魔女×王子 笹に願いをアジア・オセアニア
種類 |
シリーズ
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担当 |
緑野まりも
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芸能 |
3Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
普通
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報酬 |
7.9万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
07/17〜07/21
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●本文
七夕の日、笹に願いを書いた短冊を掛けるなんていう風習があるけど、魔法界にも同じようなものがあるらしい。一日だけ願いの叶う『願いの笹』、正直言ってそんなものに興味は無い。なぜかって言うと、僕はそんな笹を探しに行くような冒険よりも、もっと平凡な日常を送っていたいからだ。
まぁ、そんなことを言っても、結局は探しに行かなくちゃならないわけで。せっかくなので願ってみようと思う、『平凡な日常』というものを。それに、本当は皆がどんな願いを叶えたいのか、ちょっと興味もあるんだよね‥‥。
〜声優募集〜
TVアニメ『魔女×王子』の続編、新番組『魔女(おとめ)が王子(ぼく)を狙ってる 〜カラフルピュア(CP)〜』の声優を募集いたします。新人・ベテラン関係なく、広く参加者を募集いたしますので、奮ってのご応募をお待ちしております。
〜作品内容〜
高校三年に進級した主人公『伊藤悠李(いとう・ゆうり)』は平凡を愛する普通の少年。しかし、彼には重大な秘密があった。それは、この世界とは別の世界に存在する『魔法国』の王子であるということであった。幼い頃に、この現代世界に預けられ、普通の子として育てられた悠李であったが、ある日を境に王子であることを告げられ、花嫁候補の魔女っ子達に迫られるようになるのだった。(『魔女×王子』までの設定)
さて、そんな生活にもようやく慣れ始めていた高校三年の初夏。悠李の周辺で、魔法国に関連する様々な事件が起きる様になる。それは、悠李が王位を継承することを快く思わない者達の行動によるものだった。悠李は、魔女っ子達に協力を仰ぎ、周囲に起きる不思議な事件の解決に乗り出す。(『魔女×王子CP』の設定)
今回の作品では、主人公と魔女っ子達の恋愛に重点を置きます。それに伴い、登場魔女っ子の人数を絞り固定化します。様々な事件を一緒に解決していくことにより、主人公と魔女っ子達は親密になっていき、いつしか主人公は本当の恋に目覚めます。魅力的な少女達の中から、主人公は誰を選ぶのか。今後の展開次第となります。
〜次話あらすじ〜
7月7日七夕の日、現代世界ではあいにくの雨で、星は願いを叶えてくれそうにないようだ。そんな日に、魔女っ子の一人が、この日にだけ成長するという『願いの笹』の話をする。その笹は、7月7日の日だけ魔法界に現れ、それに願いを掛けると一日だけその願いが叶うらしい。
さて、話を聞いた親友が、乗り気でない悠李を引っ張って『願いの笹』探しに出かけることになった。魔女っ子達も、それぞれ自分の願いを叶えるため手伝うことになる。
『願いの笹』があるという森へ来た一行は、二人一組で手分けして探すことになった。それぞれ自分の願いの話などしつつ、笹を探す一行。しかし、ようやく見つけた『願いの笹』は魔法界のパンダによって食い荒らされていた。果たして無事な笹は残っているのか、そしてそれぞれの願いとは?
〜主要登場人物〜
伊藤悠李 一見平凡そうな、気の弱い少年。実は、魔法国の王子であり、花嫁候補の魔女っ子達に追われる身。内に秘めた膨大な魔力のおかげで、外部からの魔法に大きな耐性を持っているが、自分が魔法を使うことは一切できない。今作の主人公。
伊藤美由 悠李の妹。悠一と由香里の娘で、悠李とは血のつながりはない。魔女の娘であるため、一応の魔法の素質はあるものの、現在は魔法は使えない。ある事件をきっかけに、魔法国の存在と悠李の出生を知ることになり、花嫁候補の魔女として数えられることになる。
魔女っ子達 悠李の花嫁候補として、魔法国より現代世界にやってきた魔女達。魔法で事件を起こし、悠李の気を引こうとしていた。しかし、お目付け役の監視や、現代世界の生活に馴染んできたこともあり、最近では無茶な魔法の使用を抑えるようになり、普通の生活の中で悠李の気を引くようにしているようだ。
マイト王 魔法国現国王。悠李の本当の父。国民に慕われる人望のある王で、彼の統治の下、魔法国は平穏無事な日々が過ぎている。現代世界の名、夢乃路舞斗。
事件の黒幕 現代世界で様々な事件を起こす黒幕。本来の目的は定かではないが、王子の王位継承を快く思わない一派の者であるとされる。
その他 悠李の親友、魔法国の使者(お目付け役)、魔女のマスコットなど
〜募集キャラ〜
魔女っ子(女性のみ)2〜4名
主人公の友人(男性のみ)1〜2名
魔女っ子のマスコットキャラ(男女可)若干名
その他 悠李の両親、妹、事件の黒幕など
〜作品備考〜
主人公伊藤悠李役には最近売り出し中のイケメン声優、南方雄治(みなかた・ゆうじ)を起用。
担当は、審査のうえイメージにあったキャラを担当していただきます。得意なタイプなど希望がありましたら、事前に申し出てください。
魔女っ子の基本設定として、『変身する』『変身後は想像を具現化する魔法を使える』があります。これらを踏まえて希望を出してください。
●リプレイ本文
魔法国にあるという『願いの笹』の話を聞いた悠李(CV:南方雄治)は、悟(CV:桐尾 人志(fa2341))の説得もあり、バル爺(河田 柾也(fa2340))の力で魔法国へと降り立つのだった。
「な、なぜ私がこのようなことに付き合わなければ‥‥ぶつぶつ‥‥」
「こ、今回は、お誘いいただいて、あ、ありがとうござ‥‥」
「たった1日だけ。だけど、どんな願いでも叶う魔法の笹。ちなみにお兄様はその笹の魔力で思い人を逢瀬にいざない告白して楽しい思い出を作ったことをきっかけに結婚したのよ」
「なにを願いたいわけではないけれど‥‥面白そうね‥‥」
悠李達(主に悟とバル爺)に誘われ、エル(CV:槇島色(fa0868))、カオリ(CV:鈴木 舞(fa2768))、グレース(CV:緑川メグミ(fa1718))、ネスト(CV:稲馬・千尋(fa0304))も同行している。
「お久しぶりでございます、王子」
「き、君は‥‥」
悠李を待っていたのは、上はスーツに蝶ネクタイ、下は半ズボンの少年。それは、初めて彼に魔法国の存在と王子であることを告げた時の、魔法国の使者マルコ(CV:晨(fa2738))であった。
「ここより、私マルコが皆様をご案内いたします」
そして、マルコの案内で『願いの笹』があるという森へと向かう一同。
「ここより先は、いくつもの道に分かれた迷いの森。願いを叶える者は、この森で笹を探さねばなりません」
「よし! ここは、くじ引きでペアを決めて手分けして探そうぜ!」
マルコの話に、困る悠李。悟の提案で、手分けして探すことになった。
「‥‥で、この組み合わせはいったいなんなのよ!」
「俺は普通の人間だからズルは出来ないよーん。王子の妃たる者、強運も才能のうちじゃない?」
クジの結果で、悠李&エル、悟&グレース、ネスト&カオリ、バル爺&マルコの組み合わせになった。そして、それぞれ『願いの笹』を探して迷いの森に入っていくのだった。
「王子様は大丈夫でしょうか‥‥」
「エルもついてるし、大丈夫じゃないかしら‥‥たぶん」
ハラハラとした様子で王子を心配しながら歩くカオリ。それにぼ〜っとした様子でついていくネスト。二人は、笹を探しながら森の小道を歩いていた。
「あ、あの、ネストさんは笹への願い事はなにを?」
「‥‥貴女は?」
「え、私は‥‥そ、その、王子様が私を‥‥あうう、恥ずかしくて言えません」
カオリは、逆に問い返されると、ボフンと音を立てて顔を真っ赤にして首を振る。
「皆‥‥王子の事だと分かりやすいわよね‥‥でも、それだけ真っ直ぐ‥‥気持ちをぶつけてる‥‥いい事だと思うわ‥‥。私は‥‥よくわからない。ただ、面白そうと思って一緒に来ただけだから‥‥」
「そう‥‥なんですか? でも、ネストさんも‥‥その、お妃候補ですし‥‥」
「それも‥‥面白そうかなと思って参加しただけだから‥‥」
「そ、そうなんですか‥‥ほっ」
ネストの言葉に、カオリは不思議に思いながら、一応のライバルの様子に、少し胸を撫で下ろすのだった。
「願うとしたら‥‥本当の自分の気持ちを知りたい‥‥」
「なんで、私が貴方と一緒に探さなければならないの?」
「しかたないって、クジで決まったんだから」
文句タラタラをなだめながら歩いていくのは、グレース&悟組。少し拗ねた様子のグレースの後ろを、自分の後頭部に腕を回して気楽な様子で歩いている悟。
「王子と一緒に探して、好感度アップとか図りたかったのに。ああ、でも、あまり二人っきりというのも美由ちゃんに悪い気が。でもそうなると、私の光源氏計画が‥‥」
「お〜い」
「そういえば、王子のお養母様は当時の国王の友人と結婚なされてあっちに残られたのよね。そういうのもいいかも‥‥でもそうなると相手はカッキー? いやでももう少し格好良くなれば‥‥」
「グレースちゃん? 聞いてる? 俺がどうかした?」
「!! な、なんでもないわよ!」
考え事をしているグレースであったが、悟に声をかけられ慌てて首を振った。
「な、なにか用?」
「いや、グレースちゃんの願いってなにかなと思ってさ」
「き、決まってるじゃない、王子を私のモノに、よ。カッキーは?」
「俺? 別に無いよ。1日かぎりの願いじゃね。夢は自らの意思で目指し掴みとるもの、1日かぎりの魔法にゃ頼れません」
そう答えながら、いつの間にか前を歩く悟。そんな彼の答えに、グレースは一瞬目を丸くしてマジマジと悟を見て。
「へぇ‥‥格好良いじゃない‥‥」
小さく呟くのだった。
「バル爺様、なにか嬉しそうですね?」
首を傾げるマルコに、バル爺は悟と協力して、悠李を魔女の一人と一緒にさせた計画を説明した。
「なるほど、王子様と花嫁候補を二人っきりにする作戦ですか」
「その通りじゃ。この森は、男女のカップルで歩くと恋が芽生えるという伝説があるからのぅ」
「何の確証も無い迷信ですけどね」
「何を言う! ワシもここで妻と一緒に歩いて、恋に目覚めたのじゃぞ」
「それは初耳です」
マルコは、ピンと猫耳を立てて驚いて見せた。
「でも、そろそろ僕も王子様のお世話がしたいです」
「いずれそうなるじゃろ、もう少し勉強をしたらの」
少しつまらなそうなマルコの頭を、バル爺は優しく撫でるのだった。
その頃、王子とエルはどことなく気まずい雰囲気で道を歩いていた。というのも、エルが顔をあわせようとしないからだ。
「エルは『願いの笹』に何を願うの?」
「‥‥魔法界と現代世界の均衡が保たれますように、かしら。一日だけじゃ効果は薄いと思うけれど」
「う、ううん、そんなこと無いと思うよ」
「‥‥‥」
悠李が話しかけても、ちらりと顔を見てはすぐに逸らしてしまう。悠李は少し不安になってきた。
「ごめんなさい‥‥」
「え?」
「いまさらながら、二人になって何を話したらいいかわからないの‥‥」
「そ、そうなんだ。ちょっと意外だな」
突然の謝罪に、驚く悠李だが、彼女の意外な一面を知って、なんとなく頬を綻ばした。
「あ、そうだ。私の使い魔を紹介するわ。フィリアよ」
「はじめましてですぅ〜。フィーです、よろしくおねがいしますぅ」
「よ、よろしく」
エルは、何か話題にと、カードを取り出して使い魔を呼び出す。エルの手の上に、背中に小さな羽根がある、ふわふわしたぬいぐるみのような水色の兎のフィリア(CV:百瀬 悠理(fa1386))が現れた。普段クールなエルと、その可愛らしい使い魔のギャップに悠李は驚きと、微笑ましいものを気持ちになるのだった。
「フィリア、私達はいま『願いの笹』を探しているの。あなたもそれらしいものを見つけてきなさい」
「はいですぅ、がんばりますですぅ♪」
さて、そのフィリアだが、エルの命令を受けて笹を探すも、色々とドジな行動をしては結局笹は見つからない。
「あうぅ、ヘロヘロですぅ‥‥」
「もう、フィリアったら‥‥」
目を回してふらふらと落ちてくるフィリアを両手で受け止めるエル。しかし、その表情はどこか楽しそうな笑みを浮かべていた。
「あれは‥‥!?」
しばらく歩いた二人は、ようやく森を抜けて『願いの笹』を見つける。しかし‥‥。
「おいしーねー」
なんと、『願いの笹』をパンダ(CV:河田)が食い散らかしているのだった。その可愛らしい仕草とは対照的に、食欲旺盛でまたたくまに笹が食べられていく。
「ご主人様のお願いする笹を食べちゃだめですぅ〜」
「あ、フィリア!」
フィリアがパンダに向かっていくが、ペチとパンダに振り払われて、目を回しながら戻ってくる。
「よくも、フィリアを! 風よ!」
怒ったエルは、カードを取り出し突風をパンダにぶつけるが、なんとその風がエルに跳ね返ってくる。
「きゃぁ!?」
「いたた‥‥大丈夫?」
風に吹き飛ばされそうになるエル。悠李はそんなエルを抱きとめようとして、一緒に飛ばされ、木にぶつかってしまう。痛みに顔をゆがめながらも、エルを心配する悠李。
「あ、パンダ‥‥可愛いですね」
「なに悠長なこと言ってるのよ。早くしないと笹の葉がなくなっちゃうわよ。でも、あのパンダには私の魔法じゃ効かないし‥‥」
「‥‥普通の魔法はこのパンダには効かないわ。でも、私の音楽魔法なら‥‥」
「あれぇ〜? もう戻らなきゃ〜」
それぞれ、森を抜け出た魔女っ子達。ネストの音楽魔法が、パンダに暗示を掛けて、なんとか帰すことに成功する。
「ほとんどの笹が食い荒らされてしまいましたね‥‥」
「おかしいのぅ、この辺りにパンダはいない筈ですじゃ」
『願いの笹』はほとんどが葉を失っていた。マルコとバル爺は、パンダが現れたことに首を傾げる。
「あ、あの、少しなら私の回復魔法でなんとかなるかもしれません」
そういったカオリは、持っていた魔法のオタマから、笹に水を振り掛ける。すると、食べられていた笹が再生する。そして、ようやく笹に願いを掛けることができるようになるのだった。
それぞれが、それぞれの願いを短冊に書いて笹に掛ける。笹は、その願いに応えるようにまばゆい光を放つのだった。
「王子‥‥」
「え‥‥?」
最後に短冊を掛けようとした悠李、その手をエルが掴む。驚いたときには、すでに二人の身体は空へと昇り、笹のてっぺんだった。
「どうせなら、一番高いところがいいでしょう?」
「ありがとう、エル」
「‥‥‥」
そして二人は、『願いの笹』のてっぺんに短冊を掛ける。彼らの頭上には、美しい星々が煌いているのだった。