曇り時々雨のち青空荘5アジア・オセアニア

種類 シリーズ
担当 緑野まりも
芸能 3Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 7.9万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 08/29〜09/02
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●本文

 9月、海の家から帰ってきた私は、いつのまにか青空荘の生活に馴染んでいた。住人の皆とも仲良くなり、日々の家族的なご近所付き合いを心地良く感じている。でもそれも、あと一ヶ月‥‥。十月になれば青空荘は取り壊され、私達はこの家を出なくてはならなくなる。それを思うと、寂しく感じ、新しい家探しもあまりする気になれなかった。
 そして、海の家での事件と、五十嵐家の事情。話を聞いた私達は、何か力になりたかったけれど、その方法を見つけることは出来ない。せめて残り少ない時間、私達は少しでも青空荘という穏やかな生活を満喫したいと思っていた。
 でも、世の中っていうのは、そんな些細な願いさえそうそう叶えてくれないんだということを、すぐに知ることになる。

・俳優募集
 ドラマ「曇り時々雨のち青空荘」を撮るにあたって、作品に出演してくれる俳優を募集します。審査のうえ主人公、ヒロイン、またその他の登場人物を担当していただきます。奮ってのご応募をお待ちしております。

・ドラマ内容
 大学進学のために東京へと上京してきた一宮由希奈は、引越し先である「青空荘」を見て愕然とした。なんとそこは、築45年のオンボロアパート、しかも10月には取り壊しが決定しているというのだ。悪徳不動産屋に騙された由希奈だが、新しい物件が見つかるまでしかたなく「青空荘」で暮らすことになる。
 「青空荘」で暮らす住人達は、様々な理由でアパートから出れない人達ばかり。由希奈は、ちょっと変な住人達と付き合っていきながら、やがて不思議な連帯感が生まれていく。
 短い間の住人達との楽しい日々、そして訪れる別れの日‥‥。どこか懐かしく、ちょっと面白おかしいご近所付き合いハートフルコメディ。

・登場人物
 一宮由希奈(大林巳奈穂) 取り壊し間近のオンボロアパート「青空荘」に引っ越してきた女子大学生。出身は結構な田舎で、ご近所付き合いは苦にならないほう。ごくごく一般的な女の子。
 青空荘住人 由希奈が引っ越してくる前から住んでいる、「青空荘」の住人。それぞれが様々な理由で(金銭的な問題や、人間的な問題、性格など)、取り壊し間近の「青空荘」から出ることができない人達。ほとんどが一癖も二癖もある人達。

・舞台設定
青空荘 物語の舞台。都内にある築45年のオンボロ二階建てアパート。部屋は2DKトイレ付き、敷地内に共同浴槽有り(男女兼用)。都内にしては格安の家賃だが、見た感じかなりの老朽化が見られる。周囲は高層マンションが立ち並び、青空荘もすでに10月の取り壊しが決定している。
 共同風呂があることから、お風呂の使い方、敷地の掃除当番などなど、簡単な取り決めの中で、住人同士の交友が頻繁に行われており、都会では珍しい親しいご近所付き合いが行われている。そのために、住人はお互いを愛称で呼び合うことが多い。(例 「親父さん」「ホスト」「お天気さん」)
共同浴場 青空荘の敷地内にある、男女兼用のお風呂場。浴槽は小さな銭湯ほどの大きさで、4〜5人は楽に入れる。時間帯で「男湯」「女湯」にわかれており、お風呂当番は交代制となっている。深夜など時間外の入浴は自由で、一応「混浴」ということになっているが、さすがにめったに他人が入っているときには入らない。
五十嵐家 いくつもの企業を経営している資産家の一族。政財界では有名で、様々な企業に顔が利き、また影響力も強い。

・備考
 主人公一宮由希奈役には、女優大林巳奈穂(オオバヤシ ミナホ)を起用。大林は、今年二十歳の女性俳優で、三歳のころから子役で活躍、演技派として知られており、特に勝気な女性役で定評がある。
 物語の中で、青空荘の管理人は、現在のオーナーに雇われているという形になっており。青空荘の権利その他は、すべてそのオーナーの所有ということになる。

・次話あらすじ
 9月。青空荘を出て行かなければならない期限まで残り少なくなり、由希奈は新しい住居を探すのを急がなければならなかった。しかし、青空荘の生活に未練を感じていた由希奈は、なかなか住居探しがはかどらない。
 そんな中、前回海の家で青空荘の住人の一組、五十嵐家の事情が明らかになり。今後の対策について、青空荘住人全員で話し合われることになる。しかし、五十嵐家の実家では、彼らを連れ戻すために新たな策を講じてきた。
 五十嵐家の実家側は、青空荘の住人への仕事の斡旋を、裏から手を廻してできなくさせ、また正式な就職先へも様々な悪影響を与え始める。そして、不動産屋にも手を廻し、住人の移住を難しくさせた上で、青空荘のオーナーから土地と建物の権利を買い取ると、十月を待たずして即刻退去を命じる。
 突然のことに戸惑う住人達。そんな彼らに、五十嵐家の実家側は、五十嵐兄弟が実家へと戻れば、退去を取りやめると申し出る。しかし、その申し出に憤りを感じ、住人達は徹底抗戦を決意する。はたして、青空荘の運命はどうなるのか‥‥。

●今回の参加者

 fa0126 かいる(31歳・♂・虎)
 fa2044 蘇芳蒼緋(23歳・♂・一角獣)
 fa3251 ティタネス(20歳・♀・熊)
 fa3319 カナン 澪野(12歳・♂・ハムスター)
 fa4286 ウィルフレッド(8歳・♂・鴉)
 fa4360 日向翔悟(20歳・♂・狼)
 fa5563 花香こずえ(27歳・♀・兎)
 fa5732 浦上藤乃(34歳・♀・竜)

●リプレイ本文

「いったいどういうことだろ? これだけ回って、部屋が無いなんてありえないよね‥‥。ん、あれって‥‥」
 部屋探しが徒労に終わり、少し疲れを感じながら青空荘へと戻ろうとすると、私と同じように疲れたように肩を落として歩いている大きな身体を見つける。
「デクさん、こんにちは〜」
「ん‥‥おぅ、嬢ちゃん‥‥はぁ‥‥」
 前を歩く大きな身体、デクさんこと八尋隆さんに声をかけてみると、デクさんは気落ちしたようなため息をついた。
「元気ないですね、どうしたんですか?」
「いや‥‥それがな‥‥」
 私が気落ちしている理由を聞くと、デクさんは困ったような納得の行っていないような顔でその理由を話してくれた。

「えぇ!? クビって、どう言う‥‥ちょ、社長!」
 その日、引越し業者にバイトに行った八尋は、突然の解雇を言い渡された。それまで、真面目に働いてきたつもりであるし、特別大きなミスを犯したわけでもない八尋にとって、それは寝耳に水の話であった。

「ってわけなんだ。いったいなんでそうなったんだか、わかんねえよ‥‥はぁ‥‥」
「そうなんですか‥‥。私にもよくわかりませんが、元気出してくださいよ!」
「おっとと‥‥はは、ありがとよ」
 話し終えると、またため息をつくデクさんに、私は強く肩を叩いて励ました。デクさんは、少しよろけてから、笑みを浮かべてくれた。でも、いったいどういうことだろう。
「あれ? 二村だ。お〜い、二村! 珍しいね、いつもバイトで忙しい二村が、こんなところで油売ってるなんて」
「一宮? あ、ああ、いやそのことで、ちょっとデクさんに確かめたいことがあって」
「俺に?」
 青空荘に戻ると、入口前で二村慶悟が立っていた。声をかけてみると、少し焦った様子でデクさんに視線を向ける。
「それが実は‥‥」

「やばいです管理人さん!」
 デクさんは、二村の話を聞くと、慌てて管理人さんの水無月綾の所へと駆け込んでいっちゃった。綾さんは、ちょうど電話中だったみたいで、受話器を耳に当てながら何か当惑しているように話をしていた。
「え、あの‥‥いえそれは‥‥はい‥‥わかりました、でも‥‥。え!? そんな!! ちょっとまっ‥‥!!」
 私達が電話が終わるのを待っていると、珍しく綾さんが大きな声をあげたと思うと、肩を落として受話器を置いた。綾さんまでいったいどうしちゃったんだろう?
「あら、みなさん‥‥」
「あ〜、管理人さん、電話中すいません‥‥」
「いえ、いいんですよ。それで、何か御用でしょうか?」
「いやそれが‥‥なんだか知らないが、俺らが働くのを誰か邪魔してるらしい、俺だけでなくバイト君たちもどうやら邪魔されてるみたいです」
「それは!? ‥‥そう、ですか」
「管理人さん、どうしたんですか。さっきの電話でも様子がおかしかったですが」
 デクさんの話を聞くと、一瞬驚いた表情を見せた綾さんだけど、すぐに思い当たる様子で顔を顰めた。その様子に、二村も変に思ったみたいで、問いかける。
「実は、私のほうも、皆さんにお知らせしなければいけないことがありまして‥‥」
「はい?」
「実は‥‥私、管理人では無くなりました‥‥」
「ええぇ!?」

「と、いうわけで。新しいオーナーさんから、管理人の仕事を辞めてもらうよう言われました」
 その夜、住人全員が一堂に集まり、まず管理人さんの話を聞く。どうやら、青空荘のオーナーの人が替わり、その人の方針で綾さんは管理人を降ろされたようだ。しかも、青空荘の取り壊しを早めて今月中に行うというのだ。
「皆さんには、すぐにでも青空荘を出て行くようにと‥‥。あまりにも一方的な通告で、私にもなにがなにやら‥‥」
「むちゃくちゃだ! 仕事を干されて、転居先も不動産屋に断られる、しかもいきなり出て行けだ!? いったい、誰なんだ、そんなことする奴は!」
 デクさんが、机を壊さんばかりに叩く。でもその怒りはもっともで、あまりに理不尽すぎる話に、私だってその相手を怒鳴りつけたい!
「それが‥‥新しいオーナーさんの名前が‥‥五十嵐さんって‥‥」
 皆の剣幕に、綾さんが言い辛そうにその名を口にする。五十嵐? それって!?
「‥‥そうですか。もしやと思いましたが‥‥」
「‥‥‥」
「兄貴‥‥」
 皆は一斉に、同じ苗字の五十嵐龍牙さんに視線を向ける。龍牙さんは、驚いた様子もなく、ただいつもの微笑ではなく、苦々しげな表情で呟いた。皆の視線に、弟の姫也ちゃんと、朔也くんも心配そうに龍牙さんを見つめている。
「まさか、あの人達が動き出すとは‥‥。こういった手段で来るとは、俺の考えも甘かったようです。完全に私のミスです、皆さんにはご迷惑を掛けて申し訳ありません」
 そう言って、龍牙さんは頭を下げた。

 それから数日が経ち、二村とデクさんは相変わらず仕事が見つからず大変なようだ。私の方も新しい部屋は見つからない。
「皆さん、大変そうですネ」
 そう言って現れたのは、留学生のエルバ・ディエス。この間初めて知ったんだけど、実は超一流大学の工学部に通う、科学者の卵なんだって。正直、いつものエルバさんを見てると、あんまり科学者って感じじゃないけど。
「エルバのほうは、大丈夫なの? 留学って大変そうじゃない、生活のためのお金は自分で稼いだり‥‥」
「ハイ、だいじょうぶデスよ。学費や生活費は全部、母国が見てくれていますからネ。さすがに国にまでは圧力をかけられなかったみたいですネ」
 はぁ!? 母国が全部負担って、めちゃくちゃ国のエリートってことじゃない? エルバって、実際はとてつもなく凄い人なのかも‥‥。
「あら、二人ともこんなところで立ち話?」
「あ、六条さん、ってあれ? お仕事はもういいんですか?」
 階段前で話をしていた私達に声を掛けてきたのは、六城奈央さん。でも、おかしいな、まだ勤めているケーキ屋さんの勤務時間のはずなんだけど。
「うん、状況が状況だし、しばらくお休みをいただいてきちゃった」
「ええ!? それって、本当に大丈夫なんですか?」
「お店に迷惑かけられないし食べ物だけに何かあっても困るしね。仕事先には事情を話したから大丈夫。それよりも、家が無くなるかどうかの瀬戸際だもの、正直今回のことは私も怒ってるんだから! 私もがんばらないと!」
 ムンと、ガッツポーズを取る六条さん。といっても、元々雰囲気がほんわかしてるから、あんまり緊張感を感じないけれど。でも、六条さんも青空荘を守るためがんばってるんだ。
「そうですヨ! 一緒にガンバリましょー! エイエイオー!」
「えいえいお〜」
 エルバと六条さんは、一緒に気合をいれて腕を振り上げるのだった。

「悪いのだけど、これ、慶悟君の処に届けてくれない? 青空荘の為に今、ほとんど飲まず食わずで頑張ってくれているわ。このままでは倒れてしまうかも知れないのに」
「は、はぁ、それはいいですけど。でもなんで私に?」
 ある日、綾さんがそう言ってバスケットを手渡してきた。でもなんで、綾さんが直接渡しにいかないんだろう?
「たぶん由希奈さんが慶悟君を勇気づけてくれたなら、もっと慶悟君は頑張れると思うのよ。彼の、愛するモノに真摯に成れる情熱。あれが自分に向けられたのなら幸せだと思わない?」
「だ、だから、なんでそんな話に‥‥」
「とにかくお願いね♪」
「ちょっと、待ってくだ‥‥行っちゃった」
 綾さんは、無理やりバスケットを預けると、さっさと行ってしまった。もう、変な勘違いされちゃってるよ‥‥。
「二村、いる〜?」
「お前な、俺のほうが年上なんだからいい加減『さん』をつけろ」
「そんなことより、はいこれ、管理人さんからの差し入れ」
「っと、あ、ああ、すまない」
 二村の部屋にバスケットを持っていくと、ドアが開いて二村が顔を見せた。なんか、ちょっと痩せたっぽい?
「ちゃんと食べてるの?」
「い、いや、日雇いのバイトも無くなったから、食費切り詰めないと」
「はぁ!? ダメじゃない、そんなんじゃ! 困ってるんだったら、相談しなさいよね!」
「いや、そんなことで迷惑かけ‥‥」
「そんなのお互いさまでしょ。そういうことなら、たまにはおすそ分けぐらいしてあげるから。とにかくあがるわよ、お茶入れてあげる」
「お、おい!」
 まったく、頼りになるんだかならないんだか。へぇ、思ったよりすっきりしてる部屋じゃない。もっと散らかってるかと思った。
「なにしてたの?」
「ん、今回のことで、法律でなにか訴えられることはないかってな」
 机の上に広げられた本やノート、どうやら法律関係の本のようだ。二村はそれで、今回の不法性を訴えるつもりらしい。二村は二村なりの方法で、戦ってるんだな。
「こっちが貧乏人だからと言って、金持ちの横暴に泣き寝入りしているなんて思うなよ! 俺は大切なモノを二度と奪われない為に今こうしているんだからな!」
 バスケットのお弁当を食べながら、再び本に向かい合う二村。愛するモノに真摯に成れる情熱‥‥か、たしかにちょっとだけそういうのかっこいいかもしれない‥‥。

 ある日、青空荘のオーナーだという男がやってきた。男の話は、青空荘の立ち退き要求で、近日中には青空荘を取り壊すということだった。それに対し、私達は断固拒否の姿勢を示すが、男は強硬手段もあるということを匂わせる。二村も、法律においての違法性の追及で一矢報いようとするが、相手の連れてきた現役弁護士の前に、さすがに言い負かされてしまう。そんなときに‥‥。
「‥‥僕が行きます。だから、取り壊すのを待ってください」
「姫ちゃん!」
 男の前に出てきたのは、姫也ちゃん。本来の目的である姫也ちゃんが、自ら五十嵐家に戻ることで、取り壊しを止めさせようというの!?
「姫、やめろよ、龍牙兄貴が動いているんだ、きっとどうにかしてくれるさ」
「でも‥‥行かなきゃいけないの。‥‥僕達のせいでこんなになっちゃったんだもの‥‥。皆が困るのを‥‥見るのは嫌‥‥」
「ひとりで本家の魑魅魍魎とやりあえるのかよ!?」
「龍牙さん! 本当にいいんですか!!」
「‥‥‥」
 朔也くんが引き止めるも、姫也ちゃんは静かに首を振って答える。私は、龍牙さんにすがるように見つめるが、龍牙さんはただ無表情に姫也ちゃんを見つめていた。
「お庭の向日葵‥‥枯れるまでには帰って来るね‥‥」
「判ったよ姫‥‥大丈夫俺ひとりで頑張れるからさ。青空荘を取り戻してくれ‥‥兄弟で過ごす為に」
 そう言って微笑む姫也ちゃんの笑顔は、とても儚いものに見えた。残された朔也くんも、気丈に笑みを浮かべている。
「姫‥‥すみません‥‥」
「龍牙さん‥‥」
 とても小さい声で龍牙さんがそう呟く。気づくと、彼の手は強く握り締められていた。龍牙さんも、本当はすごく我慢していたのね。
「皆さん、もうしばらくがんばってください‥‥」
 青空荘の取り壊しは月末まで引き伸ばされることになった。そしてその後、龍牙さんは姿を消してしまう。

 龍牙さんが姿を消してから数日。一人残された朔也くんが、熱を出した。気丈に振舞っていたけれど、やっぱり無理が祟ったようだ。私は、朔也くんの看病に一緒についていることにした。
「はぁはぁ、何でこんな時にコドモなんだろう、悔しいよ」
「そんなことないわよ。朔也くんはがんばってる」
「早く起きて宿題やらなきゃ‥‥ふらふらする」
「寝てないとダメよ! これ以上無理をしちゃだめ」
 一人でがんばろうとする朔也くんに、私はゆっくりするように叱り付ける。こんなときに、龍牙さんはなにやってるのよ‥‥。
「俺、ここから出たくないよ‥‥実家に戻りたくない‥‥」
「‥‥うん、そうね、私もここから出たくない。きっと龍牙さんがなんとかしてくれるわよ。だから、ゆっくり寝よう」
「うん、そうだね‥‥。龍牙兄貴なら‥‥」
 そう呟いて、朔也くんはようやく眠りについた。龍牙さん早く戻ってきて‥‥。

 月末、再びあの男がやってきた。今度は、取り壊し用の重機まで一緒だ。私達が住んでるのに、本気でここを壊すつもりなの!? 私達の抵抗も虚しく、男は作業員に命令して、青空荘を壊そうとする。絶体絶命のピンチ!!
「青空荘の取り壊し及び住民の強制退去は中止です!」
「龍牙さん!」
「兄貴!!」
 その時、声をあげて現れたのは龍牙さん! 龍牙さんは、訝しがる男になにやら書類をつき付けて、いつものような微笑を浮かべた。
「何故俺がそんなことを言うのか不思議ですか? そんなの俺がここの権利者なんですから、自分の思う様にして当然でしょう? 俺もいい加減頭にきたので、あなた方の会社を買収させていただきました。今後は俺の下で働いて頂くことになります。逃げようなどと考えないことです‥‥どうなっても知りませんよ?」
 書類を見て慌てる男に、龍牙さんはニヤリと笑みを黒いものに変えて、高圧的に言い放った。買収って、五十嵐家全部買っちゃったの!?
「海外での事業が上手く行きましてね」
 ニコリと、私達に微笑む龍牙さん。
「皆さん、今回は本当にご迷惑をお掛けしました‥‥。そして、いままでがんばってくださってありがとうございます!」
 そう言って頭を下げる龍牙さん。私達は、安堵と共に、仲間の帰りを喜ぶのだった。

●キャスト
 一宮由希奈
  大林巳奈穂
 八尋隆
  かいる(fa0126)
 五十嵐龍牙
  蘇芳蒼緋(fa2044)
 エルバ・ディエス
  ティタネス(fa3251)
 姫也・A・五十嵐
  カナン 澪野(fa3319)
 五十嵐朔也
  ウィルフレッド(fa4286)
 二村慶悟
  日向翔悟(fa4360)
 六城奈央
  花香こずえ(fa5563)
 水無月綾
  浦上藤乃(fa5732)