魔女×王子 ソング製作アジア・オセアニア
種類 |
シリーズ
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担当 |
緑野まりも
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芸能 |
3Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
普通
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報酬 |
10.2万円
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参加人数 |
6人
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サポート |
0人
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期間 |
07/03〜07/09
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前回のリプレイを見る
●本文
●『魔女×王子CP』製作委員会会議室
「こんかいは〜、アニメの〜‥‥」
「今回の会議は、TVアニメ『魔女×王子CP』の関連商品の製作についてです」
会議室では、いまからアニメの製作会議が行われようとしていた。会議テーブルの一番上座に座って、間延びした声をあげる若い女性を遮る様に、キビキビとした様子の男性の声が響き渡る。
「では〜、いまのところあがってきている〜、提案を〜‥‥」
「関連商品の提案は、皆さんに先ほど渡した資料に記載されていますのでご覧ください」
「ゆうちゃん、ひどい〜。まだ〜、わたしが話してる〜、途中なのに〜」
「待っていたら、会議が遅々として進みませんので」
ぶ〜っと、頬を膨らませた女性を無視して、男性はどんどん会議を進めていく。
「それでは、『ドラマCD』『OVA』『キャラクターソング』の製作を決定いたします。まず先駆けて、『キャラクターソング集』及び新OP、新EDの製作を行いたいと思います。製作についてなにか意見はありますか?」
男性の声に、会議室の一同は、それぞれ自分の意見を挙げては議論を行う。その中で、ずっと呆けているように話を聞いていた上座の女性が声を発した。
「ロック〜、ロックがいいの〜。わたし〜、ロックが聞きたい〜」
「ロックって‥‥、このアニメはラブコメディなんですが? もっと低年齢層にも受けるポピュラーな‥‥」
「ロック〜! ぜったいロックなの〜!」
「し、しかしですね‥‥」
二人の問答に、いつのまにか周囲の者は議論を止め、またかと苦笑を浮かべて見守っている。
「いいからロックにする〜! これはプロデューサーで、原作者なわたしの命令なの〜! 魔女っ子達の軽音楽部風にするの〜!」
「‥‥‥わかりました」
「やった〜♪」
結局いつものように、女性のわがままに、男性が折れるという形で決着がつく。男性は、誰だこんなのプロデューサーにしたの、と言いたげにため息をつくが、女性は気づいた様子もなく両手を万歳して喜んでいた。
こうして、『魔女×王子CP』キャラクターソング集の製作が決定された。
〜『魔女×王子CP』キャラクターソング製作のご依頼について〜
このたび、現在放映中のTVアニメ『魔女(おとめ)が王子(ぼく)を狙ってる 〜カラフルピュア(CP)〜』では、オープニング曲、エンディング曲、及び登場キャラクターによるキャラクターソング集の製作を行うことに決定いたしました。
つきましては、アニメの登場キャラを担当されている声優の皆様に、これらのソング集の製作をご依頼いたします。どうぞご参加くださいますようお願い申し上げます。
〜キャラクターソング製作内容〜
アニメの、キャラクターそれぞれのイメージに沿ったテーマで曲を製作。それを、担当声優によって歌唱する。声優の歌唱力は問わない、あくまでキャラクターにあった演技で、歌唱を行うとする。
曲のテーマ、歌詞は、キャラクターの設定、製作者側の意向、担当声優の希望を纏めて決定する。曲については、音楽製作会社に一任する。
〜オープニング曲製作内容〜
アニメ全体のイメージに沿ったテーマで曲を製作。明るくポップな感じの曲になる予定。
アニメの、主要ヒロイン(魔女っ子及び妹)の担当声優の中から一人、ないし二人を選出し、オープニング曲の歌唱を担当する。歌唱力の高い者が望ましい。
場合により、キャラクターソングの中でオープニングに相応しい曲があれば、それを選曲する。
〜エンディング曲製作内容〜
アニメに登場する、主人公達の通う学園の文化祭で、魔女っ子達が軽音楽を披露するイメージの曲を製作。ロック調で明るい曲になる予定。
アニメの、主要ヒロイン全員、及び主人公とその親友の担当声優に歌唱していただく。ヒロイン達をメインボーカルとし、各パートを担当。主人公とその親友は、サブボーカル(またはコーラス)を担当。
各キャラクターには、それぞれ楽器の担当が決まっているが、実際の演奏は行わない。声優はあくまで歌唱を担当。
以上の要綱で、キャラクターソングを製作いたします。担当声優は、曲のテーマ、曲調などの希望をご連絡ください。
●リプレイ本文
「僕、人気声優でなく、駆け出しの芸人ですよ? まさか歌の仕事が来るとは‥‥」
「コウダくん、ええやないの♪ 芸人なら何でもちょうせんせな!」
アニメのキャラクターソングを作るということになって数日、河田 柾也(fa2340)は渡された歌詞を見つつため息をついた。昨今ではキャラソンを作ることも珍しくないこととはいえ、まさか自分がそれに参加するとは思っていなかったようだ。そんな柾也の背中を叩いて、相方の桐尾 人志(fa2341)は陽気な声をあげる。
「僕は少しだからまだいいけど、自分の曲があるキリー君は大丈夫なの?」
「いや〜、なんとかなるって。コントみたいなもんやし!」
「‥‥‥」
「‥‥いや、ほんま大丈夫やて‥‥たぶん」
「今回の曲は、悠李と悟の掛け合いのような感じですし、期待してるよ」
調子のいいことを言う人志だが、疑わしい目で見つめる柾也に、笑みを浮かべながらも一筋の冷や汗が流れた。そんな人志に、悠李役の南方雄治が笑みを浮かべながら軽く肩を叩くのだった。
「あの〜。私、純粋な声優のつもりなのですが‥‥歌も歌わないといけないんですね」
「あら? 今は声優だって歌も歌えば、ダンスだって踊る時代よ? ねぇ、稲馬さん?」
「私はもともと歌手だから‥‥歌うのは当たり前ね‥‥〜♪」
やはり不安そうな様子で歌詞を眺めている鈴木 舞(fa2768)。彼女の呟きに、槇島色(fa0868)が意外そうに答える。同意を求められた稲馬・千尋(fa0304)も、コクリと小さく頷いて、割り当てられた曲のメロディを口ずさむ。
「私、歌を歌うってあまり経験がなくて‥‥稲馬さん、どうしたらいいんでしょう?」
「大丈夫、音程外さないで歌えば良いだけよ」
「は、はぁ‥‥(その音程を外さないコツを知りたい‥‥)」
「‥‥そもそも買う人のほとんどは歌の上手さ気にしてないわよ」
「ええ!?」
本職歌手の千尋にアドバイスを聞く舞だが、返ってきた答えに困ったように生返事。しかも、続く問題発言に驚きの声をあげる。
「たしかにキャラソンを買う人は、歌の上手い下手より、そのキャラクターっぽさを聞きたいのかもしれないわね」
「キャラクターっぽさですか。カオリなら恥ずかしがりながらも一途にという感じでしょうか」
千尋の言葉に同意するように頷いた色、加えて自分の意見を述べる。舞はその意見に少し首をかしげて、自分の担当するキャラを思い浮かべてみる。顔を真っ赤に染めて、一生懸命歌う少女の姿が思い浮かんだ。
「そうね、エルならクールにそれでいて秘めた想いを歌う感じかしら? でも、音程やリズム感もある程度大事よね。聞いていてツライようじゃさすがに‥‥ね?」
「が、がんばります」
色も、自分が担当するエルが、クールな瞳を浮かべながらも想いのこもった歌を静かに歌い上げるシーンを思い浮かべる。しかし、すぐに忠告めいた言葉を続けて微苦笑を浮かべた。
「そういえば、緑川さんがまだ来ていないですね」
「じゃーん、今回は少しお洒落してグレースの魔女っ子モードの服を着てみたんだ。‥‥24だからコスプレするのは恥ずかしいけど。ま、原作の魔女っ子の気分になりきるには最高ね!」
「!?」
ふと、柾也が周囲を見渡して一人足りないことを気にしたとき、休憩室のドアを勢いよく開けて緑川メグミ(fa1718)が入ってきた。しかし、なんとその姿は、その場に似つかわしくないヒラヒラフリフリのドレス姿で、しかも幼児向けの魔法少女ステッキの玩具を手に持っている。そして、ピコピコと音の鳴るステッキをふわりと振っては決めポーズなど取ったメグミに、唖然とする一同‥‥。
「本当は腰にはあの第一話で王子に切りかかったアイスソードによく似ている模造刀をお兄様から借りるつもりだったのに‥‥残念」
「‥‥‥」
「とにかく、気分ノリノリで歌のほうは任せてね!」
「‥‥はっ! メグちゃんは24やったんか!!」
「驚くところはそこじゃないって」
周囲の様子に気づかずいた様子もなく、メグミは自分の腰を軽く叩いて残念そうに肩を落とす。呆然としていた一同であったが、人志が的外れなボケをかましては、柾也がツッコミを入れる。
「す、すごい、役になりきるためにはあそこまでしなくてはならないんですね‥‥」
「‥‥さすがにどうなのかしらアレは」
「本人が気分がノルというのならかまわないと思うわよ‥‥」
我に返った舞が感心した表情を浮かべると、色は微苦笑を浮かべて小さく首を振った。千尋も表情は無いが、少し呆れたような声で呟く。
「あらあら〜、素敵なお召し物ねぇ〜。本物のグレースちゃんみたいだわぁ」
「あ、プロデューサー」
さて、そんなメグミの衣装に、後から入ってきた女性が間延びした歓声をあげた。アニメのプロデューサーである彼女であるが、メグミに劣らずヒラヒラフリフリの純白ドレスを着こんでいる。一つ違うのは、メグミは一応コスプレだが、彼女は普段着であるということだ。
「みんなのぉ〜、歌を楽しみにしてるわ〜。特にエンディング曲のロックは〜、期待してるからねぇ〜。がんばって〜」
「は、はぁ‥‥がんばります」
プロデューサーの間延びした応援に、つい生返事を返してしまう一同。その返事にも気にした様子はなく、手をヒラヒラと振って彼女は行ってしまった。何しに来たのだろう。プロデューサーが出ていってすぐ、スタッフがやってきた。
「え〜、それでは順番に収録を開始します」
なにはともあれ、キャラクターソングの収録は開始されるのだった。
●OP曲「ピュアネス・ハート」〜ネスト(稲馬千尋)・エル(槇島色)〜
(明るくポップな前奏+「魔女が王子を狙ってる〜カラフルピュア〜」ロゴ)
(ネストパート)
イマドキオトメはパワフルなのよ(制服姿のグレースが仁王立ち)
夢も恋も待ってなんかいられない(悠李が後頭部に手を添えて困ったように笑う)
「白馬のお姫様」いてもいいじゃない?(制服姿のネストが無表情で瞬き)
あなたのハート独り占めしたいの(悠李が曖昧な笑みで冷や汗一筋)
ほんのちょっと違うだけ(制服姿のエルがクールに睨む)
後は普通のオンナノコなの(悠李が後ろを向いて怯えた様子)
トクベツナコトしたいわけじゃない(制服姿のカオリが真っ赤な顔で慌ててる)
あなたの傍にいたいだけ(悠李が両手を前にして落ち着かせようとする)
(エルパート)
服や髪型変えてみたり(悟がニヤニヤと笑っている)
何も考えてない訳じゃないわ(バル爺がなにやら怒っている)
トクベツナコと思われたいだけ(伊藤美由が満面の笑みで喜んでいる)
あなた以外の視線はいらない(伊藤悠一と由香里が肩を組んで微笑んでいる)
魔法の力じゃどうしようもない事もあるわ(魔法世界の風景)
例えば今日の 数学のテストの結果とか(現代世界の風景)
(デュエットパート)
イマドキオトメもピュアなのよ(4人の魔女っ子の変身シーン)
きっと思っていたよりもずっとずっと(魔法を使う魔女っ子達)
エゴイスティックにお慕いしたいの(逃げるような悠李)
私色に染め上げさせて(悠李の腕を捕まえるグレースと、美由。塀に座ってギターを弾くネスト。離れたところで呆れたように見つめているエル。それらを真っ赤になって隠れながら見ているカオリ。そのシーンがセピア色の写真になる)
●「果てない思い」〜ネスト(稲馬千尋)〜
(悲しげでスローテンポの曲調)
貴方が私の心に深く刻まれたとき
私の全てが変わったの
それはとても痛くて辛いこと
それはとても心地が良いこと
心と心が深く深く繋がり合えた
けれど痛みが引き裂いた
それは私が抗えないもの
それは私が抗いたいもの
引き裂かれ 遠くへ離れてしまったけれど
私の気持ちは絶対に変わらない
貴方のこと ずっと愛してます 世界が二人を離しても
私は必ず貴方の元へと辿り着く どんな障害(こと)でも挫けない
だって貴方が居ないことよりも 辛いことは在り得ない
(星空の下、一戸建ての屋根の上に座ったネスト。アコーギターを弾きながら無表情のまま、それでいて悲しげな歌声で歌い上げる)
●「あなたの心を一撃よ♪」〜グレース(緑川メグミ)〜
(明るくアップテンポの曲調)
お兄様を愛してたーけれど、振り向いたらそこにあなたがいた♪
初めてあなたを見たときは、心惹かれるなんて思ってなかった♪
それでも好きになったら私は、一途過ぎてこまらせちゃう?
だけど私は意地っ張り、思い込んだら一直線
いつかは私のすべてで、あなたの心を一撃よ♪
ライバルなんて魔法で全員倒して独り占め♪
(変身後のフリフリドレスを着たグレースが、一世代前の美少女アイドルのように可愛らしい振り付けで踊りながら、明るい声で歌い上げる。そして最後に人差し指で銃を撃つような仕草をすると、微笑んでウィンク)
●「移ろう風」〜エル(槇島色)〜
(寂しげなバラード調)
移ろう私の心は 旋風(かぜ)に舞う一枚のカード
貴方に受け取って欲しいけど旋風が邪魔をする
傲慢(プライド)と冷淡が交差する旋風に‥‥
黒く冷たい旋風に切り刻まれるカード
暖かく優しい微風が撫でてカードが癒える
もっと微風に触れたいけれど
優しい微風は弾かれて再び黒い風がカードを包む
二つの風に翻弄され彷徨うカード‥‥
傲慢(プライド)と恋心
揺れ動く二反旋律
裂けそうなカード
暖かな微風よ
癒やして貴方に受け取って欲しい‥‥
(高層ビルの屋上で、エルが風に吹かれながら遠くを眺めて歌う。その表情は、落ち着いた冷たいものだが、歌声は哀愁を感じさせるもの。サビに入ると、表情は寂しげなものと嬉しそうなものを交互に見せて‥‥ラスト、一枚のカードを残し、一陣の風と共に消えてしまう)
●「踏み出そう」〜カオリ(鈴木舞)〜
(ゆっくりした優しい曲調)
いつも〜夢見ています〜
あなたが〜微笑んでくれることを〜
あなたを〜見つめる〜
私の視線に〜気づいて欲しい〜
踏み出そう〜
あなたのもとへ〜
踏み出したい〜
けれどダメなの〜
あなたの後ろ姿をみつめるだけで
私の身体は動いてくれない
想いだけが募っていく‥‥
(恥ずかしそうに顔を真っ赤にしたカオリが、自分の胸に手を合わせて切々と歌い上げる。お世辞にも上手いとは言えないが、カオリらしい一生懸命な雰囲気が感じ取れるバラード)
●「プリンスのユーウツ」〜悠李(南方雄治)&悟(桐尾人志)+バル爺(河田柾也)〜
(テンポのよいヒップホップ風の曲調)
悟「何でもこなすパーフェクト」
悠李「プライド高い、扱いに困る」
悟「可愛い妹タイプ」
悠李「T・P・Oを弁えない、所かまわずベタベタする」
悟「明るく元気なお姫様」
悠李「わがまま、気まぐれ、怒ると怖い」
悟「日陰で見守る月見草」
悠李「気付かなかったら意味がない」
悟「無口で神秘的なクラスメイト」
悠李「なに考えてるかわからない」
バル爺「悠李殿、早くお選びくだされ。王子としての責務ですぞ」
(デュエットパート)
ヘイヘイボンボン 男子(オトコ)の高校生活は
清く・正しく・ウーツクシク
苦手科目も何のその
だけどやっぱりちょっぴり
気になりますオンナノコ
どこかにいる筈 僕だけのプリンセス
悠李「僕なんかでいいのかな? 世界にゃもっといい男がいるのに」
悠李「正直僕にゃ勿体無い 素敵なレディ達」
(デフォルメされた悠李と悟が、次々とヒロイン達を思い浮かべては欠点を指摘する。途中バル爺が現れて結婚を催促。二人は左右にステップを踏みながらダンスを踊り。悠李が困ったように冷や汗を一筋、悟は肩をすくめて首を振った)
●ED曲「カラフル・マジック」〜ネスト(稲馬千尋)・エル(槇島色)・グレース(緑川メグミ)・カオリ(鈴木舞)〜
(真っ暗な学校の講堂で、それぞれ魔女っ子スタイルのヒロイン達が順番にスポットライトを浴びる。ネストはエレキギター、エルはドラム、グレースはバイオリン、カオリは和太鼓。中央のネストが一同に頷きかけると演奏が始まった)
ドンドドンドドン!
ドンドドンドドン!(カオリが和太鼓で前奏、続いてエルの激しいドラムプレイ。グレースのバイオリンがしっかりとした旋律を奏で、ネストがエレキギターを弾き鳴らし歌いだす。ロック調のアップテンポな曲が流れる)
ネスト「手作りのランチボックスには 何が入ってる?」
グレース「あなた好みのメニューに 桃色の薬ひとしずく」
ネスト「腕と腕絡めて街歩く」
カオリ「そんな時も」
エル「息かかる程の近くで」
グレース「呪文唱えてあげる」
全員「だけど そんなの空しいだけ」
全員「魔法解けたらそこでジ・エンド?」
全員「あたし自身さらけ出すから」
全員「こっちを向いて! あなたを見せて! あたしだけ見て!」
エル「どんな女がお好み?」
グレース「どんな女にもなってあげられるけど」
ネスト「奥の奥まで見透かして」
カオリ「あなたのその眼差しで」
全員「本当のあたしを、見てて欲しいの!!」
(曲が終わると、一斉にスポットライトが消え、真っ暗な講堂で拍手の音だけが響くのだった)
収録が終わり、それぞれイメージアニメが加えられると、キャラクターソングは完成した。出来は満足のいくものといっていいだろう‥‥。