WarCry2−1アジア・オセアニア
種類 |
シリーズ
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担当 |
成瀬丈二
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芸能 |
3Lv以上
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獣人 |
2Lv以上
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難度 |
普通
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報酬 |
9.4万円
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参加人数 |
6人
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サポート |
0人
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期間 |
11/16〜11/20
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●本文
香港の街並みは王一家を変わらず迎えてくれた。
「あー、北欧の清々しい空気も良いが、やはり故郷の味には変えられない」
と、旧邸に荷物を広げ出すのはファーナス・王。
「ああ、こんな中途半端な時期に復学だなんて、トモダチに何て言って顔を合わせれば良いんだろう? ねえ、ダド?」
と、ややファーンに含む所のある言葉を投げかけるのはファーンの息子、リューキ・王。
「気にするな! 長期ホームステイしていたとでも思えばいい」
「それ、答えになっていないよ」
「‥‥気にするな。まあ、撮影期日が決まったからルークの奴も香港に招かないとな」
そう、彼らの映画『WarCry』は北欧で、ヴィジュアル材料を集めるだけ集めて、これ以上、海上ロケなどやったら、命に関わりかねない、という非常にチキンな理由でアジアに帰還、もとい凱旋してきたのである。
とりあえず、第2シーン、そろそろハロルドの所で心を開き始めたらいいんじゃないかな? という感じの謎の少女と、それを奪おうとするエイリーク配下の地上戦が繰り広げられる事となる。今回は具体的にどういうストーリーにするかの、打ち合わせである。
カット40スタート。飛んでいるのではない、カウント間違いがあっただけなのだ‥‥。
●リプレイ本文
「笑えるかどうかはお前次第だ」
燐 ブラックフェンリル(fa1163)が、役とはいえボク自身が我慢できなくなりそう、と不安を漏らしたのに際し、ファーナス・王が言ったのはその言葉だった。
「キーキャラやる事になって、リハやって自分の名前を考えず、自分の申告通りにシナリオ組んで撮影した──普通キャラクターの解釈を変える程度なのが、この業界だぞ。で、何が不満だ?」
「いや、不満じゃなくて、不安。前回あんなだったからどうしたら笑えるようになるかな。
今回で同性の新井久万莉(fa4768)さんの役のルシアさんと話したりとか。『暗いの無し、しっかり前みないと』と自己完結、とか思わず笑ってしまうような事があるとか、ハロルド陣営の人達が素敵な人ばかりだとわかれば笑顔出せるかな」
「じゃあ、前回の幻視の伏線を回収して笑え。あれだけの手間暇かけたシーンを越えて尚かつ『笑うんだ』。それが逆境を越えての笑顔というものだ。別に卑下する訳ではないが、宴会の一発芸で笑うのより、深い感動を与えられるはずだぞ」
「まずは逆境に勝て──であるな」
モヒカン(fa2944)が虹色のモヒカンをつけて語り出す。
「自分は今回も襲撃し放火し殺人する役だな。
場合によってはトチ狂って野心を抱くというのもアリだが、そこは脚本を煮詰めていく段階で要相談というヤツだな。
そういえば、陸戦という事で今回の舞台はハロルド陣営の集落という事になるのか?」
「よし──それで行こう! と、ダドなら言うんだよね」
と、未だにTシャツ姿のリューキ・王が、口を挟む。
「‥‥‥‥‥‥‥よし、それで行こう」
しばらく時間を置いてファーンが口を開く。
「やーリューキ。母親似でよかったねー」
久万莉の言葉にしばし、ファーンは憮然とする。
ちなみにファーンの奥さんに関しては、出るチャンスはあっても、全て登場シーンをカットされているという、不遇というか──違う神秘性を高められた存在である。
ちなみにファーンの絵と、リューキの絵を見比べてみると、DNAが全然違うんじゃないか、奥さんの浮気相手は別の竜人? とついつい勘ぐりたくなる。
要は母親似という事だ。
閑話休題。モヒカンはファーンに──。
「監督? ネタを考えていなかったというオチであるか」
「これはブレインストーミングをしているのだ。もっとも、俺が学生自分にはブレインストーミングの講義よりはトレジャーハンティングに力を注いだものだが」
そういう方向性になるか、と──ランディ・ランドルフ(fa4558)。
「今回のシーンではアクセルとルシアの冒険商人ふたり組みの追撃を行って絡んでゆく予定だ。
目論見を隠し持ってどちらかの陣営に参加するか?
それともクリスチャンとして第3勢力の様な立場で進むか?
そこは未だ決めていない」
「俺の所は華のある奴がいない──」
銀のスーツを身に纏い、腕を組んでいままで無言で壁にもたれていたルークが唇を開く。
「男装しているんだぞ」
「そういうのはバレるから面白いんだ。実は女性だった、と本編中のエピソードで判明するのと、DVDの初回特典のライナーノートか何かで、実は女性神聖騎士でした、と取って付けたように説明されるのとどちらが面白い? ああ、ファーン、俺は実は有色人種で本当はロキの加護を得ていた、というオチでいいな?」
傲岸不遜に言い放つルーク。
「適当にCGで顔料を塗ったシーンを合成してやるよ」
些か投げやりに返すファーン。そこへ久万莉が──。
「まず、ルシアの加護はフレイアって事なんだけど、フレイアとフレイって夫婦じゃ無くて兄弟だったんじゃ? ‥‥まぁ、その辺は所説あるみたいだし兄弟だったとしてもルシアは、アクセルと兄弟なんて嫌がるだろうけど。
そして加護の内容は死者の魂を力に変換し、能力を爆発的に高めるっていうのはどうかな?」
「ちょっとまった!? 殆どの資料と言っても、古エッダの解釈次第だが、フレイとフレイアは兄妹にして夫婦だぞ。ちなみに加護に関しては何にも特典もつける必要を感じてないぞ。困った時のご都合主義だけだ。元々、何でゲルマン民族主体の北欧に有色人種がこんなにいるかの、作品としての理由付けとして、運の奴が神の加護といっただけで、こんな短い映画の間にミーミルの首関係以外に、ややこしいファクターを放り込む必要性がない」
「じゃあ、僕の加護は?」
と燐が尋ねる。
「女装してでも魔法を得る変態オヤジ『オーディーン』と、マイナーながら爽やか野郎、彼が死ぬことをロキ以外は望んでいなかった若さの神、光の神『バルドル』どっちがいい?」
「男しかいないの?」
「自分で資料を調べる位やってみたらどうだ」
「魔剣グラムとか──」
「必然性があれば、いいぞ、その場ののりで言っているだけなら、幻視と同じように後悔する羽目になるかもしれんぞ」
「複合とか」
「それで話を面白くできるならな」
「うー」
久万莉が燐のフォローと自分の話にファーンの注意を向けさせる。
「それはそれとして。
この映画も3分の1撮り終わってるんだよね。残り3分の2で伏線回収するためにも、地図に書かれたお宝の片鱗くらいは2―3で出すべきじゃないかな」
「オーディンオーブでいいんだよね? そんな大層な名前が付くからには世界一の英知をうけれるとか?」
「能力としてはそんなものでいいだろう。名前に関しては『ミーミルの首』とVTRででも出ているだろう」
「じゃあ、あとは話として、一足先にルシアとアクセルがオーブを入手。けれど残りの地図に書かれた注意書きを見れなかった為オーブの力が暴走‥‥なんてどう?」
「妥当な線だな」
スラッジ(fa4773)が話の区切りのついた所で──。
「質問なのだが、俺は有色人種ではないので加護は受けていない扱いでいいのだろうか?」
「そうなるな」
「前回ヘルの半身に誓っていたのでその加護を受けているのかと思ったのだが、わからないので確認してみた。個人的には加護は無いほうがやりやすい。
あくまでも生身のバイキングとしてやってみたいのだ。もちろん、最終的な判断は監督に任せるし、その決定には従おう」
「というか、燐は別格として、他の連中にそこまで描写を回す余裕はないな。生身のバイキングとして頑張ってくれ。元々が獣化とかをする映画ではないし。以前の香港山海経ではみなビシバシ獣化していたが、あれはそういう世界観を最初から皆で造りあげたからだ」
「昔の話はいい。自分の話としては、ハロルドなどという若造の首を取れないばかりか逃げ出した事で部族内での地位はガタ落ち。落ちた地位を取り戻すべく、ハロルドの命を狙って追い掛けようと思う」
「うむ、燃えるな。で、モヒカンとのコンビはどうする?」
「リハーサルまでには打ち合わせておく。
当然、エイリークからは戦闘の指示があるだろうが、ハロルドを見つけたらそのことを忘れるくらい躍起になって突き進んでいきたい。
後はエキストラを斬って自分もヘタレで子供に負けたのではない、という所をアピールしたい。
それと話の内容だが、エイリークも導きの書を持っているので、アクセルたちを泳がせ、漁夫の利を狙うということでどうだろう?
情報的にはこちらの方が優位に立っている様子なので出来ると思うのだが」
「では、ミーミルの首の封印を解く、聖なる品がハロルドの村にある事にしよう。導きの書を持っているものは皆、それを理解しているが、ハロルド側の人間は誰も知らない。
アクセルとルシアは封印の解き方を知っている。エイリークはミーミルの首の制御法を知っている。
で、聖なる品を奪うべく、エイリークはハロルドの村で大略奪を行って──最終的3−3では海上のみの、そうだな海底神殿の真上での聖なる品を巡っての大攻防戦に繋げる」
WarCry2−2はハロルドの故郷の街での大陸戦となる事に勢いで決まった。
まて、次号!