ごるびーの危機

■シリーズシナリオ


担当:ゆうきつかさ

対応レベル:フリーlv

難易度:普通

成功報酬:0 G 78 C

参加人数:4人

サポート参加人数:-人

冒険期間:02月08日〜02月13日

リプレイ公開日:2007年02月13日

●オープニング

●ごるびー座
 ごるびー座の初公演から早数日。
 同居人であったミンメイがいなくなり、ごるびー(カワウソ)は寂しい日々を送っていた。
 誰も掃除をしないため、山のように溜まったゴミ。
 ミンメイのいた部屋は、いつの間にか蜘蛛の巣が張られている。
「ちゅう」
 そんな、ごるびーにもトモダチが出来た。
 ネズミのチュー介さんと、チュー子さん。
 最初はごるびーも二匹のネズミを歓迎したが、だんだん違和感を覚えてきた。
 ‥‥チュー介さんに、チュー子さん、そして‥‥誰?
 いつの間にか、ネズミの数が増えていた。
 心配になって巣穴を覗く、ごるびー。
 ‥‥子沢山だった。
 そこで、ごるびーは大変な事に気づく。

 このままでは、ネズミ達によって棲家が奪われてしまう!

 青ざめた表情を浮かべながら、ごるびーが屋敷を飛び出した。
 そして数日後。
 ごるびーからの依頼を受け、冒険者ギルドに張り紙を貼るミンメイの姿があった‥‥。

●今回の参加者

 ea0508 ミケイト・ニシーネ(31歳・♀・レンジャー・パラ・イスパニア王国)
 ea0946 ベル・ベル(25歳・♀・レンジャー・シフール・モンゴル王国)
 ea4927 リフィーティア・レリス(29歳・♂・ジプシー・人間・エジプト)
 ea5557 志乃守 乱雪(39歳・♀・僧侶・人間・ジャパン)

●リプレイ本文

●ごるびー
「‥‥なるほど。そういう事ですか」
 納得した様子で溜息をつきながら、志乃守乱雪(ea5557)がごるびーの頭を撫でる。
 ごるびーはネズミの夫婦に騙されて自分の棲み処を奪われ、藁で作った服を着て乱雪達に助けを求めてきた。
 もちろん、ごるびーも棲み処を取り戻すため、ネズミの夫婦に対して勝負を挑んだが、圧倒的なパワー(目の前でイカを食われるなど)の前に屈するしかなかったようだ。
 そのため、ごるびーの身体はすっかり痩せ細り、風が吹いただけでも飛んでいきそうになっている。
「ごるびーはん、目茶目茶ご無沙汰やわな〜。元気やったか? かれこれ半年以上振りやろか? ‥‥その間、うちは修行の旅に出てたんやけど、一座も何や寂れてしもたんかぃなぁ‥‥。しかも鼠に侵略されていたとは‥‥、辛抱する事が出来んわな〜。ここはうちらの力を貸したるさかい気張ってな」
 懐かしい面持ちでしみじみとした思いを巡らせ、ミケイト・ニシーネ(ea0508)がテレパシーのスクロールを広げてごるびーと会話をし始めた。
 ごるびーは身振り手振りを使って自分の心境を説明し、ネズミ夫婦に棲み処を奪われた辛さをミケイトに伝えていく。
 しかし、説明をしている途中で悔しくなり、大粒の涙を浮かべて走り出す。
「こら、待てぃ! まだ何も解決しておらんやろ? それなのに、ごるびーはんは逃げるんか? そんなヘッポコに育てた覚えは無いで! ‥‥って、いつからうちの子供になったねん」
 超高度なノリツッコミを繰り出し、ミケイトがごるびーにツッコミを入れる。
 その一撃によってごるびーが吹っ飛び、血反吐で綺麗な虹が出来た。
「ふよふよ〜〜〜ん☆ ごるびーちゃん、遊びに来たですよー‥‥って、どうしたんですか!?」
 血溜まりの中に沈んだごるびーに見つけ、ベル・ベル(ea0946)が驚いた様子で飛び回る。
 ごるびーはベルの声に気づいて立ち上がり、今までの経緯を必死になって説明した。
「わわっ、それは大変ですよ〜。すぐに退治しないと、大変な事になるですよ〜」
 長年ごるびーと付き合っているおかげで、何となく言っている事を理解し、ベルが屋敷のある方向に飛んでいく。
「お、おい! いくら相手がネズミだからって、おまえひとりじゃ危ないぞ! ‥‥って、いっちまったか。‥‥たくっ! 面倒な事になりそうだな。‥‥頼むから間に合ってくれよ」
 仕方の無い様子で溜息をつきながら、リフィーティア・レリス(ea4927)がベルの後を追いかける。
 そのため、ごるびーが困った様子を浮かべ、仲間達を見つけて『きゅ〜』と鳴く。
「‥‥仕方ありませんね。乗りかかった船です。私もごるびー座を取り戻す、お手伝いをさせていただきます」
 ネズミ達によって奪われた屋敷を取り戻すため、志乃守乱雪(ea5557)がごるびーを小脇に抱えて屋敷にむかう。
 このまま放っておいても、ネズミ達の数が増えていくだけなのだから‥‥。

●ごるびー座
「一体、何処に隠れているんや。早く出てきてや」
 ネズミ達に気づかれないようにするため忍び足で屋敷に近づき、ミケイトが警戒した様子でベルを捜す。
 ごるびーの屋敷はネズミが棲み始めた事で不衛生になっており、辺りには異様なニオイが漂っている。
「‥‥何だかちょっと怖いですよ」
 怯えた様子でミケイトにしがみつき、ベルが身体をブルブルと震わせた。
 そのせいでミケイトが飛び上がり、悲鳴を上げて尻餅をつく
「い、いきなり何をするんや! 心臓が飛び出して、月道を通っていくかと思ったでぇ!」
 青ざめた表情を浮かべながら、ミケイトがベルをジロリと睨む。
 まさか背後にベルがいるとは思っていなかったため、心臓がバクバクと高鳴っている。
「こ、怖かったので、帰って来たですよー」
 申し訳なさそうな表情を浮かべ、ベルが恥ずかしそうにテヘッと笑う。
 ベルは大量のイカが積まれたロバのたるくんを連れ、一緒に屋敷の中に入っていこうとしていたようだ。
「ば、馬鹿! ふたりとも声が大き過ぎるって!」
 このままではネズミ達に気づかれてしまうため、レリスが呆れた様子でツッコミを入れる。
 そのため、ふたりはハッとした表情を浮かべ、気まずい様子で口をつぐむ。
「とにかくネズミの夫婦と話し合いをしてみましょう。追い詰められて、仕方なくかもこるびーさんの屋敷を奪ってしまったのかも知れませんし‥‥」
 険しい表情を浮かべながら、乱雪がボソリと呟いた。
 もちろん、ごるびーの棲み処を奪ったのだから、その罪を償わねばならないが、何か理由があるのなら聞いておく必要がありそうだ。
「まぁ、なるべくなら穏便にネズミらを追い出したいわな〜。それじゃ、現状の屋敷を隠密偵察しておくか。ただし、うちの悲鳴が聞こえてきたら、すぐに助けに来るんやで〜。見捨てて逃げたりしたら、化けて出るから覚悟しとき!」
 泥棒ルックに身を包み、ミケイトが屋敷に忍び込もうとする。
 ここで仲間達のツッコミが欲しいところだが、タイミングを失ってしまったらしく、気まずい表情を浮かべている。
「うう‥‥、何だか今日はついていないようやなぁ‥‥。まぁ、いつまでも落ち込んでいるわけにはイカンし、頑張ってくるでぇ〜」
 人生を見つめ直すため旅に出たい気持ちを抑え、ミケイトが元気よく仲間達に手を振った。
 そして、持参したパラのマントを羽織り、インビジブルのスクロールを開く。
(「‥‥って駄目やん」)
 屋敷の中に入った瞬間、ミケイトがダラリと汗を流す。
 何処を見ても、ネズミ、ネズミ、ネズミ!
 ‥‥足の踏み場が無いほど、屋敷の中はネズミで溢れかえっている。
「む、無理や! ありえへん!」
 青ざめた表情を浮かべながら、ミケイトが屋敷を飛び出した。
 あれでは例え姿を消していても、ネズミを踏まねば先に進む事など出来はしない。
「わわっ、ネズミさんが、こっちに来たですよ〜☆」
 次々と屋敷の中からネズミ達が飛び出してきたため、ベルがハッとした表情を浮かべて飛び上がる。
 ネズミ達はあっという間にベル達のまわりを囲み、ジリジリと逃げ道を塞いでいく。
「チッ‥‥、これじゃ逃げようが無いな。エギュー、ゲーム、覚悟はいいか‥‥って、いねぇ!」
 自分のペットに声を掛け、レリスがひどくショックを受ける。
 ペット達はネズミの群れが現れたのと同時に、主人を見捨てて一目散に逃げ出した。
「‥‥あなた達の目的はなんですか!」
 警戒した様子で辺りを見回しながら、乱雪がネズミの夫婦を捜す。
 しばらくしてネズミの夫婦がイカで作った絨毯に乗り、他のネズミ達に運ばれてきた。
 まるでネズミ達の支配者であるかのような表情を浮かべ‥‥。

●チュー介さんと、チュー子さん
「ちゅっちゅちゅー!(おーっほっほっほっ! 飛んで火にいる夏の虫とは、この事ね。まぁ、いまは冬だから、夏の虫って言うのもおかしな話だけど‥‥)」
 まるでごるびー達を警告するかのように、ネズミの妻がイカで作った神輿を齧る。
 ごるびー達と話し合うつもりが無いのか、見せ付けるようにしてイカに齧りつく。
「きゅっきゅー!」
 やめろと言わんばかりに走り出し、ごるびーがイカの神輿に飛びついた。
 しかし、すぐに他のネズミ達に捕まり、全身の毛を抜かれてしまう。
「わわっ、ごるびーちゃんがつるびーちゃんになってしまったですよ〜!」
 無残な姿で放り出されたごるびーを見つめ、ベルが大粒の涙を浮かべて助けに行く。
 こんな事もあろうかとイカを沢山用意していたのだが、ごるびーにとってはすべてのイカが大切らしい。
「ちゅっちゅっちゅっ!(おっと、それ以上、妙な真似をするんじゃねぇ! このイカがどうなってもイイのか!? ‥‥そんなの嫌だろ? 分かったら、早く帰んな!)」
 邪悪な笑みを浮かべながら、ネズミの夫がごるびーを睨む。
 そのため、ごるびーはギリギリと歯を鳴らし、悔しそうにペタペタと足踏みした。
「何を言われたんだか、よく分からねえが、間違っても奴らの言いなりになるんじゃねえぞ!」
 ごるびーの事を励ましながら、レリスがネズミ達に対抗するための手段を考える。
 サンレーザーを使えば一瞬にして勝負をつける事が出来そうだが、一匹でも逃げられてしまえば必ず仕返しをされてしまう。
「それにしても、困った事になっているようやなぁ‥‥」
 ネズミの夫婦を見つめ、ミケイトが困った様子で溜息をつく。
 本当ならネズミ夫婦の子供を人質に取るつもりでいたのだが、ネズミの数が増えすぎているため、一匹だけ人質にとっても呆気なく見捨てそうである。
「ちゅちゅちゅー!(分かったら、早く帰りなさい! ここに貴方達の居場所はないわ!)」
 勝ち誇った表情を浮かべ、ネズミの妻がイカ神輿の上に立つ。
 そのせいでごるびーがショックを受け、グルグルと目を回して気絶した。
「‥‥勘違いするんやない! うちらを怒らせたら、シャレにならないでぇ!」
 予想以上にネズミの夫婦が高圧的になっていたため、ミケイトも負けずにハッタリをかます。
 お互いに相手の言葉が分からないが、その雰囲気から何となく意味は分かるようだ。
「これ以上、無益な戦いをする事はやめましょう。こんな事をしても、お互いのためになりません。新しい棲み処が欲しいのなら、私の家に来てください。少なくとも毎日の食事には困りませんよ」
 ネズミ達の食糧事情を考え、乱雪が戦闘を回避しようとする。
 しかし、ネズミ達には言葉が通じないため、交渉を受け入れるつもりは無いようだ。
「いっその事、全員ごるびー座の団員にしちまうか。まぁ‥‥、何とかなるだろ?」
 そう言ってレリスがごるびーの肩をぽふりと叩く。
 そして、この日から、ごるびーとネズミ達の新たな戦いが始まった‥‥。