曇り時々雨のち青空荘4アジア・オセアニア

種類 シリーズ
担当 緑野まりも
芸能 3Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 7.9万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 08/08〜08/12
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●本文

 8月。大学が夏休みに入り、私は夏季のアルバイトを探すことにした。ちょうどそんな時に、青空荘の管理人から海の家のアルバイトを紹介されて、ラッキーとばかりにそのアルバイトを受けることにした。しかし実際に行ってみると、海の家は青空荘に勝るとも劣らないオンボロ小屋だった!
 とりあえず、一緒に来た青空荘の面々と協力して、海の家の営業を開始する私たちだったが、様々なハプニングに襲われることになるのだった。

・俳優募集
 ドラマ「曇り時々雨のち青空荘」を撮るにあたって、作品に出演してくれる俳優を募集します。審査のうえ主人公、ヒロイン、またその他の登場人物を担当していただきます。奮ってのご応募をお待ちしております。

・ドラマ内容
 大学進学のために東京へと上京してきた一宮由希奈は、引越し先である「青空荘」を見て愕然とした。なんとそこは、築45年のオンボロアパート、しかも10月には取り壊しが決定しているというのだ。悪徳不動産屋に騙された由希奈だが、新しい物件が見つかるまでしかたなく「青空荘」で暮らすことになる。
 「青空荘」で暮らす住人達は、様々な理由でアパートから出れない人達ばかり。由希奈は、ちょっと変な住人達と付き合っていきながら、やがて不思議な連帯感が生まれていく。
 短い間の住人達との楽しい日々、そして訪れる別れの日‥‥。どこか懐かしく、ちょっと面白おかしいご近所付き合いハートフルコメディ。

・登場人物
 一宮由希奈(大林巳奈穂) 取り壊し間近のオンボロアパート「青空荘」に引っ越してきた女子大学生。出身は結構な田舎で、ご近所付き合いは苦にならないほう。ごくごく一般的な女の子。
 青空荘住人 由希奈が引っ越してくる前から住んでいる、「青空荘」の住人。それぞれが様々な理由で(金銭的な問題や、人間的な問題、性格など)、取り壊し間近の「青空荘」から出ることができない人達。ほとんどが一癖も二癖もある人達。

・舞台設定
青空荘 物語の舞台。都内にある築45年のオンボロ二階建てアパート。部屋は2DKトイレ付き、敷地内に共同浴槽有り(男女兼用)。都内にしては格安の家賃だが、見た感じかなりの老朽化が見られる。周囲は高層マンションが立ち並び、青空荘もすでに10月の取り壊しが決定している。
 共同風呂があることから、お風呂の使い方、敷地の掃除当番などなど、簡単な取り決めの中で、住人同士の交友が頻繁に行われており、都会では珍しい親しいご近所付き合いが行われている。そのために、住人はお互いを愛称で呼び合うことが多い。(例 「親父さん」「ホスト」「お天気さん」)
共同浴場 青空荘の敷地内にある、男女兼用のお風呂場。浴槽は小さな銭湯ほどの大きさで、4〜5人は楽に入れる。時間帯で「男湯」「女湯」にわかれており、お風呂当番は交代制となっている。深夜など時間外の入浴は自由で、一応「混浴」ということになっているが、さすがにめったに他人が入っているときには入らない。
 海の家 湘南にある海の家。小さなペンション程度の大きさだが、青空荘と同じく古い建物で、かなり老朽化が進んでいる。青空荘では毎年夏になると、ここで海の家を運営し、青空荘の維持の足しにしていた。従業員は基本的に青空荘でアルバイトを募り、夏の間ここで寝泊りして、店を開く。

・備考
 主人公一宮由希奈役には、女優大林巳奈穂(オオバヤシ ミナホ)を起用。大林は、今年二十歳の女性俳優で、三歳のころから子役で活躍、演技派として知られており、特に勝気な女性役で定評がある。

・次話あらすじ
 8月。夏休みになった由希奈は、青空荘の管理人に誘われて海の家のアルバイトをすることになった。しかし、その海の家は酷いオンボロ小屋で、まさに前途多難。そんな状況に途方にくれる由希奈だったが、一緒に来ていた青空荘の住人達は一致団結して、海の家を盛り上げていく。
 そして、住人達の協力もあり、軌道に乗り始めた海の家。しかし、そこにまた様々なハプニングが。客のクレーム、他店の妨害、台風、そして青空荘の誰かを監視する影。果たして、由希奈と青空荘の住人達は、ハプニングを乗り切ることが出来るのだろうか。

●今回の参加者

 fa0126 かいる(31歳・♂・虎)
 fa2044 蘇芳蒼緋(23歳・♂・一角獣)
 fa3251 ティタネス(20歳・♀・熊)
 fa3319 カナン 澪野(12歳・♂・ハムスター)
 fa4286 ウィルフレッド(8歳・♂・鴉)
 fa4360 日向翔悟(20歳・♂・狼)
 fa5563 花香こずえ(27歳・♀・兎)
 fa5732 浦上藤乃(34歳・♀・竜)

●リプレイ本文

「って、ええ〜〜! これが海の家!?」
「わぁ‥‥お化け屋敷みたい‥‥」
「‥‥だから覚悟しとけって言っただろ」
 しばらくして、私達の前にあらわれたそれは‥‥青空荘もびっくりの、ボロボロになった建物でした。五十嵐さんちの姫也ちゃんの感想もあながち的外れじゃない‥‥。驚く私に二村慶悟がため息をつく。知ってるんだったら、最初からちゃんと言いなさいよ!
「さて、まずは毎年恒例! 浜茶屋『青空』大応急処置大会だ!」
 デクさんこと八尋隆さんの掛け声で、海の家『青空』の修繕作業が始まった。なんでも、毎年こうやって、一夏が過ごせるように修繕しているらしい。それにしても、よくこんな建物が残ってるものだわ。
「でぇくのあんちゃん事このデクさん最高の見せ場だ! と、言う事だから終わるまでお前ら遊んで来い、店開いたら忙しいからな、なかなかそういうわけにもいかない」
「いいんですか!? じゃあ、姫ちゃん朔くん泳ぎに行こう!」
「お姉ちゃん‥‥僕、カナヅチなの‥‥だからここでご本読んでるの‥‥」
「あ、そうなんだ‥‥エルバさんは?」
「ワタシはこっちを手伝いマス♪ 力仕事なら任せてくだサイ!」
 姫ちゃんはニッコリ微笑んで、日陰で本を広げる。留学生のエルバ・ディエスさんは、女性とは思えない腕の力こぶを見せてくれた。
「由希奈さ〜ん! 早く行こうぜ!」
「はいはい、ちょっと待って〜! あ、二村は来なくていいからね!」
「俺はこっちで忙しいんだ! 行くわけないだろ!」
 二村の怒鳴り声を背中に受けながら、私はすでに海に向かって走り出していた五十嵐さんちの朔也くんを追いかけて走り出した。なにはともあれ、せっかくの海だし、楽しまなくっちゃ!

「うわ‥‥すっかり見違えた‥‥」
 しばらくして、海から戻ってきてみると、海の家は見違えるほど綺麗になっていた。腐りかけていたベランダの板は、全て張りなおされ。ボロボロに剥げ落ちていた外壁のペンキは、さわやかな白と青のストライプに塗りなおされている。さっきまで、廃屋と間違えられそうだった建物とは思えない。
「どうだ、たいしたもんだろ! 今年は特に念入りに修繕したからな。新築同様だろ!」
 デクさんが自信満々に言う。さすがに新築は言いすぎだと思うけど、たしかにこれならお客を呼んでも大丈夫そうよね。
「すっかり綺麗になって‥‥そういえば、こうしてみんなで海の家の手伝いをするのも今年で最後になるのよね。そう思うと、ちょっと寂しいかな?」
 管理人さんこと水無月綾さんが感慨深そうに、海の家を見上げている。きっとここでも色んなことがあったんだろう。そっか、青空荘が無くなれば、みんなでこういうことをするってことも無くなっちゃうのかな‥‥。
「暗い話題はここまで。一夏を楽しみましょうね」
 管理人さんはそう言うと、パッと明るい笑みを浮かべて、皆を促して家の中へと入っていった。海の家『青空』、今年の夏はここで過ごす事になる‥‥。

「いらっしゃいませ〜!」
 次の日から、海の家の営業が始まった。私は接客業とか初めてで、最初は戸惑うことが多かったけど、去年もやったという二村に色々教わって、なんとかなるようになってきた。
「いらっしゃいませ! こちらのお席へどうぞ!」
 二村は、さすがに手馴れているようで、どんどん仕事をこなしていく。色んなバイトをしてるって言ってたけど、なんか頼りになる‥‥かな。Tシャツから覗く日焼けした腕とかも結構たくましいし、なんか格好い‥‥って、なに考えてるんだ私は!
「3番、注文! ぼ〜っとしてんな!」
「う、うん!」
 夏の熱気のせいよね、うん、自重自重。
「はい、これ1番さんね」
「はい。それにしても、奈央さん、本職のほうは大丈夫なんですか?」
 後から合流したケーキ屋さんの六城奈央さんが、厨房から注文の品を出してくれる。この人、本職があるんだから、バイトなんてしなくていいと思うんだけど。
「大丈夫よ、夏休みだし。私は手伝いに来られる時間がみんなよりも少ない分張り切っていくわよ」
「でも、せっかくのお休みなのに‥‥」
「いいの、皆と一緒に居る方が楽しいんだから」
 そう言って微笑む奈央さんは、本当に楽しそうだ。その気持ちは、私も少しずつわかってきた‥‥ような気がする。
「でも、この店がこんなに繁盛してるのは、初めてじゃないかしら」
「そうなんですか?」
「うん、去年まではこんなに綺麗じゃなかったし、それに‥‥」
「五十嵐さん、いますもんね‥‥」
「さぁ、お客様。海の家『青空』へようこそ」
 私と奈央さんの視線の先、美形の男性、五十嵐龍牙さんがいつもの微笑を浮かべて店に入ってきた。その横には数人の女性客が。五十嵐さんも、後から合流したんだけど。彼が客寄せと接客を始めてから数日のうちに、お店は女性客でいっぱいになってしまった。もちろんみんな五十嵐さん目当てだ。
「さすがはホスト‥‥」
「ホスト?」
「いえいえ、なんでもないです!」
 奈央さんの不思議そうな問いかけに、私は笑ってごまかした。私が勝手にそう思い込んでただけだし‥‥。その後も、海の家は予想以上の繁盛だった。

 海の家最後の夜。私は、一人で浜辺に出て、空を見上げた。こっちでは久しぶりに見る、満開の星空。夏休みももうすぐ終わり、海の家での生活も明日で最後だ。
「はぁ、あっという間だったな‥‥」
 この夏は、凄く充実してた。海の家での皆で仕事をするのは楽しかった。結構色々あって、五十嵐さんが、姫ちゃんに言い寄ってきたナンパ野郎を笑顔で追い払ったり。台風のとき、エルバさんの意外な才能と、実は超一流大学に通う科学者の卵だってことを知ったり。デクさんのヤキソバと焼きもろこしが大人気だったり。あ、朔くんは経営の才能あるかも、イベントを企画して大盛り上がりだったっけ。とにかく、皆のこと色々知れたし、本当に楽しかった。
「でも、それももう終わり‥‥ちょっと寂しいかも」
 楽しいことって、なんですぐに終わっちゃうんだろ。ちょっとセンチメンタルな気持ちになって、こうやって星を見に来てる。
「ん? なんだ、一宮か」
「ちょ、ちょっと、あんたどっから出てきたのよ!」
 そんな感じでぼ〜っとしていると。突然、二村が海のほうから現れた。
「いや、日中は忙しかったから、いま泳いでた」
「こんな暗いのによくやるわね」
「お前こそ、なんでこんな時間に‥‥まぁいいか、ほら」
「冷た‥‥」
 二村は、私のことはあまり追求せずに、近くにおいてあったクーラーボックスから、アイスを取り出して、私に手渡す。冷えた感触が心地良い。二村は、そのまま私の隣に腰を下ろした。
「ねぇ‥‥二村はなんでそんなにバイトがんばってるの?」
「自分で稼がないと、生きていけないからな‥‥」
「え?」
 二村は、両親を無くし、生活費のほとんどを自分のバイトで賄ってることを話す。
「でもそれじゃ、なんで大学なんて‥‥」
「弁護士になるんだ‥‥。父親が法律の隙を突かれて、騙され破産し、死に追い込まれた。せめて自分のような被害者を出さないようにしたいと思いたったから。‥‥思い上がっていると分かっているさ。でも、夢くらい見ても良いだろう?」
 そう照れ臭そうに答えて、こちらを見る二村は、凄く真剣な顔をしていた。彼の本気が伝わってきて、なんだか胸が熱くなってくる‥‥。
「あ、あの二村‥‥わたし‥‥っ」
「まったく、慶悟君も不器用なんだから‥‥。折角良い雰囲気なんだから、強引に肩の一つも抱けばいいのに」
「やっぱり恋愛っていいなぁ。自分も新しい人見つけようかしら」
「デクのおっちゃん、よく見えねぇよ」
「僕も‥‥見て見たい‥‥の‥‥」
「ちょ、押すなお前ら、押すなって、ぅわ!」
「きゃ! な、なに!?」
 突然の声に驚いた私達。視線の先には、デクさんに覆いかぶさるように連なった、青空荘のみんな。
「な、な‥‥!」
「は、はは‥‥べ、別に覗いてたわけじゃねえぞ。たまたま、これから花火でもしようかって話になって‥‥」
 焦ったように言い訳をするデクさん。そんなどう見ても覗いてたのは確かだけど、みんななにを期待してたの!? むしろ、私は何を言おうとしてた!?
「そ、それじゃ、俺らは向こうで花火してるから! ごゆっくり!」
 急いで立ち去っていく皆。また二人残された私達だけど‥‥。
「俺らも花火しに行くか‥‥」
「そ、そうね‥‥」
 結局、その後すぐ、みんなの花火に合流することになった。そ、それにしても、なんだったんだろういまの雰囲気‥‥。

 次の日、なんとなく気まずい朝を迎えたんだけど、とにかく海の家最終日はみんなで遊ぶことになった。そんな時、事件が起きる‥‥。
「逃げて! 姫!! 由希奈さん」
 叫ぶ朔くん。朔くんは先月現れた黒尽くめの男と似たような男に捕まってしまった。やつらは、間違いなく朔くんと姫ちゃんを狙っていた。いったいどういうこと!? とにかく私は、皆に救援を求めながら、姫ちゃんを連れて逃げていた。
「しまった、行き止まり!?」
 私達は、防波堤へと逃げてしまい、先がなくなってしまった。姫ちゃんは泳げないし、このままじゃ捕まる!
「そこまでです‥‥」
「!?」
 バキィ! と音がするほどの強さで、黒尽くめの男が殴り倒された。そして、そこに立っていたのは。
「五十嵐さん‥‥」
「すいません、ご迷惑をお掛けしました」
 そう言う五十嵐さんは、いつもの笑顔とは違う、厳しい表情を浮かべていた。
「そうだ、朔くんが!」
「朔も助けました。いまは青空荘の皆さんの所に」
「そうですか‥‥」
「あ‥‥」
「姫っ!」
 五十嵐さんの答えに、ほっとしたのもつかの間、力なく倒れこむ姫ちゃんが、そのまま海に落ちてしまう。五十嵐さんは、すごい勢いで海へ飛び込むと、溺れる姫ちゃんを助け出した。
「姫也、しっかりしろっ!」
 姫ちゃんを陸にあげて、濡れた服を脱がそうとする五十嵐さん。って、姫ちゃんは女の子!
「あ、あれ?」
 服を脱いだ姫ちゃん。その服の下は‥‥ぺったんこ? って、もしかして男の子!?
「‥‥あ‥‥れ? お兄ちゃん‥‥?」
「姫也‥‥無事でよかった‥‥。護ってあげられなくて、すみません」
 意識を取り戻す姫ちゃん。五十嵐さんは、安堵の表情と、申し訳なさそうな謝罪を口にする。その後、皆と合流して、海の家へと戻り‥‥。
「うん‥‥黙っててごめんね‥‥僕‥‥男の子なの」
「今まで話さずにすみませんでした。話してしまえば皆さんを巻き込んでしまうと思いまして‥‥」
 そう謝罪する姫ちゃんと、五十嵐さん。どうやら五十嵐兄弟には、なにやら狙われる大変な事情があるようだった‥‥。

●キャスト
 一宮由希奈
  大林巳奈穂
 八尋隆
  かいる(fa0126)
 五十嵐龍牙
  蘇芳蒼緋(fa2044)
 エルバ・ディエス
  ティタネス(fa3251)
 姫也・A・五十嵐
  カナン 澪野(fa3319)
 五十嵐朔也
  ウィルフレッド(fa4286)
 二村慶悟
  日向翔悟(fa4360)
 六城奈央
  花香こずえ(fa5563)
 水無月綾
  浦上藤乃(fa5732)