魔女×王子 肝試しの夜アジア・オセアニア

種類 シリーズ
担当 緑野まりも
芸能 3Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 7.9万円
参加人数 8人
サポート 2人
期間 08/07〜08/11
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●本文

 高校三年、最後の夏休み。僕にとっては、この世界の最後の夏休みってことになるんだろうか。この夏が終わるとき、僕は一つの決断を下さなければならない。なんか流されるままに日々が過ぎていくけれど、本当にこのままでいいのかな。
 僕の夏休みは、毎年家族と海へ行く。父方の親戚が海の近くで旅館を経営しているので、そこに行くのだ。街を離れて少しは落ち着いて考えられるかなと思ったけれど、やっぱり僕には落ち着く所はないらしい。‥‥そりゃ、彼女達の水着姿は興味がないと言ったら嘘になるけれど。

〜声優募集〜
 TVアニメ『魔女×王子』の続編、新番組『魔女(おとめ)が王子(ぼく)を狙ってる 〜カラフルピュア(CP)〜』の声優を募集いたします。新人・ベテラン関係なく、広く参加者を募集いたしますので、奮ってのご応募をお待ちしております。

〜作品内容〜
 高校三年に進級した主人公『伊藤悠李(いとう・ゆうり)』は平凡を愛する普通の少年。しかし、彼には重大な秘密があった。それは、この世界とは別の世界に存在する『魔法国』の王子であるということであった。幼い頃に、この現代世界に預けられ、普通の子として育てられた悠李であったが、ある日を境に王子であることを告げられ、花嫁候補の魔女っ子達に迫られるようになるのだった。(『魔女×王子』までの設定)
 さて、そんな生活にもようやく慣れ始めていた高校三年の初夏。悠李の周辺で、魔法国に関連する様々な事件が起きる様になる。それは、悠李が王位を継承することを快く思わない者達の行動によるものだった。悠李は、魔女っ子達に協力を仰ぎ、周囲に起きる不思議な事件の解決に乗り出す。(『魔女×王子CP』の設定)

 今回の作品では、主人公と魔女っ子達の恋愛に重点を置きます。それに伴い、登場魔女っ子の人数を絞り固定化します。様々な事件を一緒に解決していくことにより、主人公と魔女っ子達は親密になっていき、いつしか主人公は本当の恋に目覚めます。魅力的な少女達の中から、主人公は誰を選ぶのか。今後の展開次第となります。

〜次話あらすじ〜
 悠李達は、夏休みに入り。父親の親戚が経営する海の近くの旅館へと来ていた。もちろん、魔女っ子達も同行しており、海や夏祭りで楽しんでいた。
 さて、夜には恒例(?)の肝試しが企画され、魔女っ子達は悠李とのちょっとしたロマンスを期待する。しかし、肝試し会場は謎の力に封鎖され悠李達は閉じ込められてしまうのだった。そして、封鎖空間では本当(?)の幽霊達が悠李達に襲い掛かる。
 強力な魔法で封鎖された空間は、夜が明ける前に抜け出ないと一生出られなってしまう。空間を出るには、空間を維持している物体を破壊しなくてはいけない。果たして、無事に悠李達は肝試しから帰ってこれるのだろうか。

〜主要登場人物〜
 伊藤悠李 一見平凡そうな、気の弱い少年。実は、魔法国の王子であり、花嫁候補の魔女っ子達に追われる身。内に秘めた膨大な魔力のおかげで、外部からの魔法に大きな耐性を持っているが、自分が魔法を使うことは一切できない。今作の主人公。
 伊藤美由 悠李の妹。悠一と由香里の娘で、悠李とは血のつながりはない。魔女の娘であるため、一応の魔法の素質はあるものの、現在は魔法は使えない。ある事件をきっかけに、魔法国の存在と悠李の出生を知ることになり、花嫁候補の魔女として数えられることになる。
 魔女っ子達 悠李の花嫁候補として、魔法国より現代世界にやってきた魔女達。魔法で事件を起こし、悠李の気を引こうとしていた。しかし、お目付け役の監視や、現代世界の生活に馴染んできたこともあり、最近では無茶な魔法の使用を抑えるようになり、普通の生活の中で悠李の気を引くようにしているようだ。
 マイト王 魔法国現国王。悠李の本当の父。国民に慕われる人望のある王で、彼の統治の下、魔法国は平穏無事な日々が過ぎている。現代世界の名、夢乃路舞斗。
 事件の黒幕 現代世界で様々な事件を起こす黒幕。本来の目的は定かではないが、王子の王位継承を快く思わない一派の者であるとされる。
 その他 悠李の親友、魔法国の使者(お目付け役)、魔女のマスコットなど

〜募集キャラ〜
 魔女っ子(女性のみ)2〜4名
 主人公の友人(男性のみ)1〜2名
 魔女っ子のマスコットキャラ(男女可)若干名
 その他 悠李の両親、妹、事件の黒幕など

〜作品備考〜
 主人公伊藤悠李役には最近売り出し中のイケメン声優、南方雄治(みなかた・ゆうじ)を起用。
 担当は、審査のうえイメージにあったキャラを担当していただきます。得意なタイプなど希望がありましたら、事前に申し出てください。
 魔女っ子の基本設定として、『変身する』『変身後は想像を具現化する魔法を使える』があります。これらを踏まえて希望を出してください。

●今回の参加者

 fa0658 梁井・繁(40歳・♂・狼)
 fa0868 槇島色(17歳・♀・猫)
 fa1718 緑川メグミ(24歳・♀・小鳥)
 fa2340 河田 柾也(28歳・♂・熊)
 fa2341 桐尾 人志(25歳・♂・トカゲ)
 fa2738 (23歳・♀・猫)
 fa2768 鈴木 舞(25歳・♀・蝙蝠)
 fa3863 豊田そあら(21歳・♀・犬)

●リプレイ本文

●魔女×王子CP「肝試しの夜」
「海だ〜!」
「海ね!」
 水着姿の美由(CV:豊田そあら(fa3863))とグレース(CV:緑川メグミ(fa1718))が、海へと向かって走りだす。
「二人ともちょっと待って。カオリも行こう」
「は、はい!」
「お兄ちゃん、早く早く!」
 浮き輪を脇に抱えながら、二人のはしゃぎ様に苦笑を浮かべつつ、悠李(CV:南方)は二人の下へ向かう。その後を、カオリ(CV:鈴木 舞(fa2768))が少し恥ずかしがりながらついていく。
 そんな様子を気の無い様子で眺めながら、黒いビキニ姿のエル(CV:槇島色(fa0868))は、ビーチパラソルの影で横になっており。近くでは、砂浜に埋まったバル爺(CV:河田 柾也(fa2340))と、それをスイカ割りよろしくとばかり目隠しで棒を持って構えるマルコ(CV:晨(fa2738))もいた。
「お兄ちゃんに泳ぎ方を教えて〜♪」
「王子! あの、イカ焼きというものを食べてみたいの、買ってきてよ!」
「あ、あの、一緒にビーチボールを‥‥」
「ちょ、ちょっと、みんな落ち着いて!」
 悠李は少女達に囲まれながら、ワイワイガヤガヤと夏の海を満喫するのだった。

 時は少し遡り。
「久しぶりだね悠李君! いや〜、あのちっちゃい悠坊がすっかりと、大きくなっちゃって!」
「久しぶりって、前に会ったのは一年前じゃないですか。あまり変わってないと思うけど‥‥。それに、悠坊っていつの頃の話ですか」
 旅館に着くと、悠李の父悠一そっくりの叔父悠二(CV:梁井・繁(fa0658))が、出迎えてくれた。今回、悠一と由香里は留守番らしい。
「そうだったかな? ははは、まあいいじゃないか! それに、今年はこんなにガールフレンドを連れてきたんだから、かなりの成長だよ、うん!」
「悠一おじ様とは、違うタイプでにぎやかな人ね‥‥」
「そ、そうですね‥‥」
 悠二のテンションに少し驚くグレースとカオリ。
「おっと! 美由ちゃんも少し会わないうちに綺麗になっちゃって。てっきり、悠李のガールフレンドの一人かと思ったよ。由香里さん似の美人になったもんだ!」
「やだ、叔父さんったら、会うたびにそんなこと言うんだからぁ」
「いや、本当のことだよ、うん!」
「えへへ‥‥」
 美由は褒められると、照れたように悠李の腕にくっついて嬉しそうに笑う。
「まぁ、立ち話もなんだね。さぁさぁ入ってくれたまえ。君達の部屋はこっちだよ」
 そんなこんなで、ようやく挨拶も終わり、部屋へと案内される悠李達。その途中、悠二が悠李にこっそりと耳打ちした。
「それで‥‥誰が、悠李の彼女なんだい?」

 再び時間は元に戻り。
「王子、どう似合う?」
「お兄ちゃん! えへへ、どうかなこれ?」
 縁日へと向かうことになったグレースと美由が、可愛らしい浴衣姿で登場。それぞれ浴衣の袖を広げて見せては、いつもと違う姿を披露した。彼女達の後ろには、着付けを手伝ったカオリが微笑を浮かべている。
「皆様いつもの制服姿も良いですが、浴衣姿もまた美しいですな、王子?」
「う、うん、そうだね」
「あはは、王子ったら見蕩れちゃって。馬子にも衣装とはまさに‥‥ゴホンゴホン!」
 見蕩れて上手く言葉の出ない悠李に、バル爺がニヤニヤと満足そうに笑みを浮かべている。マルコも面白そうに茶々をいれようとするが、余計な事も言いそうになって咳でごまかす。
「‥‥行くならさっさと行きましょ」
「あ、待って、エル!」
 そんな様子を、どことなく面白くなさそうに見ているエル。先に行ってしまう彼女を、慌てて追いかける悠李達であった。その後、縁日で射的をしたり、綿菓子やリンゴ飴を食べたり、盆踊りを踊ったりと楽しんだ様子であった。

「うわ〜、女の子達の水着姿が拝めなくて残念だな!」
 その夜、夏期講習で来るのが遅れた悟(CV:桐尾 人志(fa2341))が合流することになった。
「で、いまから肝試しにいかないか?」
「きもだめし〜?」
 日中遊べなかった悟は、その代わりにと肝試しを提案する。女性陣の反応は今ひとつだが、バル爺とマルコがおおいに乗り気になる。
「魔女の皆様、これは王子と近づくチャンスですよ。ふふふ‥‥」
 こうして行われることになった、肝試し。場所は、岬外れにある洋館の廃墟に決定した。
「岬の廃墟? あのあたりは最近妙な事件が起きてるから気をつけるんだぞ」
 悠二の忠告に少し怯えながらも、廃墟へと向かう一行。着いた廃墟はいかにも何か出そうな感じの薄気味悪さがあり、一同を一層怯えさせた。
 恐る恐る廃墟の中に入った一行。中は思ったほど壊れた様子もなく、綺麗さを保っていたが‥‥。一行が全員中に入ると同時に、どこかで観音像が紫色の怪しい光を放つ。そして突然、入り口のドアが閉まってしまう。
「きゃあ!?」
「ドアが!? ‥‥開かない!」
「この感じは、魔法!?」
 突然のことに混乱する悠李達。その中で、バル爺がいち早く魔法を感じ取り、強力な力で閉じ込められたことを伝える。そして、夜が明ける前に魔法を解除しないと、大変なことになるらしい。
「これほど強力な魔法なら、どこかにそれを維持する道具があるはずです」
 マルコの助言で、手分けして館内を探すことにした一行。無事に彼らはここから抜け出すことができるのか。

「で、なんで俺の組と一緒にくるわけ?」
「も、文句ある?」
「いや、別に無いけど‥‥。ユーリと一緒じゃなくていいのか」
「そ、それは‥‥」
 二手に分かれた一行。悟とバル爺、マルコの組にはグレースが加わっていた。不思議に思う悟。
(「だって、王子にお化けが怖いだなんて知られたくないじゃない!」)
「なんか言ったか?」
「なにも言ってないわよ! まぁ、私がついてるんだから大船に乗った気でいなさいよね!」
 強がっているグレースの様子に、悟は微苦笑を浮かべながら軽く肩をすくめる。そんな様子を、バル爺とマルコが眺めている。
「若いというのはいいものじゃのぅ」
「よろしいんですか? 王子の花嫁候補が、悟様と一緒なっても」
「悠一殿と由香里殿の例もあるしの」
「そうですか‥‥」
 そんなこんなで探索を行う悟組。各部屋を確認しつつ、食堂へと入ると。
「ようこそ、我が屋敷へ‥‥」
「きゃあ!?」
「おい、大丈夫か? ‥‥もしかして幽霊怖い?」
「だって! お父様とお母様、お化けに倒されたもん‥‥怖くて仕方ないじゃない!!」
 食堂の肖像画(CV:河田)が突然喋りだすのを見て、悟に抱きつくグレース。そんなグレースに、悟は優しく笑みを浮かべて頭を撫でてやるのだった。
 その後彼らは、肖像画から自分達を縛り付ける観音像の話を聞かされることになる。

 一方、悠李と美由、エルとカオリは二階を探索していた。
「カオリ、大丈夫?」
「は、はい! 私は大丈夫、で、で、で、です!!」
「声が上擦ってるわよ」
「お兄ちゃん、怖い‥‥」
 美由は悠李の背中にしがみつき、カオリはカチコチに緊張した様子であたりを見回している。そんな二人に苦笑するエルだが、彼女の様子もどこかおかしいようで。
「きゃあ!!」
「ひゃぁ!」
「二人とも大丈夫!? ただのネズミだよ」
 突然部屋から飛び出たネズミに驚き、カオリとエルは悠李の両腕にしがみついた。すぐに慌てて離れる二人だが、恥ずかしそうに顔を真っ赤にさせる。実はエルも怖がっていたようであった。
「いい子いい子、お姉ちゃんにここから出る方法を教えてくれる?」
「うん、僕達はあの観音像に閉じ込められて出られないんだ」
 その後、幽霊に襲われて、エルが全力で逃げ出したり、カオリが錯乱してオタマを振り回したりとハプニングに遭いながら、美由が子供の肖像画(CV:晨)から観音像について教えられる。

 謎の観音像の在り処を聞き出した一行は、地下室で怪しく光る観音像を発見する。しかし‥‥。
「魔法が効かない!?」
「あまりに強力すぎて、わしらの魔法を相殺してしまうのですじゃ!」
 エルとグレースの攻撃魔法を受けてもビクともしない観音像に、焦る一行。そこに、カオリが前に出た。
「私が‥‥やります。逆転魔法!!」
「観音像が‥‥」
 カオリが魔法を掛けると、観音像は風化するように粉々になって消える。しかし、魔法の反動でカオリも倒れてしまう。
「カオリ!?」
「悠李様‥‥ずっとお慕い申し上げています‥‥」
「この子、回復魔法を逆転させて観音像を風化させたんだわ‥‥凄く危険な魔法なのに‥‥王子の為? 私はそこまでできるのかしら‥‥」
 倒れたカオリを抱きとめる悠李。エルは、二人の姿とカオリの一途さに思うところがあるように、小さく呟いた。
「お姉ちゃん、お兄ちゃん、ありがとう‥‥」
 観音像が消え去り、悠李達は閉鎖空間から出ることができた。そして幽霊達も廃墟の呪縛から開放される。
「ちょ、ちょっと、いつまでおぶってるのよ!」
「せっかくだからもう少し♪」
 ようやくことが終わり、悟におんぶされたグレースもいつもの調子を取り戻す。カオリも大事がないようで、悠李に抱かれて穏やかな寝息を立てている。そんなとき‥‥。
「そうそう、王子。王様からのお手紙を預かっていたのでした」
 マルコが差し出したのは、運命の日が近づいていることを知らせる、王からの手紙であった‥‥。
「なんて力無き王子‥‥」
 その様子を、眺めていた謎の女性(CV:笹木)は、手紙が渡されることを確認すると、次元の隙間へと消えてしまうのだった。