ロック野郎ぜ! 妨害アジア・オセアニア

種類 シリーズ
担当 緑野まりも
芸能 3Lv以上
獣人 2Lv以上
難度 難しい
報酬 11.2万円
参加人数 9人
サポート 0人
期間 05/19〜05/25
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●本文

「新人ロックバンド『Wheel of Fortune』? 女性ボーカリスト『NASUKA』デビュー? なんだよこれは!!」
 バサ! と音を立てて音楽雑誌がフローリングの床に落ちる。ソファーに座っていた、ロックバンド『Venus』のボーカルHIROは、その雑誌を睨みつけ端正な顔を憎々しげに歪めた。雑誌の記事には、アニメの新OPに新人ロックバンドを起用、そのボーカルはボーイッシュな実力派女性ボーカリストであると書かれていた。
「NASUKAって、こいつはNASUじゃないか! こんな新しいバンドなんかに入って、まだ諦めてなかったのか!!」
 ギリッ、と歯を噛み鳴らし、ソファから立ち上がるとイライラした様子で歩き回る。時には投げ出された雑誌を蹴り飛ばし、またソファに腰を下ろしたりと落ち着きがない。
「‥‥どうしたHIRO。随分と荒れているようだが」
「IWAN! これだよこれ!」
 『Venus』のリーダーIWANが姿を見せ、HIROの様子に声をかける。そして、投げ出された雑誌を拾い上げて内容を確かめる。
「NASU‥‥」
「ああそうだよ! あいつ、性懲りも無く、また僕の前に現れやがった!」
「HIRO、なぜおまえはNASUを目の敵にするんだ。‥‥まるで恐れているかのように」
「はぁ!? 僕が? 誰を恐れるって? NASUを? ふざけるな! 僕は、僕の目の前でウロウロする羽虫がうっとしいだけだ!」
「そうか‥‥」
 ダン! とHIROはテーブルを叩き、IWANを睨みつけて否定する。その態度に思うところあるようだが、IWANはそれ以上何も言わなかった。
「IWAN! 何度も言うけど、お前達は僕のお陰でデビューできたんだ。だから、お前達は僕に従ってればいいんだよ。わかったら、出て行け!」
「‥‥わかった」
 まるで八つ当たりするかのように、IWANに厳しい言葉をぶつけるHIRO。IWANはそれに対し、ただ頷いて部屋をあとにする。その手には、雑誌が握られたままだった。
「NASUKA‥‥そうか、ようやく本当の自分を出せたんだな‥‥」
「目障り‥‥そう、目障りなんだよ‥‥だったら、消しちゃえばいいじゃないか‥‥」
 一人になった部屋で、HIROは口元を吊り上げ邪な笑みを浮かべるのだった。

「ふぅ‥‥」
 NASUKAの所属する足花プロダクションの社長、足花雄三はその日営業を行っていた。というのも、足花プロダクションには従業員が彼一人、経理もマネージングも一人で担っていたからだ。
「デビューしたはいいが、どうも周囲の反応がおかしい。‥‥まるで、どこからか圧力がかかっているようだが」
 『Wheel of Fortune』のデビュー発表後、予想外に仕事の取れないことに、顔をしかめた足花。今日も、夜遅くまで営業を行うが、その成果はどうにも芳しくない。
「デビュー曲がTVで使われて、人気が出てくれば大丈夫だとは思う‥‥が」
「足花プロの足花雄三だな?」
「‥‥そうだが、なにか?」
 人通りの少ない路地に入った頃、足花は体格のいい黒スーツの男二人に声をかけられる。男達は、足花を名指しし、一人が囲むように彼の後ろに回りこんだ。不審に思い、警戒する足花であったが‥‥。

「足花さん!」
「‥‥よぉ」
 その日、連絡を受けたNASUKAが病院に向かうと、病室のベッドで横になっている足花が軽く挨拶をした。しかし、その腕にはギプスが巻かれ、足花の顔にはいくつものアザとガーゼが張られていた。
「その怪我、いったいどうしたんだ! まさかナイトウォーカー!?」
「ん‥‥いや、まぁ、暴漢にやられたといった感じだな」
「暴漢って‥‥あんたも獣人だろ、普通の人間にそんな簡単に」
「‥‥相手も獣人だったからな」
「な!?」
 足花の姿に動揺するNASUKAに対し、足花は淡々とした様子で受け答えをする。その態度に、少し落ち着きを取り戻しながらもNASUKAが心配そうに足花を見つめる。
「‥‥どうやら、君のデビューを快く思っていない者がいるらしいな」
「俺の!?」
「その暴漢達に、君から手を引けと言われてね。断ったらこのざまだ」
「!!」
 足花の言葉に驚くNASUKA。そして、ギプス姿の足花を辛そうに見つめる。
「そんな顔で見るな。これは君のせいじゃないし、私は君から手を引くつもりも無い。まぁ、しかし、もう少し身体を鍛えておくべきだったかな、ははは‥‥っ」
 見つめるNASUKAを、足花は空いた手で頭を撫でる。そして、心配させまいと笑みを浮かべるが、その頬に痛みが走り引きつる。
「足花さん‥‥でもいったい誰が‥‥」
「君には心当たりがあるんじゃないか? そう‥‥君が何故『Venus』を抜けたのか‥‥」
「まさかHIRO!? でも、そんな‥‥」
「そのHIROだがね、どうやら彼らの所属するプロダクションの社長の息子らしい」
「え?」
「そのプロダクションは、いささか強引な手腕でライバルを蹴落とすことがあるようだ。今回も、その妨害活動と見ていいだろう」
「そんな‥‥犯人がわかってるなら訴えればいいじゃないか」
「証拠は何も無いからね‥‥。とにかく、狙われてるのは君、いやバンドのメンバー全員と見ていいだろう、気をつけなさい」
「‥‥‥」
 足花の話に、悔しそうに拳を握るNASUKA。そんなNASUKAに、足花はテーブルの上にある一枚のメモを差し出した。
「君たちの新しい仕事だ。今度ライブハウスでのライブを予定している」
「え?」
「小さいところだが、君たちだけの単独ライブだ。思いっきり歌えるぞ」
「本当か!? 俺たちの単独ライブ!?」
 コクリと頷く足花。NASUKAは歌える嬉しさに表情を明るくする。その表情に、目を細めて微笑する足花であったが。
「‥‥だが、さっきも言ったように妨害があるかもしれない、くれぐれも気をつけるんだ。もしちょっかいを出されても、無理はせず逃げるんだ」
「ああ‥‥。でも、俺は‥‥俺達は逃げないよ。決して妨害になんか負けないから‥‥」
 足花の忠告に、NASUKAは決意の表情で頷いた。

●今回の参加者

 fa0336 旺天(21歳・♂・鴉)
 fa0379 星野 宇海(26歳・♀・竜)
 fa0453 陸 和磨(21歳・♂・狼)
 fa0510 狭霧 雷(25歳・♂・竜)
 fa0760 陸 琢磨(21歳・♂・狼)
 fa1514 嶺雅(20歳・♂・蝙蝠)
 fa1634 椚住要(25歳・♂・鴉)
 fa3398 水威 礼久(21歳・♂・狼)
 fa3608 黒羽 上総(23歳・♂・蝙蝠)

●リプレイ本文

「NASU、言っておきたいことがある」
「なんだ?」
 その日スケジュールの相談を終えた一同。サブボーカル担当の陸 琢磨(fa0760)が、NASUKAに厳しい視線を向ける。琢磨の目つきの悪さはいつものことなので、気にした様子もなく聞き返すNASUKAだったが。
「妙な動きはするな、かえって邪魔だ‥‥。助けて貰えると言うお姫様思考を持ち合わせるのは勝手だが、最悪ライブが出来なくなる事も覚悟して貰おうか」
「!! タクマ! 俺が、誰かの助けをあてにしてわがままな行動をするようなやつに見えるのかよ! お姫様だって? ふざけるな!」
「‥‥‥」
「くそ!」
「NASUKAさん!」
 淡々と告げる琢磨の言葉に、カチンときたように睨み付けるNASUKA。しばらく睨み合うように対峙していた二人であったが、NASUKAは悔しそうな言葉を吐き捨て、部屋のドアを勢いよく開けるとそのまま出て行ってしまった。慌てたように、バンドのお母さん的存在でコーラス担当の星野 宇海(fa0379)が、追いかけていく。
「兄さん‥‥さすがにあれは、逆効果だったんじゃ‥‥」
「ふん‥‥あの程度でどうにかなるようなヤツじゃないさ‥‥」
「ふふ、なんだかんだ言って、ちゃんと彼女を信頼してるんだ」
 ベースの陸 和磨(fa0453)が、琢磨の言動に心配そうな表情を浮かべるが、続く兄の言葉に表情を和らげ、クスリと笑みを零す。
「なぁ、あのままにしておいていいのか? 挑発されて一人で勝手に行動するとか‥‥」
「大丈夫っスよ、NASUKAはああ見えてしっかりしてるし、字海さんもついてるしね。さぁさぁ! NASUKAのことは、字海さんに任せて、練習開始するっスよ!」
「よっしゃ! 俺らの初のライブだからな! きっちり練習して、きっちりキメようじゃんか!」
「そうか‥‥俺も、早く皆に合わせられるようにならないとな。ライブまで日もない」
 新規に入ったコーラス担当の嶺雅(fa1514)が先ほどの様子に心配するが、雰囲気を戻すようにドラムの旺天(fa0336)が一同に声をかけると、ベースの水威 礼久(fa3398)も同調する。彼らも、NASUKAをしっかりと信頼しているからこそ、字海に任せて練習ができるのだろう。

 一方NASUKAは、スタジオのロビーにあるベンチに腰を下ろしていた。
「NASUKAさん、急に飛び出しちゃうからびっくりしましたわ」
「字海‥‥ごめん、ちょっとカッとなっちゃって」
 追いかけてきていた字海が声をかけると、NASUKAは落ち着いた様子で苦笑浮かべた。字海は、彼女の隣に座ると優しく微笑む。
「大丈夫、みなさんはNASUKAさんを信頼してますわ。琢磨さんだって、NASUKAさんがそんなことはしないってちゃんとわかっているうえでの言葉だったでしょうし」
「うん、わかってる。タクマの言いようはいつものことだし、俺のことを考えての言葉だってことも。ただ‥‥」
「ただ?」
「他人を頼りにしている女に見られていたのかなと思ったら、そんな風に見られる自分がとても悔しくなって‥‥」
 小さくため息をつくNASUKA。そんな彼女の頭を優しく撫でて、字海は微笑んだ。
「NASUKAさんが、自分ができることを精一杯がんばってるのはみなさん認めてますわ。それに、他人ではなく、私達は仲間でしょう? もっと頼ってくれると嬉しいわ」
「字海‥‥」

 そのころ、買出しに出かけた狭霧 雷(fa0510)と椚住要(fa1634)、黒羽 上総(fa3608)の三人は‥‥。
「なるべく保存の効くものを買いましょう♪」
「‥‥そうだな、ところで気づいているか?」
「はい‥‥」
「さっきから視線を感じるな。足花さんを襲ったやつらか?」
「たぶんな‥‥」
 スーパーで食料品を選んでいる間、始終感じる視線に、要が注意を促す。それは雷と上総も気づいているようで、気取られないように周囲を見渡せば、怪しげな人影が彼らの様子を伺っているようであった。
「どうする‥‥」
「いえ、どうやら今のところ何か仕掛けてくる様子もありません。こちらからは何もせず、人通りの少ない所を避けて帰りましょう」
「ああ、万一襲われても、逃げることを第一に考えよう」
 三人は、周囲に警戒しながら小声で相談すると、小さく頷きあう。
「それはともかく‥‥この量は多すぎないか‥‥」
「いやぁ、9人分一週間となるとさすがにこれくらいないと、ははは‥‥」
「お、重いな‥‥」
 さて、妨害を警戒しつつ買い物を済ませた三人であったが、初日にまとめ買いしておこうという雷の提案で、両手いっぱいにビニール袋を持ち帰宅することになるのだった。

「現在この電話番号は使われておりません‥‥」
「そんな‥‥」
「やはりダメか‥‥」
 要の要請で、IWAN達に連絡を取ろうとしたNASUKAであったが、彼女の知っている携帯電話の番号はすでに使われていなかった。どうやら、『Venus』のメンバーは電話番号を変更していたようだ。
「メジャーデビュー後、携帯電話をプロダクションが管理する場合がある、気にするな」
「う、うん‥‥」

「付き合わせて悪い! すっかり遅くなっちゃったな」
「それはかまわん‥‥だが、いらぬ客を呼んでしまったようだ」
「!!」
 夜遅くまで続いた嶺雅の練習に付き合った琢磨であったが、ホテルに戻る二人の前に怪しげな二つの人影が現れる。
「足花をやったやつらか‥‥レイ、お前は先に逃げろ」
「冗談、逃げるときは一緒だろ」
「ふっ‥‥足手まといにはなるなよ」
 人影はみるみると獣の姿へと変わる。琢磨達も人の目がないことを確認すると、獣人へと戻り、人影と対峙した。
「青月円斬! ちっ、速い!」
 琢磨が青い光の円盤を敵に放つが、相手も俊敏な動きでこれを回避する。舌打ちして、再び敵を捉えようとするが。
「タクマ! 上!」
「なに!?」
「虚闇撃弾‥‥」
 一人に気を取られているうちに、琢磨の上空からもう一人が襲い掛かる。しかしそれを、どこからか闇の球体が迎撃した。
「兄さん!」
「カズマか‥‥。それに皆も」
 琢磨を助けたのは、要の技であった。そして、二人を心配して迎えに来た仲間達が駆け寄る。
「ちっ、逃げられたか」
「無理な深追いは禁物だ」
 仲間達の登場に、不利と見ると敵はすぐに逃げ出す。それに対し一同は、無理に捕まえるのを諦めるのだった。その後、敵も懲りたのかライブまで再び襲ってくることはなかった。

 ライブ当日、会場のライブハウスでは満員の客に埋め尽くされていた。
「おいNASU、これ着ておけよ」
「なんだこれ?」
「防弾ベ・ス・ト♪ 万が一ってこともあるだろ? 俺も着てるけど、あんまりかさ張らないぜ」
「防弾〜? マジかよ‥‥。まぁ、わかったよ、着ておく」
 控え室では、礼久がNASUKAに防弾ベストを手渡した。ライブでの強硬手段への備えである。
「いちおう配電盤なんかをスタッフに警備してもらうよう頼んでおいた」
「カメラの設置は完了しましたよ」
 上総と雷が、準備の報告をする。停電の心配もあるし、カメラは何か起きたときの証拠にもなる。
「懐中電灯をステージのほうに設置しておきましたわ。これでいざというとき真っ暗になることはありませんわね」
 字海も、停電のことを考え独立した光源を用意しておいた。こうして、様々なことからの備えを用意し、初の『Wheel of Fortune』単独ライブは開催された。

「みんな! 今日は来てくれてありがと! 俺達『Wheel of Fortune』の初ライブ、楽しんでいってくれ! それじゃ、メンバー紹介!」
 ワー!! 観客の声援の中、一曲目『The light of day(夜明け)』を演奏し終えた一同は、それぞれメンバー紹介を行った。
「まずはサブボーカル、陸琢磨!」
「鼓動揺さぶる WANT TO FIGHT!
 前を見据えて DONT GET AWAY!」
 琢磨が新曲の1フレーズを力強い声で歌い上げる。そして、周囲から歓声。
「コーラス担当、星野宇海! 同じく嶺雅!」
「あの日僕は掴めなかった 描いた夢には届かなかった
 数え切れない今日が過ぎ 何度も明日が来てるのに〜」
「僕が描いた望んだ未来は いつまでたっても訪れなかった
 数え切れない今日が過ぎ 何度も昨日に流れてるのに〜」
 字海と嶺雅は、やはり新曲の1フレーズをバラード風に歌う。高く透き通る歌声が響き渡った。
「ギター担当、椚住要!」
「君の後ろには道がある!
 それは悲しみ 傷つき 迷っても!
 決して途切れることのない道!
 もう一度やり直すのも 悪くはないさ!
 沢山の出会いや別れが 道標になるから!」
 紹介と同時に自ら作成した歌と共にギターを演奏する要。
「同じくギター担当、狭霧雷!」
 軽くソロ演奏をした雷は、いつも以上に晴れやかな笑みで観衆に手を振って応える。
「ベース担当、陸和磨!」
「きゃ〜! カズマさま〜!」
 新曲の1パートを荒々しくかき鳴らす和磨。容姿のせいか、特に女性ファンからの声援が凄い。
「同じくベース担当、水威礼久!」
「叫んでもこの声は虚しくコンクリートの檻に響き渡るだけ!
 鎖を解いてくれたのは君の些細な詞!
 一つの言葉で飛び立つ勇気をもらった!」
 礼久は、苦悩と歓喜を歌とベースギターで表現する。
「もう一人、ベース担当、黒羽上総!」
 上総は、落ち着きのあるバラード風の曲を弾くと、軽く前髪を掻き揚げる。
「最後はドラム、旺天!」
「よろしくっス!」
 最後に紹介された旺天は、いつも以上のハイテンション振りを発揮し、豪快なドラム叩きを披露した。

「みんな、今日は本当にありがとう! 次が最後の曲だ、聞いてくれ『FOREVER SOUL』!」
 メンバー紹介後、未発表曲やカバー曲を演奏し盛り上がるライブ会場。そして、予定の時間が過ぎるころ、最後の曲が始まる。
「見上げ空へ羽ばたく‥‥ FOREVER SOUL!」
 チッチッチッ! 旺天のスティックが拍子を刻むと、NASUKAの強く高く飛び立つような歌声が響き渡った。そして、要と雷のギターが疾走するようなアップテンポの前奏を奏でる。それに合わせて三人のベースが、それぞれの音階でメロディを奏でる。
「あの日僕は掴めなかった 描いた夢には届かなかった(届かなかった)
 数え切れない今日が過ぎ 何度も明日が来てるのに(来てるのに〜)」
 NASUKAの歌声に合わせて、コーラスの字海と嶺雅が高く低く絶妙のハーモニーをつける。
「僕が描いた望んだ未来は いつまでたっても訪れなかった(訪れなかった)
 数え切れない今日が過ぎ 何度も昨日に流れてるのに(流れてるのに〜)」
 ここから、琢磨の強く荒々しい歌声が加わり、曲は激しさを増していく。
「誰かに仕組まれた終わりなき戦いの果て!
 立ち止まろうとしても内に潜むもう一人の自分が戦えと叫ぶ!」
「バラバラになりそうな心を繋ぎ止めてくれた君の言葉(ワード)!
 俺の心に熱き魂の火が灯る!」
「鼓動揺さぶる WANT TO FIGHT!
 前を見据えて DONT GET AWAY!」
「どんなに闘い傷ついたとしても いつか必ず甦る(蘇る〜)」
「鼓動揺さぶる WANT TO FIGHT!
 心の翼広げて FLY OUT!」
「そして再び飛び立っていく その翼を広げて‥‥
 何度も(何度も) 何度も(何度も)」
「見上げ空へ羽ばたく‥‥ FOREVER SOUL!」
 ワーーー!! アンコール! アンコール! 全ての曲を歌い終わったあと、観客の歓声が響き渡り、場内はアンコールの声がいつまでも続いていたのだった‥‥。

「なんだこんなもの‥‥! まぁいいさ、僕が直接あいつに引導を渡してやる。実力の違いを見せ付けてやってね‥‥」
 バキリと、割れたCDRを踏みつけ、HIROは歪んだ笑みを浮かべるのだった。