女神モリアンヨーロッパ

種類 シリーズ
担当 菊池五郎
芸能 1Lv以上
獣人 10Lv以上
難度 難しい
報酬 384.8万円
参加人数 6人
サポート 0人
期間 10/25〜11/03
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●本文

 イギリスの首都ロンドンより西に約200km、美しい大聖堂のある町として知られるソールズベリーの郊外にある遺跡『ストーンヘンジ』。
 その天空にエリンという、ケルト神話の舞台となった島の名を冠した浮島があるなど、誰が信じられるだろうか?
 果たしてエリン島はあった。島全体が1つのオーパーツだ。ストーンヘンジの上空にありながら、今までその存在が隠されていたのは、飛行機やレーダーといった文明の利器では見えないよう、今で言うステルス機能を有しているからだろう。
 エリン島の姿を見るには、直に目視するしかない。それが出来るのは獣人の特殊能力か、オーパーツを頼る他ない。
 しかし、エリン島の存在を知る者がいた。メーフィル(fz0041)だ。
 彼女は何時の頃からか、エリン島がストーンヘンジの上空にある事を知っており、前々より獣人を利用してエリン島へ行く準備を進めていたようだ。
 利用された獣人の1人に、リュシアン・リティウム(fz0025)の双子の姉もいた。リュシアンの姉はロックのヴォーカルから俳優までこなすマルチタレントであり、メーフィルと組んでケルト神話縁の遺跡を調べる探検家(Explorer)でもあった。
 その頃のリュシアンは普通の大学生で、考古学を専攻していた。姉の調査を助けたかったようで、この頃の知識が、今のリュシアンがオーパーツの造形に深い理由のようだ。
 リュシアンの姉はメーフィルの事を親友だと思っていたようだ。メーフィルもそう思っていた節があったが‥‥メーフィルがケルト神話の英雄フェルグス・マクローイの魔剣カラドボルグを手に入れた事が悲劇の始まりだった。
 カラドボルグはナイトウォーカーを石に変えて封印する能力――情報生命体であるナイトウォーカーを逃さず、実体化したまま留める為の能力と思われる――を、事もあろうにリュシアンの姉に使い、獣人にも効果があるか最初に試したのだ。
 遺跡の探検に危険は付き物だが、行方を眩ました姉を心配したリュシアンは、姉の残した調査記録を元に姉を探し始めた。
 数年の歳月を賭けて探し当てた姉は、物言わぬ石像に変わり果て、野晒しの中に佇んでいた。
 大学を卒業したリュシアンは、姉に成り代わって芸能活動を続け、その傍ら、姉の仇を取るべく、メーフィルの姿を追い求めていた。


「カラドボルグの能力は、カラドボルグでなければ解けないのですから、お姉様を元に戻してもらいますわよ!」
 逃げられないよう手の甲の骨と骨の間を撃ち抜かれ、無力化されたメーフィルにリュシアンは告げる。
「しかし、ナイトウォーカーを封印する力を獣人に試し、何をしようとしていたのです!?」
「獣人に効くくらいだからぁ〜、ミテーラ・ナイトウォーカーモリアンを蘇らせようとしたんだけどぉ〜、効果無かったんだよぉ〜。ミテーラを取り込めればぁ〜、メーフィルちゃんの美しさにぃ〜、もぉっと磨きが掛かると思ったんだぁ〜。もっともぉ〜、これ以上可愛くなってもぉ〜、メーフィルちゃん困っちゃうけどねぇ〜」
 メーフィルはダークサイド獣人。しかもかなりの古株で実力者だそうだが、見ての通り、自分の美しさを磨く事にしか興味のない。逆を言えば自分の美しさを磨く為なら手段を選ばない。ナイトウォーカーでもミテーラでも獣人でも使う、天性の気分屋だ。
 しかし、カラドボルグの力を以てしても、女神モリアン、いや、ミテーラ・ナイトウォーカーモリアンの封印を解く事は出来なかったようだ。


 ところが、モリアンはカラドボルグが封印を弱めた為か、自力で封印を解こうとしていた。
「ミテーラ・ナイトウォーカーモリアンを地に放つ訳にはまいりませんわ!」
 だからこそ、このエリン島へ隔離していたのだろう。
 その時、リュシアンの持つ『聖なる槍』と『岩に刺さった剣』が、モリアンの復活に反応し、光り始めたではないか。光が収まると、槍の先端は銛のように5つに分かれており、剣は十字型に形状を変えていた。
「まさか‥‥ブリューナクにフラガラッハ!?」
 共にケルト神話の光の神ルーが持つ、魔法の投槍とどんな鎧も貫く魔剣だ。
「モリアンの復活に呼応してぇ〜、力を貸してくれるようだねぇ〜」
 ミテーラ・ナイトウォーカーモリアンは、ケルト神話の戦い女神の名を冠したミテーラで、その力は未知数だ。
 獣人達はミテーラ・ナイトウォーカーモリアンの完全復活を阻止できるだろうか!?


●使用可能オーパーツ
 ブリューナク:魔法の投槍。投げると先端が5つの光に分かれ、バラバラに敵に降り注ぐ。また、ある程度追尾する。
 フラガラッハ:どんな鎧でも貫く魔剣。ミテーラ・ナイトウォーカーモリアンの防御力を下げる。
 ガ・デルグ:傷つけたものの治癒力を奪う長槍。ミテーラ・ナイトウォーカーモリアンの自然回復力を低下させる。
 タスラム:一撃必殺の威力を持つ魔弾。ハンドボールの球より一回り小さく、投擲する為、命中精度が極めて低い。
※これらのオーパーツは使用するまで、威力やEP等は分からない。

 カラドボルグ:ナイトウォーカーや獣人を封印する特殊能力を有した斬馬刀。盾にもなる。メーフィルが所有。


●成長傾向
 体力・格闘・軽業・射撃

●今回の参加者

 fa0190 ベルシード(15歳・♀・狐)
 fa0378 九条・運(17歳・♂・竜)
 fa0847 富士川・千春(18歳・♀・蝙蝠)
 fa0877 ベス(16歳・♀・鷹)
 fa1163 燐 ブラックフェンリル(15歳・♀・狼)
 fa1294 竜華(21歳・♀・虎)

●リプレイ本文


●女神モリアン
「はぁ‥‥今頃は富士川がメーフィルちゃんの身体検査、やってるんだろうなぁ‥‥」
「‥‥運さん」
 九条・運(fa0378)は、イギリスはストーンヘンジの上空に浮かぶ浮遊島――それ自体がオーパーツという『エリン島』に鬱蒼と茂る森の中を、溜息を付きながらトボトボと歩いていた。リュシアン・リティウム(fz0025)は、微苦笑しながら一歩後ろを付いてくる。
 運とリュシアンは、ダークサイド獣人の1人と噂されるメーフィル(fz0041)の、このエリン島に封印されているという女神モリアンの開放を阻止すべく追ってきた。
 リュシアンにとってメーフィルは、双子の姉をオーパーツ『カラドボルグ』の能力で石化させた仇。
 加勢した燐 ブラックフェンリル(fa1163)と竜華(fa1294)、ベス(fa0877)はカラドボルグの魔の手に蝕まれて物言わぬ石くれと化し、ベルシード(fa0190)が傷つけた者の自然治癒力を奪うオーパーツ『ガ・デルグ』の毒牙に掛かるも、富士川・千春(fa0847)達は激戦の末、遂にメーフィルを追い詰めた。
「富士川も狙ってるみたいだし、俺も早いとこ神殿の偵察をすませて、乳揉んで舐め吸わないとな!」
「‥‥千春さんまで‥‥あんな小娘の何処がいいんだか‥‥」
「富士川は女の子好きなんだぜ? それに未成熟の禁断の青い果実って、危険を承知で食べてみたいと思わない? っていうか、富士川も序に戴いて、漢の良さを身体で知ってもらわないとな!」
 運は自力でテンションマックスへ。リュシアンは額を押さえ、溜息を付いた。

 エリン島は小さな浮遊島だ。その中心にケルト信仰を思わせる、半ば朽ちた石造りの神殿が建っていた。
 中は二間あり、その一間に置かれた台座に、背中に翼を湛えた女性の石像がひっそりと佇んでいる。胸の前で手を組み、瞳を閉じているが、優しそうな表情をした女性だ。
「これが女神モリアンか? うーんデカい!」
 運の視線はモリアン像の豊満な胸に釘付けだ。F、いやGはあるだろうか。
「しかし、綺麗な女の人だよな。とてもミテーラ・ナイトウォーカーには見えないんだが‥‥」
「‥‥!? 運さん!」
 胸ばかりに視線が行っている運にリュシアンが指を差す。
 くすんだ灰色の石の彫刻が、真新しい純白のロングスカートへ変わっていた。モリアン像全体が小刻みに震え、ノースリーブの白いワンピースだけではなく、服から覗く白い柔肌も少しずつ色彩を取り戻し始めている。
 メーフィルはカラドボルグで封印を解こうと試み、それは叶わなかった。しかし、カラドボルグの力で封印が弱まり、自力で封印を解いているかもしれない。
「番長! 富士川達に報せてきてくれ! 俺がここで食い止めておく。なぁに、大丈夫だ。心残りがあれば死なん! 続きは決着をつけて帰ってからという事で」
「もう、知りませんわ! ‥‥でも、気を付けて下さいまし」
 ライトブレードを構えた運は、リュシアンの尻を撫で回して覚悟完了。


●アブナイ身体検査
「“珠のような肌”って、こういう肌を言うのね」
「メーフィルちゃんのお肌ぁ、すっごく綺麗でしょう〜?」
 メーフィルの、ふりふり甘ロリファッション(「アリス・ディール」の特注だとか)をようやく脱がし終えた千春は、ダークサイド獣人が子飼いのナイトウォーカーを隠しておく刺青がないか、身体の隅々まで手探りでまさぐり調べた。
(「味見したくなっちゃった。そうよ、もう悪さしてウサ耳番長のお姉さんのような悲劇を生まないよう、美を保つ事以外に興味を待たせればいいのよ」)
「う、ん‥‥」
 千春は目を細め、舌なめずりをすると、メーフィルの細い身体に垂れ掛かり、耳朶を嘗めて軽く甘噛みした。
 初めて感じる得体の知れない、でも甘い痺れに、メーフィルの口から熱を帯びた吐息が漏れる。
「こっちは死にそうだったっていうのに‥‥よくやるよ」
 ベルシードはヒーリングポーションを飲み干して人心地付くと、ようやく塞がった腹部の傷を確かめる。
「ベス達も生き返らせてあげないと」
「(これからところだっていうのに‥‥)メーフィルちゃん、お願いするわ」
 年端も行かない女の子が、唇を噛み締めて顎を反り上げ、快楽を我慢している姿に、千春の息が荒くなる。ベルシードは水を差すようにベスを元に戻すよう告げる。
「その前にぃ〜、メーフィルちゃんの手、治してもいいでしょぉ〜?」
 千春が頷くとメーフィルは超回復力を使用した。
「ミテーラ・ナイトウォーカーモリアンを、地に放つ訳にはまいりませんわ!」
 ようやく、銃で骨と骨の間を撃ち抜かれた手の傷が塞がり始めたその時、リュシアンが女神モリアンの復活を伝えに駆け付けてきた。
「まさか‥‥ブリューナクにフラガラッハ!?」
「ミテーラ・ナイトウォーカーモリアンの復活に呼応してぇ〜、力を貸してくれるようだねぇ〜」
「運さんが1人で戦っているんだよね? 僕が先に応援に向かうから、メーフィルは早くベスさん達を!」
 ベルシードは『ブリューナク』を手に取ると、リュシアンが北方へ駆けてゆく。
「ウサ耳番長はどうするの!?」
「オーニソプターで魔弾タスラムを取りに行ってきますわ。ここに来る為だけのオーパーツではないはずですわ。ケルト神話に準えるなら、ミテーラ・ナイトウォーカーモリアンを倒すには魔弾タスラムも必要になると思いますの」
 リュシアンはメーフィルがエリン島に来るのに使った『オーニソプター』へ向かった。


●ミテーラ・ナイトウォーカーモリアン
「ぴゃっ? ‥‥あたし‥‥?」
 メーフィルがカラドボルグの切っ先をベスの額に当てる。そこから光の波紋が石像全体に伝播してゆき、ベスの身体を塗りたくっていた灰色の絵の具が水で流されるように、彼女は本来の色を取り戻してゆく。
 石化している間、意識はないようで、メーフィルとの戦いがいつの間にか終わっており、ベスはきょろきょろと辺りを見回す。
「単刀直入に説明するわ。メーフィルちゃんは懲らしめたわ。で、今、九条さんがミテーラ・ナイトウォーカーモリアンと戦っているの。まだ封印が完全に解けていないから再封印するわよ」
「そうか‥‥僕、サーベルタイガーを追って森に入ったから、メーフィルちゃんに気付かなかったんだね」
 燐は身体を解しながら経緯を聞くと、突然、メーフィルの両頬をふにっと掴んだ。
「迷惑かけちゃ駄目でしょ〜? ごめんなさいは?」
「‥‥ごめんなさい〜」
「うん、もうしたら駄目だよ?」
 メーフィルが素直に謝ると、笑顔で両頬を放した。
 その間、拳を繰り出した体勢で石化し、地面に転がっている竜華を、千春とベスが2人掛かりで俯せから仰向けに転がし、土を払う。
「メーフィル、その手じゃカラドボルグを振るうのは無理ね。私に貸してもらえないかしら?」
 生身に戻った竜華は、ベスから新しいバトルガントレットをもらい、付け直すと、メーフィルからカラドボルグを借り受けた。
「お願い。もう悲しい人を増やしたくないの。モリアンと戦う力になってね?」
 ベスは『ガ・デルグ』にそう告げた。

「ようやく騎兵隊のお出ましか‥‥」
 燐達が神殿へ駆け付けると、そこには満身創痍の運とベルシード、そして無傷のミテーラ・ナイトウォーカーモリアンの姿があった。
「これが、ミテーラ‥‥」
 ミテーラ・ナイトウォーカーといえば、『トウテツ』を思い浮かべる獣人も多いだろう。トウテツは禍々しく、まさにナイトウォーカーを生み出す奇異なる存在と言えた。
 だが、モリアンはどうだ。美しい女性の姿をしている。しかし、両手に持った血塗られた2本の槍が、運とベルシードとの戦いの結果を物語っている。
 ベルシードはミストボールや灰代傀儡を使い、モリアンを誘導しようとしたが、モリアンは煙幕越しに光線を放ち、身代わりをあっさりと破壊した。
 足止めの効果がないと踏んだ運は、躍動する獣脚とゾンビパウダーを飲んで仕掛けるも、ライトブレードの切っ先は悉く2本の槍に受け止められ、ミテーラ・ナイトウォーカーモリアンの身体を捉える事は叶わなかった。
 千春がパニッシュメントからミストブリッドを放ち、ベスが飛羽針撃を曲射で上から降るように翼を狙い、竜華がカラドボルグで、燐が方天戟「無右」で仕掛ける。しかし、飛羽針撃はかわされ、カラドボルグと方天戟は槍で受け流される。竜華と燐は返す刃を喰らってしまう。
「腕の一本くらいならくれてあげるよ。でも、そーなったらアイドルとしてはどうかなー? “片腕のアイドル”ってゆーのも面白そうかな?」
 燐を庇うように千春は続けてミストブリッドから、カースブリッドと封魔の弾丸を撃つが、動きが鈍る気配はない。
「‥‥悔しいけど、ミストブリッド無しじゃ、私達の攻撃は当たらないし、モリアンの攻撃を避けられないわね」
「『戴天神剣』がここまで効かない相手とは、やっぱりミテーラ・ナイトウォーカーだよ」
 悔しそうな千春の言葉に、下がってヒーリングポーションを飲み干し、人心地付いた運が頷く。
 千春はその後も、カースブリッドや封魔の弾丸を撃つが、やはりミテーラ・ナイトウォーカーモリアンには効果は現さない。
 ミストブリッドの煙幕を盾に、ベスが飛羽針撃と破雷光撃を乱れ撃ちして、ミテーラ・ナイトウォーカーモリアンの動きを制限すると、ベルシードがブリューナクを投げ、運が燐から借り受けたフラガラッハで鋭く突く。その後に竜華と燐が続く。
 さしものミテーラ・ナイトウォーカーモリアンも、ブリューナクは直撃を受け、フラガラッハの一撃は純白のローブを剥ぎ取った。槍の切っ先を竜華はカラドボルグで受け止め、燐が方天戟を叩き込む。
 ようやく、ミテーラ・ナイトウォーカーモリアンの柔肌に掠り傷を負わせた。
「このチャンスを逃す手はないよ! 一気に畳み掛けよう!!」
 燐の言葉に全員が頷き、気合いを入れる。
 千春がミストブリッドから今度はカースブリッドへ繋げ、ベルシードがありったけの飛操火玉を放って弾幕を作り出す。運が翼を羽ばたかせて蛇行気味に近づき、上空からフラガラッハを振るう。
「ぴえぇぇーーいっ!!」
 更に竜華と燐が盾となり、運の後ろから飛び出したベスがガ・デルグで突いた。それに反応するミテーラ・ナイトウォーカーモリアン。迎撃されたベスは身代水形で側面に回り込み、ガ・デルグを力一杯、黒い鴉の翼に突き立てた。
 カースブリッドの効果もいまいち現れず、千春は覚醒する内生を服用し、メギドの炎に水晶の22口径弾とショック弾を込めた。
 その後も槍や光線を喰らい、ヒーリングポーションやリカバリーメディシンで回復しつつ、波状攻撃を仕掛けてゆく。
 そこへ魔弾タスラムを持ってリュシアンが駆け付ける。
 運やベルシード達は、ミテーラ・ナイトウォーカーモリアンのコアを見付けるには至っていない。千春も超音感視を使ったが、コアの素材を見付けられなかった。
「コアが見付からない以上、封印するしかありませんわ!」
「Who Inside(封印再度)ってね」
「笑えねぇ駄洒落だか、俺達も後がないからな。九条家に代々受け継がれし決戦奥義、喰らいやがれ!」
 千春がショック弾を撃ち、ベルシードがブリューナクを投げ付ける。左右に展開した運とベスが、フラガラッハとガ・デルグを叩き込み、ミテーラ・ナイトウォーカーモリアンの意識が自分から外れた一瞬の隙を衝いて千春が魔弾タスラムを投げ付けた。
 大爆発と共に地のうねりとも思える激震が入る。ミテーラ・ナイトウォーカーモリアンは初めて2本の槍を取り落とし、美しい顔を苦痛で歪めた。
 竜華がカラドボルグで斬り付けると、その傷からモリアンの身体が硬直していき、運とリュシアンが最初に見た女神像へと戻っていった。

「終わったのぉ〜?」
 メーフィルがやってくると、ベルシードが、運が、千春が、ベスが、燐が、竜華が、リュシアンがその場に座り込んでいた。
 そう、ミテーラ・ナイトウォーカーモリアンは再び封印されたのだ。


●幸か不幸か?
 神殿のもう一間には、グウレイグのリュートやアルセイドキルトといったケルト神話縁のオーパーツがあり、全員で山分けした。
 代わりに、フラガラッハとブリューナク、ガ・デルグをここに置いていく事になった。ベルシードは欲しがったが、神話級のオーパーツは強力過ぎるからだ。魔弾タスラムは元在った湖底に沈んだ神殿へ戻す事になった。

 帰りは翼のある運と千春、ベスとメーフィルは飛び降り、翼のないベルシードと燐、竜華とリュシアンはオーニソプターを使って降りた。

「‥‥リュシアン‥‥?」
「お姉様! お姉様は8年間、石像として眠っておられたのですわ」
 メーフィルとリュシアンの双子の姉がカラドボルグを手に入れた遺跡へ行き、メーフィルは石化を解いた。
 双子の姉妹は8年ぶりに再会し、抱き締め合った。
「お姉さん、無事で良かったわね‥‥」
 ネックタンクトップにジャケットを羽織った竜華は貰い泣き。ベルシード達だけではなく、運もこの光景にホロリ。
 その後は、双子の姉の空白の8年間を埋めるのも兼ねて、イギリス一周旅行へ繰り出した。
「丁度ハロウィンだね♪」
「怪我したらバカンスできなかったよね」
 本場のハロウィンが見られて、ベスと燐はご満悦。
「姉妹丼も良いけど、番長、ガード堅いしなぁ」
 段々欲張りになる運の野望は、叶う時が来るのだろうか?
 一方、千春とメーフィルはどこか眠たそう。お仕置きという名の矯正百合園プログラムを、この旅行中、毎晩のように実践している。
 メーフィルがダークサイド獣人の力を使わなくなるかどうかは、千春次第かも知れない?