【フェアリーキャッツ】闇の猫
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■シリーズシナリオ
担当:夢村円
対応レベル:11〜17lv
難易度:難しい
成功報酬:5 G 20 C
参加人数:8人
サポート参加人数:6人
冒険期間:07月13日〜07月18日
リプレイ公開日:2006年07月20日
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●オープニング
「も、もう頼むつもりは無かったのだがな!」
横柄そうにその男、商人ロスは身体を揺らして言った。
『猫に襲われる、猫を退治しろ。できれば殺せ』
そう言って来たこの商人の依頼に前回、冒険者は有る意味応え、有る意味‥‥応えなかった。
ロスの家を襲撃してきた猫は20数匹を数えるが、捕らえた猫は数匹。
殺した猫は一匹もいない。
ロスを猫の襲撃から守る、という意味では成功だったが、猫を退治しろという意味から見れば失敗だったのだろう。
「もうお前らなんぞ当てにせん!」
そういい捨てていたロスはどうでも良くても、彼の婚約者と彼を襲った猫達は気になってその後の様子を気にかけていた冒険者達はロスの顔を黙って見つめる。
「で、何だ? もう頼むつもりが無かったくせに依頼してくる内容は?」
係員の口調もどこか冷たい。
それも当然。彼らは知っているのだ。
半年前に起きた吟遊詩人殺人事件。
証拠は何も無い。半年の間に無くなっているであろう。
半年前の犯罪を立証するのは至難の技だ。だが‥‥、彼らは知っている。
『彼』いや『彼女』が教えてくれた。
目の前に立つこの男が、一人の人物を殺めたであろうこと。一匹の猫を殺めたであろうことも。
自分の目的の為に残忍に‥‥。
「もう結婚式は来週に迫っておる。だが、猫どもの動きは止むことが無い。周囲を監視するように取り囲み、どんなに押さえても屋敷に入ってくる。特にあのリーダー猫はあれからというもの直接攻撃してくるようになったのだ。この首を狙ってな」
手には無数の引っ掻き傷。よく見れば首元にも紅い筋が刻まれている。
「今まではなんとか逃れてきたが、あの猫は油断がならん。普通の猫に比べて身体は大きいし、素早いし、力も強い。結婚式まであとわずか。いや、結婚式後もこのままでは気が休まらん!」
だから、殺せ。と依頼人は言う。最低結婚式までに、その猫の脅威を抹消しろと。
「あの猫がいる限り、穏やかな日々は戻ってこない。だから絶対、何があろうとも殺せ。結婚式とこの身を守るのだ!」
依頼は依頼。無言で係員は受理をする。
だが、彼は冒険者に無理にその依頼を勧めようとはしなかった。
冒険者達に保護された猫の中には仔猫もいた。
まだ生後半年か、一年にもなっていないだろう。
顔つきは丸く、幼さが残る。
白い毛並みがとても美しいメス猫。
吟遊詩人の猫によく似ていると、知るものが言うその猫はだれが見ても愛らしいと思えるのに、もはや‥‥孤高だった。
人の見る前では決して食べ物を食べようとせず、近寄ろうとすると尻尾が雲の様に膨らむ。
首筋からうなじの背の毛を逆立てて威嚇する。
‥‥その目は人間を信用しない、と言っていた。
あれを見れば、きっと誰もがそうなる、その冒険者は思ったという。
目を閉じれば、憎しみと共に思い出される人の、もっとも醜い姿。
脳裏に浮かび上がる手を血に染めたロスの顔。
このままでいいのだろうか?
祝福されない七月の花嫁。
救われない猫達。
そして、その影に蠢く黒い影。
光の中にあって、なお暗い闇の中で、猫達の行軍が始まる。
●リプレイ本文
○真実の彼方
深夜、月の夜。
月光を背に立った銀と黒の猫は、不思議なほど美しく思える。
一瞬その姿に見惚れてしまった事に気付き、苦笑しながらリ・ル(ea3888)はあえて『彼』を見つめ、語りかけた。
結婚式はもう明後日に迫っている。
屋敷の中は慌しく動き回る使用人でごった返していた。
「賑やかだな。まあ、結婚式と言うのは人生の晴れ舞台だから仕方ないか?」
その様子を少し覚めた目で見つめる者達がいた。
「結婚式に湧き立つ気持ちは解らないでもありませんけど、それはやはりお互いの合意に基づくべきだと思うんですよね」
穏やかな、でも棘の有る口調に彼らは振り返る。
「お帰りなさい。カシムさん。どうでしたか?」
リースフィア・エルスリード(eb2745)は戻ってきた仲間、カシム・ヴォルフィード(ea0424)に微笑みかける。
「やっぱり、時間が経っているから調べるのは難しいようですよ。でも、いくつか情報は得てきました」
聞き込みの結果を、カシムは仲間達に報告する。彼は半年前の事件の再調査に行っていたのだ。
「犯人は相手に対して相当な恨みを持っていたようだということ。凶器が見つかっていないこと。顔見知りだったのか、最初の一撃にあまり抵抗は見られず、後は縛られて何度と無く叩かれていた、ということ‥‥。よほど強く叩いたのか破片がいくつも刺さっていた、と言うことだよ」
考え込むようにカシムは告げる。実際、自分にも言い聞かせていたのだろう。
「折れた杖‥‥?」
「それが、どうかしましたか?」
二人の会話を聞いていた風霧健武(ea0403)がぼそり呟いた。さらに何かを反芻するように口の中で唱え自らに確認してから、答える。
「いや。先ほどちょっと会話をしたメイドがな。ロスは以前上質で滅多に無い黒檀の杖を持っていたのにそれを最近使わなくなった、と言っていたからな」
主であっても好かれているとは限らないのがこういう人物の特徴だ。共感し話を聞けば情報収集に役に立つ。
「その杖が凶器で壊れたから、捨てた。とかかなあ。でも、もう半年も前のことだから、凶器なんか捨てちゃってるかな〜」
困ったもんだと言わんばかりのエル・サーディミスト(ea1743)の呟きに
健武とレイジュ・カザミ(ea0448)は指を唇に立てた。
「どうかしたんですか?」
屋敷の窓が開いて、一人の娘の顔が覗く。
「エリアさん‥‥」
冒険者達は言葉に詰まり顔を見合わせる。
ずっと悩んでいたことがあった。そう、それは式の前に彼女に真実を知らせるべきかを‥‥。
「‥‥何かありましたか?」
一度顔を沈ませた後、健武は顔を上げた。その目に確信する。彼が何をしようとしているかを。
リースフィアが服の袖と手を引いた。目を合わせる。その決意の眼差しと。
「健武さん! 本当に言うつもりなんですか?」
「‥‥ああ。酷かも知れないが、我々より彼女の方が真実に繋がる何かを、知っているかも‥‥しれない」
「何の事でしょうか?」
冒険者達はそれ以上反対はしなかった。
チリンと鳴る微かな音。衣擦れと共に差し出されたリボン。
「それは!」
向かい合った二人を確かめ、冒険者達はそれぞれの役目へと動き出す。
ロスが戻ってこないように見張る者、周囲に聞かれないように注意を払うもの。
そしてリースフィアは、あるところに向かって駆け出した。
○銀の猫
「あのこ、大丈夫かねえ?」
心配そうな閃我絶狼(ea3991)の声に、猫達に餌を与えていたセレナ・ザーン(ea9951)がふと顔を上げた。
「誰を心配しておいでですの?」
ああ、と彼は苦笑しながら顔を掻く。
「さっき、リースフィアが連れてったあの仔猫だよ。あの仔だけは、最後まで気を許してはくれなかったからな〜」
「なるほど」
セレナは頷く。
最初はどの猫達も捕まって暫くは箱の中で大騒ぎだった。
絶狼の言葉をセレナが伝え、それを理解して初めて猫達は大人しくなり、冒険者の手から餌を食べたのだ。
レイジュ達もそれを聞いて嬉しそうだったが、それでもあの白猫だけは警戒を解かなかった。
餌を食べる様になっただけでもマシと思うが、ずっとまだ人を怒っていたようだ。
『どうしても、この仔が必要なんです』
そう言って連れて行ったが、大丈夫だろうか。
立ち上がり絶狼はセレナに視線を向ける。
「どうしましたか?」
「少し向こうに回ってくる。こっちは任せると、リルに言っておいてくれ」
「解りました」
絶狼に頷き返したほぼ直後、リルが戻ってくる。
手に持った麻袋をドサと地面に落とし、ため息をついて。
「あ〜、重かった。任務遂行も楽じゃないってな!」
「それは‥‥例のあれですか?」
セレナはあちらこちらに血の染みのついた袋を見やった。
「そう、ボルジャー・タックワイズに手伝ってもらった。これで、結構騙せるんだから、単純なモンだぜ‥‥っと、そういえば白猫と絶狼は?」
事情を聞いてリルは頷き空を仰ぐ。
もうすぐ、夜。月が真円に近い。
「そろそろ、くるかもしれないな。あいつ」
「話を、聞いて下さるといいのですが‥‥」
大丈夫と安受けあいはできない。
だが、そうあって欲しいとリルは思っていた。
そして、夜。
リルは茂みの中からこちらをうかがう銀の影を見つける。
「来たか!」
冒険者の視線が自分を捉えたと確認すると、その影は誘うように眼前を駆け抜け、裏手へと向かう。
誘っているように、いや、実際に誘っているのだろう。リルとセレナは猫達の見張りを放棄しその誘いに乗った。
家の角を曲がった先に広がる、月明かりの庭の中央に、その猫は立っていた。
「おい! 話が‥‥ってわあっ!」
猫に話しかけようとしたリルはいきなり後方に仰け反った。
まるで、稲光のような素早さで飛び込んできた猫の爪から間一髪逃れて、後ろに後づさる。
「こら、話を聞けってのに!」
だが、猫の動きは止まらない。攻撃を躊躇うリルと、そうでない猫。リルの方が後退を余儀なくされていた。
「ちっ! 仕方が無い‥‥えっ?」
相手が本気で戦うなら、こちらも本気で、リルがナイフを握りかけたその時だ。
ドゴン!
家の向こう庭の方で音が上がった。何かが破裂し、崩れるような音。
「あっ!」
セレナは口元を押さえた。リルも、手を挙げナイフをそのまま地面に落とす。
「なるほどな、お前さん、やっぱりこの辺のリーダー猫なのかな?」
猫は答えない。
だが彼は目的を果たしたであろうに、逃げることもしなかった。
深夜、月の夜。
月光を背に立った銀と黒の猫は、不思議なほど美しく思える。
一瞬その姿に見惚れてしまった事に気付き笑みを浮かべる。邪笑と苦笑が入り混じったような笑みで
「なあ、お前‥‥」
リルは彼に呼びかけた。セレナの力も今は借りずに真っ直ぐに猫を見た。
「お前の気持ちと考えは解った。一つ、提案が有るんだがどうだ? ‥‥俺達に任せちゃ貰えないか?」
「ディーナさん。私も、猫さんたちを傷つけたくありませんの。だから‥‥」
二人の思いが聞こえる限り、猫は動かなかった。だが、返答も無い。これは、ダメかと思いかけたとき。
「えっ??」
頭に伝わってきた思いに、セレナは瞬きした。
「どうしたんだ? セレナ」
「リルさん‥‥、実は‥‥」
「何?!」
「どうしましょうか?」
セレナの惑う視線と、銀の猫の眼差しと両方を交差して‥‥リルは
「よしっ!」
にやりと笑ったのだった。
○紅い結婚式
教会の入り口近辺には花が飾られ、その横にいくつかの鉢植えが並べられた。
「あ〜、重かった。ドレス、汚れなかったかな?」
「大丈夫、綺麗なままです」
カシムに助けられ服の裾を叩きながらエルは、教会の中を見た。中にはもう参列者がかなり集まってきている。
先ほどまで司祭となにやら相談をしていたリルも外に出て、持ち場についている筈だ。
そして‥‥ドスドスと鈍い音がして、奥の控え室から今日の新郎が現れた。客席に卑下た笑顔で手を振ると、祭壇の前に立つ。
客席がざわめく。今度は新婦の入場だ。
一人を除いて誰も幸せになれない、望まれない結婚式が開こうとしている。エルは少しの苦い思いでエリアにつきそうリースフィアと花嫁を見た。
「えっ?」「なんで一体?」
だが、どうやら、その一人さえも幸せになれそうには無いようだ。とエルとカシムは顔を見合わせて身構えた。
「おっ、来た来た‥‥。な、なんだそれは!」
曲がりなりにも浮かんでいた笑顔が一瞬で凍りつく。
花嫁は白いドレスを身に纏い、ヴェールで顔を隠して入ってくる。その足元には、白い、仔猫がついてきていた。
「可愛い!」
と喜ぶ客もいるにはいたが、殆どの客達は言葉も出ない。
「なぜ猫などがここにいる? いや、エリア! その猫を捨てて来い。お前は今日からワシの妻になるのだ。逆らうなど許さん!」
「‥‥はい」
剣幕の夫に静かに頷き、座席の最前列よりも、前に歩み出る。腕の中の仔猫は側に一番近かった冒険者に託して。
仔猫を預けられたその一瞬。エルはそこにあるものを見た。
「皆! 彼女を止めて! もう! ドレスって動き辛!」
「えっ?」「何だ?」
呆然とする客達。だが、冒険者達はエルの言葉の意味をはっきりと理解した。
「待って下さい! ダメです。エリアさん!」
リースフィアとカシムが後ろから花嫁を羽交い絞めの形で押さえる。絶狼はロスを背後に庇い、カチン! レイジュの短刀が鋼の音を立てて何かを落とさせた。
「ナイフ‥‥か」
猫の襲撃に備えての戦いの準備がこんな風に役に立つとは思わなかった。思いながら健武はナイフを拾い上げた。
「止めて、離して! あの人の敵を討つの!」
押さえる手を振りほどき、再びロスに近寄ろうとするエリアだが、冒険者という壁があまりにも大きく、諦めたように膝を折った。ドレスがふわり床に広がる。
「どういうことだ? エリア。何故命を狙うというのだ?」
「あなたはあの人を殺したのでしょう? ディーナも店も、私の大切なものを全て奪う。だから、あなたを殺して、私も死ぬの。あの人の所に行くのよ」
「ふん! 馬鹿を言うのもいい加減にすることだ」
ロスは泣き崩れるエリアの手を無理矢理引き上げ、立たせる。そしてふん、と鼻を鳴らした。
「そんな証拠がどこにある。犯人と決め付けるのは勝手だが、お前を手放すことなど無いぞ。さあ、結婚式の続きを‥‥」
勝ち誇った笑み。だがそれは
「止めて下さいあなたは彼女に触れる資格はありません」
突如凍りつく。同時にロスは自分の周辺が変わるのを感じた。
セレナがその手を払いのけ自分の味方だった筈の冒険者が、今度はエリアを背後に庇っている。
そして‥‥
「‥‥証拠ならあるよ。ほら、この黒檀の杖がね!」
「吟遊詩人と共に殺された猫のリボンに、杖の欠片が刺さっていた。そして、庭に埋められていた折れた杖には染みが残っていたぞ」
「殺害現場にも、したいにも杖の欠片があった。この埋められていた杖と一致したよ」
彼の罪の追及を始めたのだ。ロスは知るまい。半年前の殆ど手掛かりが無いこの事件の証拠を集めるために冒険者達がどれほど苦労したかを。
「そ‥‥そんな‥‥何を、今更‥‥」
「‥‥言い訳は役人の方へどうぞ。いえ‥‥あちらの方が先ですかしら‥‥」
狼狽するロスの後ろを見ながらセレナは告げた。彼女の視線の向こうからリルが駆けてくる。
「化け猫が入ってきた! 皆、避難するんだ!」
客達の動揺は、高い天窓から地上に舞い降りた銀と黒の猫を見た途端ピークに達した。
慌てて外へと駆け出す。
司祭が誘導し冒険者がそれを助け、暫くの後その場に残ったのはロスとエリア、冒険者。
そして二匹の猫だけとなった。
「お前達、裏切ったのか‥‥?」
震えるロスの顔は俯いている。まさか! と肩をすくめるリルの唇はロスに見えないところで微かに上がっていた。
「窓を閉じたの見ただろう? こいつはどうしようもない化け猫だったということさ」
銀の猫が一歩、また一歩近づいてくる。冒険者は動かない。
「この猫の相手は出来ない。ただの猫じゃない! 僕も貴方もやられてしまう。助かりたいのなら、真実を言うんだよ。ここで懺悔するんだよ! 殺されたいのか!?」
「猫など、とっとと殺せ!」
レイジュの言葉にロスは悲鳴にも似た声を上げた。だが彼は自らの運命をその言葉で決めたのだと気付かず。
「‥‥うわああっ、よせ、止めろお!!」
銀の猫から黒い煙が舞い上がりロスを包む。そして‥‥
「ダメです。命を奪うのだけは止めて下さい」
「人の犯した罪だ、人の手で裁かせてもらえないか? 頼む!」
「ディーナ。止めて‥‥」
「うぐっ‥‥ぐっ!」
ロスの身体が床に崩れ倒れた。
慌てて絶狼はそれを支える。気がつけば、サバ虎猫はいない。
だが
「生きてる」
「俺達の言う事を、聞いてくれたのか?」
「レイ、ディーナ‥‥」
返事は帰らない。返事をするものはいない。
静かな教会に、花嫁の涙の音だけが静かに響いていた。
○ホントウの狙い
ロスは気絶したまま、官憲に引き渡され、花婿不在の結婚式は当然無効となった。
その後逮捕をきっかけに彼の罪がいろいろと表に浮かび、エリアの借金も不正なものと判断されるようだ。
「私、もう一度、がんばって見ます。この子と一緒に‥‥」
エリアは手の中の白猫を抱きしめて、そう言った。白猫も、彼女にだけは牙を向かない。
それは、意味と理由のあることのように冒険者は思った。
『彼』は何も語らず、その後姿を現さないから、それはカンでしか無いけれども‥‥
「白い子猫と共に幸多からん事を切に願う」
健武の祈りは冒険者全員の祈り。
猫を殺さずにすみ、エリアを守れた事を喜びながら、だが同じく彼らは全員が、一つの思いを抱いていた。
「『彼』の意図は解った。だが『奴』の狙いはなんだったんだ?」
結婚式に現れなかったもう一つの影。そのホントウの狙いを冒険者が知るのは暫く後のことである。
牢の奥。
転がった身体を、黒い足と肉球が踏みつけた。
「もう少し血みどろの展開を期待していたが、しょせんは猫か‥‥。まあいい。欲しいものは手に入れた。この汚れ具合はなかなかいい‥」
「誰だ!」
看守が部屋の中をカンテラで照らしたとき、そこに見たのは魂と命を失ったロスと細い格子の奥から白い珠を口に逃げていく黒猫の姿だった。