アイドル強化合宿3アジア・オセアニア

種類 シリーズ
担当
芸能 3Lv以上
獣人 3Lv以上
難度 やや難
報酬 11.4万円
参加人数 7人
サポート 0人
期間 11/02〜11/07
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●本文

●アイドル強化合宿 3
 月に叢雲花に風。火の無い所に煙は立たず。朱に交わらば赤くなる。

 若手アイドルを集め、常夏の無人島でバカンスならぬ強化合宿を行っている。
 人目も気にせず獣人変身し放題。銃撃ち放題(弾持ち込み)っと言う噂は静かに‥‥誠静かにアイドル達の間で広がっていった。

 参加費無料。武器持ち込み可。交通費全額支給。こんな美味しい話は他にない。
 無論、食料と水は全て持ち込み、現地では共同作業絶対参加、体力アップに興味の無い物に取っては、ぜんぜん興味を示さない物ではあるが、ナイトウォーカーとの戦いに供えて、コンサートツアーの為に、体力アップの為にと参加希望者は後を絶たないという。

「ごめんなさいね。参加したいという人が他にも居てね‥‥私の一存ではちょっと‥‥」
 安導夏美がそう言って参加希望者の一人と別れ、パパイヤ・パインの待つカフェに足を運ぶ。
 主催はパパイヤ・パイン。舞台は彼女の所有する無人島で行われているのである。
「ふふ、狙い通りね。使っていない無人島で根性を付けるための強化合宿、若手アイドルの育成を行うと言うのにプラスして、私の知名度もアップ、さらには参加希望者が私のご機嫌を窺い、参加したアイドルには恩を売ることが出来る。まさに一石二鳥だわ」

 下着姿にトレンチコートを羽織ってコッソリお忍びでカフェに立ち寄るパイン。
 アイスレモンティーにストローを挿し、からからと氷を回しながら彼女はそう言って微笑した。

「そこまで深いお考えが有ったとは‥‥」
 安導夏美がそう言ってレモンティーを注文して席に座る。
 隣にはパーカーを深々と被った一人の少女が追従していた。

「その娘は? ここなら大丈夫顔を見せなさいな」
 パパイヤ・パインが安導夏美に質問する。
 ここはアイドル御用達のお店。この時間なら面が割れて一般人に騒がれる心配は無い。

「アイドル強化合宿に入りたいという希望者です。体力アップのために‥‥アイドルの基礎を教えて貰うために、ぜひパパイヤさんと一緒に合宿に参加したいそうで‥‥」
 安導夏美に紹介されて、フードを取りサングラスを外す少女。

「こんにちは、樫野ひなぎくだよ。え〜と、ボクも早く一人前のアイドルに成りたくて‥‥合宿に参加したいんだけど‥‥ダメかな? ダメかな?」

 突然の事に口の中のレモンティーを力一杯吹き出すパパイヤ・パイン。
「だっ‥‥大丈夫ですか! 先輩」
 網にかかった有名人が余りにも大物だったため、むせかえるパパイヤ・パイン。

「ケホケホ‥‥も‥‥もちろん大歓迎よ‥‥ひなぎくちゃんには、私と一緒の班で良いかしら?」
 注文していたキャロットジュースを受け取り、それを飲みながら、コクコクと首を縦に振る樫野ひなぎく。
 そんなわけで今回のアイドル強化合宿は新たな人員が補充された。

 アイドル強化合宿とは、バブル絶頂期にパパイヤ・パインが買って放置していた無人島に行き、アイドルの強化合宿を行う物である。
 基本的には根性。ど根性。体力アップを中心として一週間の無人島サバイバルである。
 食料と水の持ち込みは自由。ただし予算は一万円まで、リュックサックに入る量っと言うのが絶対条件である。
 他にも銃や武器の持ち込み自由。
 島内では人間の目が無いため、半獣化・獣化状態での能力に慣れるための練習が盛んである。

 基本的には島内では水着着用。パパイヤ・パインの班は他にもグラビア撮影の練習や発声練習などをメインに、安導夏美の班では格闘戦や射撃練習などをメインに行っている。

 参加者は水着着用でどちらかの班に所属するか宣言して参加しなければ成らない。

 っと言うわけで日本は寒く成ってきたが、赤道直下は一年中熱い太陽が待ってる。
 日焼け止めを忘れずに参加して頂きたい。

●今回の参加者

 fa0463 伊達正和(25歳・♂・竜)
 fa0510 狭霧 雷(25歳・♂・竜)
 fa0836 滝川・水那(16歳・♀・一角獣)
 fa1308 リュアン・ナイトエッジ(21歳・♂・竜)
 fa1660 ヒカル・マーブル(20歳・♀・牛)
 fa1873 條本 淳矢(23歳・♂・兎)
 fa4808 柊棗(17歳・♀・小鳥)

●リプレイ本文

●アイドル強化合宿3

 南国インドネシアの遙か南。
 地図にも載っていない小さな無人島。
 一年中常夏のトロピカルアイランド。

 砂浜から200メートルの距離でヨットを固定する。
 海の深さは胸まで、荷物を砂浜まで運んだら、一週間の強化合宿だ。
 あるものは体力アップのために、有る物は格闘技術を身につけるために。
 そしてまた有る物はアイドルとしての胆力アップの為に。

 班は二つに分かれる。
 アイドルとしての胆力アップを図るパパイヤ・パイン班と、対NWの為に戦闘レベルを上げたい安導夏美班の2組である。
 スペシャルゲストの樫野ひなぎくはパパイヤ班所属と成った。
「ひゃっほ〜。久しぶりの半獣モードですよ〜」
 デニム柄のチューブトップブラとショートパンツの水着で安導夏美がヨットを飛びだった。
 背中に生えた黒い羽、彼女は竜人だ。
「ちょっと、飛べるなら荷物持って行きなさいよ。アナタの班の分の簡易トイレとかビーチパラソルとか色々あるんだから!」
 そんなパパイヤ・パインの言葉など気にせずに水面ギリギリを飛んで楽しむ安導夏美。
 普段は一般人の目を気にするために、半獣モードでの野外活動は滅多に無いのだ。

「えーと、それじゃ荷物運んで‥‥テント作ろうか‥‥あれ? 何か私の方男性多くない?」
 そう言って参加者を見つめる安導夏美。3人中3人男性である。
「アタシ一応女の子なんだけどなぁ〜」
 ポリポリと頭をかく安導夏美。
「まぁ長い人生ではそう言うこともあるだろう。それよりアンタ。色々指導頼むぜ」
 十握剣を握りしめ伊達正和(fa0463)が安導夏美に話しかける。
 彼女の腰にはサバイバルナイフが装備されているが‥‥しかし。
「私は特に人を指導出来るような人間じゃないよ。実戦訓練がしたいなら相手くらいには成れるけど、後は一緒に半獣姿でトレーニングするくらいしか‥‥」
 そう言って彼女は苦笑した。
「あぁ、その時はヨロシク頼む。とりあえず薪でも探してくるぜ」
 そう言って伊達正和は林の中へ入っていった。

 狭霧 雷(fa0510)は今回初参加。
 テントから少し離れた海岸に大きな石を運び、竈を作る。
 それにダッチオーブンをセットして準備万端。
 今回の安導班の調理担当は彼らしい。
「よろしくお願いします。とある事情で、NWとかかわる事が増えてきそうなので」
 夏美と軽く握手をする狭霧雷。
 夏美は相変わらずレーション系しか持ってきてないので、暖かい食事を作ってくれる人は有りがたい。
 彼はナイフ一つを竹竿に括り付けて海の方へと向かっていった。

 リュアン・ナイトエッジ(fa1308)も夏美組。でもシャイニングっ娘が気になるご様子。
 まぁ確かにシャイニングっ娘のひなぎくの生水着が見れるというのなら、それは力一杯幸運な事だろう。
 お約束なのか狙っているのかスクール水着で登場の樫野ひなぎく。
 足ひれにゴーグル。水中眼鏡にシュノーケルとライフジャケットを付けてパタパタと海へ向かって行く。
 パパイヤ・パインはいつの間にかビーチパラソルを設置して、デッキチェアーに寝そべり、トロピカルドリンクを口にしている。
「今回は銃マニアとか来なかったわねぇ。せっかく良い銃をプレゼントしようと思ったのに」
 そう言ってパインが銀色の銃を胸元にはさんで、そのままそらを見上げている。

「ん〜私は銃のセンス無いのかなぁ〜。至近距離で空なら絶対銃が有利なんだけど、位置エネルギー利用して格闘の方が良いのかなぁ」
 右手にナイフを。左手にエアガンを握りながら夏美が悩んでいる。
「悩んでるなら、手合わせしてやろうか?」
 伊達正和が木材をガラガラと砂浜に放り出しながら夏美に近寄る。
「じゃお願いしようかな。簡単なパターンなんだけどね」
 夏美がそう言って構えを取る。

「パターンって何ですか?」
 條本 淳矢(fa1873)はアクションシーンの為に格闘を学ぼうとする。若きアクション俳優である。今回は身体を鍛えるべく、夏美班に入る予定で参加しているのだが、何故かパパイヤ班に参加することとなった。
「対NW戦は時代劇のチャンバラみたいに一撃必殺なんだよね。先ず相手にダメージを与え、動きが鈍くなったらコアを砕くって感じかな? そのために自分の長所を生かした最大の勝ちパターンと言うのを作っておくんだよ‥‥って言ってた」
 手に汗握りしめ、いつのまにか樫野ひなぎくが観戦している。

 初手、安導夏美に対して、伊達正和が水鏡の刃で攻撃をしかける。
 振り下ろして叩き付けるような一撃。
 だが、予めそれを分かっていた安導夏美は左手に持ったナイフでそれを受け止める。
 パワー対パワーの一撃で金属が激しく音を立て、火花が散る。
 続いて、安導夏美が右足を一歩踏みだし、そこから回転して相手の頭部に向けて左足で回し蹴りを放つ。
 伊達正和はそれを左手に握っていた十握剣で受け止めた。
 彼女の足から血がしたたり落ちる。
 っが、彼女は背中を羽を使い、伊達正和の肩をそのまま蹴飛ばすと、一気に空に舞い上がった。
 そのまま右手に握りしめたエアガンを連射する。
 サブマシンガンタイプでバラバラと放たれた球が伊達正和に当たらずに地面に当たっている。
 砂浜に所々に弾の後が見られる。
「やっぱりダメか」
 空中でエアガンを捨て、姿勢を制御する安導夏美。
 鋭く右手の爪が光と、その一撃を一気に伊達正和にたたき込もうとする。
とっさに両手の剣を×字にして、剣の腹でその攻撃を受け止める伊達正和。
「何だ、ぜんぜん戦闘に関してはスペシャリストじゃない」
 そう言って夏美が苦笑する。
「お魚取れましたよ〜。今日は魚と米と野菜のパエリアにしましょう」
 狭霧雷がそう言って取れたての魚を皆に見せた。

「さて、見とれてばかりじゃダメよ。私たちもテントの用意とか色々がんばってね」
 夏美の班とは200mほど離れた同じビーチでキャンプを貼ることにするパパイヤ班。
 滝川・水那(fa0836)が先ずはテントの設営だ。
「日本はやっと涼しくなってきてますけど、この無人島はまだ暑かったりするんですね〜」
 テントの他に天幕の方も設置する滝川・水那。
 いわゆる日差しよけのでかい布を貼っているだけなのだが。
「太陽の光に晒しておくとダメに成りそうな物はこの下に置くのよ〜」
 そう言ってパパイヤ・パインが苦笑する。
 本当はこれ、さばくで直射日光に当たって体力を消耗しないための知恵なのだが。

「えーと、ボクはとりあえず何をお手伝いすれば良いのかな?」
 樫野ひなぎくがそう言ってパインに指導を受ける。
 一応ひなぎくはシャイニングっ娘最年少メンバーでバリバリ稼いでいるが、パインは同じ事務所の先輩である。この辺でコネクションやら立場関係があるんだろう。
「じゃ天幕の下で歌っていてくれる? プライベート生コンサートと言うことで」
 力仕事は滝川・水那に任せて、パインはデジカメ片手にのんびり天幕の下で一休みである。

 夕食の準備‥‥いや、調理の準備をしているのはヒカル・マーブル(fa1660)。
 カセットコンロに鍋をかけて何か作ろうという感じの流れである。
 ビキニの水着の上からエプロンを付けて水着メイドな服装で夕食の支度を始める。
 ちなみにこの島には電気はない。ガスも無い。水道も無い。下水もない。
 古井戸が一つあるだけである。
 一度日が沈むと、ランプや懐中電灯の明かりに頼ることになる。
 昼間と光量が段違い過ぎるためかなり刃物を使った作業には支障をきたすだろう。
 だから、日の有る内に色々やっておくのである。
「じゃこれ、晩ご飯用に用意しておいたから、お願いね」
 パインが用意していた物は、大量のやきそばとキャベツであった。
 ヒカル・マーブルが鉄板に油を引き、料理を始める。
「あの、何か手伝える事は‥‥」
 柊棗(fa4808) がそう言ってヒカル・マーブルに近寄る。
 ワンピースメインの柊棗。
 ビキニ他多数の水着を持参したヒカル・マーブル。
 ホルタービキニと極ミニのフレアースカートの滝川・水那。
 パイン班の女性陣は案外華やかだ。

「明日は朝一で砂浜をジョギング。そのあとみんなでお昼まで歌いつづけるわよ〜。気合い入れておいてね〜」
 パインが一歩退いている條本淳矢を明かりの中に呼び寄せた。

「やっぱり、爪の一撃で相手の動きを止めてから、渾身の一撃をたたき込むってのが理想的だなぁ〜。右手に爪を‥‥左手に剣をかな〜。爪で敵の攻撃を受け止めるのかかなり辛いから、やっぱり敵の攻撃を受け流すためにも左手に格闘武器は必須か‥‥次までに良さそうな武器をゲットしてこよう」
 安導夏美の班は魚と米と野菜をダッチオーブンで炒めがパエリア‥‥っぽい物を口にしていた。

「夏美さんはどんな芸能活動してるんですか?」
 狭霧雷が夕食をおえた後で夏美に話しかける。
 テントの中には彼女と男性3人。場を和ませるためのトークだ。
「ビジュアル系アイドルバンドだよ。みんなで虚無僧の深編笠(天蓋)被って、虚無僧ズって言うんだよ〜。私の担当楽器はトゥルン」
 半ば本気にそんなことを言うので、何と返答すれば良いか困る狭霧雷。

 翌朝、日の出と共に起床。
 安導班は軽くないジョギング。
 浜辺の水が腰まで来る所でジョギングである。

 そんな彼らを見ながら海に向かって歌うパイン班。
 コッチはコッチで腹筋が鍛えまくられている。
「野外ライブやコンサートでは発声と胆力が勝負よ! がんばって声を出しなさい」
 そんなわけで朝食を取らないままただひたすらの発声練習は続けられる。
 ひなぎくも容姿や発声、踊りなどは職業柄得意分野というかスタンダードな分野である。
 体力面ではやや落ちる彼女だが、それでもがんばって発声している。

 滝川・水那は体力面で発声の低さをカバーし、ヒカル・マーブルや條本 淳矢が体力切れで失速していくなかで、柊棗やひなぎくはかなりの発声レベルを保っている。
 ‥‥っが、何故かパインには遠く及ばないのが謎である。
「それじゃお昼はボクがホットケーキを焼くね?」
 どうやらパパイヤ班は今回は鉄板焼きで攻め続けるご様子。

 彼らのお色気混じりの強化合宿は続く。
 アイドルとしての根性を身につけるその日まで‥‥。