七音:謎の男、その正体アジア・オセアニア
種類 |
シリーズ
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担当 |
玲梛夜
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芸能 |
2Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
普通
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報酬 |
3万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
09/07〜09/11
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前回のリプレイを見る
●本文
それは東京にある一軒のライヴハウスから始まる話。
そのライヴハウス『SevenSeas』のオーナーの子の名は、ライヴハウスの名前と同じ、七海。
七海は現在中学生だ。
家の一階はライヴハウス、ということで音には小さな頃から親しんでいる。
そしていつかは自分も、このライヴハウスで‥‥
これはそんな淡い想いを抱く少年と、このライヴハウスにやってくるものたちの紡ぐ、物語なのである。
●TVアニメ『七海の音』声優募集
TVアニメの声優を募集致します。
職業が声優であろうと、俳優であろうと、ミュージシャンであろうと、拘りはありません。
●番組内容
プロを目指すものも、趣味でとどまるものも、色々な音楽のありようを描いていくロックアニメ。
『七海の音』というのはライヴハウスの名前とかけてあり、七海自身が中心になって何かする、というよりも七海に影響を与えていく者たちが中心である。
途中で歌も流れることもあり、愛憎劇もあり、夢に向かってもあり。
さまざまなものを含んだアニメだ。
全十二話中、三話目は、開店前のライヴハウスに最近よくやってくるスーツ姿の男(NPC)。その男はやって来ては七海の父親、オーナーと話をしている様子。七海はもしや借金取りではと考え、どうしよう、ライヴハウスが売られちゃうかも!? と、思い込み、皆に相談を持ちかける。この男の正体とは‥‥!(店長の大学同級生、現在芸能雑誌記者。ただ同窓会の相談に来ていただけというオチ。)
七海少年は歌手でもあり声優でもある、杉山瑠伽が演じる。
●補足
一人二役は基本的には認められませんが、ガヤとして参加は可。
ちょっとした端役は監督さんが引っ張ってきます。
今後の内容予定(予定は未定、変動、ずれ込みも有)。
四話:未定
五話:未定
六話:華メイン
七話:沙紀メイン
八話:凛メイン
九話:未定
十話:未定
十一話:協和音、不協和音(最終話準備)
最終話:新たな音(〆は全員でライヴを)
●リプレイ本文
●謎の男、現る
七海は、青ざめた顔で相談を持ちかけていた。
「‥‥お店売られちゃうかもっ‥‥!」
「状況をしっかり皆さんに説明しなさい。先日の大掃除は資産整理とは趣異なりますわ。売却するだなんて」
頭をぺしっとはたきつつ、沙紀は七海に喝を入れる。登下校中に大筋を聞いたのだが、その事を皆に言うのは七海でなくてはならない。
「できることは協力するよ」
「にーちゃんっ!」
七海の肩をぽん、と叩き葉月は笑う。
「店売られるに、何か思い当たる節があるんだよな? 最近マスターのため息が多くなったとか」
「最近怪しいおじさんが店に出入りしてるんだ‥‥こう、髭っ顔で、でもスーツびしぃっとしてたりてろーんとした格好だったりなんだけど‥‥父さんと話してて、お金とか、無いなら‥‥とか‥‥絶対店売れって言われてるんだよ!」
礼久の言葉に七海は頭を抱えつつわーっとちょっとパニック。
「落ち着きなさい大航海!」
「でもやっぱり不安じゃん!」
「マスターって損得勘定しなさそうだし、お金のない貧乏ミュージシャンにもよくしてるからなぁ‥‥自分は食べなくても人に食わすみたいなとこあるだろ? それで借金とか‥‥」
「えぇー!?」
礼久は不安を煽る。本人、ライヴハウスが売られるようなことはないと思っているのだがその行動はウラハラ。
「尾行しましょう、その男」
と、話を静かに聴いていた凛は男の正体を探ることを提案。
それに異を唱えるものはいない。
「そうだね、すぐしよう、きてるから!」
と、いうことで。
こっそりと事務所を除く。顔は良く見えないのだが店長と何やら話し込んでいる様子。
「‥‥えい」
「沙紀ちゃん!?」
ちゃらーんと携帯で写真をぱしゃり。ただ上手く取れておらず、その画像は消去。相手も気がついていない様子。
「‥‥正面じゃないとやっぱり駄目ですわ。チャンスをうかがいましょう」
「まだ話は終わらなさそうだな。よし‥‥」
葉月は様子を伺った後でどこかへ走り去る。
「何しに行ったのかしら」
「さぁ‥‥」
と、こそこそしているうちに相手方に動きが。どうやら帰るらしい。
「か、隠れて隠れて!」
慌てて物陰に。しっかり見えた男の顔は強面。
沙紀は今度こそ、と相手を撮り、見事成功。その手馴れた雰囲気に七海はぽかーんとする。
男をやりすごす、だが店長はやりすごせなかった。
「何してるんだ‥‥」
「な、なんでもないっ! 出かけてくる!」
「‥‥?」
そこに残されたのは不思議な顔の店長一人。
と、出て行く面々に驚きつつ来訪者も。辰樹と風雅だった。
「こんにちは。店長、スーツの人‥‥最近よく来るね‥‥見たことあるような気もするけど、知り合い?」
「まぁ、そうだな」
辰樹の問いに頷く店長。そのまま続けて風雅も尋ねる。
「差し支えなければ何者か、教えて欲しいなぁ、なんて‥‥」
「ん、あいつはな‥‥」
二人は男の正体を、先に知る事になる。
●第一回尾行大会
ライヴハウスの外にて作戦会議が行われていた。
「華はお店があるから無理でしょ? 尾行は私や8月に任せて!」
「その8月は‥‥いた」
と、華が視線を送った先はちょっと離れた電柱。ちゃっかり服装を変え、隠れているのだろう、だがしかし丸見え。
「‥‥ともかく、尾行は任せて、行くわよ七海!」
「拉致ー! 沙紀ちゃーん!」
「行ってらっしゃい」
華は置いていかれ、沙紀と礼久は二人を見送る。
「何さ何さ仲間外れにしてさっりんりんも8月も裏切り者〜!」
「二人一緒に尾行してるのかもな」
「一緒‥‥む? 何か胃が‥‥お腹壊したかな‥‥」
華は胃の辺りをさすった、そして。
「‥‥案ずるより産むが易し! よし、私も尾行する!」
こうして華は尾行の尾行をするために一度店へと戻る。
「私も色々しなくては!」
沙紀も走り去りその場に残された礼久はただ苦笑していた。
そしてその頃、男の尾行をしている葉月は。
「! なかなか鋭いな‥‥振り返ってくるとは‥‥」
身長にしているうちに距離は開いて、男を見失う。
「‥‥強気で行けばよかったか」
尾行は失敗、と店へと葉月は帰っていく。
一方、葉月とは別行動で男を追っていた二人は。
「今まで上手くいってるわね、この調子よ! 尾行なんて初めてでワクワクドキドキ!」
「そうだね、ちょっと楽しい‥‥あ」
こちらはまだ男を見失わず続行中。
と、七海の目にこそこそっと妖しい動きをする人物が映る。
「‥‥凛ねーちゃん、あれ‥‥」
「あれ? ‥‥何で華がいるのよ!?」
凛は尾行中断、華の方へ向かう。
それに気がつきあわてて華は逃げようとするが、探偵っぽくと着たコートの裾を踏んでこけっと。
「うう、眼鏡がないと何も見えないわ‥‥」
「はーなー‥‥何してるのー」
「あはははは‥‥尾行‥‥あれ、8月は?」
「8月は別行動よ、姿見てないわ」
「あれ、そうなんだ‥‥」
華はそれに何故だかほっとする。
「って見失っちゃった!! もーしょうがない、帰りましょうか」
「そうね」
この騒動で追いかける相手も見失い、店へ三人も帰還するのだった。
●静かなライヴハウス
「邪魔するよーっと‥‥あれ?」
扉をあけると静かなライブハウス。ラシアは少し驚く。いつもなら賑やかなはずなのだが。
「皆出かけてるみたいですよ」
「そりゃ静かなはずだ」
辰樹がラシアに答える。そして何故こんなに人がいないのか、かいつまんで風雅が話した。
「なるほど、もしかしたら会った事あるかもなぁ」
「おう、あると思うぞ」
と、店長がその呟きを耳にして言う。
「お前の事も話にでたからなぁ。来てるつったら宜しく言っといてくれって言われたな」
ラシアは名前を聞いてああ、と思い出す。
「俺達も早くそういう人にインタヴューしてもらえるようにやらなくちゃ」
「うん、頑張ろう」
「自分の音楽しっかりもってたら大丈夫だよ。そうだ店長、ここでそのうちライヴしたいんだけどな」
「大歓迎だ。ついでに別口でもやらないか? 知り合いのライヴハウス売るって話出てるから最後に一花」
「ああ、かまわないよ」
と、最近あった事なども話題として話す。
何も起こらず穏やかなライヴハウス。
だがしかし、外では『ライヴハウス売る』をしっかり聞いた葉月がいた。
「‥‥阻止しないと」
「あ、8月! 先に帰ってたのね!」
「大変だ、ライヴハウスが危ない」
葉月の耳にした話に面々緊張する。
本当にライヴハウスが危ないのだと。
●謎の男と‥‥
沙紀は携帯に入ったメールを見る。一通り目を通してぱちん、と携帯を閉じた。
「‥‥偶然‥‥にしては出来すぎですわよね」
そう呟きつつ、彼女は沙紀とは違う、別の姿になる。
夕暮れ、男は自宅までの道を何時もと同じように歩いていた。だが一つ何時もと違うのは歌が聞こえてきた事。
「 いつか遠ざかる懐かしい過去、掬いきれない雫が零れ落ちる
足を止め振り返れば小さな街
幾つモノ夢が―今は遠ざかる
暗闇になる前、夕暮れに振り向いて
そこに貴方の‥‥ 」
「き、君は‥‥」
「探し物が見つかるから、ようこそ」
高台に夕日を背負って立つ少女。
「‥‥ゲリラバンドの‥‥以前息子を助けてく」
「息子さんは自分で立ち直ったんだよ」
少女は男の言葉を遮り、そして続ける。
「やっぱりそうか、それでも礼を言いたかった、ありがとう。ついでに取材させて貰いたいんだが‥‥有名にもなるし君にも得になる」
「貴方は自身で息子さんの気持ちを見出した。だから礼も記事も不必要、僕達はそんなものは望まないから、じゃ」
「!」
男に何か言わせる隙も与えず、少女の姿が消える。
「‥‥会えただけでも良し、か‥‥」
暫く男はそこで、少女の消えた先を見ていた。
●第二回尾行大会
「見よ、名誉の負傷! ボディガードも必要ね」
「名誉の負傷二点に天ちゃんと手当てしたか?」
「したわ。それにしてもやっぱり眼鏡が無いと駄目ね、鼻眼鏡にしよ」
「華めが‥‥」
「なぁに、どらちゃん」
「どらちゃ‥‥え、それ、俺?」
うん、と華は頷く。辰樹はそれに、しばし硬直。
「しっかり兄さん!」
「はっ‥‥ちょっと吃驚して意識が‥‥」
「きらちゃんは兄想いなのね」
「そうですか?」
「え、なんか俺と風雅のあだ名に差がある気がするんだけど!?」
「気のせいよどらちゃん」
にっこり返され、風雅は何を言っても無駄なのを悟る。
「さ、今日ももうすぐ尾行開始よ。はい注目! 今回は総員で尾行。名付けて『ローラー大作戦』よ!」
それ違うよ凛ねーちゃん、と七海のツッコミが入るが用は気持ちの問題。
「ん〜楽しそうだしいいよ」
凛の言葉に留守番組のつもりだった辰樹は返事し笑う。その横で僕は留守番と風雅は言うが凛のニッコリ笑顔に負けてしまう。
「‥‥分かりました、ご一緒させて頂きます」
風雅と辰樹、二人は男の招待を知っているのだけれどもそれは言わずいつもと変らない。
「あ、仕事はいいの、にーちゃんたち?」
ふと七海が大丈夫なのかな、聞く。すると風雅は満面の笑みで。
「大丈夫。ちゃんと携帯の電源切ってるから呼ばれる心配ないし」
「そっかー、じゃあ頑張ろう!」
えいえいおー、と小さく気合入れ。男がライヴハウスからどこへ帰るのか、二回目の尾行が開始。
「今日はデジカメとかももってバッチリ。華、歌ったりしないのよ!」
「え、折角尾行のテーマ曲作ったのに‥‥」
「後で歌おうね、華ねーちゃん」
でこぼこ一行は前回の失敗を教訓に、適度に騒ぎつつ男を追う。
何度も気付かれそうになりつつ男が入ったビル。
「ここね! あら‥‥」
そこは、芸能雑誌社だったのだ。
●男の正体
「わかったわ、スキャンダル狙いの記者よ!」
考える事一夜。これが凛の出した結論だった。
「なるほど、相手は悪徳記者ね、となると‥‥」
どこからともなくロープを持ってきて華は編み編み。捕獲用の網を製作する。
「あのおっさん、すごい悪そうな顔してたからな、どんな手使ってくるか分からないぜ。ライブハウスに出演してきたミュージシャンの中には今、ラシアみたいに有名になってる奴も多いだろ? そこに目をつけたのかもしれないぜ」
礼久は凛の言葉から男の危険性を煽る。そして凛もそう思うと頷いて、静かに話を聞いていたラシアの方に向きなおる。
「ラシア、このおじさん知ってる? 芸能雑誌の関係者みたいなんだけど」
「その人は‥‥」
この男、と写真をばしばし叩きつつ凛は言う。ラシアは怪訝そうな表情で皆の様子を見ていたが、なんとなく何か勘違いしているのに気付き、男について教えようとする。だがその矢先に携帯がなる。
「あ、悪い。ちょっと待ってて」
ラシアは携帯片手に事務所の方へ。いいところに電話め、と凛は思う。
「何か知ってそうだったのに‥‥情報先送り」
と、その時ライヴハウスの扉が勢い良く開く。学校帰りの七海だ。
「ちょ、男きたー!!」
「七海、落ち着きなさい」
「でもっ」
沙紀に落ち着くように促されるが、七海止まらない。
そして、他のメンバーも。
「網はできたわっ」
「捕獲だな、お華さん、網を」
「8月、しっかりやるのよ」
「合図は私がするわねっ」
大捕物の準備は完了。男が来る前に全員のポジションはバッチリ。
そして、扉が開く。
「今よっ捕獲GO! お店も仲間も守るんだから!」
凛の声と共に網が男へ襲い掛かる。男はもちろん何が起こったのかわからない。
「!? わっ、な、なんだー!?」
「捕獲ー!」
喜ぶ一同、だがしかし。
「‥‥何やってるんだ‥‥」
店長、ぴきーっと青筋を浮かべつつ登場。
その様子に、全員なんでーと思う。
「大丈夫か?」
「こんな歓迎は初めてだな‥‥」
「あー‥‥タイミング悪い時に登場したね」
「あ、お久しぶり。また名が上がってますよ」
網から男を救出する店長とラシア。
七海はもちろん、凛に華、葉月はぽかーんとあっけにとられる。
「何でこんな事をしたかしらんが、こいつは俺の同級生だぞ」
「んで、芸能雑誌社のそこそこお偉いさん」
しばしの沈黙が、流れる。
「‥‥‥‥七海?」
「え、あ、イタタタタタ」
凛は爽やか笑顔で七海をぐりぐりと攻撃。
「あはは、うっかりうっかりー」
「も、申し訳ないことを‥‥!」
「こんな皆に愛されてるライブハウスがそう簡単に人の手に渡るわけないだろ、もっとマスターを信頼してやれよ」
「煽ってたたくせに。やっと解決、楽しかったね」
「兄さん、楽しかったって‥‥確かに楽しかったけど」
華は笑いで誤魔化し、葉月は赤面し頭を下げていた。
「てゆか兄ちゃんたち知ってたとか! なんで言わなかったんだよ!」
「タイミング逃して、ね」
辰樹の笑みは、面白がっていた事をしっかりと表す。風雅は苦笑しつつごめんねと。
「でもお店売るとか‥‥」
「それは違う店だ。まったくどこで聞いたのか‥‥大暴走だったな‥‥」
その言葉に自分の早とちりだと葉月が言う。
「じゃあお金がどうとかもそれ?」
「それは‥‥」
「同窓会するのに金がないからここを貸せ、だな」
男が店長の代わりに言う。
「同窓会! やればいいじゃないですか、手伝いますよ〜、新曲のいもむしも歌っちゃう!」
「いもむし‥‥」
「騒ぎのお詫びもかねて、手伝おう」
「おいおい、勝手に話進めて‥‥」
と、言いつつも店長もどこか楽しそうで。
男は雑誌記者で店長の同級生と謎は解け、同窓会の計画を練っていくのだった。
日常にちょっと刺激が(一部に)入った数日だった。
●CAST
葉月:藤野羽月(fa0079)
華:藤野リラ(fa0073)
凛:千音鈴(fa3887)
沙紀:阿野次 のもじ(fa3092)
辰樹:渦深 晨(fa4131)
風雅:玖條 奏(fa4133)
七海:杉山瑠伽
水威 礼久(fa3398)
ラシア・エルミナール(fa1376)