておいたマキビシ代わりの石や油を撒き、更に投網や『春花の術』を駆使して覆面ゴブリンを無力化していくギルジルコン=霧子!
「「「ゴブーッ!」」」
 なおも、数を頼みに波状攻撃を仕掛ける覆面ゴブリン!
「まて、この光溢れる世界をお前達の好きにはさせないぞ!」
 そこに逆光で現れる影ひとつ!
「日出づる国よりの使者、ギルクリスタル! 闇に蠢く魔物達よ、再び暗き闇の底に還れ、フレイムアロー!」
 いきなり『ファイヤーボム』で覆面ゴブリンを吹っ飛ばしたのは光!
 どうやら、木から降りられなくなっていた仔猫を助けていたのが遅刻の原因らしい。
 『ファイヤーボム』では引火しないが、たいまつを用意していたギルガーネット=アクテが、いいタイミングで投げ込んで引火させ『ファイヤーコントロール』で操って攻撃!
「みんな、遅れてごめん‥‥輝け、ギルブレード!」
 さらに『フレイムエリベイション』を掛け、『クリスタルソード』を手に斬り込んでいくギルクリスタル=光!
「ゴブッ!」
 ギルガーネット=アクテをウィザードとみて、接近戦に持ち込もうとする覆面ゴブリンに、
「触ると火傷しますわよ? ギルヒートクラッシュ!」
 『ヒートハンド』をお見舞いする!
「ゴブーッ!?」
「星におなりなさい」
 飛び上がって逃げ出す覆面ゴブリンであった。

「行け、パピー!」
 ロープを繋いだ愛犬を走らせ、ピンと張って覆面ゴブリン達を転ばせ、
「ゴブ運尽きたな! 平ゴブリン、略称ひらりんども!」
 なかなか洒落た事を言うギルジルコン=霧子だが、ついにブリリアントの怒りは頂点に達した!
「ええい役立たずども! こうなったらブリリアント様自ら相手をしてくれるゴブ!」
 ひらりんを押しのけ、突撃してくる!
「ギルガーネット、俺に力を!」
「貴方に炎の加護を」
 『バーニングソード』をギルムーン=アリアスの太刀に掛けるギルガーネット=アクテ!
「貴様らの武装、ことごとく破壊してやるゴブ!」
 フレイルを振り回し、『バーストアタック』を狙うブリリアント!
「させないよ!」
 『サイコキネシス』でフレイルに干渉し、鈍らせるユウン!
 見事、『オーラシールド』で受け流し、
「このオーラシールドは俺の命の輝き、護るべき魂、貴様如きには砕けん! 真のバーストアタックとはこういうものだ、ギル・ブレイク!」
 燃える太刀で、逆に『バーストアタック』でフレイルを砕くギルムーン=アリアス!
「今よ! トドメを!」
 後方に下がり、戦隊の指揮を執っていたギルサファイア=カミーユが叫ぶ!
「正義より大義より大きいものがあると知るがいい!! ――その名は星義だ!!」
 『オーラソード』で斬りつけるギルシャドウムーン=レイヴァント!
「天に代わって悪を討つ! ギルスタンフェイントエイリアス!」
 ギルジルコン=霧子が『フェイントアタック』から『スタンアタック』へと繋ぐ!
「必殺! キャリバーミラクルキック!」
 ギルキャリバー=シンの『チャージング』による飛び蹴りが炸裂し、ブッ飛ばされるブリリアント!
「今だ、みんなの力を! 闇を裂け、ファイナルギルフレアー!」
 ギルクリスタル=光の『ファイヤーボム』!
 同時に『微塵隠れ』による爆発!
「仮装会場ではないのだよ!」
 ギルジルコン=霧子がキメる!

 その直後、高みから見下ろす影に気付く。
「我こそはエヴォリューション首領ミノス! 我らの邪魔をした代償、高くつくぞ!」
 捨て台詞を残して去るミノス。逆光だが。牛のような双角が印象的だった。
「お前達が‥‥来るならこい。僕達ギルセイヴァーΧがいる限り、この世界の平和は、誰にも渡さない!」
 沈みゆく夕日を眺めるギルクリスタル=光。
「これに懲りたら、悪事から足を洗うんだぞ」
 そう説得し、残党ひらりんを解放するギルキャリバー=シン。
 こうして悪は去り、採石場に平和が戻った。
「犬まっしぐらの筈なのにぃ‥‥」
 愛犬に人参やマタタビをやろうとするギルジルコン=霧子。ああ、無視されてる。
(「リーダーが決まったとして、その人を中心に決めポーズをとった場合、綺麗なシンメトリーにならないんじゃないかなあ」)
 新たな心配事に気付くユウン。
「この戦いは始まったばかり‥‥だが、敵がどれだけ強大だろうと、俺と新しい仲間達は絶対に負けない」
 呟く様にギルムーン=アリアス。
「また新たな戦いが始まるのですね。採石場の平和は私達が必ず守りますわ。‥‥こんな所でよろしかったでしょうか?」
 そう微笑むギルガーネット=アクテであった。
 頑張れ負けるなギルセイヴァーΧ!
 ギルフォード戦隊に栄光あれ!