七音:どたばた大掃除アジア・オセアニア
種類 |
シリーズ
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担当 |
玲梛夜
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芸能 |
3Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
普通
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報酬 |
7.9万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
1人
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期間 |
08/24〜08/28
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前回のリプレイを見る
●本文
それは東京にある一軒のライヴハウスから始まる話。
そのライヴハウス『SevenSeas』のオーナーの子の名は、ライヴハウスの名前と同じ、七海。
七海は現在中学生だ。
家の一階はライヴハウス、ということで音には小さな頃から親しんでいる。
そしていつかは自分も、このライヴハウスで‥‥
これはそんな淡い想いを抱く少年と、このライヴハウスにやってくるものたちの紡ぐ、物語なのである。
●TVアニメ『七海の音』声優募集
TVアニメの声優を募集致します。
職業が声優であろうと、俳優であろうと、ミュージシャンであろうと、拘りはありません。
●番組内容
プロを目指すものも、趣味でとどまるものも、色々な音楽のありようを描いていくロックアニメ。
『七海の音』というのはライヴハウスの名前とかけてあり、七海自身が中心になって何かする、というよりも七海に影響を与えていく者たちが中心である。
途中で歌も流れることもあり、愛憎劇もあり、夢に向かってもあり。
さまざまなものを含んだアニメだ。
全十二話中、二話目は、ライヴハウスの大掃除。それをしていくうちに今までここで演奏してきた人々の忘れ物が舞台の隙間から出てきたり、壁に張られた写真の下の文字などがたくさんでてくる。それらを見て最後に全員でひっそりと、壁に一つ、想いをつづるというのが流れ。
七海少年は歌手でもあり声優でもある、杉山瑠伽が演じる。
●補足
実名でアニメ参加の場合、今現在の知名度などがアニメ世界に反映。
一人二役は基本的には認められませんが、ガヤとして参加は可。
ちょっとした端役は監督さんが引っ張ってきます。
アニメの中でグループを組むというのももちろん大丈夫。
●リプレイ本文
●大掃除をしよう!
「父さんから掃除を仰せつかりましたー」
「仰せつかりましたー」
とある休日のライヴハウス『SevenSeas』。
七海と華は箒にバケツ、そして雑巾などなどのお掃除グッズを手にライヴハウスに遊びに来た者たちを捕獲していた。
最初に捕まったのはラシア。
「ラシアねーちゃん、手伝って」
「いいけど‥‥」
がしっと腕を掴まれて、嫌とは言えずラシアは苦笑する。
「あ、今日はツレがいるんだよ、手はたくさんあったほうがいいから」
「えー、誰だろー」
と、七海は言いラシアの後ろを覗き込む。するとバンから降りて猛ダッシュでライヴハウスに駆け込んでくる人物一人。
「よし、誰にもバレてない! カンペキ!」
「あ、え?」
「初めましてー」
ひらひらっと手を振りながらその人物は笑顔を浮かべる。
それに、七海も華も吃驚。
「テレビで見る人ー!!」
「テレビで見られてる嶺雅だヨー。ラシアと同じグループだからねー、今日はついてきたんだー」
と、扉前で話しこんでいるとまた一人。
「こんにちはー‥‥って、えぇー!? なんでここに有名人がいるのー!?」
現れた凛は、そこにいるテレビの中の人の出現に驚くが、すぐにミーハー心を発揮。
わーっと一頻り騒いだ後に、テンションは戻る。そして、華に笑顔で渡されたのは箒だった。
「‥‥私しょっちゅう掃除してる気がするんだけど気の所為?」
「気のせいよ」
「ま、店長にもお世話になってるし、やるわ!」
「あたしたちもやろうか」
「じゃあ高いトコしようかなー」
とりあえず今いるメンバーで掃除は開始。
扉が開く音がするたびに、七海は新たなる人手をゲットと走る。
今度は辰樹だった。
「こんにちは‥‥あれ? 七海ちゃん、掃除中?? 一人遊ぶわけにもいかないし‥‥暇だし、俺も手伝うよ」
「自ら進んで‥‥ありがとう!」
後からやってきた人ももちろん例外無く、手伝うことになる。
●お宝発掘の切欠は
「きゃあああああああ!!!!」
「!? あ、あの声は沙紀ちゃん!?」
二階からの叫び声。二階の荷物置場を整理整頓掃除の名のもとに行ってた沙紀が勢い良く階段を降りてくる。
その手には数冊のアルバム。
「うふふ‥‥七海たちのアルバムよ、かわいいのっ」
「! は、恥ずかしいから沙紀ちゃん!」
「七五三に運動会‥‥きゃぁLOVE度炸裂ですわ」
「本当、大航海若いわねー」
「お華さん、今でも十分若いよ‥‥」
と、掃除の手を中断してそのアルバムを眺め騒いでいた。
すると後ろから咳払い。
「君たち、掃除は?」
「父さん! してる、してるよ!」
店長はほどほどの息抜きは良いけれども真面目に、と釘刺し。
そして。
「わかってると思うが壁の落書きは消さなくていいからな。どこかに今有名芸能人のサインや忘れ物もあるかもなぁ」
自慢の顎鬚を撫ぜながら言い、店長は事務所へと戻っていく。
「忘れ物かぁ‥‥見つけたらラッキーね! お掃除再開!」
と、タイミングよく携帯の着信。
それは辰樹のものだった。
「ちょっとごめんね。はい‥‥何?」
『兄さん、いつまでも拗ねてないで。マネージャーも心配してるよ?』
携帯から漏れ聞こえる声は辰樹の弟、風雅。
「別に拗ねてないし‥‥うるさい。もうその話は分かったから!!」
プチっと言い捨てて切断。辰樹は気にしないでと笑う。
「今日風雅にーちゃんいないけど別のお仕事?」
「うん、ピンでの仕事。元気な風雅の方が良いんだって。風雅も喜んで受けちゃうし‥‥知らない」
そう言って、辰樹はまた掃除をせっせと始めた。
どうやら双子兄弟、現在すれ違いがあるらしい。
●それぞれの見つけたもの
「やっと見つけた、やっぱりここに出入りしてたんだな、姉貴‥‥」
壁のメッセージをみつけ、礼久は頷き感慨に浸っていた。
「どーしたの、礼久兄ちゃん」
「いや‥‥この書き込みが、な」
書かれた文字を礼久は苦笑しながら撫でる。と、七海はわかった、と一つ頷く。
「おねーさんの書き込み見つけたんだね」
「そう‥‥って何で知ってるんだ!?」
「ふふふ、僕の目はごまかせないよ、変装しててもバレバレ」
七海は礼久の黒髪、というカツラの髪をくいっとひっぱる。
「そんなにバレバレだったか?」
「うん」
「‥‥じゃあもう必要ないな、カツラも。バレて姉貴の耳に入ったら照れくさいと思ってなー。シスコンっていうなよ」
「あはは、わかったよ、大丈夫。それじゃ僕別のとこ掃除に‥‥」
と、七海の言葉を遮るようにして悲鳴のような絶叫。
その方向、誇りまみれになりながら凛が立ち上がる。
「店長、店長!! こ、これって、このピックってCruzのっ!? 店長っ、私聞いてないっ! Cruzがここに来てたなんて聞いてない〜!!」
凛は叫びつつ事務所にダッシュ。ダッシュして、店長をがくがく揺さぶり問い詰める。
店長は、苦笑しつつそういえば来てたなぁと暢気に。
「ということは書き込みがあるかも‥‥絶対探し出すっ!」
壁にべたっと張り付くように、凛は探索をまた開始していた。
「今日は絶叫が多いなぁ‥‥あ、バケツの水替えにいかなくちゃ」
そして七海は控え室の方へ。
そこからは、歌が聞こえてくる。
ちょっと忘れられない、インパクト有りの歌が。
「 さらばカビよ‥‥君を忘れない
じっとりした夜 君は現れた
部屋の隅は彼らの天国 水辺も好きだ
嗚呼 カビよぉぉ 」
「お華さん‥‥」
「華ねーちゃん‥‥」
「8月に大航海まで‥‥! カビ追悼の歌よ、良い曲で‥‥すみません、掃除します」
歌の如くじっとりとした視線を送られ、華は掃除に専念する。彼女の周りには絶妙のバランスをもって積み上げられた塔が。
「そういえば前も掃除したような感じがするのだが‥‥まぁ掃除は重要だな」
ロッカーを拭き拭き、葉月はおいてあるものに時々目を奪われ手を止めつつも、掃除をこなしていた。
そしてその背後では『塔』がさらに増えていた。
「カビも埃も長年掛けてここに積もった、言わば家族みたいなものなのにねぇ‥‥アレ? 私の周り、さっきから身動き取れない状態になってるんだけど‥‥」
華は少し身動ぎ、その腕が塔に当たる。
もちろん今まで微妙なバランスで立っていた塔はぐらぐらっと揺れ。
「ギャー! 崩れる、皆助けてー! 大航海ッ! りんりんッ! 8月ー!」
叫んだ時にはすでに遅し。派手な音と共に華は自分が構築した塔に埋もれる。
「誰が8月か、誰が。まったくお華さんは‥‥」
「どうしたの!? ‥‥華埋まってる?」
「埋まってるよ」
華の大声に凛も探し物一時中断で駆けつける。
備品をちょっとずつ片付け、華は無事生還。
と、何か手紙のようなものをいつの間にか手にしていた。
「おーい、派手な音がしたが大丈夫かー?」
「あ、店長、こんな手紙出てきたんですけど‥‥」
「手紙?」
華は立ち上がり、埃をはたいて手紙を渡す。店長はその宛名でああ、と頷いた。
「田舎から出てきた子が家族に宛てたものだな、出さず仕舞だったみたいだ」
「家族にかぁ‥‥」
華は自分の家族を思い出す。今の状態ではまだ手紙は書けない。
ちょっとしゅんとする華の頬を、凛はむにっーっと摘む。
「って、りんりん、何!?」
「しゅーんとしてた! 何かあったら話すのよ! 友情は時間じゃない!」
頬から手を離して親指びしっと笑顔。
凛に華は、ぽそりとありがとうを伝える。
と、後ろから鼻歌が。
「8月‥‥?」
「!? な、なんだ!?」
名前を呼ばれて我に返り、葉月は焦る。手にしていた譜面をぱたっと閉じて。
「さぁ掃除再開だ、さぁ再開!」
誤魔化すようにてきぱき掃除、だけれども時々手が止まり、譜面を見てしまう。
誰が作ったか知らない、ボロボロの譜面。
それは作った人の想いが、いつしかプロにという夢がひしひし伝わってきた。
そしてそれに葉月は励まされる。
「頑張ろう、突き進めば何時か、答えは出るのだから」
ふと微笑を浮かべて葉月は譜面にも語りかけるように呟いた。
「葉月兄ちゃんも何かいいもの見つけたんだねー」
せこせこ掃除を再開した葉月を見、七海は箒にバケツ装備でまたホールへ。
「あ、七海ちゃん、あと何やればいい?」
「えーっと‥‥もうほぼ終わりかなー?」
「そっか、じゃあポスターとかいらないもの貰って良いか店長に聞いてこよう。あと壁の書き込み‥‥あれ?」
辰樹はふと視線を回した先、見慣れた字を見つけて寄る。
それは間違いなく父親の字だった。
「父さんの名前だ‥‥って達筆というか、読みにくいね」
「頑張って解読解読!」
「うん、えーっと‥‥」
辰樹は七海に励まされながら、じっとその文字に目を凝らす。
「諦めるな!』かな‥‥? ‥‥やっぱり諦めちゃダメ、だよね」
父親の言葉に、辰樹は一度目を閉じ、意を決したように瞳を開ける。
そして携帯を取り出して、かける相手は弟の風雅。
「あ、風雅? やっぱりロックは諦めない! 絶対に!!」
『は? 何のこと??』
「仕事終わったらすぐにライブハウスに来てよ!」
『ちょっ、兄さ‥‥』
言いたい事を言ってすっきり、と辰樹は笑った。
と、その隣、記念の写真を貼るボードの前で物色中が一人。
「ラシアの若い頃の写真写真写真‥‥」
「もろ言葉にでてるよ。まぁ、撮ってたなら初ライヴの写真とかあるかもね」
「!! 見たい!! ラシアの初ライブ‥‥! 俺も歌いたいー」
「じゃあ歌う?」
ラシアは笑って、一フレーズを声に、音に。
「 Quiet Christmas eve.
時だけが過ぎていき 」
ラシアの歌に反応してすぐ嶺雅は続く。
「 絡めた腕を強く引き寄せたけど
何も言う言葉見付からずにただ口紅(ルージュ)の痕に唇を寄せる 」
最後は勿論、二人で。
「 It wishes that this holy night be unending.
天使の祝福を皆信じてる 」
綺麗に重なった二人の声は観客のいないライヴハウスに響く。
そしてぱちぱちと、拍手の音。
「生flicker! 知ってる、デヴュー曲の『vampire kiss』だよね! 聞けて嬉しい」
「あはは、お客さんいたネ!」
「そうだね。あ、七海、掃除してたらでてきた‥‥これ最初のライヴで着けてたやつ。あたしより有名になって、箔付けて返しに来て欲しいね」
「そ、それすんごいプレッシャーだよ! でもがんばるよ!」
「ラシア、俺にはくれないの!?」
「一個しかないし‥‥」
ちょっと残念がりつつ、嶺雅は項垂れ、また物色開始。
どうやら若い頃のラシアの写真で自分を慰めるようだった。
●お掃除終了
「お掃除終わりー」
「結構疲れたな‥‥」
「そういや‥‥初ライヴ一緒にやったバンド、今でも来てるのかね」
「来てるぞ。あと昔の写真、ほしいならネガとってあるからな」
「! 店長それ俺がほしい!」
「レイ‥‥」
と、気配を感じさせずラシアの呟きに答えつつ、店長人数分の缶ジュースやら缶コーヒーやらもって登場。
どうやらこれが掃除を手伝った駄賃らしい。
それともう一つ。
「折角だからな、壁に好きな言葉書いて良いぞ」
「店長太っ腹だな!」
礼久は言って、姉の書き込みの隣に『いつか追い付いてみせるっ!』と。
「やっぱりこれしかないわね‥‥」
華は笑顔浮かべつつ壁にきゅきゅっと文字を。
それを凛が覗き込む。
「『歌で錦を飾る!』‥‥華らしいわ」
「そういうりんりんはどうなの!? 『I’m forever musician』?」
「うん、憧れの人がここに同じ言葉を書いてて‥‥私も負けないってこと!」
凛は笑顔を浮かべて返す。
そして他の面々も、しっかりと自分の言葉を綴る。
「よし‥‥」
葉月の言葉は『Be Ambitious』。大志を抱け、そうする事を忘れるなと自分自身の戒めも含めて。
「レイはもう書いた?」
「うん、『充電完了!』って。ラシアは?」
「あたしは『Do you like music?』だよ。何のために音楽をしているのか、あたしなりの問いかけ。それと、音楽好きだってコトを改めて胸に刻むって感じかな」
「ナルホドー」
そして、辰樹も壁に。
「『いつかロックで成功‥‥風雅と、自分達の心の叫びを歌に』っと‥‥絶対実現させなきゃね!」
「おお、にーちゃんカッコイイ! あ、沙紀ちゃんはなんて書いたの?」
「秘密よ、内緒内緒!」
「えー」
「そう言う七海は?」
「僕は『ここが好き』だよ」
ジュース飲みつつ一息の場で、ふと凛が思いついたと言う。
「折角だから皆で一文字ずつ、何か書かない? えーっと‥‥『またこの場所で会おう』とか」
「いーんじゃねーか」
「ふふふ、折角有名人さんもいることだし‥‥! どこかわかりやすいところ‥‥」
と、ぽこっとあいた場所を壁に見つけ、そこに書くことになる。
そして丁度良く、仕事を終えた風雅も息切らしながらライヴハウスへ。
「いいトコに前にあったよ、風雅」
「え? 何?」
「後で色々教えてやるよ、吃驚するよきっと」
「あ、書くなら『う』がいい、『う』」
「8月、意見するなんて‥‥8月の癖にっ」
「お華さん意味不明だよ」
「七海、一番いっきまーす!」
「じゃあ私次!」
一本のペンを回して、言葉を綴る。
それぞれ想いは色々だけれどもここに今いることは変わらない。
『またこの場所で会おう』
一つの言葉に再会を願って。
●CAST
葉月:藤野羽月(fa0079)
華:藤野リラ(fa0073)
凛:千音鈴(fa3887)
沙紀:阿野次 のもじ(fa3092)
辰樹:渦深 晨(fa4131)
風雅:玖條 奏
七海:杉山瑠伽
水威 礼久(fa3398)
ラシア・エルミナール(fa1376)
Special Guest!
嶺雅(fa1514)