七音:もう一歩、前へアジア・オセアニア
種類 |
シリーズ
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担当 |
玲梛夜
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芸能 |
3Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
普通
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報酬 |
5.5万円
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参加人数 |
9人
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サポート |
0人
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期間 |
11/20〜11/22
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前回のリプレイを見る
●本文
それは東京にある一軒のライヴハウスから始まる話。
そのライヴハウス『SevenSeas』のオーナーの子の名は、ライヴハウスの名前と同じ、七海。
七海は現在中学生だ。
家の一階はライヴハウス、ということで音には小さな頃から親しんでいる。
そしていつかは自分も、このライヴハウスで‥‥
これはそんな淡い想いを抱く少年と、このライヴハウスにやってくるものたちの紡ぐ、物語なのである。
●TVアニメ『七海の音』声優募集
TVアニメの声優を募集致します。
職業が声優であろうと、俳優であろうと、ミュージシャンであろうと、拘りはありません。
●番組内容
プロを目指すものも、趣味でとどまるものも、色々な音楽のありようを描いていくロックアニメ。
『七海の音』というのはライヴハウスの名前とかけてあり、七海自身が中心になって何かする、というよりも七海に影響を与えていく者たちが中心である。
途中で歌も流れることもあり、愛憎劇もあり、夢に向かってもあり。
さまざまなものを含んだアニメだ。
全十二話中、六話目は、ソロとなった凛の久しぶりのステージ。そして元グループメンバーとの再開が中心となる。
七海少年は歌手でもあり声優でもある、杉山瑠伽が演じる。
●補足
実名でアニメ参加の場合、今現在の知名度などがアニメ世界に反映。
一人二役は基本的には認められませんが、ガヤとして参加は可。
ちょっとした端役は監督さんが引っ張ってきます。
アニメの中でグループを組むというのももちろん大丈夫。
●リプレイ本文
●挙動不審
ライヴハウスでギターを鳴らしても、納得がいかない。
「うっ‥‥どうしよう‥‥」
「りんりん、大丈夫? 冬デス、夕ご飯はおでんデス。今日は遅いから一緒に食べて帰りなよ」
「うん、そうだねー」
20歳の誕生日にソロステージを迎える事が決まってから挙動不審の凛。
どうも心配でならない。
「‥‥上の空‥‥」
華は心配して歌いだす。
「大根‥‥他の具材があってこその旨味
大根は‥‥一人じゃない‥‥」
「そうだねー」
「余計上の空ッ」
ガーンとショックを受ける華。
「凛ねーちゃん、だいぶ煮詰まってるみたいだね」
「いえ煮詰まってるというのはいい感じに最終局面という意味で、こういう場合は行き詰まってるっというのが正しい用法ですわ」
と、ちょっと離れて会話する沙紀と七海。
「凛、どうしたんだよ、今の演奏、全然らしくなかったじゃないか? いつもはもっと楽しそうに演奏してるだろ? その時の気持ち忘れちまったのかよ?」
「それは‥‥なんとなくわかってるんだけど‥‥」
凛の鳴らす音を聴いて礼久は眉を顰めつつ言う。
「全然ダメだな、曲が自分のものになってないっていうかしてないっていうか、あ、そうだ、曲と演奏がちぐはぐで全く合ってないんだ」
そして他にも、おかしな凛の様子に首を傾げる双子もいて。
「凛さんにとって音楽って悩むもの? ‥‥この間言ってたことと‥‥なんだか違うね」
「『音を楽しむのが音楽』と僕達に教えてくれたのは凛さんですよ? 何か思うところもあるみたいですけど、今は深く考えないで心のままに行動してみたらどうですか? ‥‥って、俺自身そんな偉そうなこと言えないんですけどね」
首をかしげて言う辰樹と、苦笑する風雅。
それぞれの言葉を受けて、自分の状況がどんなものか分かっている凛は。
「そんな事分かってる!」
立ち上がり、ライヴハウスから逃走。
言われるほどに追い込まれていくようで。
「りんりん‥‥」
「なぁ、俺、なんか凛に悪いこと言ったか?」
周りにあれ、と思って問う礼久。
「うーん、ねーちゃん本当にいっぱいいっぱいみたい」
●新たな試練
ライヴハウスから脱走した凛。といっても、ライヴハウス隣の路地でうずくまっているだけなのだが。
「私、何やってるんだろ‥‥」
一人になって感じるプレッシャー。今までどこかメンバーに頼っていた甘さを痛感する。
「‥‥ライヴ前に何してるんだい」
と、凛を覗き込む影。そこにはラシアがいて。
ラシアはなんとなく、凛が危なっかしい状態だと感じていた。
「誕生日にライヴする話は知ってるよ、ここでしゃがみこんでる場合しゃんばいだろ?」
「分かってるんだけど‥‥」
「当分予定が無い上、練習場所取れなかったあたしの前で折角チャンスあるのにぐずぐずしてるのはあたしに対して失礼だよ」
まったく持ってそのと通り、と凛は思う。
「ま、CD出す予定はあるんだけど自分のやれることはやっちまったからね。そうだ、凛も協力しな」
と、ラシアは一枚の紙を差し出す。
「CDに入れる曲、まだ歌詞だけなんだ」
「 月の息吹をその身に浴び はるか見上げたあの空
欠けた翼を拾い集め 風のように夜空を駆けたい 」
「そ、イメージはハイテンポのロックだけど、こっちの方がいいと感じたら変えてもOKかな。幅が広くなってちょっと難しいかとも思うけど‥‥できるでしょ。締め切りはステージ当日」
「わ、私が!?」
て、ことでよろしく、とラシアは言いライヴハウスの中へ。
凛には、新たな課題が生まれるのだった。
●久しぶりの‥‥
「‥‥紫の鏡‥‥紫の鏡‥‥紫の鏡‥‥」
「!! ふ、不吉な事を思い出させないでよー!」
沙紀は凛の耳元で囁き、そしてくすくす笑う。
「ストレスは置き換え、まさに命がけですわ」
沙紀なりの励まし。でもやっぱり、凛はから元気。
テーブルの上に譜面などを広げて、やっぱりまた唸る。
と、ライヴハウスの扉が開いて外の光が差し込む。
「‥‥あ、皆お久しぶり‥‥っと何人かは初めまして」
懐かしい声に、凛はぱっとそちらを向く。
そこに立っていたのは狗上真雄。凛の元バンドメンバーだ。
「真‥‥」
「本物の真雄さん?! わぁ‥‥本物?」
凛が声をかけるより早く、辰樹は駆け寄る。
「兄さん、落ち着いて‥‥」
「あの‥‥その一度ライヴ見てファンです!」
「すみません、兄がご迷惑を‥‥」
大丈夫だよ、と真雄は笑顔を向ける。
「真雄にーちゃん、久しぶりだね」
「うん、久しぶりに出てきたからね」
そして、凛と真雄の間に流れる、元バンドメンバーというだけではない雰囲気。
「‥‥誰ですか」
その雰囲気を感じて真雄を知らない華は、眉根寄せてじーっと見る、というか睨んでいた。
「えーっと‥‥凛のお友達? 俺は元バンドメンバーで‥‥」
「元バンドメンバー!? ならりんりんが一人になった元凶じゃない!」
「どうどう、落ち着け!」
真雄に突っかかりかける華を押さえたのは葉月。
「ぇえい、とめるな8月っ!」
「抑えて、お華さん抑えて!」
「凛ねーちゃん、真雄にーちゃんと避難よろしくお願いします!」
「え、うん。真雄、こっちこっち」
このままでは危険、と感じた七海は、凛に真雄と一緒にこの場を離れることを支持。
二人はライヴハウスの奥、控え室の方へ。
「バンド、解散したんだって?」
「うん」
「今度凛のソロライヴって聞いたけど‥‥大丈夫?」
「わかんない。ちょっと行き詰ってるんだけど‥‥ちょっとじゃないか、すっごく行き詰ってる」
「‥‥そうなんだ‥‥」
一つ一つ呟く凛。凛は真雄をじっと見る。
「何?」
「真雄って、どんな気持ちで詞を書いてた?」
真剣な視線を受けて、真雄は少し考える。
「うーん‥‥ねぇ凛、今日天気良いよね?」
「え‥‥うん」
作詞の事を聞いたのに、真雄は話をはずす。
「天気良いとなんだか楽しくて嬉しくならない? 俺は自分が感じたことをそのまま素直に書いてただけ。俺はそんなに難しく考えてなかったよ」
「そのまま‥‥」
真雄の言葉に、最近下ばかり向いていた自分に気がつく。
「あ‥‥よし! 何か吹っ切れた!」
「そう、よかった‥‥その元気が一番『凛』らしいよ」
「そうね、私は私。頑張るわ!」
もう大丈夫、と笑う凛の頭に、真雄は手を置いて。
「凛は頑張り過ぎないぐらいに頑張って? すぐに無理しちゃうのは悪い癖」
その言葉は、凛の胸に響く。
●ライヴの日に
「今日の主役は、準備ばっりちか?」
「ばっちりです、マスター!」
ライヴはもうすぐ始まる。少しの緊張と新たな一歩への期待。
皆が用意してくれた舞台にはちゃんと誠意を込めて歌で返す。
ライヴの幕が、開く。
「私の、再スタートに歌うのは『My Song』聞いてください」
「 上手くいかない 上手くいかない
そんな言葉繰り返す毎日
でもキミの問いかけにふと考えた
『上手くやる』ってどういうコト? 」
凛の歌が始まり、ライヴハウスの扉が控えめに開く。
遅れてやってきた、真雄。
「あ、真雄さん、こっちこっち‥‥」
と、真雄に気がついた辰樹は手招き。
真雄は花束を手に持っていた。
「‥‥何で言わないんですか? 凛さん、喜ぶと思うのに」
「ちょっ、兄さんっ?!」
「え‥‥あれ、バレてる?」
何を、とは言わないが、真雄の凛への想いは、辰樹にはバレバレで。
「こらこら、口出すなんて野暮だよ」
辰樹のストレート発言にあたふたする風雅を横目で見つつ、ラシアがたしなめる。それに、真雄は苦笑いして。
「‥‥凛の道と俺の道は違うから‥‥今も、これからも」
「そういうの、あんまり分からない」
「あの、本当にすみませんっ」
「 空は青くて気持ちいい
風は少し冷たくても その分温もり感じられる
音は素直でちょっと意地悪
歌は顔を上げ 心のままに紡げばいい
それだけでよかったんだ 」
と、真雄は自分に向けられる視線を感じてそちらを向く。
そこには、華がいて。
真雄は華に近づくと、花束を差し出す。
「これ、凛に渡してもらえないかな。もう帰らなくちゃいけなくて。あと、これも」
華は花束と、後から出てきた手紙をしぶしぶ受け取る。
「たまには遊びに来い、りんりんを寂しがらせたら頭からとんこつスープかけてやる‥‥」
「あははは‥‥」
「来たら、邪魔するけどね」
華は、なんだかんだ言いつつも真雄からそれを受けとる。
真雄は、凛に会うことなく、ライヴハウスを去ったのだった。
そして、花束を預かった華を見詰める葉月。
葉月は、華の頭をぽんぽん、と撫でる。
「8月ー、りんりんとられるー」
「お華さん、応援幕まで作って降ってるんだから、大丈夫大丈夫」
「 上手くいかない 上手くいかない
そんな言葉もう必要ない
不器用な想い どこまでも楽しんでやる
歌はキミへ向け 心のままに紡ごう 」
●Happy Birthday!
「お誕生日おめでとー!!!」
ライヴが終わって、お誕生日大会に早変わり。
華と葉月によって作られた花いっぱいケーキがドーンと真ん中に。
「はい、ラシア。ちゃんと曲できたわよ」
「ありがとさん」
ラシアは一度、その曲を受け取る。
そして。
「はい、あたしからのプレゼント。これからもがんばんなよ」
「え、いいの!? た、宝物にするっ!」
曲は自分で、歌詞はラシアのもの。凛は嬉しいと喜ぶ。
「凛、誕生日おめでとう、この間はごめんな」
「いいのよ、礼久。皆私のこと、思ってくれてたんだもんね」
「「「はっぴばーすでぇりんりーん」」」
「わー、ありがとー!」
と、凛のところには人だかり。
「Happy Birthday、凛さん。すみません、誕生日だって知らなくて、プレゼントとか何も用意できてないんです‥‥代わりと言ってはなんですが、俺に出来ることがあったら何でも言って下さいね? あまり大したことは出来ないかもしれないんですけど」
風雅はしゅん、となったり気を取り直したり。そんな彼に気持ちだけでもうれしいの、と凛は言うが、あとで何かしてもらおうとしっかり思っていたり。
「‥‥凛、恐ろしい子‥‥!」
「どうしたの、沙紀ちゃん」
「しっかり、紫の鏡を忘れているわ‥‥」
「ぼ、僕が思い出しちゃったよ!」
沙紀と七海は、端っこで和気藹々。
そして、凛を祝い終わった辰樹と風雅は隅っこに並んで。
「ライヴ‥‥いいなぁ‥‥」
「そういえば最近、兄さんと一緒に仕事してないね‥‥」
「あ、確かに‥‥でもその分風雅にはピンの仕事があるじゃない」
そうなんだけど、と風雅は少し淋しそうに微笑む。
その頃、凛に差し出される花束。
「りんりん、これ‥‥」
華は凛に花束と、手紙も。
「え、華からお手紙? 嬉しいなー読んでいい?」
「いいんじゃないかな」
その言葉に、あれと思いながら手紙を開ける凛。
『 今日のライブは最高でした。
新曲の歌詞もなんだか心に響いてきて
これからも応援しています
ファン第一号より
追伸 Happy Birthday! 』
匿名の手紙。
「ちゃんと渡したからね。りんりんは‥‥いいの?」
「これって‥‥うん、いいの。華、渡してくれてありがとう」
凛は、そう言って笑う。
そして。
「『空』は続いてるし‥‥此処には皆がいるもの」
そう言って、凛はここにいる全員に感謝と笑みを向けたのだった。
●CAST
凛:千音鈴(fa3887)
華:藤野リラ(fa0073)
葉月:藤野羽月(fa0079)
沙紀:阿野次 のもじ(fa3092)
辰樹:渦深 晨(fa4131)
風雅:玖條 奏(fa4133)
七海:杉山瑠伽
水威 礼久(fa3398)
ラシア・エルミナール(fa1376)
Special Guest!
真雄:玖條 響(fa1276)