七音:華やかに!アジア・オセアニア

種類 シリーズEX
担当 玲梛夜
芸能 3Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 8万円
参加人数 7人
サポート 0人
期間 03/01〜03/04
前回のリプレイを見る

●本文

 それは東京にある一軒のライヴハウスから始まる話。
 そのライヴハウス『SevenSeas』のオーナーの子の名は、ライヴハウスの名前と同じ、七海。
 七海は現在中学生だ。
 家の一階はライヴハウス、ということで音には小さな頃から親しんでいる。
 そしていつかは自分も、このライヴハウスで‥‥
 これはそんな淡い想いを抱く少年と、このライヴハウスにやってくるものたちの紡ぐ、物語なのである。

●TVアニメ『七海の音』声優募集
 TVアニメの声優を募集致します。
 職業が声優であろうと、俳優であろうと、ミュージシャンであろうと、拘りはありません。

●番組内容
 プロを目指すものも、趣味でとどまるものも、色々な音楽のありようを描いていくロックアニメ。
 『七海の音』というのはライヴハウスの名前とかけてあり、七海自身が中心になって何かする、というよりも七海に影響を与えていく者たちが中心である。
 途中で歌も流れることもあり、愛憎劇もあり、夢に向かってもあり。
 さまざまなものを含んだアニメだ。
 最終回は店長からの一言「お前たちライヴやってみるか?」から始まる。
 七海少年は歌手でもあり声優でもある、杉山瑠伽が演じる。

●補足
 実名でアニメ参加の場合、今現在の知名度などがアニメ世界に反映。
 一人二役は基本的には認められませんが、ガヤとして参加は可。
 ちょっとした端役は監督さんが引っ張ってきます。
 アニメの中でグループを組むというのももちろん大丈夫。
 話の内容は時と場合により少しずつ変動すること有り。

●今回の参加者

 fa0073 藤野リラ(21歳・♀・猫)
 fa0079 藤野羽月(21歳・♂・狼)
 fa3092 阿野次 のもじ(15歳・♀・猫)
 fa3398 水威 礼久(21歳・♂・狼)
 fa3887 千音鈴(22歳・♀・犬)
 fa4131 渦深 晨(17歳・♂・兎)
 fa4133 玖條 奏(17歳・♂・兎)

●リプレイ本文

●準備に大忙し
「店長、みんな集めてなんですか?」
「ハッ! まさかまた大掃除とか‥‥!」
「違う違う」
 掃除は嫌ー! と一瞬後ろへ引いた面々に、店長は笑って違うと言う。
 そしてそのにこやかな表情そのままに、それぞれ一人ずつ、じっと見る。
「ライヴやってみるか? 最近皆楽しそうにいろんなことやってたからな、ここらで一つ、大舞台を提供しようかと思ってな」
「私たちが‥‥?」
 いいの? と瞳きらきらさせながら聞き返す華。
 うんうん、と頷きが返る。
「俺達で?? ‥‥いいんですかっ?!」
「そう何度も言わんでも」
 と、言われても、本当、本当? と反芻しそして喜びはそのたびに増す。
「店長、予定はいつになりますか? 練習とか準備もしたいし‥‥」
「そうだなぁ‥‥丁度一週間と四日後に後にぽっと一日、開いてる日があるからそこでどうだろうか」
 葉月の言葉に少し考え、カレンダーみつつ店長は言う。
 日頃の成果を出しきるチャンスがあるならば、精一杯やるのが当たり前。
「ライブだ‥‥ここで皆でライブだ、張り切って練習だーッ!」
 のりはえいえいおー! 大きな声で拳あげて気合は十分。
 この日から、それぞれ準備に取り掛かる。
 それはもう、色々な事に。

●疑惑の始まり
「思ってたわけよ、もうちょっと積極的にいかないと」
 ビッと凛は、葉月に二枚のチケットを差し出す。
「はい、もうさっさと誘ってきちゃいなさいよ。いつまでもたらたらたらたらしないっ!」
「‥‥これは‥‥」
「打上げでも、偶然GETでも適当に理由つけて華誘うのよ。男ならガツンと当たって砕けるべし! あ、いや砕けちゃ駄目なんだけど‥‥」
 華と一緒に行きなさい、と凛の手から葉月の手へわたるチケット。
 葉月は、ありがとうといってそれを受け取る。
 だがしかし、ここで終わるわけがない。
 このシーンを、華は目撃していたのだ。
「‥‥りんりんが8月にチケット渡してた‥‥」
 華の頭に浮かんだ理由は三つ。
 一番、好きな歌手が同じ。
 二番、偶然そこに8月がいたから。
 三番、8月がいたから。
 さてどれでしょー、シンキングターイム!
 ‥‥ってちがーうッ!
 卓袱台がそこにあったなら、それはがっつりひっくり返っていただろうアクション。
 勢いのままハッと我に返って卓袱台を直すところもでやってしまうほど、華はいっぱいいっぱいだった。
「た、たかだか友達同士でライブに行くだけじゃないおかしくないじゃないハハハン」
 そう、普通の友達ならよくあるよくある‥‥と思ってみるものの、やっぱり考えはぐるぐる回ってしまう。
「‥‥でも何で私は誘われない訳‥‥二人はそういう仲なのかな‥‥ということはいつぞやのあの男はなんだったのさりんりん!」
 この気持ちが何なのか、華はわかっているようで、わかっていない。
 でも確かにもやっとしたものがある。
「‥‥練習、練習しよう。うー‥‥気にせず練習練習!」
 と、気合を入れなおすものの、やっぱり心に不安は募っていく。

●練習練習、さらに練習
 ああ、この音は違うな、と礼久は書き散らされる曲にバツをつける。
 一つ一つ音を大事に汲み上げていくように。
「‥‥雰囲気が違うんだよなぁ‥‥」
 ライヴハウスの片隅を借りて作曲。
 試行錯誤を重ねていく。
「‥‥だー、もう駄目だ」
「礼久にーちゃん挫折?」
 と、そばで今までみていた七海がふと声をかける。
 行き詰まりかけた礼久の気分転換に。
「息抜きだ」
「わざわざ新しい曲作らなくてもいいんじゃない?」
「いや、せっかくのライヴだから俺はここをテーマにやりたいと思ってな」
 頬をぽり、とかきながらはにかみ、礼久は言う。
「そっか! 楽しみにしてるね!」
「ああ、今できるだけを出し切ってやるな」
 そしてまた礼久は気合をいれてギターをかき鳴らし始め、曲を紡いでいく。
「‥‥ずっとそこにいられると進まない」
「え、今までできてたのに」
 じーっと視線を送られれば、出来るものも出来ない。
 礼久にーちゃんの邪魔しちゃ駄目だね、と七海は立ち上がり事務所の方へ。
 そこでは沙紀が事務所整理のお手伝い中。
「あ、沙紀ちゃんこっちいたんだ!」
「店長からお仕事任されたから、七海もしましょう」
 そして七海も手伝い開始。
「あ、沙紀ちゃんはライヴ‥‥」
「ふふ、卒業間近! 潔くカッコ良く生きてみよう! ということで七海&沙紀祝卒業記念★セブンシー究極ライブ開催!! なんてことはありません」
「ないんだ、しちゃってもいいのに」
 どこからともなくでてきた箒握って、沙紀は笑う。
「歌うのはおかしなはなし、私はあくまで『一般人』ですので。そういう七海はどうなの? やりたいこと実は決まってきたんじゃない?」
「えー、うん、したいことは一杯かな。楽器触りたいし歌ってみたいし」
「来年から高校進学、始めるには丁度いいじゃないですか」
「そうだね、ここにいれば先生には事欠かないだろうし」
「刺激も沢山です、何事も練習練習ですよ」
 そうだね、と笑いながら言う七海。
 沙紀は七海見つつ、微笑む。
 今まで、家庭や事情がわかれば、見る目が変わった。
 そんなのが嫌でネットの仲間たちと死神少女をはじめた。
 それが沙紀が死神少女たる理由。
 けれども、ここの人たちは家も別の顔を見て変わらなかった。
 特に七海はそうなんだー、で、昨日夕飯でねと話を変えるくらいなんとも無い様子だった。
「いいですね、こういうの」
「沙紀ちゃん何か言った?」
「空耳です」
 そっか、と答えが返り、二人は事務所整理をそれからもくもくとしていくのだった。

●恋の攻防、ワン、ツー、スリー
「あ‥‥」
 さっきからめちゃくちゃな音ばかり。
 華はため息を一つ落とした。
 ひっそり、自室で一人で練習。
 今頃皆はライヴハウスで色々やってて、混ざりたいとも思うけれども、まだなんとなく、いけない気持ちのままだった。
「‥‥はぁ‥‥」
 音は外れる、指は動かない。
 せっかくの、好きな歌を好きな人たちと歌える機会なのに。
 このままじゃ、駄目だ。
 華はそう思い、うーんと考える。
「‥‥なんかむかむかしてきた‥‥」
 考えること、数秒。
 結論。
 全部、8月のせい。
「こうはしていられないわね!」
 華は立ち上がり、葉月の元へと向かう。
 そのころ葉月はというと。
「ぷくく‥‥」
 そわそわ、落ち着きがなく挙動不審。
「早く言っちゃえばいいのに‥‥いつ動くか楽しみね」
 恋路を応援しつつも笑いをかみ締める凛。
 今舞台の上では、風雅と辰樹がダンスの練習をしていた。
「兄さんずれた」
「ずれたのはそっちだろ!」
「兄さんがだよ」
 舞台上では兄弟の、静かなる戦い。
 けれども最終的に、弟の黒いオーラをまとった笑みに兄が負けるのだけれども。
「よし、ダンスも練習したし、次は楽器の練習」
 と、練習はもう十分、本音はちょっと飽きちゃったの辰樹は楽器取り出し、練習し始める。
 と、そこへ華がやってきて。
「あ、華! もう遅いわよ、練習しましょ、一緒に!」
「え、いやその‥‥うん」
 葉月も、もちろん一緒に練習。
 最初は順調に、音が合っていたものの、それはだんだんと崩れてくる。
 ぎくしゃく、がたがた。
「‥‥‥‥はーなー、心ここにあらず?」
「あ‥‥ごめんっ!」
「あっ、お華さんっ‥‥!」
 華、いても立ってもいられなくなり逃走。
 葉月は追おうとしたのだが、そのタイミングが微妙にずれて伸ばした手は空を切る。
「‥‥華、どうしたのかしら‥‥」
「ちょっと見てきますね」
 皆さんは練習しててください、と風雅は言って、華を追う。
 華はライヴハウス裏でしゃがみこみの真っ最中。
「はーなさん。どうしたんですか、こんなところで?」
「‥‥なんでもないの‥‥」
 なんでもない、と言われてもいつもの様子がまったく見られない華。
 風雅は一緒にしゃがみこむ。
「‥‥ひょっとして、葉月さん絡みですか?」
「!! ど、どうしてそれを‥‥!」
 顔をがばっとあげて、華はあわてる。
 風雅は笑って、華に言う。
「大好きなんですね、葉月さんの事。俺応援してます」
「お、応援‥‥ありがとうっ! で、でもからかってない、わよね?」
「からかうというか‥‥お2人には一緒になって欲しいなぁって」
 だから頑張ってください、ともう一度励ましの言葉。
 華は、またありがとうといって立ち上がる。
「よし、聞いてくる!」
 何を、と聞く間もなく華は立ち上がり、ホールへ戻る。
「あ、お華さ‥‥」
「8月さ〜〜ん! どうですか? ライブの準備、バッチリですか? 俺、音低で不安なところあるんですが教えてくれません?」
「ちょ、辰樹‥‥!」
 戻ってきた華、に話しかけようとした葉月に、辰樹が立ちはだかる。
 本人、悪気は何もない、はずがない。
 華と葉月の微妙な雰囲気を面白がっての突撃だった。
「そ、それはあとでみるから辰樹、今は‥‥」
「はーいそこまで!」
 と、葉月を救ったのは凛。
 ちょっと席を外している間に二人の邪魔をするなんて、と首根っこつかんでずるずる離す。
「わっ! 凛さん何するんですか!? 俺は猫じゃないですよ〜?」
 ぶーと不機嫌そうな表情の辰樹に、華は笑みを送る。
 にっこり。
「なーにをしていたのかなー。私の目の黒いうちは、邪魔させないわよぉー。突撃するなら私のところにどんと!」
「あはははは、遠慮しておきます‥‥」
「凛さん、ナイスです。兄さんは‥‥まったくもう‥‥」
 三人隅っこによって、二人を静観。
 ぴりっとした、雰囲気だった。
「8月‥‥」
「お華さん、あの‥‥ええと‥‥」
「8月に物申す! 8月は‥‥りんりんが好きなの!?」
「え?」
「私?」
 その言葉に一瞬以上の間。
「何、何この間は‥‥あたりなの!?」
「‥‥華さんてにぶいんですかね」
「そうなのかも‥‥」
「にぶさん‥‥」
 みていた三人でさえも、うすら笑ってしまう。
「お華さん‥‥どうしてそうなるんだ‥‥」
「アレ? 違うの?」
 華が回り見回すと、全員そろって違う違うのしぐさ。
「なぁんだ、そうなんだ! うん、ならいいの、うん。さぁ、練習しましょう!」
 華は、一気に元気になる。

●ライヴの始まり
 そしてとうとういよいよ、ライヴの日。
「ビデオテープの用意はよしですわ、任せてください」
「よろしくね、沙紀ちゃん!」
 本日のビデオ係は沙紀。
 準備も万端、ライヴハウスには人が入り、暗い舞台に明かりが灯る。
 最初に音奏でるるのは礼久だ。
 ギターとベース、両方持って。
「俺が歌うのは『七海』、この場所を、歌うぜ」
 ギターの音はゆっくりと、始まる。

「 七つの海にこの想いを託し唄おう

  始めは単なるまとまりのない波音の乱舞
  誰かの心を動かせる事もなく
  ただ迷い苛立ち時には衝突し
  自分だけの波音をもがくように探してた

  海は深く気付けばそんな想いも優しく受け止めてくれていた
  全てを曝け出し自分だけの波音を見つけ始めた時
  周りにあったのは別の波音

  バラバラだった波音は砕ける度にこの海で一つになっていった
  心地いいリズムと共に 」

 と、ここでギターからベースに持ち替え、海の深さと優しさを、表現し始める。

「 一つになるまでの道程も今につながる大切なさざ波
  この想いの音はずっと明日に繋がっている

  迷う事や衝突もやればいいさ

  全ての波音は全てを受け入れてくれるこの七つの海で一つになる 」

 最後まで、自分らしさをもったままで礼久の演奏は終わる。
 そしてそのまま、雰囲気はがらっと代わり元気に。
 エレキギターの音と、凛の声が響く。
 一緒に辰樹はコーラスとタンバリン、辰樹はコーラスとダンスでお手伝い参加。
 そして華と葉月も楽器キーボードでお手伝い。

「 上手くいかない 上手くいかない
  そんな言葉繰り返す毎日
  でもキミの問いかけにふと考えた
 『上手くやる』ってどういうコト? 」

 ステージの上動いて、思い出すのはこの歌を歌ったときのこと。

「 空は青くて気持ちいい
  風は少し冷たくても その分温もり感じられる
  音は素直でちょっと意地悪
  歌は顔を上げ 心のままに紡げばいい
  それだけでよかったんだ 」

 道は違うけれども、同じ。
 それは遠くでも変わらない。

「 上手くいかない 上手くいかない
  そんな言葉もう必要ない
  不器用な想い どこまでも楽しんでやる

  歌はキミへ向け 心のままに紡ごう 」

 今凛は、この場所で精一杯自分の音を奏でている。
 『My Song』は凛にとっての一歩。
 歌い終わり、笑顔を向け、次の相手へバトンを渡す。
 次はそのまま、華が真ん中に立って、歌をつなぐように始める。

「 あったかくて窮屈な世界から
  脱け出したかったんだ
  甘たれた猫はノラ猫にもなれない
  帰る場所も捨てて
  でも夢があった 」

 ライヴハウスに転がり込み、そして父やってくる。
 色々と、あったなと笑いが漏れる。

「 海を見たよ 生まれて初めて
  きらきら 魚の来るところ
  翔んで跳ねて あんな風に泳ぎたかった
  水かきも尾ひれもない でも
  しぶきが笑う おいでって
  小さな手足があるんだから 」

 自分の音の可能性を見つけて、まだ歌っていられる。
 まだまだきっと、他の歌も生み出せる。

「 時々夢に見るよ 遠い街角
  いつか泳いで帰ろう
  いくつもの海を越えて
 『皆は私の海です』 」

 それは皆がいてこの場所だから。
 華は心こめ、歌う。
 一緒に舞台にいる、三人とも視線を合わせながら。

「『七つの海』はきっと皆の中にも!」
 そして、次は葉月。
 静かに、曲名『for you』とつげ、アコースティックギターを鳴らし始める。

「 あなたが あなたであるだけで
  とても 幸せなこと
  あなたが あなたでないのなら
  それはただの 虚ろな人形(ひとがた)
  真に求めるものは、―何? 」

 途中から華も加わって、葉月の声に自分の声を重ねる。
 歌の終わり、葉月は音止めると同時に、華をまっすぐとみる。
 まだ曲の余韻の中で。
「俺は見つけた、真に求めるものを。それが、お華さん。──貴方だ」
 精一杯の言葉をぶっきらぼうに。
 華は、一瞬何を言われたのかわからず、動きとめる。
 けれども、観客からどっとはやし立てる声。
 華は赤くなって、でもまんざらでもない、はにかんだ表情を浮かべる。
「とうとうやったわね、8月‥‥!」
「やっとですね。いいなぁ。俺も華さんみたいに想ってくれる人がいればいいのに」
「風雅、俺たちにはファンの子がいる!」
「う‥‥でも私の華が‥‥ちょっとさびしいかも」
 ちょっぴりしょぼん、な凛を二人は俺たちいるから、と慰める。
 でもまだステージは終わっていない。
 最後に、もう一曲。

『諦めるな!』

 声そろえて曲名。
 勢いよく音を重ねて、曲は始まる。

「 startは違うそれぞれの道が 交差して動き出す
  偶然必然、必要不要 入り混じる世界を歩む
  きっとこの出会いには意味があるはず 」

 風雅ち辰樹は踊って観客を沸かせる。

「 夢は同じでも 僕が右行けば君は左へ進む
  想いが同じでも 僕が素直になれば君は意地を張る
  そんな日常(当たり前)が大事 」

 ギターにキーボード、音を重ねて楽しく、勢いつけて盛り上げて。

「 蹴りを入れて身を翻し 想いを貫き通せ!
  クルクルと回る地球に 挑戦状叩きつけろ! 」

 思いを歌に重ねて。

「 you said 『never give up』 諦めるな!
  それが扉を開ける合言葉 」

 華やかに、華やかに!

●ライヴの後の
「‥‥ぉ」
「ぉ、って何」
「嬉しくて」
 葉月の手にそっと自分の手を重ねてみる華。
 それは、華から葉月へのさっきの歌の答え。
「お華さん、ライヴも成功したし、コンサートに行こう」
「コンサート?」
「凛さんからチケットもらったんだ」
 ‥‥‥‥あ!
 華は小さく声を発する。
「なんだ! もうそれなら早く誘えばいいのに!」
 と、二人は今まで思いあっていたよりさらに、仲を深め合う。
 そんな熱々の二人をこっそりデバガメの凛たち。
「あ、ちょっと押すなって!」
「兄さん声大きい‥‥その前にこんなの駄目ですって」
「いいのよー! ああ‥‥私もダーリンほしい‥‥」
「えー、凛さんにはあの人いるじゃないですか、あの、ほらええと‥‥」
「誰」
「頑張って思い出して兄さん」
 うーんうーん、と辰樹は唸る。
「皆さん、打ち上げの準備‥‥って、何してますの?」
 と、皆を呼びにきた沙紀はわかっていながらも話をふる。
「あ‥‥もうりんりんたちはー!!!」
 華は三人に気がついて、こらー! と追っていく。
 そのあとで葉月も、ちょっと照れながら追っていく。
「沙紀ちゃんも早くー」
「はいはい」
 と、打ち上げはライヴハウスの事務所でこじんまりと、ということで移動。
 沙紀が来るのを、七海は待つ。
「沙紀ちゃんもやっぱり歌いたかったに一票」
「そんなことは、ないわ。でも今日のライヴみてて、頑張らなくちゃとは主たかしら」
 沙紀はくすくす笑いながら言う。
「音楽関係の有線やネット配信の仕事を死神仲間たちとって話をね」
「わ、すごい、やるんだね!」
「ええやるの。将来の夢? 否、現在これからやりだすこと」
「僕は応援しながら、音楽の勉強かな」
 二人で内緒の話のように、笑いながら。
「変わらないから‥‥変われることもあるのかもね」
 沙紀は小さく、つぶやく。
「おーい、沙紀! 七海! 早くこいって!」
「あれー、今度はこっちが呼ばれてる、早くいこっか」
 礼久に呼ばれて、皆の集まるほうへ。
 そこではにぎやかに、華やかに。

 この場所にいなくても、音は人をつないで。
 華やかに日々を、彩っていく。
 まだまだ、始まったばかり。

●CAST
華:藤野リラ(fa0073)
凛:千音鈴(fa3887)
葉月:藤野羽月(fa0079)
辰樹:渦深 晨(fa4131)
風雅:玖條 奏(fa4133)
沙紀:阿野次 のもじ(fa3092)
七海:杉山瑠伽

礼久:水威 礼久(fa3398)

 ...AND Thank You FOR All SevenSeas Members!!


●お疲れ様でした
「最後、全員そろわなかったけど、長い間お疲れ様でした」
「そうだな、残念だったが‥‥」
 瑠伽の言葉に礼久は頷く。
「今までご一緒してきた皆さん、ならびに関係者の皆さんには本当にお世話になりました。自分の新たな一面を発見できたとともに、また一つ成長できたように思います」
 丁寧に頭を下げる奏。
 その横で晨も一緒に頭を下げる。
「兄弟そのままって感じね‥‥そこにいるみたい。本当にお疲れ様。そのままといえば‥‥藤野さんのところも最後はおめでとうございます」
「そんな‥‥こちらこそ楽しい時間を本当に有り難うございました」
 リラと羽月はそろって頭を下げる。
「これで最後だと、なんか寂しいわね、やっぱり。最後まで『凛』がんばれてよかったわ!」
「千音鈴さんの凛はいつも元気だったわね。阿野次さんも、七海と今までありがとう」
「私は私のすることしただけですよ」
 最後の収録終わり、あと残るは打ち上げ。
「本当は温泉旅行とかいけたらいいんだけど、皆忙しそうだし‥‥今日はスタッフ監督含めて、焼肉食べ放題ね」
「楽しみ!」
 今までのねぎらいこめて、焼肉へGO!