曇り時々雨のち青空荘2アジア・オセアニア
種類 |
シリーズ
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担当 |
緑野まりも
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芸能 |
3Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
普通
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報酬 |
7.9万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
07/11〜07/15
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前回のリプレイを見る
●本文
6月、あれから不動産屋に連絡も取れず、新しい住居も決まらないまま、しかたなくこの『青空荘』で暮らすことになった私。生活にもようやく慣れてきて、少しずつ落ち着いてきた頃、ふと思った。ここの住人の皆は、10月に取り壊されることがわかっているのに、何故ここに残っているのだろうと。
しかし、それよりも私にとってもっと切羽詰った状況が起きた! 梅雨の長雨のせいで、天井からポタポタと‥‥これって雨漏り!? 本当に、大丈夫なのこのアパート!!
・俳優募集
ドラマ「曇り時々雨のち青空荘」を撮るにあたって、作品に出演してくれる俳優を募集します。審査のうえ主人公、ヒロイン、またその他の登場人物を担当していただきます。奮ってのご応募をお待ちしております。
・ドラマ内容
大学進学のために東京へと上京してきた一宮由希奈は、引越し先である「青空荘」を見て愕然とした。なんとそこは、築45年のオンボロアパート、しかも10月には取り壊しが決定しているというのだ。悪徳不動産屋に騙された由希奈だが、新しい物件が見つかるまでしかたなく「青空荘」で暮らすことになる。
「青空荘」で暮らす住人達は、様々な理由でアパートから出れない人達ばかり。由希奈は、ちょっと変な住人達と付き合っていきながら、やがて不思議な連帯感が生まれていく。
短い間の住人達との楽しい日々、そして訪れる別れの日‥‥。どこか懐かしく、ちょっと面白おかしいご近所付き合いハートフルコメディ。
・登場人物
一宮由希奈(大林巳奈穂) 取り壊し間近のオンボロアパート「青空荘」に引っ越してきた女子大学生。出身は結構な田舎で、ご近所付き合いは苦にならないほう。ごくごく一般的な女の子。
青空荘住人 由希奈が引っ越してくる前から住んでいる、「青空荘」の住人。それぞれが様々な理由で(金銭的な問題や、人間的な問題、性格など)、取り壊し間近の「青空荘」から出ることができない人達。ほとんどが一癖も二癖もある人達。
・舞台設定
青空荘 物語の舞台。都内にある築45年のオンボロ二階建てアパート。部屋は2DKトイレ付き、敷地内に共同浴槽有り(男女兼用)。都内にしては格安の家賃だが、見た感じかなりの老朽化が見られる。周囲は高層マンションが立ち並び、青空荘もすでに10月の取り壊しが決定している。
共同風呂があることから、お風呂の使い方、敷地の掃除当番などなど、簡単な取り決めの中で、住人同士の交友が頻繁に行われており、都会では珍しい親しいご近所付き合いが行われている。そのために、住人はお互いを愛称で呼び合うことが多い。(例 「親父さん」「ホスト」「お天気さん」)
共同浴場 青空荘の敷地内にある、男女兼用のお風呂場。浴槽は小さな銭湯ほどの大きさで、4〜5人は楽に入れる。時間帯で「男湯」「女湯」にわかれており、お風呂当番は交代制となっている。深夜など時間外の入浴は自由で、一応「混浴」ということになっているが、さすがにめったに他人が入っているときには入らない。
・備考
主人公一宮由希奈役には、女優大林巳奈穂(オオバヤシ ミナホ)を起用。大林は、今年二十歳の女性俳優で、三歳のころから子役で活躍、演技派として知られており、特に勝気な女性役で定評がある。
・次話あらすじ
6月。由希奈は、新しい住居を探しながらも、青空荘の生活にも慣れていき。少しずつ、住人達とも打ち解けてきていた。そんな中で、何故住人達が取り壊し予定の青空荘に残っているのか、明らかになっていく。そして、それらの事情のせいでハプニングに巻き込まれる由希奈と住人達。
また、由希奈も新しい問題を抱えていた。老朽化が酷い青空荘、由希奈の部屋は梅雨の長雨のせいで、天井から雨漏りしてくるようになったのだ。ポタポタと音を立てる雨漏りが気になって、由希奈は夜も眠れない。前途多難なオンボロアパート生活、はたしてどうなってしまうのか?
●リプレイ本文
「よかった、降られる前には部屋に戻れそう。ん、アパートの前に誰か居る」
青空荘へと戻ってくると、門の前に男の人が立っていた。その人は、大きなカバンを地面に置いて、青空荘を眺めるように見ている。
「ただいま帰りましたー!」
「はぁ!?」
その男の人は、突然大きな声で青空荘に向かって叫んだ。帰りましたって、なんでわざわざそんなとこで?
「あら、景斗君。お帰りなさい」
「はい、ただいま管理人さん」
その大声に、敷地の掃除をしていた管理人の水無月さんが、男の人に挨拶をする。もしかして、青空荘の住人なのかな?
「あ、由希奈さんちょうどいいところに。景斗君、こちら新しく越してきた一宮由希奈さんよ。由希奈さん、こちらは三澤景斗君」
「あれ? 新しい人?」
「ど、どうも‥‥」
思わずその様子を眺めていると、水無月さんに見つかって、その男の人を紹介されてしまった。
「三澤景斗です。よく旅行に行くから部屋を空けていることが多いけれど、これから宜しくね。外国語なら大抵はドンと来いだから、何かあれば聞きにきて?」
「え、えっと、一宮由希奈です。4月に大学に通うためにこっちに越してきました」
気さくに挨拶をしてくる三澤さん。端整な顔立ちで、若く見えるけど、いくつなんだろう? 高校生ぐらい?
「これでも二十歳なんだ。よく高校生に間違われるけどね」
「いっ! そ、そんなことないですよ? それじゃ大学生?」
もしかして顔に出てた!? 三澤さんの言葉に少し動揺しながら、慌てて聞き返す。
「景斗君は、龍牙君と一緒のお仕事をしてるのよ」
「そ、そ〜なんですか‥‥」
龍牙‥‥五十嵐さんって、あのなんとなくホストっぽい人よね。それじゃ三澤さんも、ホスト?
「ああ、俺と龍は‥‥」
「あれ、景? おかえり、久しぶりですね。向こうはどうでしたか?」
「ああ、龍、ただいま。うん、楽しかったよ。お土産もたくさん買ってきたから」
「それは楽しみです。ぜひお話を聞かせてくださいね」
「もちろん」
噂をすれば、五十嵐さんが微笑を浮かべて現れた。友達らしく、三澤さんとはとても親しい感じで話している。
「それでは、姫を迎えに行きますので」
「いってらっしゃい」
しばらく三澤さんと話をしたあと、五十嵐さんが微笑を浮かべたまま、行ってしまった。あの人、いつも微笑んでいるけれど、本当に何をしている人なんだろう。
「景斗サ〜ン。オカエリナサイ!」
突然大きな声と共に、褐色の外人留学生のエルバさんが大きく手を振って走ってきた。
「エルバさん、ただいま。ぺらぺらぺら〜」
「ぺらぺらぺら! ぺらぺらぺら〜」
え、突然何を言ってるの? 三澤さんは、エルバさんに挨拶をすると、たぶん外国の言葉で話し出した。エルバさんも、嬉しそうな笑顔で、その言葉に応える。
「エルバさんの母国語のスペイン語らしいわよ。エルバさんも、やっぱり母国語で話すのが嬉しいみたいで、たまにああして二人でお話してるのよ」
「はぁ‥‥」
私が呆気にとられていると、水無月さんがそう教えてくれた。三澤さんって、本当に外国語がぺらぺらなのねぇ‥‥。
「そう、雨漏りが‥‥ごめんなさいね由希奈さん、うちもかなり老朽化してるから」
次の日、昨日からの雨のせいで突然降ってきた雨漏りの件を、慌てて水無月さんに相談することになった。
「でも、修繕しようにも、10月には取り壊しが決まってるから、オーナーさんも無駄な費用は掛けたくないみたいで」
「そんな無責任な‥‥」
「長雨にならなければ大丈夫だから、梅雨が過ぎるまで少し我慢して欲しいかな?」
「あれ? 姫也ちゃん。あんなところで何してるんだろう?」
部屋に戻って、あちこちに空き缶をセットしていると、ふと窓から龍牙さんの妹さんの姫也ちゃんの姿が見えた。雨の中、傘も差さずにお庭でぼ〜っと紫陽花を見ている。その姿は、儚げで凄く綺麗なんだけど‥‥。
「あんなとこにいたら風邪引いちゃうよ。お〜い、姫也ちゃ〜‥‥」
「姫〜! ほらほら、そんなのじゃ風邪ひいちゃうぜ。とりあえず、風呂入ろう、この時間なら誰もいないし」
「朔くん‥‥どうして怒ってるの‥‥?」
私が声を掛ける前に、姫也ちゃんの弟の朔也君が声をかけて、そのまま引っ張っていってしまった。どうやら姫也ちゃんは、よくわかってないみたいだけど‥‥。やっぱり不思議な子よねぇ。弟の朔也君の方がしっかりしてるのが、なんだか面白い。
「はぁ、どうしよう」
「あら、どうしたの?」
夜、雨漏りが気になってしかたないので、気分転換に外へ出てみたところ、ちょうどお風呂から戻ってきたパティシエの六城さんが声をかけてきた。
「いえ、雨漏りが酷くって‥‥」
「私の部屋も雨漏りしてるのよねぇ‥‥これだけ雨が降ってたら仕方ないわよ」
そう言って苦笑する六城さんだけれど、慣れてるのかあまり気にした様子じゃない。見た目のわりに、結構大雑把な人なのかな? そんなことを考えていると、六城さんが何か思いついたようにポンと手を叩いた。
「そうだ、それじゃ一緒に一階の管理人さんの部屋に避難しましょ」
「へ? ちょ、ちょっと六城さん!」
突然、六城さんは私の手を掴むと、そのまま一階の水無月さんの部屋へと向かって歩き出す。私は、わけもわからず、六城さんに手を牽かれて連れられてしまう。大雑把なだけでなく、結構強引な人なの!?
「管理人さん、お邪魔します」
「あら、奈央さん。それと、由希奈さんもいらっしゃい」
「雨漏りがするので、しばらくここに避難させて欲しいんですけど」
「まぁ、もちろんかまいませんよ。どうぞ」
一秒で承認!? 気軽に頼む六城さんもそうだけど、あっさりと許可する水無月さんもある意味で凄いかも。話はとんとん拍子で進み、水無月さんはすぐにもてなす準備をする。って、私の意思は?
「あの、聞いても良いですか?」
「何を? 由希奈さん」
それから私たち三人は、色々なお話をした。学校のこと、仕事のこと、最近の流行の服がどうとか‥‥。そこで、私は気になっていたことを聞いてみることにした。
「あの、お二人はどうしてこの青空荘に残っているんですか? 10月には取り壊されることがわかっているのに」
「‥‥此処はあの人との想い出が沢山詰まっているから‥‥。もう会う事も出来ない一番大切な人とのね」
水無月さんは、一瞬困ったように笑い、そして部屋の片隅を見つめながらそう答えた。そこには、一枚の写真と‥‥位牌。
「青空荘にあの人が越して来たのが馴れ初めで、反発したり喧嘩したりしながらも同じ時を過ごして、何時しかかけがえのない人になって‥‥。あの人が居なくなって、縋るものは此処だけになってしまったから‥‥。本当だったらとっくに壊されてもおかしくないのをこの10月まで引き延ばしたのもわたしの最後の我が儘かな」
「す、すいません、余計なこと聞いちゃって」
「いいのよ。でも、この青空荘は私の大事な所だから‥‥。由希奈さんにも好きになってほしいわ」
そう言って、微笑む水無月さんは、優しい感じだけど少し寂しそう。聞かなければ良かったかな‥‥。
「私は、大学生の時に、好きな人ができて。駆け落ち同然で家を出ちゃったのよね」
「え!?」
「その人とは、もう別れちゃったんだけどね。自分でもわかってるんだけど恋愛絡みになると止まれないのよねー。それで、両親に頼ることもできなくて、家賃の安いここにいるの」
あっけらかんに言う六城さん。でもそれって、けっこう大変なことなんじゃないんだろうか。みんな、青空荘にいるのはそれなりの事情がある。私は、オンボロアパートって、ただ不満に思ってたことを、ちょっと申し訳なく思った。
次の日、五十嵐さんの仕事のつてで、業者を雇って屋根の修繕をすることになった。
「ご心配なく。俺の知り合いのところで信頼のおけるいい業者さんですから。もちろん費用も俺持ちですから」
そう言っていつもの微笑を浮かべる五十嵐さん。建築業者さんの知り合いって、五十嵐さんって、本当に何してる人なの!? 謎だわ‥‥。
「慶悟サン? ひょっとしてアルバイトですカ? 偶然ですネ!」
みんなで、屋根の修繕の様子を眺めていると、エルバさんが屋根の上の業者さんの一人に声をかけた。あれって、あの変態‥‥じゃなくて、二村慶悟?
「あんな高いところ‥‥怖くないのかなぁ?」
「あの人、なんだってあんなところに‥‥」
「慶悟君は学費とか稼ぐために、色んなアルバイトをしているの。本当は真面目な子なのよ。分かって欲しいかな」
姫也ちゃんが、ぼ〜っと屋根を見上げながら呟く。私の呟きに、水無月さんがそう教えてくれる。真面目な人‥‥か。私は、みんなに軽く手をふる二村をなんとなく見上げて。
「うわ、うわわ!」
「落ちる!?」
一瞬、私と二村の視線がぶつかったと思ったら、あいつが突然体勢を崩して屋根から落ちそうになる。私は、かろうじて落ちずに留まった二村を見て。
「やっぱりバカじゃないの‥‥」
と呆れるのだった。
●キャスト
一宮由希奈
大林巳奈穂
三澤景斗
玖條 響(fa1276)
五十嵐龍牙
蘇芳蒼緋(fa2044)
エルバ・ディエス
ティタネス(fa3251)
姫也・A・五十嵐
カナン 澪野(fa3319)
五十嵐朔也
ウィルフレッド(fa4286)
二村慶悟
日向翔悟(fa4360)
六城奈央
花香こずえ(fa5563)
水無月綾
浦上藤乃(fa5732)