はじめてのお使い3アジア・オセアニア

種類 シリーズ
担当 成瀬丈二
芸能 1Lv以上
獣人 10Lv以上
難度 難しい
報酬 351.8万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 05/20〜05/28
前回のリプレイを見る

●本文

「で、一度死んだ感想はどうだ、リューキ?」
「最悪‥‥」
 父であるファーナス・王の言葉に、このフツノミタマ依頼のクライアントである少年リューキ・王が答え返す。
「みんなもズタズタにされて───たった一撃の稲妻で‥‥しかも獣化していたのに」
 100メートルの回廊の先に佇む巨人。そのおそらくフツノミタマの所持者にしてガーディアンであろう『それ』は100メートルのレンジの雷撃を放ち、一撃で一同を壊滅状態に陥らせたのだ。
 身体の出来てる同行者たちはともかく、まだ未熟なリューキはその雷撃に耐えきれなかったのだ。
 結果として死亡したが、あらかじめWEAを介して準備しておいた一角獣の獣人の緊急班により復活、あの世に行かずに済んだのである。備えあればなんとやらとはまさにこの事である。
「多分コアへの一点集中攻撃を特殊能力に対してやればいいのだろうけど、まだそこに至る前に、総崩れになってしまったしね」
「ナイトウォーカーはコアを狙え、定石だが、鉄砲や殴り合いで破壊出来るほど、ヤワではないだろうな。もっとも、他に手は無いかもしれないが」
 ファーナスは頷くと、完全装備のリューキを送り出した。
 カット57スタート。

●今回の参加者

 fa0190 ベルシード(15歳・♀・狐)
 fa0204 天音(24歳・♀・鷹)
 fa0378 九条・運(17歳・♂・竜)
 fa1761 AAA(35歳・♂・猿)
 fa2196 リーゼロッテ・ルーヴェ(16歳・♀・猫)
 fa4558 ランディ・ランドルフ(33歳・♀・豹)
 fa4773 スラッジ(22歳・♂・蛇)
 fa5271 磐津 秋流(40歳・♂・鷹)

●リプレイ本文

 危険地帯をスラッジ(fa4773)の指示でガスマスクをつけて突破しながら、一同は遺跡の最奥部、死の回廊───剣持つ巨人の待つ───の近くまで到達した。
 そこでベルシード(fa0190)が背にした袋に手を突っ込むと、獣人としての己の能力で、己の分身を創り出す。
「とりあえず、僕が相手の力量を計るから、君たちはちょっと待っててね」
 と、慎重さで事に当たる。
 1体目───閃光が迸り、灰は灰に返った。
 2体目を間髪入れず突入させる。十秒後回廊を幾らか移動した所で稲妻に打たれて消滅した。
 3体目‥‥‥‥4体目‥‥。
 都合8体の傀儡が消えたが、到達したものはいなかった。
 その直前まで天音は天音(fa0204)は強化された鋭敏な視力を望遠鏡に合わせ、ブレスを打つタイミングの見切りと、相手のコアを探っていたが、巨人のコアを発見する事は出来なかった。
 また、タイミングが判った瞬間で、特殊能力を発動しても事実上、反応仕切れない事も判った。
 九条・運(fa0378)は笑いを抑えず。
「くっくっくっくっく、甘く見るなよ軍神カシマ。何だって? 敵の仮名だ。
『あかいすいせい』を身に纏った俺の速度は通常の3倍! 但し気分的に!!
 今度はそう易々とはやられん!! 気概的に!!!」
 言ってラジコンカーとラジコンヘリを使う。ゴムコーティングの盾を持ち、ラジコンカーで回廊に突入の際のトラップ看破と、ラジコンヘリで相手のブレスの回数を少しでも減らす。
 ベルシードと合わせて合計10発を空撃ちさせた事になる。
「今はこれが精一杯だな」
「しょうがない───一気に行くよ、みんな!」
 ベルシードは宣言。
 最後の傀儡を伴って、更に脚に力を乗せ、自分の移動力を倍加させる。
「リューキにヒドイことした、あの大男は許せないわネ!
 もうアタシったらぷんぷんなんだから。
 ぼっこぼこのギッタギタにしないと気が済まないわ!」
 AAA(fa1761)は壁を走りながらも、ベルシードとリーゼロッテ・ルーヴェ(fa2196)に続いて突入する。

 ランディ・ランドルフ(fa4558)は後方からの支援を考えて愛銃を抜いたまま、一呼吸置く。
 しかし、情け容赦なく雷は浴びせられる。
 天音が羽根を瞬間集中して打ち出すが、先に念じていた相手に適わない。
 一同は雷撃でまた壊滅状態になった。
 しかし、ベルシードとロッテはエンゲージ。
 ベルシードは下がり、後方支援。相手に幻術を見せようとするが、ダメージで魔力をうまく集中できない。
 ロッテは後頭部に銃口を突きつけようとするが、通常の生物を遙かに超えた反応速度で剣が振り下ろされ、右肩から臍の辺りまで熱したナイフでバターを切り裂く様に、切り下げられた。
 臓物がはみ出す。
 次の瞬間翻って、ベルシードが注意を逸らすべく放った炎の礫を斬り捨てる。
 これが無ければロッテは即死だったろう。
 ベルシードにしても、ベルシードを斬り伏せるべく軍神カシマ(仮名)が背中を向けた事で後頭部にコアの盛り上がりを確認する。ロッテは間違っていない。
 ただ、38口径の銃の威力では普通のナイトウォーカーのコアを1発や2発では破壊できないし、彼我の戦闘力の差に天地ほどの開きがあっただけだ。
「行け、サダメっ!」
 破壊されたゴムの盾を投げ捨てながらスラッジ。
 運も黄金竜の姿のまま、集中して火弾を撃ち放とうとするが、やはり魔力を集中できず、自分が殴った方が早い程度の一撃しか浴びせられない。
 ランディも後ろで愛銃に念を込めている。
 エースも突入して、相手の口の中に微細に振動する己の爪を突き込もうとするが、易々と剣で受け止められる。
 格闘能力の差がありすぎて、勝負にならない。通常のコンディションでも相手にならないのに、ダメージを追っていてはもう全員が戦力外である。
 天音も集中し、自らの羽根をまとめて後頭部のコア目がけて解放しようとするが、余りにも負傷は大きく、魔力は限定されていた。
 まだ内部に突入していない面々を雷のブレスで一掃しようとする。
 天音は念じた。
「もう───これ以上、撃っても致命傷になるだけの威力を維持できるか判らない───しかし、これに賭けるしかない」
 走り来る稲妻が止まって見えるかの様な集中力。
 一枚の風切り羽が軍神カシマの後頭部に突きたった。
 永きにわたる時を遺跡の中で暮らしていた、ナイトウォーカーは永劫に動きを止めた。
「終わったわよリューキ」
 エースがコアに爪を突き立てながら、白竜と化した少年を呼び寄せる。
「みんな、こんなに傷だらけになって───この剣がフツノミタマかな?」
 と、自信なさげなリューキくんであった。
「とりあえずひとふりさせてくれ───いや、ロッテの応急処置の方が大事か───」「この手のものって最深部のお宝を取ったら一気に崩れだすってのがお約束だよね」
 と、弱々しい息でロッテが微笑む。
「多分これがフツノミタマだな」
 と運。
「掘ってある神代文字が俺の(以下、蘊蓄5000文字)という事で、これが本物のフツミタマだ。一振りさせてくれ───凄い力を感じる、はぁはぁ。リューキ、こんなモノ手に入れたからって力に溺れるなよ」
 ロッテも無事に配備していた後方の一角獣獣人に癒され、一同も本復した。

 後に各人のメールにファーナス・王も納得して、はじめてのお使いは無事に終了したと認められたと、リューキからのメッセージが入っていた。
 しかし、えらく高くついた初めてのお使いであった。
 なお、あの石上神宮の遺跡は後日、WEAの調査団の調査を受ける事になるとの事だそうだ。