WarCry1−2ヨーロッパ
種類 |
シリーズ
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担当 |
成瀬丈二
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芸能 |
3Lv以上
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獣人 |
3Lv以上
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難度 |
易しい
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報酬 |
7.1万円
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参加人数 |
6人
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サポート |
0人
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期間 |
09/30〜10/04
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●本文
WarCry1−1で、提案された筋書きとしては、勧善懲悪ではなく、ふたつのグループがお互いに争い、ひとつの目標に向かっていく、と言うものであった。
アクションの舞台は最終決戦は海戦がメイン。その為、WarCry1−3と3−3の撮影は海戦。2−3の撮影は陸戦程度にメリハリをつけられる事となった。
全体の話としては、バイキングの金髪の若長ハロルド(リューキ・王)VS銀髪の魔狼、無髭公エイリーク(ルーク)との競争。そこにローマからの女性パラディンが関わってきて、謎のお宝、世界の全てがそこにあるとされたオーパーツ『ミーミルの首』の争奪戦になるわけだ。
第1シーンはイギリスの修道院に略奪をかける金髪の小僧の艦隊。そこで発見された謎の地図。しかし、そこへ銀髪の魔狼の艦隊が強襲をかける。
更にこの修道院にその地図があると知っていた流離いの冒険商人も姿を現す。
地図は半分に、双方の戦士同士の一騎打ちの中で分かたれ、両者の艦隊が引き上げた所で、ミーミルの首──ローマではジーザスの頭と呼ばれている、そのありかを示すらしい地図の保護をしようと、女性パラディンがやってきて『遅かったか!』と舌打ちする。
その後の展開でどう絡むかについては当然それぞれのプランもあろう。
更に、鍵となるのが、役目の決まっていない前回の話し合いで自分の立ち位置を決めていないもの。後出しで設定を決められるのだ。故に相応の演技が期待される。
ちなみに有色人種は、どの神かはさておき、神の加護の証しという様に、以前の話し合いで決まっているので、有色人種が多目な以上、大きな重しを世界の運命という秤に載せる事が出来そうだ。
それがどちらに傾くかはまだ誰にも判らない。今回のリハーサルを待てである。
カット35スタート。
●リプレイ本文
ロングシップ──バイキングの、そう今宵の主役バイキング達の愛した船である──の群れが、イングランドの海にたゆたう(無論、現物や精巧なミニチュアは少数で遠景はCGによる嵩増しである)。
その船首で未発達な上半身を覆う鎖かたびらをはだけて、白い胸板を海風に晒し、鞘に収めた剣を舳先に突き立て、白い海岸をはっしと見る少年は──。
「若長!」
バッフィンランド族の若長、金髪の小僧ハロルドであった。演ずるはリューキ・王であった。
「風邪をひきます。せめて、毛皮をお召しに──」
烈飛龍(fa0225)演じるところの『赤毛のバルガス』であった。鋲打の革の鎧を着込み、半ば体重を預けているのは血をたっぷり吸った、双頭の巨大ないくさ斧。
先代からの重臣であり、幼いハロルドが仮にも『長』と呼ばれる立場になったのはバルガスの老獪さに依る所が大きい。正しく要石であった。
角付きの兜は斧の柄に引っかけている。これは兜の角が斧を振り下ろすとき邪魔な装飾品に過ぎないと熟知しているからであった。
(これらの装飾品は新井久万莉(fa4768)が心血を注いで、金髪の小僧側は血や僅かな錆などの凄みを、後に出てくる無髭公のサイドは磨き抜かれて、統一が取れている、とコンセプトを明確に打ち出していた)
久万莉演じるところの女冒険商人ルシアが一歩、前に出て岸に集う船を指さし──。、「ちょっと!どこの船だかわからないけど、武装船があれだけ停まってる中に乗り込む訳!?
その『地図』とやらに何が書いてあるのさ?」
「女、知りすぎたな‥‥なんて、な。これじゃ、無髭なんて名前が似つかわしくない、『銀髪の野犬』ルークの真似と言っても、洒落にならんな。ま、気にするな若長がおり、俺と同じく、神の加護を受けたお前が居る」
「でも、私、何の加護を受けてるか、判らないのよ?」
ルシアの声にバルガスは──。
「こうして、ロングシップに乗っているからにはオーディンから戦死者の半分を譲り渡す約定を交わした女神『フレイア』に決まってるさ。多分、俺は軍神『チュール』だろうな。ま、寿命が尽きれば判るさ」
「‥‥一生判らないような」
「ま、守護神談義は置いておくとして、だ。このまま敵船が見えているのに、船団が反転しない理由、か? それは俺たちがいくさ上手のバイキングで。やつらがのろまだから、だ、それにこの風向きなら、こちらが最大戦速で斬り込んでいる間にやつらが反転できるか、どうか‥‥怪しいもんだ」
「さすがね『赤毛のバルガス』」
地図の事を有耶無耶にされた事をルシアはようやく思い出していた。
そして、バルガスがルシアに語ったが如く、ロングシップは帆に風を受けて錐が板を穿つ様に、鋭く船団の側背を刺し貫き、矢が飛び交う中、陣頭指揮を取る『金髪の小僧』ハロルド。今は先祖伝来の剣を抜き放ち、毛皮と鎖かたびらに身を装う。
程なく、バラバラになったイングランドのいくさ船を追い散らす。
「野郎共! 無駄に蛮勇を誇る暇があったら、少しでも多くのお宝をかき集めろ!
女子供を手に掛けるなんて汚いことは銀髪野郎とそれに媚びへつらうくそ野郎共の領分だ。誇りある若長が率いる俺たちには他にまだまだやることがあるだろうが!」
言って、修道院に殴り込む。当時のキリスト教徒にとって、そもそも修道院を略奪するという思想が無かったため、バイキングにとっては、無防備で良く肥えたいい獲物である。
「いくさ船が来ているからには何か、運びだそうとしたか──運び入れたか?」
そこへ、スラッジ(fa4773)演じるところの『赤目のウルベルト』が、先程、ハロルド達を乗せた風を逆に利用して、突入してきた。
ハロルドと代々敵対しているバイキングの一族、『無髭公エイリーク』の率いる船団だ。
「赤目のウルベルトだ。我を討ち取らんとする自殺志望者は出てこい!」
言って、彼の船が鉤を引っかけ、後背の船を乱戦に持ち込む。
「若長、ちょっと行ってきますわ。なーに、時間は取らせません」
バルガスが言って、船と船の間を身軽に飛びつつ。間合いを詰める。
「赤目のー!」
「やるかぁーっ!?」
ウルベルトの槍とスパイクシールド、対するバルガスのグレートアックスが火花を散らして打ち合う。
しかし、力量はバルガスの方がやや上。
ウルベルトの槍がバルガスの一撃を捌ききれなくなったと見えた瞬間──。
「そこまでだ──赤毛の」
海を吹き渡る風よりも尚激しい、そして冷たい声がふたつのバイキングの争いを鎮めた。
「エイリーク、貴様!」
『無髭公エイリーク(ルーク)』はバルガスと同じように鋲打ちのレザーアーマーに身を包み、両手にはそれぞれ、片刃の戦闘ナイフ──スクラマサクスを持ち、ハロルドを組み敷いて、のど元に突き当てている。
「お前の大事な小僧を殺されたくなければ、この場から身を引け──ついでに『ミーミルの首』の件からも手を引くんだな」
長く伸ばしたエイリークの銀髪がハロルドの金髪と触れ合う。
沈黙が続く。
エイリークは艶めかしい笑みを浮かべると、サクスを僅かにひねった。
ハロルドの首筋に血が浮き出る。
「その程度らしいな──‥‥金髪の小僧」
しかし、サクスを捻った瞬間に出来た僅かな隙を見逃さず、ハロルドは組み敷かれた体勢から強引に抜き出て剣をかなり無理のある体勢から振り下ろす。
サクスを交差させて余裕で受け止めエイリーク。
「エイリークさま! 地図を見つけましたぜ、後は火を放ってきました」
「非道な──」
「つまらん邪魔が入ったな。小僧、次も楽しませてくれるのだろうな?」
修道院から火が出た事で風向きが変わり、ルークが地図を持ったという配下を引き連れた小舟が滑るように海面を走っていく。
そして、乱戦から追走劇に移るかと思えた瞬間、修道院が光り輝き、中から黄金の光が溢れ出し、ハロルド達を釘付けにした。
バルガスやルシアといった、神の加護を受けているものは全身が恍惚に包まれる。
「世界の叡智の全てがそこに納められている『ミーミルの首』を望む者よ。鍵なる我を求めよ。我が名は──」
光に包まれて現れた燐 ブラックフェンリル(fa1163)がそこまで語った所で、DVDの容量が丁度切れるのであった。