WAKUWAKU−BEAST−LAND3アジア・オセアニア
種類 |
シリーズEX
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担当 |
成瀬丈二
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芸能 |
1Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
易しい
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報酬 |
0.9万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
02/25〜03/01
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●本文
「何が出るかな? 何処かに当たるかな?」
などと世界地図を壁に広げて、ダーツの的にしている大友女史、前回はこれでオーストラリアに強引に決めたらしい。
「今回はまた日本ね──どこかしら?」
図鑑の中の動物たちがすぐそばで見られる──宮崎市フェニックス自然動物園とあった。
フラミンゴが目玉らしい。近くには温泉もあるようだ。
「温泉か? いいわね。やっぱり、日本人はお風呂が一番」
「おおい、大友? 次の企画は決まったか」
「まだ、夏路線は捨てていないわよ」
と、丹先輩の言葉に、ついつい本音を零してしまう。
「今回は温泉もあるのよ、温泉も!」
「クアハウス行けよ‥‥」
いやよ。男女が別々の湯じゃ醍醐味は味わえないわ!
と大友女史は言おうとしたが、思い止まったらしい。
「ま、あの子もいるし、肩まで漬かりながら一度腹を割って話し合う必要があると思うのよ!」
「ま、それはおまえの趣味だ。だ、だから何故、臑を蹴る!
空手の達者の彼女は加減しながらもローキックを丹先輩に浴びせる。「ともあれ、各種手配よろしくね♪ 上へは私が話を通しておくから」」
相変わらず陽気な大友女史。どうやら、童話の太陽と北風を思い出したらしい。
「さて、ヘッドライナーは誰にしようかしら‥‥」
●リプレイ本文
ズドドドドドドッッ!
「宮崎市フェニックス自然動物園です。今日のヘッドライナーはマリスことマリアーノ・ファリアス(fa2539)が務めるよ、ヨロシク!」
紅毛緑眼の少年が午前十時の山羊の大行進に巻き込まれつつもマイクを離さず、懸命に藻掻き、苦しみ、やがて、倒れ込む。
そして、無数の山羊の行進から這いずり出ると──。
「WAKUWAKU−BEAST−LAND3始まるよ」
ピースサインを出して、そのまま倒れ込む。
「マリス──死亡確認」
「って青雷さん、好き勝手言ってるんじゃないよ」
と、青雷(fa1889)に食ってかかるマリス。一歩遅れて又、借りスーツ姿ののダンディ・レオン(fa2859)が抱え起こす。
「大丈夫であるか?」
尚、セイはメテオブレードを所持してくると言って、やまなかったが、そんなものをWEAの息がかかっていない、地方の動物園で見せびらかす訳にも行かず──幾ら、羽織袴だからと言って冗談が過ぎるだろう、と大友女史が却下し、彼女の荷物入れに安置されている。それを担いでいるのもレオン。青雷の緊急時の戦闘力はレオンとのコンビネーションにかかっているのだ。
ともあれ、このセイ。
「半ズボンが似合う子が多いっすね、高校生の俺には無理な代物だ」
と、皆と打ち合わせ時に発言し、皆から一歩退かれている身である。
「ててて‥‥ヘルメットしてなきゃ大怪我してたよ。大友さん! ──狙っていたな?」
「いや半獣化していれば大丈夫かなって?」
そう、大友女史に言われる、今回のマリスのコスプレは自転車競技の選手。
半獣化(猿耳+尻尾)しつつ、頭には赤のサイクルヘルメット、上はやや派手な、黒を基調としつつピーコックグリーンの幾何学パターンのサイクルジャージ。下は膝上丈の同系カラーでまとめたレース用スパッツで参加。
尻尾の処理は後ろから撮影しない事にしていたが、やはりきついものはきつい。
ちょっと撮すと見苦しい画になりそうであったので、裾から出す事で とりあえず、撮影用のテントに運び込み、芹沢駆(fa1281)がマリスを癒やす。
カケルのコスプレのイメージは犬。つけるのは垂れ耳と跳ねた尻尾と細目の目立たない首輪。あくまでワンポイント。
上は目立たない格好だが、下は大友女史提供の半ズボン。レトロチックであるが、半獣化したカケルの尻尾を出す関係上、色々いじってある(──つまりは半獣化するような事態を想定していたわけだ)。
「ねえ、丹さん。昔の子はみんな半ズボンだったんだよね。
この前、一杯見せてもらって、半ズボンにも長いの短めのと色々なのがあるのが分かったけど
短いのって足もすごく出ちゃうし、下着も見えちゃいそうな感じ、昔の子は恥ずかしくなかったのかなぁ? ちょっと不思議‥‥」
カケルがマリスの治癒能力を増幅させた後、安眠する彼を横に見舞いに来た丹先輩と話し合う。
「まあ、昭和40年代生まれの自分からすれば、今のハーフパンツというのも、脚を出しているのには変わりがないから。
まあ、ハタチ過ぎても男が平気で脚を丸出しにしているのは違和感があるけれどね。
まあ、半ズボンとハーフパンツ。
微妙に違うんじゃないか、って言えば違うんだろうが、半ズボンで下着が一々見えるか、見えないか気にしてたかって言われれば、気にしていなかったからな、そんな事を気にする頃には半ズボンを卒業していたしね。
それを言ったら、東京オリンピック以前はブリーフも普及していなかったから、皆トランクス、というか猿股に半ズボンみたいな格好だったけどね。
おっと、時間が勿体ない。マリス君を宜しく頼むよ」
出て行く丹先輩。
「じゃあ、カケル君が怪我を治すのに2時間かかるとして、食事も入れて午後からの撮影再開だな」
テントから出てきた丹先輩が現場を仕切る。
「その間にくぅ君にこの撮影の概論をやっていてもらうか、時間とテープは無駄に出来ないしね」
「はいです。判りました」
クッキー(fa0472)は、大友先輩に急いで着付けて貰った、碧い袴姿で、フリップを持って、宮崎フェニックス動物公園の解説を始める。
「ひゃっほー!」
そのカメラの視界の端っこでちょろちょろしながら、ヒールリフトをするのは月岡優斗(fa0984)であった。
衣装は前回までの全日本とは違い、灰色系統のフットサルウェアと、ハーフパンツと、持ち込んだリフティングボールというやや地味目なものであった。
半獣人の肉体的アドバンテージに独自の運動神経の良さを加えて危なげなく、ヒールリフトを始めるゆーと。
一方、くぅは丹念丁寧に解説を始める──。
「宮崎市フェニックス自然動物園では、フラミンゴの美しく華麗な演技を堪能できるショーは必見です。
太平洋を望む丘陵地に13万平方メートルもの敷地を持つ、南国ムード溢れる動物園には約100種1500点の動物たちが飼育されています。なかでもフラミンゴの飼育数は日本で1番です。
その、フラミンゴによる華麗なショーは見逃せません。
また、先程お見せしたヤギ80頭によるの駆け足大行進など、イベントは盛りだくさん。動物園の他には、遊園地やプール、夏季のみですけど、なども併設されているので一日中楽しめます」
「オーバー! いいよ、クッキーくん」
「はいです、ありがとうございます」
「ねえ、ねえ、俺はどう撮れてた?」
テンション高げに液晶画面を覗き込むゆーと。
映り込んだ自分の姿を確認すると、握り拳を上に高々と突き出して、声高々に。
「ひゃっほー! 目的達成! フットサル少年デビューだ!」
カメラレンズが自分の動きにそってパンしているのを見て、両手でVサインを出しつつ──。
「趣味、動物園巡り。強(あなが)ち嘘じゃない気がするゆーとです、こんちは」
カット!
「丹先輩何でカット?」
「放映時間は?」
「えっと、朝7時。あっ?」
「そういう事。たてちゃんと航太くんを入れて撮り直してみようか?」 と、神代タテハ(fa1704)と、星山航太(fa2700)を入れて、リテイクを入れる。
「おはよー! 趣味、動物園巡り。強(あなが)ち嘘じゃない気がするゆーとです」
「おはよーございます。今日はみんなのお姉さん役を務めるタテだよ。よろしくね」
「どうも、宮崎は初めて来ました。色々なものを吸収して帰りたいと思っている航太だ。俺もよろしく」
とレッサーパンダの着ぐるみ(首の所から顔が出るようになっている)を着込んだ航太と、
黒髪に、黒と灰色のしましま柄のバンダナと、合わせた柄のパーカーを着ていき、猫耳と尻尾を出し、猫海賊風を目指すタテ、という、傍から見ると、何が何だか判らない、という集団になってしまった。
「うんうん、これがいいのよ。これくらいカオスじゃなきゃ」
とは大友女史。
「お前、方向性が取れていれば『それでよし』というつもりだったろう?」
と丹先輩から突っ込まれる。
「‥‥それはおいといて」
もうすぐいかないと、フラミンゴショー、12時:30分からの部に間に合わないでしょ、と大友女史から急かされる、丹先輩。
「くぅ君を先回りさせてあるから大丈夫」
くぅは舌足らずな口調で様々な色調の赤で彩られた、フラミンゴの前に立ってフリップに指示棒で示しながら──。
「すんでいる所 ヨーロッパ、アフリカ、アジア
食べ物 小エビ、小魚、藻類、種子
みどころ 濃いピンク色をした大形のフラミンゴです。
塩水、アルカリ性の湖など、きわめて特殊な環境に適応しています。
繁殖期に見られる、集団ディスプレイ──頭を振ったり、翼を広げるなど──は見事の一言です。
一夫一婦で、泥や土で巣を作り、1個の卵を産卵し、雌雄交代で抱卵します。
宮崎市フェニックス自然動物園で、11月下旬から12月初めにかけてチリーフラミンゴ2羽がふ化したそうです。フラミンゴは通常、3〜5月に繁殖することが多いそうで、寒さが厳しくなる今の時期に繁殖するのは珍しいのです。
年の暮れのひな誕生に、『とり年最後のプレゼントですね』と喜んでいました。
2羽は、『レンゲ』『リンゴ』と名付けられました。
性別はまだ不明。10月下旬、フラミンゴ舎内の巣から落ちていた卵に気付いた同園飼育係が、ふ卵器で約1カ月温めました。1年後には体長約1メートル前後に育つそうです。
毛並みは、まだ雪のように真っ白で。3、4年すると鮮やかなピンクに色づくそうです。名前は、同園飼育係らが『きれいなピンク色になって』との願いを込めてつけたんだそうです。
ここにはフラミンゴが約300羽おり、年間10羽前後が春先に繁殖しています。
動物園では『今年はようやく冷え込んできたが、暖かい日が続いたため繁殖が早かったのでは』と話しているそうです。
ひなは現在、室内で育てられているが、暖かい日にはフラミンゴ舍内で日光浴をしており一般客も見学可能だそうです」
そして、150羽のフラミンゴが進み出てきた。付き添うのはふたりのツアーコンダクター風のフラミンゴ色のブレザーを纏った女性がふたりのみ。
彼女らが何もしなくても、自在にフラミンゴ達は流される音楽に合わせ、その集団性という性質により、集団が二分、三分し、またひとつにまとまっていく。
圧巻なのはこれらのフラミンゴが一斉に池の上を紅い翼を広げたまま、ホバークラフトの地上効果と同じ原理で、水面すれすれを渡っていく様であった。
「わー、翼の裏の赤が奇麗。ほんと何で統率取れるんだろう?」
タテが感動をそのままに披露する。
早速、くぅがフリップを読み上げる。
「かつて、一世を風靡した華麗なフラミンゴショー。実は、このフラミンゴショーは日本が発祥の地だったのです。そこで開発した方を訪ねました。すると、その方が言うには、フラミンゴショーは誰にでも出来るというのです!
実は、フラミンゴは警戒心と集団性がとても強い動物。人間が移動したり道を塞いだりすれば、警戒して集団で決まった方向に動く性質があるのです。この性質を利用したのが、フラミンゴショーだったのです。 そこで、そのレポーターがレストランにいる訓練されたことの無いフラミンゴで、フラミンゴショーに挑戦! ぶっつけ本番だったにもかかわらず、大成功に終わったのだそうです」
「すげーな、俺もやってみてー! って言うか、何でフラミンゴがぶっちゃけ、その時、レストランにいたの? そこが不思議!」
ゆーとが今にも柵を跳び越えそうな勢いで腕を捲る。
「待てい若人」
とレオンが止めに入る。
「そうだよ、ずるいぞ。俺だって、お喋り出来ないから諦めていたのに」
「そういう理由か──少年」
と、セイが航太を見ながら呟く。
「だって、一緒に唄いたいじゃないか? 畜生、フラミンゴじゃなくて、小鳥だったらなぁ」
「フラミンゴの獣人か──やっぱり、カロチン採らないと紅くならないんだろうか? ニンジンや海老が必須だな」
この前、バラエティ番組で見たウンチクをつい思い出すセイ。
「あれ? マリスは──」
その頃、マリスは一生懸命に自分をディスプレイし合う雄クジャク同士の戦いを見て──。
「‥‥くー。おまえ等の気持ち、痛い程に判るよ、やっぱり」
「何やっているの?」
「いや、男同士で女を争う戦い。男で無ければこの気持ち判らないよ」「だー、何を色気づいているのこのエロザルは?」
「あれ、大友さん?」
横合いから撮らせて貰っているからね、と大友女史は宣告する。
「あちゃー、師匠さんもこれ見るのかな──? ね、勘弁してよ、ね」「──どうしようかな?」
「こら、大友」
「あ、丹さん? お願いしてよ。男同士の誼(よしみ)でさ。いやぁ、実はフラミンゴへのリアクション特に考えていなくって、ヘッドライナー失格かなって、さ」
「まあ、当人も反省しているようだし、フラミンゴの良い絵も取れた事だ。良しとしようじゃないか?」
「丹先輩の顔を立てているからじゃないのよ、子供をあんまり苛めるのも問題があるから、解放してあげるんだからね」
「サンクスっ☆ ありがと大友さん」
言って大友女史に飛びつき、抱擁するマリス。
「やっぱり、お前はエロザルだ〜!」
半獣化した少年を避けきれず、正面から受け止める形になる大友女史。茹で蛸のように真っ赤になる。
「こいつも男性に免疫がないんだ。まあ、勘弁してやってくれよ」
丹先輩が、マリスを引き離し、宣言した。
「じゃあ、一応、ゆーと君が行きたがっていた様だし。遊園地の方にも行ってみるか?」
「や、ただ遊園地みたいなのが目に入っただけで‥‥そんな行きたいとかじゃねーから。そんなガキじゃねーから」
と、言いつつもゆーとの目は泳いでる。
主にジェットコースター方面に。
じゃあ、戻って──。
と、大友先輩が言いかけた所で、ゆーとがそれを打ち消すように。
「──あれ、今回尺足りないんじゃないのかなって? ほら、動物園以外にも名物、色々とあるだろうし、撮っておくのもいいんじゃないかなって──それだけだよ」
じゃあ、遊園地に行く前に──と。丹先輩が付け加える。
「テントに戻ってズボンを履き替えてからにしよう‥‥半獣化した時のそのリスの尻尾は凄く目立つからね、きっと、受付で外してくれ、と言われるよ。そうなって、お尻に穴の空いた姿を全国に晒したくはないだろう?」
あ、これはゆーとだけだから。後は誤魔化せるだろう、と丹先輩は付け加えた。
「タリホー、やっぱり、空はいいね!」
運良くゆーとはジェットコースターの一番前に座って、風となって絶叫する。
「これも撮っているから、みんな楽しく乗ってくれよ?」
無論子供たちから離れて、レオンとセイも代わる代わる乗っている。
無論、体力上は問題がないのだが、地上と空中の両方のどちらからか、ナイトウォーカーが湧いて出てくるかも知れないのだ。
ちょっと用を足しに行っていたタテが、茂みの中から引っ張られる感触に気がついたのは帰りの事であった。
「誰です?」
茂みの影にいたのは尻尾を第3の腕として、毛の生えていない部分の全身を甲殻に包まれた異形の者であった。
「きゃー!」
このタテの声に反応したのはセイと、マリス、ゆーと。
獣人能力を使おうと半獣化しようとするセイだが、波光神息を使うには間合いがありすぎる。愛刀を取るべく、レオンの荷物の元へと向かう。
半獣人化しているマリスは素早く間合いにもつれ込むが、タテを追いつめようとしている異形がニホンザルを原型にしている事を知ると、痛みが胸を走った。
「もうちょい、右にずれて!」
隠れてから、尻尾の物量で、ズボンと下着が裂けるのも構わず、半獣化するゆーと。
回りの観光客がざわめき出す。
「何だ、あれは?」
「監督、出番まだですか?」
こまっしゃくれた口調でカケルが丹先輩に声をかける。
「いいぞ、そのままカメラ回して!」
すると、丹先輩が今までくぅが映っていたカメラを、タテに向ける事で強引に特撮の撮影という事にする、というよりしたらしい。
(丹先輩サンクス──)
「やる時はやるぜ、俺」
そう言って十秒間、念じると、アスファルトを突き破り、こぶし大の岩が生まれる。
それを軽くリフティングして、空中に放り上げると鋭い脚運びからのボレーシュートを噛ます。
「狙いはお前。ちょっと食らってみてくれよ‥‥!」
ゆーとの狙い通り、全魔力を込めた渾身のボールはナイトウォーカーというゴールに突き刺さる。
弱った所で、マリスが打撃系主体の攻撃で追い打ちをかけ、そうやって時間を稼いでいる間に、セイがメテオブレードを片手に一刀両断する。
「成敗!」
この言葉と、時代のかかった衣装で何かのドラマの撮影だという事に収まったようだ。
「カーット!」
「危ない、危ない、後でWEAに大目玉食らいそう」
大友女史は危機感のない口調で湯船に浸かったタテと、上気した肌を見つめ合う。
ここは温泉、湯煙の國である。但し、男子禁制。
「でも、大友さん、凄い体力ですね。やっぱり、武道を何かやっていたんですか?」
「色々とね、主にフルコンタクトなものばっかりね。タテちゃんこそ、肌がすべすべしていて、やっぱり、若いっていいわね〜」
一方、竹襖ひとつ隔てた姫君ご禁制の男湯にて。
「はあ、皆には、肝心な時には何も出来なくて、済まないのである」
レオンが男泣きに泣いていた。
しかし、鳥がNWに汚染されていれば、空中攻撃も十分にあり得たので、そんなに気にする事はない、と丹先輩もフォローにはいる。
尚、カメラは入っていないが、水着着用は禁止である。
マリスなどは勢いで、下着で入ろうとしたのだが、カケルに慌てて止められる。
「いやぁ、オーストラリアではシャワーばっかりだったからね、こうして肌を突き合わせるのもこれが最初じゃないの?」
等と気楽にカケルは言うが、丹先輩を除いて、思春期の皆である。
竹襖の向こうの声が気にならない訳がない。
それを吹き飛ばすかのように。
「どりゃぁっ!」
ゆーとが立ち上がり様に、皆に洗面器でお湯をかけまくる。
「あまいな!」
見切っていた、マリスがすぐさま反撃に出る。
「秘技タオル矧ぎ!」
「何のこちらも!」
とっくみあいになる中学生ふたり。
残りのカケル、航太、くぅの11才、3人はこの展開についていけない。
レオンも青雷も丹先輩もこれが遊びに過ぎないので、黙って見ている。
襖越しにこの会話を聞いて──。
「男って」
「大友先輩って男嫌いなんですか?」
「そういう訳じゃないんだけれどね」
皆が風呂から出ると、カケルの手配していた宮崎の素材をふんだんに使った、よく冷えたフルーツゼリーが準備されていた。
「で、次のヘッドライナー誰がやる?」
大友女史は一同に帰りの飛行機でそう問いかけるのであった。