はじめてのお使い2アジア・オセアニア

種類 シリーズ
担当 成瀬丈二
芸能 1Lv以上
獣人 9Lv以上
難度 難しい
報酬 271.1万円
参加人数 10人
サポート 0人
期間 04/25〜05/03
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●本文

「ほう第一層は一掃したか」
「ダド、日本語でしか通じない洒落をいっている場合じゃないよ」
 リューキ・王が父、ファーナス・王に語り出す。
「まあ、こういうのはツツキの順序で、強い奴は奥深くにいるのが定石というものだ。最後のボスがトイレみたいな所に籠もっているのは斬新だが、ただ斬新なだけだ」
「ダド、そのネタは日本のライトノベルでやられているよ」
「気にするな‥‥まあ、相手の情報は今度は不明という事だ。三桁行くか?」
「多分、行かないと思う。二桁半ば、多分同程度の数かな〜」
 ナイトウォーカーは通さない壁、それを使っても見られる範囲は多寡が知れている。
「まあ、三桁まで行けば俺が助太刀してやる」
「断るよ」
 リューキは平坦に言った。
「それでこそリューキの父親をやった甲斐があったというものだ」
 ともあれ、石上神宮はリューキ達を優先して、遺跡に入れるように、警戒態勢をWEAの救護班(無論只ではない)と提携して、警戒網を敷いている。
 盗掘の恐れは‥‥無いようだ。
 カット55スタート。

●今回の参加者

 fa0204 天音(24歳・♀・鷹)
 fa0378 九条・運(17歳・♂・竜)
 fa0760 陸 琢磨(21歳・♂・狼)
 fa1718 緑川メグミ(24歳・♀・小鳥)
 fa1761 AAA(35歳・♂・猿)
 fa2196 リーゼロッテ・ルーヴェ(16歳・♀・猫)
 fa2671 ミゲール・イグレシアス(23歳・♂・熊)
 fa4558 ランディ・ランドルフ(33歳・♀・豹)
 fa4773 スラッジ(22歳・♂・蛇)
 fa5271 磐津 秋流(40歳・♂・鷹)

●リプレイ本文

「考え過ぎか?」
 スラッジ(fa4773)は石上神宮に入る前に準備していた酸素タンクや対ガス用の装備の数々が今までの所、無駄に済んだ事を感謝しつつ、一方で応急手当キットから、止血帯を取り出し抉られた脛の上を全力で締め付ける。
 時計のアラームをセットしなおし───。
「一定時間毎に血を通わせないと、脚が壊死するしな」
 彼の予想通り、第一階層と第二階層とでは、違う外見のナイトウォーカーが巣くっていた。といっても角が増えて3本になっただけだが、動きのスピードは桁が違う。
 完全獣化し、鋭い視力を誇る天音(fa0204)が接触直前に影の角が増えている事を指摘しなければ、なし崩しに乱戦になり、磐津 秋流(fa5271)の援護も出来ないまま消耗戦になっていただろう。
 彼は実験の為、結界越しに弓でナイトウォーカーを攻撃できないかを試していた。
 結果は的中し、一方的な攻撃が可能である事が判明した。最も、二三度攻撃すると、学習したのか、攻撃を受けた個体は結界には近寄ってこなくなったが。
「十握剣や破山剣、火尖鎗なんかも福袋で出てくるご時世。
 暫くすると布都御魂や天之尾羽張も福袋から出てくるかもな〜〜?
 微妙に笑い話になってないのが怖い事だが」
 九条・運(fa0378)は、昨今のオーパーツ事情を笑い飛ばす。
 彼の戦いぶりは、大陸竜人が興した剣術『戴天神剣』を正当に伝えるものであり、相対した奴の足止めしながらコアの位置を探り発見次第コアを虚実入乱せて徹底的に攻めて確実に葬ってく!
 渾身の踏み込みに拠って生じた体重移動の力を爪先・足首・膝・股関節・腰・肩・腕の順に体内で螺旋を描く様な感覚で伝達しようとし、、更に全身の筋力を最大出力で発し追従させんと試み、それら全てを余す事無く勁と成すが如き勢いを剣に乗せ一撃必殺の意を籠めて撃ち出す。
 それが戴天神剣が剣技『臥龍爪牙!』
 つまり、後がない剣技であり、敵が多いとタコにされるのみであった。
 しかし、それでもナイトウォーカーのコアを一撃で破壊するにはいたらない。
「現ナマの方も高収入な仕事だが‥‥出資者は誰だ?
 この面子に、これだけ払うとそれだけでレアな車が数台買えるぞ?
 まあ良いや気にしねえ。
 折角なので俺は赤い扉を‥‥もとい稼がせてもらうぜ!」
「あの財布の方は全部、ボクが出してますけど」
 と、パーティーのお荷物、スポンサー、クライアントであるリューキ・王がおずおずと切り出した。
「全部、お前さんが? リューキ」
「はい」
「───姉貴じゃなくてお前に借金すれば良かったな」
 AAA(fa1761)は小指を立てながら───。
「もう、リューキったら水くさいのよ。そんなに無理矢理お金を出さなくても、火の中、水の中、どこまでも付いていくのに。
 リューキのためなら、24時間フルパワーで頑張っちゃうわヨ★」
 その光景を見た漆黒の狼獣人、陸 琢磨(fa0760)曰く───。
「馴れ合いか───命のやり取りの場だろうに」
「私にはデートスポットでもあるのよ」
 と、 怒り狂っている緑川メグミ(fa1718)は弓手にコールドボウを携え、腰には矢筒と三節根をぶら下げ、無国籍風のアルテミスといった出で立ちである。
「‥‥兄様は久しぶりの爆破と射撃技術の教官役に飛びついたわ‥‥まったく、爆破は美学とかいいだして、いそいそと‥‥。私の護衛をする約束はどうしたのよ」
「お互い兄姉には苦労させられるな───」
 と、運。それに対して照れたメグミは話題を切り替え。
「そういえば、あのNWを寄せ付けないのって‥‥あれもオーパーツよね? あれが量産化できればいいのにね」
「ナイトウォーカーを閉じ込めている結界に関してはどのような仕組みなのか興味があるわ。結界が張っている場所に何か文様などがないか調べてみたけど、もちろん、結界が解除でもされてしまったら大変なので、不用意に触れないように慎重に注意した上で調べてみたけどね」
 リーゼロッテ・ルーヴェ(fa2196)が入り口の所で立ち止まって何やら皆の脚を止めていた事を詫び、ひとつの結論を出す。
「で、どうだったの?」
 と、メグミ。
「私の結論は多分、いや早急に過ぎると思われるけど、この遺跡自体がひとつのオーパーツなんじゃないかって思えてきた。笑っても良い───」
 ミゲール・イグレシアス(fa2671)曰く。
「たまには、ナイトウォーカー退治で腕を磨かんとな。そんな自分やから、オーパーツにも興味あるねん。随分とオモロイ話やんけ?」
 転がっていた七支刀を、たゆまぬジャンケン合戦の末、勝ち取り、今までのメインウェポンである日本刀を腰に落とし差しにしたミカエルが興味深そうに体躯を揺する。
「なんや、ランディ面白くないんか?」
 と、ランディ・ランドルフ(fa4558)に話を振るが、彼女は───。
「いや、話が大きすぎるので、何とも言えないだけだ。この遺跡そのものがオーパーツと言われても俄には信じがたい」
「夢があっていいやんけ? まあ、さすがにWEAがごり押ししても、この遺跡を丸ごと掘り出すのはムチャやろうけど。ナイトウォーカーを殲滅して、調査隊を送り込んだりするには、こちらの行動が利している訳やねん」
 その後、毒ガスが立ちこめており、死体が並んでいる一帯を抜け(スラッジの用心はここで役に立った)、新しい結界を見つけた。
 先は狭い回廊であり、一同の持ち込んだ明かりで照らされた真っ直ぐな一本道である。 その深奥にそれはいた。
 身長2メートルの堂々とした体格の紀記の時代の古代日本の武人。鋼の剣を振り上げ、言葉にならない絶叫をする。口からは100メートルの射程を誇る凄まじい雷光が迸り狭い回廊にいた一同を襲う。
 完全獣化していて尚、一撃で瀕死に追い込まれる一同。しかし、リューキは根本的に体力が足りなかった。
 心臓が止まっている。
「退くわよ!」
 エースが叫ぶ。
「多分、あれがボスでしょうけど、あたしはリューキの命を最優先するって決めているの!」
 遺跡を出ればWEAに依頼して配置させておいた(無論リューキの支払いである)一角獣の獣人達が全力で一同を癒しにかかる」
「リューキの心臓動きなさい!」
 エースの絶叫の元、リューキの頬に赤みが差し始めた。
「皆さん、不甲斐なくて済みません」
「いいのよ、リューキが活きていれば」
 エースが涙を流す。
 ともあれ、最奥部までの突破口は開かれた。後はフツノミタマを手にするのみである。あれがフツノミタマであれば───だが。