ロック野郎ぜ イベントアジア・オセアニア

種類 シリーズ
担当 緑野まりも
芸能 3Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 7.9万円
参加人数 6人
サポート 0人
期間 03/05〜03/09
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●本文

「『Breath of music』かぁ、懐かしいな」
 次の仕事のことで足花プロの事務所に来ていたNASUKAは、一枚の用紙を見て昔を思い出すように呟いた。
「そうだな、私がお前さんの歌を始めてちゃんと聴いたのもその時だ」
「‥‥あんたが突然現れた時には、正直いろんなものを疑ったぜ」
「運が良かったな、お前も‥‥私も‥‥」
 足花も、その時を思い出したのか、ゆっくりと気分を込めて紫煙を吐き出す。『Breath of music』、あるライブハウスが主催するロックのライブイベントで。実力があれば有名無名問わず参加できるイベントとして、お客にも参加者にも人気のイベントだった。
「良い事も悪い事も、全部ひっくるめてあれが、今の俺になる転機になったのかもしれない」
「お前の諦めの悪さが、運命を変える力になったのさ」
「‥‥不思議なもんだな」
 そこで大きな挫折と、それでも歌う事をやめられない自分を知り。そして、いまここで新しい仲間と歌を歌っている。そのことを思い返してNASUKAは、人生はどこがどう良くて、どう悪いのかわからないものだと、しみじみ思うのだった。
「では、ライブに招待バンドとして参加するということでかまわないか?」
「もちろん! あの時の俺から、どう変わったのか、客のみんなに聴かせてやる」
「わかった、他のメンバーにも連絡しておく。当日にあわせて、しっかりと調整しておけよ」
「りょーか‥‥ん‥‥くしゅん! はっ‥‥くしゅん!!」
 足花の確認に、気合満々で頷こうとするNASUKAであったが、途中でくしゃみに変わってしまう。
「なんだ風邪か? もしかして花粉症だなんて言うんじゃないだろうな?」
「いや‥‥ちょっと鼻がムズムズしただけだよ。大丈夫、ここ数年風邪なんて引いてないし、花粉症でもないから。誰かが噂でもしてんだろ?」
 NASUKAの様子に心配そうに顔を顰める足花だが、NASUKAは軽く鼻を擦ってからニッと笑みを浮かべた。
「頼むから喉だけはやってくれるなよ。今日は早めに寝とけ」
「大丈夫だって、意外に心配性だな。子供じゃないんだから、自分のことは自分でできるさ」
「子供じゃないねぇ‥‥」
 話が終わり、そう笑って出て行くNASUKA。足花はその姿を眺めながら苦笑するのだった。

 数日後‥‥。
「え、ナスカが倒れた!? はい、はい‥‥そうですか‥‥ではそちらへ向かいます。はい、ありがとうございます‥‥お手数をおかけしました」
 事務所に掛かってきた電話に、足花は驚きの声をあげた。NASUKAがいつも利用している練習スタジオで、突然倒れたらしい。スタジオスタッフから電話を受けて、慌てて病院へと向かう足花。
「たんなる風邪だってよ‥‥」
「‥‥‥」
 病室のベッドで、NASUKAが赤い顔をしながら申し訳なさそうに苦笑した。NASUKAを見た医者の話では、疲労で弱っていたところに風邪を引いて体調を崩したらしいとのことだった。思えばここ一ヶ月、グループでの大きな仕事以外でも、個人の細かい仕事、練習、その他色々、毎日忙しい生活を送っていた。しかも、彼女の性格上、何かに手を抜くなんてことはしないし、たぶん仕事以外でも作詞作曲など、歌に関しての活動を続けていただろう。そのうえ、彼女は一人暮らしで、以前に聞いたが自炊はしておらず、ほとんどが外食、弁当、栄養バランスなど考えているはずもない。足花は、経営業に気を回しすぎて、マネージャーとしてNASUKAを管理してやることを疎かにしてしまったことを悔やんだ。
「とりあえず、注射もしたし、点滴も受けたし、もう帰っていいってさ」
「そうか‥‥じゃあ、自宅まで車で送っていくぞ」
「わるいね足花さん‥‥。面倒かけちゃってさ」
「馬鹿を言うな。マネージャーがタレントの面倒を見るのはあたりまえだ」
「そっか‥‥」
 NASUKAはまだ少し赤い顔をしているが、動けないほどではないようだった。しかし、それも薬と点滴のおかげだろう。そのまま直るのか、またぶり返すのかはいまのところわからない。照れたように笑うNASUKAに、足花は困ったような表情で答え、一緒に病院を後にした。
「しばらくは家で安静にしていろ」
「うん、わかってる」
「それで、今度のライブの仕事だが‥‥キャンセルするか?」
「だ、だめだ! あのライブイベントは絶対に参加する! 俺の終わりと始まりの場所を必ず成功させるんだ!」
「‥‥そうか。だったら安静にしろ、体調を万全に戻せ」
「うん‥‥」
 NASUKAの自宅、都内のワンルームマンションで、次のライブイベントの仕事について話す足花。必死に参加すると言うNASUKAに、足花は苦笑を浮かべて頷き、厳しい表情で絶対安静を命令する。少し叱られたと思ったのか、しゅんと肩を落としながらNASUKAは小さく頷き、自分の部屋へと戻っていった。
「キミか。うん、ナスカが少し体調を崩してな。しばらく家で安静にさせることにする。その間練習には出れないが、他のメンバーにもそう伝えておいてくれ。それと‥‥、もし良かったらキミ達も彼女の様子を見に来てやって欲しい」
 NASUKAが部屋に戻るのを見送ると、足花は携帯電話でバンドのメンバーに電話をかけた。そして、彼女に気を掛けてやってくれと頼むのだった。

●仕事内容
 ロックライブイベント『Breath of music 2007冬』への参加。招待バンドという形での参加となっており、イベントのラストで3曲程度の演奏を行う。

●イベント概要
イベント名 Breath of music 2007冬
会場 ライブハウス『TOKYOロックスター』 収容人数500人
 毎年それぞれの季節に行われる、ライブハウス主催のロックバンドのライブイベント。毎回実力のあるバンドを呼び、また無名のバンドにも広く門戸を開いているため、お客にも参加バンドにも人気のあるイベントである。

●今回の参加者

 fa0336 旺天(21歳・♂・鴉)
 fa0379 星野 宇海(26歳・♀・竜)
 fa0453 陸 和磨(21歳・♂・狼)
 fa0510 狭霧 雷(25歳・♂・竜)
 fa1634 椚住要(25歳・♂・鴉)
 fa3398 水威 礼久(21歳・♂・狼)

●リプレイ本文

「この部屋で間違いないッスね。それじゃ押すッスよ」
 ピンポーン♪ 旺天(fa0336)がボタンを押すと、壁向こうにチャイムの音が鳴る。しばらくして、ドアの前に人の気配がして。
「ごほ‥‥はい‥‥なんかようか?」
「ういッス! 見舞いに来たッスよ!」
「‥‥テン? って、みんな!?」
 寝巻きにどてらを羽織り、億劫そうな声でドアを開けて出てきたのはNASUKAだった。挨拶をする旺天に一瞬不思議そうな顔をするNASUKAだが、すぐにその後ろの仲間達に驚きの声をあげた。
「風邪引いてぶっ倒れたって聞いたから、見舞いにきたぜ。あ、差し入れ、暇潰しのマンガに卵酒、ちゃんと酒は煮切ってあるし砂糖も入れてあるからNASUKAでも飲めると思うぜ」
「あ、ありがと‥‥じゃなくて! なんで、ごほ‥‥急にみんなで!?」
「さぁさぁ、こんなところで立ち話をしていたら、ナスカさんの具合が悪くなってしまいますわ。まずは中に入りましょう」
「タカミ? ちょ、ちょっと!」
 水威 礼久(fa3398)が差し出したビニール袋をわけもわからないまま受け取りながら、慌てた様子で問いかけるNASUKAに、星野 宇海(fa0379)がニコニコと微笑みながら、NASUKAを優しく押してそのまま部屋の中へと入っていく。
「お邪魔します。あ、お構いなく、あなたはゆっくりと休んでいてくださいね。え〜と、キッチンはこっちで、冷蔵庫は‥‥とりあえずお茶でも入れましょうか」
「邪魔する‥‥ふむ、なかなか良い趣味だ」
「へぇ、ナスカの部屋ってどんな感じかと思ったけど意外に綺麗だな」
「でも、あんまり女の子の部屋って感じしないッスね」
 ぞろぞろと部屋へと入ってくるメンバー達。狭霧 雷(fa0510)は部屋へと入るとすぐキッチンを確認し、まるで自分の家のようにさっさとお茶の準備を始め。椚住要(fa1634)は棚に並ぶ音楽CDを眺めては満足げに頷いた。礼久と旺天も、部屋の中を興味深そうに眺めている。
「お、おい!? あ〜、もう、いったいなんなんだよ」
「騒がしくしてしまってすみません。とりあえずナスカさんは落ち着いて休んでいてください。すぐに説明しますので」
「あ、うん‥‥」
 動揺するNASUKAに、陸 和磨(fa0453)が申し訳なさそうに謝りつつ、そっと肩に触れて優しく座らせる。それにNASUKAもしかたなく腰を下ろした。
「はいどうぞ、粗茶ですが」
「ど、どうも‥‥って、家のだし」
「ちゃんとお茶葉があったのは意外でした。さすがに人数分の湯呑みはないので、みなさんには紙コップですいません」
「前にもらった奴だけど‥‥客なんてめったに来ないし‥‥でも、わざわざ見舞いにくることなんてなかったのに」
「あら、イベント直前に倒れるなんて、誰だって心配するでしょ? それに仲間を気遣うのは当然のことですわ」
「ごめん‥‥でも、ありがと‥‥」
 雷の入れたお茶を飲み、少し落ち着いたところで、風邪の見舞いと様子見に来たことを伝える一同。宇海の言葉に、NASUKAは困ったように苦笑しながらも、少し嬉しそうだった。

「じゃ、そういうわけで、俺らは帰るわ。練習は心配しなくていいぜ、俺達がナスカの唄に合わせるから今は風邪をしっかり治す事だけ考えてくれ」
「あ、うん‥‥」
 今後のことを軽く話して、礼久達は帰ることになった。NASUKAは、一人で寝ていたためか少し弱気になっていたようで、仲間達が出て行く様子に少し寂しげな表情を浮かべる。
「ナスカ、宇海ねーさんや雷の言うこと聞いてしっかり養生してろよ」
「そうッスよ! ライブに出たいなら風邪が治るまでは絶対安静にすること! 宇海さんと雷さんがついててくれるから大丈夫だとは思うッスけど、無理なんかしようもんならライブに出さねーッスからね!」
「わ、わかってるよ! って‥‥タカミとライ?」
「みなさ〜ん、ナスカさんのことは任せてくださいね〜」
「責任持って面倒みますのでご安心を」
 ふと気づくと、宇海と雷が部屋に残ってNASUKAと一緒に他の仲間を見送っている。それどころか、洗濯や料理の準備までし始めた。
「さぁ、洗濯物も溜まっているようですし、やってしまいましょうか」
「ナスカさんは、休んでいてください。はい、これ健康になるお守りです。これでもオーパーツですからね。ご利益はあると思いますよ」
「ちょ、ちょっと‥‥え? どういうこと?」
 動揺するNASUKAを布団に寝かしつけつつ、家事をこなす二人。聞けば、二人は彼女の世話のために残るとのこと。
「そんな! そこまでしてもらわなくても‥‥」
「はい、そういうことはちゃんと自分を管理できるようになってから言いなさい。風邪で倒れるなんて、できてない証拠ですわ」
「う‥‥」
「一人暮らしの無自炊と聞きましたし、大変な状況になっているのではないかと‥‥それに、体調維持にはまず、生活環境の改善が必須ですからね」
「うう‥‥」
 二人の言葉に、結局なにも言い返せず、大人しく世話をされることになったNASUKAであった。

「ちゃんと休んでっかな、ナスカ」
 数日後、練習用スタジオで礼久が少し気にしたように呟く。
「雷さんの話では、大分よくなったそうですよ」
「じゃあ、今頃は逆に大変ッスね。早く練習に戻りたくてウズウズしてるんじゃないッスか?」
 和磨が、ついさっきナスカに食事を作りにいった雷に聞いた話を口にすると、旺天がニヤリと笑みを浮かべる。
「かもな。変な無茶しなきゃいいけど」
「ま、まぁ、そのあたりは宇海さんもついてますし大丈夫かと」
 旺天の言葉に頷く礼久に、この手のことに心当たりがあるのか苦笑を浮かべながら和磨が答えた。
「ほら、無駄話はその辺にして、音合わせの続きをするぞ。練習に出れないヤツラの分もしっかりとやらないとな。あいつらが安心して歌えるように、完璧に仕上げるぞ」
「おー」
 少しの間、仲間の話を聞いていた要が、切りのいいところで切り上げさせ、再び練習が再開される。一同はそれぞれ自分の楽器を構え、新曲の練習に励んでいった。

「風邪の時は意外と汗をかきますからね、スポーツドリンクも買っておきましたから、喉が乾いたらそれを飲んでくださいね。さて、そろそろ精の付く料理でも作りましょうか」
 NASUKAの部屋へとやってきた雷は、途中で買ってきた飲み物や料理の材料を冷蔵庫に入れた。初めの頃はなるべく消化の良いものを作っていた雷も、そろそろ栄養のある普通の料理を用意しだす。
「なぁ、ライ。それにタカミも‥‥俺も大分良くなったし、そろそろ自分の練習に専念したほうがいいんじゃないか?」
「あら、またその話? 大丈夫ですわ、ちゃんと自分の練習もしていますし」
「そうですよ。それに風邪は治りかけが重要なんです。ちゃんと元気になるまではお世話しますよ」
「で、でもさ! イベントまでもうあまり時間ないじゃないか! タカミだって、新曲のメインボーカルするんだし‥‥」
 ここ何度目かのNASUKAの申し訳なさそうな話。宇海と雷は何気ない言葉で返すが、NASUKAは焦ったように続ける。
「ナスカさん」
「う、うん‥‥」
 まだ何か言おうとするNASUKAに、宇海が少し強い口調で名を呼び、ジッと目を見る。
「もう少し仲間を信用なさい。貴女の仲間は、貴女の分までしっかりと練習してますわ。それに万全の体調で歌わないと、ファンのみなさんに失礼ですわよ?」
「‥‥‥」
「私は何も心配していませんわ。だって、皆さんのお仕事、信頼してますもの♪」
「そうだね‥‥」
 最後にニッコリ笑って締める宇海に、NASUKAは納得したかのように笑みを返した。
「はい、食事ができましたよ、今日は肉うどんです。熱い物を食べて、しっかりと汗をかいてくださいね」
「まぁ、美味しそうですわね。それじゃいただきましょうか♪」
「うん!」
 話も終わり、雷がテーブルに用意した料理に、宇海がパンと手を合わせて嬉しそうに微笑む。そして、NASUKAもそれにつられて元気に頷くのだった。

 イベント当日。
「みんなにご迷惑お掛けしました。おかげでもうバッチリ元気になったから、今日はがんばろうぜ」
 リハーサル後、改めてメンバーに挨拶をするNASUKA。風邪はすっかり良くなり、喉の調子もいいようだ。今回歌う曲は、未発表曲『YOU SAY』『ガイドポスト』『道』『旅立つ君に』から2曲と『SNOW CRYSTAL』。歌の方も、休んでいた間に渡されていたテープを何度も聴いていたおかげで、上手く合わせることができたようだ。
「とにかく、元気になられて本当によかったです。俺達も結構心配しましたから」
「あ、ありがと」
 和磨の言葉に、照れたように顔を赤くするNASUKA。他の仲間達も、NASUKAが元気になって嬉しそうだ。
「今回のことも、良い経験になっただろう。今後は、自己管理をしっかりするんだな」
「う、うん‥‥」
 要もぶっきらぼうな口調ながら、NASUKAを気にかけたように声をかける。NASUKAは苦笑を浮かべながらも頷いた。
「さて、そろそろ時間ですね。そうそう、これをどうぞ。私のとっておきです。多少はマシになるでしょうから」
「なにこれって、う‥‥」
 出番が近づいてきたころ、雷に手渡されたそれ。ミューズドロップという歌声を良くする飴だったが、虹色に輝くそれは見るからに不味そうで、NASUKAは頬を引きつらせて呻き声をあげる。
「ご、ごめん‥‥せっかくだけど遠慮しておくよ」
「そうですか‥‥」
 引きつった笑みのまま、NASUKAは飴を返す。雷は残念そうにそれを受け取るのだった。
「よし、それじゃみんな行こうぜ!」
「おー!」

 『Breath of music』、以前にも立ったステージで、NASUKAは大勢の観客達を前に軽く深呼吸した。前回は、たった一人になり今後のことがなにもわからない不安だらけのステージだった。でもいまは、支えてくれる仲間がいる。歌を楽しみにしてくれるファンがいる。そのことを強く感じながら、ゆっくりとマイクを握った。
「まずは一曲目、新しく出したシングルから『SNOW CRYSTAL』」
 『SNOW CRYSTAL』のNASUKAソロバージョンを披露。いままでの欲求不満を解消するかのように、いつも以上に気持ちのこもった歌声。観客もライブならではのアレンジに歓声をあげる。
「ふぅ‥‥」
 声の調子は上々だが、さすがに病み上がりとあって、NASUKAは少し疲れたようにため息を吐く。
「さて、次は私の出番ですわ」
 そんなNASUKAをそっと気遣うように肩に触り、宇海が一歩前へでる。
「『YOU SAY』‥‥」
 バックバンドのピアノから前奏が奏でられ、ゆっくりと静かなメロディが流れる。要と雷のギターが、ピアノにあわせて高い音色を響かせ、和磨と礼久のベースが低音を押さえ、旺天のドラムが静かにリズムを取る。

滲む地平線 光が零れる

未来を辿る様な兆し

凍えた月日さえ 儚く包み込んでくれる

私は君の傍に居る


夢から醒める様に YOU SAY

見詰め合う様に WE SAY

私はキミに I SAY

頬を伝わる微熱 鳴り響く早鐘

キミは YOU SAY

YOU SAY THAT YOU WILL LOVE ME

 宇海の女性特有の高い澄んだ声が朗々と響き渡り、柔らかく優しいバラードは観客を魅了する。歌が終わると、少しの余韻を残して、静かな歓声が沸きあがった。それに宇海は満足げな笑みを浮かる。
「ラスト、『旅立つ君に』」
 要のアコースティックギターの柔らかな音色と共に、優しく少し物悲しげなメロディが流れる。旺天のドラムが、一音一音を印象付けるようにしっかりと響き、全体的にゆっくりとしたバラード曲。

うつろい変わり続ける時間の中
変わらない物を探してきた
やっと見つけたと思っても
記憶の中に消えてしまいそうで
不安で押し潰されそうだけど

例えどんなに離れていても
この空は変わらないはずだから

 静かにそれでいて力強く響き渡るNASUKAの歌声。こめられる想いは、かつての自分、そして今の自分。やがて歌はサビに入り、雷のエレキギターの高音が一気に盛り上げる。

旅立つ君に 歌を歌おう
あの桜の雨や セミの声を
旅立つ君に 歌を歌おう
落ち葉を踏む音 白い雪を
君がいつでも 思い出せるように

いつかまた会えたその時に 僕は君に歌を歌おう
僕と 君と この手に掴んだ明日のために
僕達だけのとっておきの
途切れる事のない この歌を

 ラストにベースの低音が余韻を残す。一瞬の静寂‥‥そして、大きな歓声が沸きあがる。そしてそれは、イベントに参加した全てのアーティストを称える拍手へとなるのだった。