はじめてのお使い1アジア・オセアニア

種類 シリーズ
担当 成瀬丈二
芸能 1Lv以上
獣人 9Lv以上
難度 難しい
報酬 不明
参加人数 10人
サポート 0人
期間 04/01〜04/09
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●本文

「で、ナイトウォーカーが見えただけでも二桁いるんだけど?」
 何かアドバイスはないか? リューキ・王は、父であるファーナス王に尋ねる。
「弾丸や特殊能力に頼るな───己の白兵戦の得物なり、拳なりを信じろ、石上神宮にあったとは自分の予想は外れたな───20年前、鹿島神宮からフツノミタマを持ち出さなくて良かった───リューキ、何だその目は?」
「やっぱり、やる事がいきあたりばったりなんだね‥‥」
「柔軟で臨機応変と言い換えよう。白い馬も黒く塗れば黒馬になる。ものは言いようだ」
 結構な小金が壊れていたオーパーツを売り払う事で関係者の手には渡っていた。持ち出しはリューキだけである。
「なーに、いざという時のためにお前が自腹を切って、WEAに一角獣の獣人を配備してもらって、命を落としても、短期間の間に処置をすれば蘇生できるような処置をしておけ───助言してやるのが、父親の愛情というものだ」
 こうして石上神宮に再びフツノミタマを筆頭としたオーパーツを求める面子が集合するのであった。

●今回の参加者

 fa1206 緑川安則(25歳・♂・竜)
 fa1449 尾鷲由香(23歳・♀・鷹)
 fa1718 緑川メグミ(24歳・♀・小鳥)
 fa1761 AAA(35歳・♂・猿)
 fa2196 リーゼロッテ・ルーヴェ(16歳・♀・猫)
 fa4300 因幡 眠兎(18歳・♀・兎)
 fa4554 叢雲 颯雪(14歳・♀・豹)
 fa4773 スラッジ(22歳・♂・蛇)
 fa5271 磐津 秋流(40歳・♂・鷹)
 fa5387 神保原・輝璃(25歳・♂・狼)

●リプレイ本文

 石上神宮の遺跡内部の構造を知りたく、禰宜に尋ねた因幡 眠兎(fa4300)は一番聞きたくない返答を聞いた。
「まるで判りません。何しろ今まで帰ってきた者がいないのですから」
 
「スラッジだ。今回もよろしく頼む。
 ナイトウォーカーの集団か‥‥。確かに異常なようだ。
 フツノミタマに引き寄せられているのか? それとも何かに統率されているのだろうか? どちらにしても、先に進むためには何とかしければ」
 スラッジ(fa4773)は自己紹介の後、つらつらとそんな意見を述べていたが、
 やーくんこと、緑川安則(fa1206)はそのスラッジの意見に対し───。
「‥‥ぐふふふ‥‥伝説の刀剣フツノミタマか‥‥としてはコレクター魂が横取りをしていけと囁くが。まあ、今はナイトウォーカーとの合戦を楽しむだけだな」
「この度し難いウォーモンガーは‥‥」
 緑川メグミ(fa1718)は呆れながら‥‥。
「はあ、また兄様の悪い癖がでた‥‥レアアイテムハンターとしての兄様‥‥格好はいいんだけど、もーすこし部屋の片付けしてほしいわ‥‥本とか満載なのは‥‥」
「それは断固拒否する。ともあれ、スラッジの意見には賛成だな。フツノミタマは伝承がないので判らない。しかし、通常ナイトウォーカーは単独なのが多いが、ここまでの密集という事例にはいくつかの前例がある。上位種がいる場合、またはダークサイドがコントロール下においている場合、何かナイトウォーカーが守りたいものがある場合‥‥かな?」
「今回のナイトウォーカーの数はどう考えても異常よね。やはりナイトウォーカーが守りたいものあるのかしら? 例えば‥‥昔話とかに出てくる眠り姫とか‥‥」
「ロマンチックですね。でも、誰が目覚めの口づけをするのでしょうね?」
 と、クライアントのリューキ・王が微笑む。その愛くるしいエンジェルスマイルにAAA(fa1761)は───。
「いいえ、あたしの眠り姫はリューキよ。手に手を取り合って、ピンチを乗り越える自分とリューキ───と、その他大勢」
 尾鷲由香(fa1449)はそこで思わず突っ込む。
「その他大勢?」
 エースは気にせず続ける。ラブマシーン全開である。
「幾多の試練を乗り越えるたびに深まる友情。そしてそれはいつの間にか愛へ‥‥。
 危険度が高い程、比例してラヴパワーも増すのは世界の常識。
 ナイトウォーカーが10匹いようと、100匹いようと、それはふたりの愛をより強固にするためのものに過ぎない。
 異常な状態であるということは、いつもとは違う状況ということ。
 普段通りであればフツノミタマは見つからないので、むしろこの異常は歓迎すべきもの。でも、みんなは直接言わないけど、ナイトウォーカーが集団行動を取るということは、それらを統率する者がいるのかも知れない。
 ダークサイドの存在を念頭に置き、手に負えない相手ならばいつでも退却できる準備を整えておく」
 ダークサイドと言う言葉に一同は緊張の色を隠せなくなった。
 その緊張を打ち破るかのように叢雲 颯雪(fa4554)が明るく。
「ふた桁のNW‥‥余り見たくないなぁ。
 やっぱりエースの言うとおり、ダークサイド絡みなのかな‥‥それともまさか、ミテーラとか?
 でも、進んでみないと解らないし‥‥。
 取り敢えず行ってみますか!」
 と、発破をかける。
「‥‥と言うかね、神保原さん‥‥いや、輝璃お兄さん?
 ん? と神保原・輝璃(fa5387)が口を開く。
「やれやれ‥‥今となっては何処も彼処も遺跡の発掘作業に躍起になっていると思えば‥‥。
 敵戦力は二桁単位で、実質の数は分からず終いい‥‥数の暴力に押されないように祈りながら頑張るか?
 それはそれとしてだ、積極的な戦闘をするか向かってきたヤツだけ排除するかは向こうの戦力を把握した上で決めたい所だね。
 ふた桁といっても10から99まで沢山あるんだ‥‥それにしても、こんだけのNWを従えるような大ボスって何処のどいつだ‥‥?
 えーと、基本は半獣状態で戦闘といきたいけど、事と次第によっては獣化状態で戦闘させて貰うぜ」
「あのう、今回は全員の面子を獣人で固めているので、秘密の漏洩は心配なさらないで大丈夫ですよ。美意識の問題でしたら、完全に捨て去ってください。
 相手はナイトウォーカーです。バケモノなんですよ」
「クライアントの意向は聞いた。ともあれ、その際は叢雲と行動を共にする‥‥アイツは銃器や射撃戦闘には秀でる所こそあれど、格闘能力は取ってつけた程度のレベルだろうしな。
 回避能力がこっちより上ってだけでも救いはあれど‥‥やっぱり俺がつくより仕方が無いだろ」
「輝璃お兄さん?
 こっちの相談での誘い方とかがね。
 嫌味とか、子供扱いされているとか、そう感じるのは多分、気のせいじゃないよね?
 気のせいじゃないよね!?
‥‥子供扱いするなぁーっ!
 確かに格闘なんて出来ないよ。でも、軽業は私の方が上なんだから!
 適材適所だよ!」
「だから認めている」
「判れば良いの!」
「だが、しかし。戦場は狭っ苦しい洞穴、そして銃器の使用は極力避けるように‥‥か。 自信が無いなら、俺の背中に隠れてたっていいんだぜ?」
「子供扱いすなー!」
 ともあれ、遺跡に通じているらしい、青い硝子状の窓(?)から、ナイトウォーカーの姿が見え隠れする。それは黄金の牡羊に見えた。
 触ってみるとすり抜けるようだ。それを感じたリーゼロッテ・ルーヴェ(fa2196)が一瞬の内に跳躍し、間合いを詰めてコア目がけて引き金を絞る。
 その間にも力を貯め、周囲に甘い匂いを放ち、3匹程いた金羊を無効化する。
 磐津 秋流(fa5271)はそこに飛び込み、無言で動きが一瞬止まった金羊にスレッジハマーの零距離射撃を打ち込む。カートリッジが軽い音を立てて転がる。
「‥‥」
 地面に倒れたナイトウォーカーは完全に動きを止めた。
(今回はNWの数を減らすことを念頭に行動‥‥触らぬ神に祟りなしとはいうが、さすがにナイトウォーカーを捨て置いてはいつ溢れだすか解らないと)
 しかし、中型のナイトウォーカーが群れているというのは非常に厄介な状況。
「‥‥命がかかっているんだ‥‥急がず焦らずに‥‥な」
「ねえ、ひょっとして、あの窓、結界か何かでナイトウォーカーを通さないんじゃない?」
 ヴァッツはこれで今まで上古の昔から、なぜこの洞窟からナイトウォーカーが出なかったか判ったような気がした。
「ナイトウォーカーを掃討し終えたら、この発見はWEAに報告しましょう」
 と、リューキ。
 そして、銃弾や矢を補充しながら、一行の探索は続く。かなり広い。しかし、それでも来た方向に矢印を刻み、ナイトウォーカーの寄生媒体とならないように気を配る。
 一週間経って得た結論としては恐らく同心円状に遺跡は造られており、あの硝子状の結界で仕切られている階層が更に最低もう一層ある事が確認された。
 倒したナイトウォーカーの数は48頭。いずれも同じ個体であり、個体差は見受けられなかった。
 同心円状だから、今度はもっと狭いはずだ───。
 一同は一種安堵した。そして、とある獣人がもっていた水晶の剣や、壊れたオーパーツを回収して、当座の資金に充てることにした。銃器などの補充品はリューキが身銭を切っている。
 水晶剣は皆が苦労したという事でジャンケンで(もちろんリューキは除いて)決めることにした。
 勝者はメグであった。
「すまん、くれ」
 と義兄の言葉をやり過ごして、ついに最初の階層を突破して、後の世のために石上神宮に地図を奉納したのであった。