七音:彼女の一日アジア・オセアニア

種類 シリーズ
担当 玲梛夜
芸能 3Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 5.5万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 10/25〜10/27
前回のリプレイを見る

●本文

 それは東京にある一軒のライヴハウスから始まる話。
 そのライヴハウス『SevenSeas』のオーナーの子の名は、ライヴハウスの名前と同じ、七海。
 七海は現在中学生だ。
 家の一階はライヴハウス、ということで音には小さな頃から親しんでいる。
 そしていつかは自分も、このライヴハウスで‥‥
 これはそんな淡い想いを抱く少年と、このライヴハウスにやってくるものたちの紡ぐ、物語なのである。

●TVアニメ『七海の音』声優募集
 TVアニメの声優を募集致します。
 職業が声優であろうと、俳優であろうと、ミュージシャンであろうと、拘りはありません。

●番組内容
 プロを目指すものも、趣味でとどまるものも、色々な音楽のありようを描いていくロックアニメ。
 『七海の音』というのはライヴハウスの名前とかけてあり、七海自身が中心になって何かする、というよりも七海に影響を与えていく者たちが中心である。
 途中で歌も流れることもあり、愛憎劇もあり、夢に向かってもあり。
 さまざまなものを含んだアニメだ。
 全十二話中、五話目は、とあるミュージシャンの日常に興味を持った面々がその日々を探っていく。尾行したり、はたまた偶然出会ったり‥‥
 七海少年は歌手でもあり声優でもある、杉山瑠伽が演じる。

●補足
 実名でアニメ参加の場合、今現在の知名度などがアニメ世界に反映。
 一人二役は基本的には認められませんが、ガヤとして参加は可。
 ちょっとした端役は監督さんが引っ張ってきます。
 アニメの中でグループを組むというのももちろん大丈夫。

●今回の参加者

 fa0073 藤野リラ(21歳・♀・猫)
 fa0079 藤野羽月(21歳・♂・狼)
 fa1376 ラシア・エルミナール(17歳・♀・蝙蝠)
 fa3092 阿野次 のもじ(15歳・♀・猫)
 fa3398 水威 礼久(21歳・♂・狼)
 fa3887 千音鈴(22歳・♀・犬)
 fa4131 渦深 晨(17歳・♂・兎)
 fa4133 玖條 奏(17歳・♂・兎)

●リプレイ本文

●始まる一日
「ん、今日は洗濯日和だね、いい天気」
 カーテンを開けて差し込む陽光を浴びてラシアはふっと微笑む。
 洗濯をして、最近つけていなかった家計簿をつけようと思う。
 そして午後からは。
「今日は打ち合わせとライヴか。あそこと‥‥SevenSeasか」
 今日の予定を確認して、ラシアは家事をしていく。
 そしてそれもあらかた終わると日課の散歩に。
 髪を下ろして伊達メガネ。知っている人が見ればわかるのだが、結構ばれなかったりもする。
 いつものように、曲を聴きながらの散歩。そうすることで、また音楽への意欲も沸いてくる。
 イヤホンをつけようとしたと同時に『にゃあ』と声が聞こえてラシアは反応する。
 声のした方を見ると日向で野良猫が丸まっていて。
「気持ちよさそうに寝てる‥‥」
 遊びたい心がうずうずとして、ゆっくり近づく。すると猫は顔を上げて、一人と一匹の視線が合う。
 ぴたっと、どちらも動かなくなるのだが先に視線をそらせたのは猫。
 また丸くなってしまう。
「脈無し、って感じだね‥‥しょうがないか」
 ちょっと残念、とラシアは歩き始める。
 いつも見ている風景を確認しつつ歩いていると。
「 パパチャリ パパチャリ 何故ってパパのチャリだから〜 」 
 歌が聞こえてくる。そして。
「姐さーん、おはようございまーす!」
 自転車のベル鳴らしながらやってきた華はききーっとブレーキの音を響かせて止まる。
「朝から元気だね。あ、それ店長の‥‥」
「パパチャリです。実家へ手紙出しとお使いで」
「なるほど、納得」
「近況報告です。姐さんは何か変わったこととか‥‥」
「うーん‥‥最近視線を感じる、かな‥‥ストーカーだったりしないといいんだけど」
 その言葉に。
 華に稲妻一線のように落ちる天啓は『ラシア姐さんを守らなくちゃ』だった。
「それは‥‥私に任せてください! 今日これからの予定は!?」
「え、ライヴの打ち合わせとライヴ‥‥」
「場所はどこですか!?」
 勢いに迫られて、華は聞き出す。
 そして。
「私に任せてください!」
 そのまま握り拳ぐっと作って華は自転車をこぎ、去って行く。
「‥‥来るのかな‥‥あ、買い物しなきゃ」
 と、ふと思い出してスーパーに入って入用の物を買っていく。店の中を巡っていると視線の端に猫缶が入る。
「‥‥」
 どうしようかな、と迷い、結局一つ手にとって。
「これは浪費じゃない、今日必要なくてもまたチャンスはあるはずだし、うん」
 そしてレジへ。
「いらっしゃいませ、げっラシアお嬢さん、どうしてここにっ」
「どうしてって買い物‥‥」
「だよな、それ以外にないよな‥‥はい、店長に内緒でサービスしといたぜ♪ 意外と家庭的なんだな」
「サービスありがと。ま、がんばんなよ」
「おう、あ、皆には言わないでくれよ、俺は軽いナンパにーちゃんでいたいんだ」
 ひらひらと手を振ってラシアはわかった、と伝える。
 買った品物受け取って袋に詰めて、自宅へと戻る。
 マンション前では、まだ先ほどの猫が昼寝中で。
 ラシアは心なしかちょっと早足で猫の元へ。すると耳をぴくっと動かして、猫は顔を上げた。
「食べる?」
 その問いかけに猫は立ち上がって伸び一つして、また座る。どうやらその気らしい。
「無駄にならずにすんだね」
 ラシアは笑いながら猫缶を開けて置く。
 そして食べることに一生懸命の猫を何回か撫でて、ラシアは自宅へ。
「ただいまー、って今誰もいないんだっけ」
 買ってきた物を仕舞い、洗濯物もすでに乾いているものを取り込んで。
 ラシアは出かける準備をする。
 これから打ち合わせがあるのだった。

●一切妥協なく
「音もっと‥‥なんて言うか、強くだけど丁寧にって感じで、そうそうそんな音。ちゃんと音出せるじゃん」
 とあるライヴハウスで音あわせと打ち合わせを行うラシア。
 そこに妥協なく、ほしい音をちゃんと引き出していく。
 何度かあわせて、打ち合わせは終わり。
「ラシアさん! こんにちはオフ‥‥じゃないね、お仕事ですか?」
 と、聞き覚えある声に振り向かされる。
 そこには辰樹がいた。
「ライヴの打ち合わせ。あんたはなんで? それに弟‥‥」
「俺はロックの勉強です。カナはピンでの仕事‥‥じゃないかな?」
「勉強になった?」
「はい! で‥‥」
「あー‥‥あそこの面子ね。好きにすればいいって言っちゃったからね」
 視線の先にはリュック背負った華に、いかにもつれられてきました、という葉月と七海が。
「姐さんお疲れ様〜! ストーカー対策グッズしっかり装備! 懐かしい‥‥これ背負って九州から出てきたんだよね‥‥」
「‥‥華ねーちゃん危険人物みたい‥‥」
「すとーかー‥‥」
 葉月は一人、ストーカーの語源は付けねらう、から最近ショップでみたアンティークギターがよかったやら、服が30%オフなど思考をぐるぐる回して一人でぶつぶつ呟いていた。
「って、何か8月がぶつぶつ呟いてるし‥‥まさかストーカーって8月!? 礼久兄さんも怪しいし‥‥男って!」
「何で、俺がっ!? ‥‥で、結局なんだったっけ?」
「にーちゃん、ストーカーだよストーカー!」
「父さんが姐さんにもよく感謝するようにって言ってたし‥‥放っておけないもんね、任せてね!」
 なんだかこの気合の入りようがちょっと怖い気もするが、ラシアはよろしくと苦笑しながら言った。

●ストーカーの存在
 時間があるので喫茶店で暇潰しを。けれども音楽から離れることはなく作詞を始めるラシア。もちろん、華と葉月、そして七海もついてくる。
 辰樹はまた後で、と一行から離れていた。
「あ、こんにちは」
 と、離れた辰樹の弟、風雅にばったり喫茶店の入り口で会う。
「さっき辰樹に会ったよ」
「本当ですか? あ、今日ライヴですよね、楽しみにしてますね。がんばってください」
 二言三言交わして風雅は店の外へ。
 どうやら入れ替わり立ち代りだったらしい。
 そして席へ案内されて一息。
「‥‥ストーカーかぁ‥‥」
 自分を有名人と知っての視線だとそう悪い気もしないのだが、ストーカーとなると話は別だ。
「ストーカー対策にはカラーボールとかもあるな。蛍光塗料が投げてあたれば目立つし恥ずかしいぞー?」
「それだよにーちゃん!」
 雑念振り払って作詞しようにも、なんだか視線が気になってしまう。
 と、見覚えあるラシアの姿を見つけて近づくもの一人。
 沙紀だった。
「あれ、どうしたんですか? 皆で‥‥こんにちわ」
「さ、沙紀ちゃん!」
「えーと、オフ会なんです」
 沙紀がやってきた方向にはラシアが始めて見る者たちがいる。
 その中の一人が声を高く上げた。
「うわーひょっとしてラシア・エルミナール!?」
 沙紀とラシアの前に割り込むように入ってきて、ラシアに照れくさそうに、そして感激でこみ上げるものあり、といった風に話しかける。
「ずっと前に代打ちでライヴでてるのみて‥‥ファンなんです! うっわ、こんなとこで会えるなんて‥‥あ、そうだ、今度の企画にぜひ‥‥」
「チョーさん」
 沙紀はそこから先は、と止める。
「すみません、これからお仕事ですか?」
「だね、SevenSeasで」
「じゃあまた後でお会いしますねっ」
 他数名を追いやるように沙紀は別の席へ。
 一体なんだったんだろう、と不思議に思いつつも深くは問わない。
「‥‥合コン?」
「え!?」
「あはは、どうだろうね。あと、話しててもいいけど作詞再開するから邪魔だけは」
『しませーん』
 声を合わせていったものの、静かにしていることはできず。
 結局音楽関連の話に。
 そして時間もつぶれて、あとは。
「さて、ライヴ行こうか」

●幕間
 一時間以上前、ラシアと出会ってライヴハウスを出た辰樹は、物陰からラシアを見る凛を発見した。
「‥‥凛さん、だよね? ‥‥物凄く真剣だから聞き憎いんだけど何してるんですか?」
「わっ、なんだドラちゃん‥‥えっと‥‥かくかくしかじか」
 要約すると、ソロ活動のため作詞の勉強をしているけどなかなかすすまない。だがしかし、有名人がすぐそばに! どんな風に詞とか作っているのか、から有名人の日常ってどんなのだろうと目的が微妙にずれつつ。新曲のインスピレーション得る為『ラシア密着24時!』もとい『密着8時間!』の最中で。
「技は習うものじゃない。盗むものだ! って職人さんも言うじゃない。というわけでラシア観察Let’s Go♪」
「あ、じゃぁ俺も一緒に行きますよ」
 面白そうだから、と辰樹もそれに付き合う。
 二人が出会ってから数分後。
「2人とも何やってるんですか?」
「キラちゃん」
「傍から見たら怪しい人ですよ?」
「怪しくないわよ、だって崇高な目的あってやってることなんだもの!」
 と、凛は胸を張って説明する。風雅も一応の納得はする。
「いい機会だから一緒に行こう! 勉強になるし‥‥面白いから!!」
 ぐいっと腕を引っ張って、辰樹は風雅をゲット、と笑う。
「えっ、俺も!? はぁ‥‥仕方ないなぁ‥‥」
 こうしてどたばた状態で三人もまた音楽の話をしつつ、ラシアたちを待つ。
「二人ともお仕事‥‥というか歌楽しい?」
「仕事は‥‥う〜ん、楽しさ半分難しさ半分ですね。毎回色々と学ぶことも多いですし」
「うん、楽しい‥‥けど自分の好きなように、自分の好きな歌が歌えないのはつまんない」
 風雅は苦笑しながら言い、辰樹はふてくされたように言う。
「音楽って音を楽しむものなのに、楽しいけどつまんないって‥‥何か複雑ね。それって本当に楽しいのか私にはよく分からない、かな」
 凛は苦笑しながら言う。
「あ、ラシアたち出てきたわ!!」
 凛の言葉への二人の答えが出る前に、また尾行は開始される。
「待ってください! 私もいきますっ!」
「あら、沙紀までっ! 天は私たちに味方しているわ!」
 と、新メンバーも加わってさらにテンションはあがるのだった。

●ストーカーの正体は
「そうだ、姐さんはどういう時に歌詞浮かぶのかな?」
「どういう時に歌詞が浮かぶかって? 暇なときはずっと考えてるから。あたしゃそんなに頭良い訳じゃないし。ま、そういうの考えるの好きってのもあるんだけど」
「なるほど‥‥む、怪しい人影!」
 華はハッと少し離れた所から様子を伺う人たちをみて、水鉄砲を構えた。
「って、あれ、皆じゃん」
「‥‥見たことある顔だね‥‥視線はあいつらか‥‥」
「ストーカーってさ、三人のことじゃない?」
 七海が一言。
 確かにそんな気がしてならない。
「‥‥もう、怒るっていうより、呆れて疲れ果てる‥‥」
「や、ねーちゃんこれからライヴあるからしっかり!」
 華たちに網で捕獲された四人は、状況を理解していたりいなかったり。
「華、私たち友達のなのに何この仕打ち‥‥! 私たちがストーカー!? ただラシアの生活どうなのかしらって観察してただけよ? 勉強にはなったし」
「でもやっぱり‥‥はたから見たらただのストーカーですよね。あまりに凛さんが真剣で言えませんでした」
「姐さんの危機だと思って容赦なしだったんだもの。それに、りんりん‥‥それをストーカーというの」
「えー! ちょっと早く言いなさいよっ!」
「というか、この場所、この面子、ちょっと注目浴びますわよ」
 沙紀が一つ注意、とばかりに言うと確かに。
「‥‥ごめんね風雅っ仕返しじゃないからっ!」
「え?」
「辰樹と風雅よ!!」
 凛は黄色い声で叫び、そしてダッシュ。
 状況をなんとなーく理解したラシアたちも、凛に続いてダッシュ。
「‥‥盾にしてごめん、風雅!!」
「え、えー!!??」
 辰樹は、キャーと走ってくるミーハーな女の子たちに風雅を売り渡すかのごとく犠牲にして、走り去った。

●ラシアのライヴ
「‥‥よし、出番」
 出番の前に、集中して。
 気力を溜める。それを本番で一気にぶつけるのがラシア流。
 まぶしく照らされるライトの中で思い切りラシアが歌う姿を、それぞれは観て、聴いていた。
「兄さん‥‥」
「あ、風雅。生きてたんだね」
「死にません。目標達成するまでは」
「目標?」
「ロックデヴュー‥‥」
 風雅はそう呟いて、舞台の上のラシアから何かを学ぼうとする。
 そして、そうであるのは皆同じだった。

●一日の終わり
 ライヴも無事に終わって帰宅。
 まずライヴでかいた汗を流そうと風呂にゆっくり入って、そして冷蔵庫にあるもので食事を用意。
 一日を振り返りつつ寝る前に、最後にすることは‥‥
「もしもし? あはは、今日はライヴだよ、それから‥‥」
 電話の相手は、誰だと言わずとも。

●CAST
ラシア・エルミナール(fa1376)

華:藤野リラ(fa0073)
葉月:藤野羽月(fa0079)
凛:千音鈴(fa3887)
沙紀:阿野次 のもじ(fa3092)
辰樹:渦深 晨(fa4131)
風雅:玖條 奏(fa4133)
七海:杉山瑠伽

水威 礼久(fa3398)