正義のヒーロー6『エヴォリューション』

■シリーズシナリオ


担当:紅茶えす

対応レベル:7〜13lv

難易度:やや難

成功報酬:5 G 1 C

参加人数:8人

サポート参加人数:1人

冒険期間:09月03日〜09月09日

リプレイ公開日:2005年09月08日

●オープニング

 キャメロットから南西二日ほどの所にギルフォードという街がある。
 街の周辺には農耕や狩猟を中心とした小さな村が点在しており、森林地帯が多い。
 領主である紅茶男爵の方針で、森林開拓や街道の整備に力を入れているのが特徴のひとつである。
 道を作るのに必要な物のひとつが『石』だ。

 採石場。そこは様々な用途に使われる石を削りだすギルフォード重要地点のひとつ。
 ギルセイヴァーΧによって取り戻された平和の元、今日も人足達が仕事に精を出している。
 だが再び、この地を狙う悪の影は、すぐそこまで迫っていた。
「人類の枠にしがみつく愚かなる者どもよ。我が名はミノス、オーガ族最強のミノタウロスへと進化を遂げた男だ。今度こそはオーガ山賊団エヴォリューションの総力をもって、この採石場を貰い受ける!」
 覆面ゴブリン(通称ひらりん)を多数引き連れて現れたのは、大斧を携えた牛のような覆面の大男。進化を遂げたと言う割には覆面だが‥‥。
 ミノスはアジトを放棄し、全戦力を投入していた。
 人足達だけでの抵抗は無駄だと悟ったロックは、速やかに避難する事を決定した。
「我々の希望の灯火、ギルセイヴァーΧを呼ぶんだ!」

 ここは冒険者ギルド。
 冒険者達が仕事の斡旋を求めて集う場所である。
「諸君、事件だ!」
 いつもと違う口調で冒険者ギルドのおやっさんが依頼書のひとつを見せる。

『ギルセイヴァーΧ宛
 採石場に再び、オーガ山賊団エヴォリューションが現れました!
 敵は首領ミノス。ヤツを倒せば、エヴォリューションも終わりでしょう。
 決着の時です! 採石場に平和を取り戻して下さい!
 ギルフォード採石場責任者ロック』

「諸君のこれまでの活躍によって、オーガ山賊団エヴォリューションの幹部は全て倒れ、残るは首領ミノスだけだ!
 長かった戦いに終止符を打つ時が来た!
 では諸君! ミノスに正義の制裁を下すのだ! ギルセイヴァーΧ出動!」
 ノリノリのハイテンションで、冒険者達を送り出すおやっさんであった。

●今回の参加者

 ea0029 沖田 光(27歳・♂・志士・人間・ジャパン)
 ea2207 レイヴァント・シロウ(23歳・♂・ナイト・エルフ・イギリス王国)
 ea2699 アリアス・サーレク(31歳・♂・ナイト・人間・ノルマン王国)
 ea2889 森里 霧子(30歳・♀・忍者・人間・ジャパン)
 ea4137 アクテ・シュラウヴェル(26歳・♀・ウィザード・エルフ・ノルマン王国)
 ea7528 セオフィラス・ディラック(34歳・♂・神聖騎士・人間・イギリス王国)
 ea9420 ユウン・ワルプルギス(20歳・♀・ウィザード・ハーフエルフ・ロシア王国)
 eb1421 リアナ・レジーネス(28歳・♀・ウィザード・人間・ノルマン王国)

●サポート参加者

バデル・ザラーム(ea9933

●リプレイ本文

 ギルドに集結した正義の冒険者達。
「互いの正義をぶつけあい、そして得ようか。全てに幸いとなる答えを」
「オーガ族に進化などしなくても、人は人として十二分にやっていける事を、見せてやるさ」
 二人のナイト、レイヴァント・シロウ(ea2207)が立ち上がり、アリアス・サーレク(ea2699)が指を立てて応える。
「頑張りましょう、皆様。ミノタウロスは手強いと聞きます」
「ギルセイヴァーΧ、最後の出動だね」
「‥‥が、がんばります」
 ウィザード三人衆、アクテ・シュラウヴェル(ea4137)と、ユウン・ワルプルギス(ea9420)が告げ、リアナ・レジーネス(eb1421)が小さく握り拳を作る。
 これでオーガ山賊団エヴォリューションとの戦いを終わらせる、その意気込みが全員に伝わる。
「最後まで気を抜かず頑張れ」
 井戸水で程良く冷やした果物を差し入れ、見送るバデルであった。

 避難所に立ち寄り、勝利を誓った冒険者達は、採石場へと赴く。
「みんな、行こう! 僕達の手でギルフォードの明日を護る為に‥‥結晶!」
 『クリスタルソード』を発動させる志士の沖田光(ea0029)。
「いつも重くてごめんな。また、着いてきてくれるか?」
 忍者の森里霧子(ea2889)の問いに、愛犬が一声鳴いて応える。
 採石場には、ひらりんズを従えた首領ミノスが陣取っている。『ブレスセンサー』で周囲を確認するリアナ。真っ向勝負を挑むつもりか、伏兵の類はいないようだ。

 採石場の崖の上、背を向けて立つ複数の影が現れる!
「神と誠と正義の為に。ギルオニキス参上」
「毎度の呼び出し恐悦至極。最後の闘い、逝くは地獄か極楽か。神秘の煌きギルジルコンがお送り申そう」
 順に振り向いた神聖騎士セオフィラス・ディラック(ea7528)、霧子の名乗りが響く!
「ボスというのに芸のない採石場の占拠ですわね。戦場に咲く一輪の花、ギルガーネット! 華麗に登場させていただきます」
 『フレイムエリベイション』を発動させるアクテ!
「助けを求める声に応え、呼ばれて来ましたギルアメジス! ただいま参上‥‥です!」
 左手を腰にあて、マジカルワンドをくるっと回し、ポーズを決めるリアナ。
(「よかった。今回はしっかり台詞とポーズができました」)
 そう内心安堵したのは秘密だ。
「ミノス破れたり。鞘を捨てた剣豪の如く、アジトを捨てたお前達に、帰るべき場所は無い!」
 『オーラエリベイション』を発動させ、日本刀を一回転、地面に突き立てるアリアス!
「夜闇より、人々を守る月光の盾。月の銀龍ギルムーン! 闇を払い黎明を導く為、ここに見参!」
 手を翳して『オーラシールド』『オーラパワー』を発動させるキメポーズ!
「零鬼ギルシャドウムーン! こいつは、ACEだ!」
 『オーラボディ』を発動させるレイヴァント!
「正義の刃をひとつに合わせ、悠久の探求者ギルトパーズ参上!」
「澄んだ心の結晶ギルクリスタル‥‥8人揃って、ギルフォード戦隊ギルセイヴァーΧ!」
 ユウンの合図に、光が『ファイヤーボム』を爆発させ、派手にポーズを決める!
「待ちわびたぞギルセイヴァーΧ! 決戦に無粋な小細工は無用! オーガ族の力で真正面から粉砕してくれる!」
「「「ゴブーッ!」」」
 ミノスの号令に、ひらりんズはバク転を交え、一斉突撃を仕掛けてくる!
「さあ行くぞ諸君。Ahead Ahead Go Ahead だ! 銀の剣で夜を斬り、金の翼で騒々しく夜明けを告げ、百鬼夜行をJUSTに斬るぞ! 返事はどうした!」
『イエッサー!』
 ギルシャドウムーン=レイヴァントの号令に、ギルセイヴァーΧ戦闘開始だ!

 途切れることなく連なって突撃してくるひらりんズに、押され気味の冒険者達。
「それでも僕達は諦めない‥‥僕達には背負った未来と、勇気を力に変える心があるから!」
 『ファイヤーボム』で迎撃していくギルクリスタル=光。
「ジャッジメントクラッシュ!」
 ラージクレイモアを一閃するギルオニキス=セオフィラス。
「よーし、ギルシャドウムーンさん頑張って百人斬り目指しちゃうぞーっ」
 愛馬『火駆天王』に騎乗し、霞刀と『オーラソード』の二刀流で、ひらりんズを切り伏せていくレイヴァント。
 『リトルフライ』で浮かび、『ライトニングサンダーボルト』で攻撃するギルアメジス=リアナ。更に、油を撒いてギルガーネット=アクテをサポート。
 ひらりんズを『ファイヤーコントロール』の炎で追い詰め、『SCROLLofローリンググラビティー』と『SCROLLofファイヤーウォール』を駆使して一網打尽にする。
 一方、ギルジルコン=霧子も、自作の罠を駆使して投網で絡め取り、
「三途の川を渡るに不要。脱いで逝かれよ」
 最後に『春花の術』で眠らせ、ひらりんズの仮面を剥ぎとっていく。
「ゴブリンはゴブリンらしくゴブリン戦士を目指しなさい、自分らしさを捨てて強くなる訳もない」
 炎を操り、覆面を焼くギルガーネット=アクテ。
 覆面を失ったひらりんズは、何のことはない、山賊に身をやつしたならず者だった。

 そうして、何人のひらりんズを倒しただろうか。
「ミノス、オーガ族こそ人類最高の進化だとお前は言ったな。怪人達は皆、確かに強かった。だが俺達はそれらを倒してここにいる、どういう事か解るか!?」
 最後のひらりんを切り伏せ、ギルムーン=アリアスが叫ぶ!
「オーガ族の力を得ながら、不甲斐ない事だ‥‥。だが、ミノタウロスの力は別格!」
 残るは首領ミノスだけだ!
「奴らは自分を過信し連携も協力も無かった。いかな進化をしようとも個人の力には限りがある。だが正義と信頼という絆で結ばれた、人間の力は無限だ!」
「オーガ族の圧倒的なパワーこそ、すべての頂点に立つに相応しいのだ!」
 大斧を構え、『チャージング』を仕掛けるミノス!
「人間だって普通に鍛えれば、オーガ相手にタイマン張って勝てるんだがな」
 身構えるギルオニキス=セオフィラス。
「いよいよ最後だ、エヴォリューション」
 すでに『分身の術』を発動させたギルジルコン=霧子が、『微塵隠れ』で出現して油を撒き、ギルガーネット=アクテの『ファイヤーコントロール』で操る炎が行く手を阻むが、ミノスはそのまま突っ込んでくる!
「駆け抜けるぞ、竜巻の如く! 我等に断てぬ物無し!」
 『チャージング』で迎え撃つギルシャドウムーン=レイヴァント!
 更に、ギルアメジス=リアナがマントofナイトレッドを風に舞わせ、それをギルトパーズ=ユウンの『サイコキネシス』でミノスの顔に被せる!
「何っ、前がっ!?」
 慌ててマントを振り払うミノスだが、もう遅い!
「バカ牛が! 果てろ!」
「ファイヤーローズレボリューション!」
 ギルジルコン=霧子の『フェイントアタック』と、ギルガーネット=アクテの『ファイヤーコントロール』で薔薇の形となった炎が!
「ギルトパーズは全てを見抜く、悠久の探求者。確かにミノス君は強いけれど、最後に勝つのはギルセイヴァーΧだよ。その未来が、今、はっきりと見える」
「受けよ、我らが裁きの雷! ギルプロビデンス!」
 ギルトパーズ=ユウンが『サイコキネシス』で操る限界ギリギリの重さの岩の軌道と、ギルアメジス=リアナの『ライトニングサンダーボルト』が!
「貴様の進化の幻想を打ち砕く! ギル・セイヴァーブレイクーーファイナル!」
「忘れたのかミノス。勝利するのは―――勇気ある者だぁああ! ファイナル・ギル・インパクト!」
 ギルムーン=アリアスの『バーストアタック』と、ギルシャドウムーン=レイヴァントの『チャージング』が!
「ファイナル・ギル・クロスアタック!!」
「これでトドメだ! ギルセイヴァー4クロスエンド! ‥‥これがあなたの捨て去った人間の力です!」
 ギルオニキス=セオフィラスのラージクレイモアと、ギルクリスタル=光の『クリスタルソード』の描く軌跡が!
 それぞれ『Χ』を作り上げる!
 戦いを通じ、絆を深めたギルセイヴァーΧの四重奏!
「バカな‥‥究極のミノタウロスへと進化が‥‥ぐはあっ!」
 崩れ落ちるミノス。その覆面もまた砕け散った。
 その素顔は苦悶に歪んでいたが、あくまで人の領域を出ない。
「‥‥やっぱり」
 予想通りの結果に溜息をつくギルガーネット=アクテであった。

 こうして悪は滅び去り、採石場に平和が戻った。
 オーガ山賊団エヴォリューションとの長い戦いは終わったのだ。
「‥‥哀れです。気付いていなかったんだ、あなたも所詮巨大な悪の駒の一つに過ぎなかった事に、なぜならミノタウロスはオーガ族最強じゃないです‥‥」
 深いモンスター知識を持つギルクリスタル=光が呟く。
「悪は滅びた。だが採石場がある限り、きっと第四、第五の組織が。次は何だ‥‥」
 遠くを眺めるギルムーン=アリアス。
 悪の芽を完全に根絶する事は難しい。
 だが今は、この勝利を喜ぼうではないか。
「お前ら大好きだよっ☆」
 共に戦い抜いた仲間達に心からの感謝を表すギルシャドウムーン=レイヴァント。
 ギルセイヴァーΧ勝利の第一報は、すぐに避難所へ伝わり、ロックと人足達が駆けつける。
「我々の戦いは終わった。ギルフォード戦隊がある限り、採石場の平和を乱す輩は許さない!」
「ギルセイヴァーΧがいる限り、悪の栄えた試しなし‥‥ってね」
 ギルジルコン=霧子と、ギルトパーズ=ユウンが宣言する。
 ロックへの報告を終え、少し寂しそうに星空見上げるギルガーネット=アクテ。
「‥‥流れ星。‥‥今、一つの悪が潰えたのですね」
 瞬く星もギルセイヴァーΧの勝利を讃えているのだろう。
「ところで‥‥これだけひらりんズがいらっしゃるんですから、彼らもここで人足として働かせたほうが、収益上がるんじゃないですか?」
 ギルアメジス=リアナの言もあり、改心したひらりんズは採石場で働く道を選んだ。
「この採石場、何やらアヤシげな人々を引きつけるオーラを持っているのようだが‥‥」
「暫しの別れだ。運命の種が芽吹く迄の‥‥な」
 ギルオニキス=セオフィラスと、ギルジルコン=霧子の呟きは宴会の音にかき消えた。
 さらば! そして有り難うギルセイヴァーΧ!
「ううん、これで終わりじゃないよ。正義を求める声がある限り、ギルセイヴァーΧは不滅なんだよ」
 そうだ。ギルトパーズ=ユウンの言う通りである。
 願いを込めて言おう、ギルフォード戦隊に永久の栄光あれ!!