潜望鏡下げろ! A4南北アメリカ
種類 |
シリーズ
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担当 |
三ノ字俊介
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芸能 |
2Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
やや難
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報酬 |
4万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
03/02〜03/08
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前回のリプレイを見る
●本文
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【タイトル】
潜望鏡下げろ!
【内容】
主人公ハンス・マーベリック中佐はアメリカ海軍の問題児。潜水艦の副長を務めているが、デッキでゴルフをするようなフランクさ。過去何度も潜水艦の艦長に就任するチャンスがあったが、その素行の悪さで上官からは目のかたきにされている。
しかし、そのハンスにもチャンスが回ってきた。潜水艦の艦長になれという辞令が来たのだ。さっそく意気揚々と艦に向かうハンス。しかしびっくり仰天。その艦は第2次世界大戦時に使われていた超骨董品だった! 彼に下された命令は、このポンコツ潜水艦でアメリカ海軍の防衛戦を突破し、標的艦を撃沈すること! 最新鋭の原子力潜水艦を相手に、無謀で痛快な戦いが始まる。
【脚本概要(全4回中の最終回)】
タンカーの下へもぐり込み原子力潜水艦『オーランド』の哨戒網から姿を消したバラオ級ディーゼル潜水艦『スティングレー』と、ハンス・マーベリック中佐以下、癖のありすぎる乗組員たち。いよいよノーフォーク海軍基地に迫るが、タンカーが進路を変えてしまい進路変更を余儀なくされる。浮上して全速海上航行を行うスティングレーだが、オーランドがそれを追って接近してくる。何せ出力にも速度にも差がありすぎる。着実に追いつかれるが、ハンスはギリギリで魚雷を発射。スティングレーはオーランドに『仮想撃沈』されるが、見事に標的艦を撃沈し作戦を成功させる。ハンスはアベレック少将の鼻を、またもあかしてやったのだ。
凱旋するスティングレー。それをカトー提督が迎える。カトーはその成果を考慮し、アルファ級の原子力潜水艦ではなく、最新のシーウルフ級潜水艦の艦長に任命するという。
「新たに部下を選べ」という提督に対し、ハンスはそれを断り今の乗組員無くしてこの成功はありえないと力説。カトー提督を納得させてしまう。
解散する乗組員たち。ハンスはヘンリエッタに「刺青って何の話ですか?」と問いかけ、ハンスは昔話を始める。
海軍基地は、幸いなことに今日も平和である。
【募集】乗り組み員募集!!(原則男のみ)
・艦長:ハンス・マーベリック中佐(主人公)
・口うるさい副長:ジム・スキナー少佐
・海軍初の女性潜水技官:ヘンリエッタ・イムス(女性)(ヒロイン)
・超耳のいいソナー員:ウォルター・パトロピタ
・ベテラン機関長:ニック・ゲーブ
・好意的な海軍将校:ドナルド・カトー中将
・機関室員:若干名
・操舵手:若干名
・他、キャラクター性あふれる乗組員
・その他、集まった人員によって脚本を調整
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「いよいよ最終回か‥‥デビュー作にしてはいい仕事ができたかも知れませんね」
ここに、新人監督が一人いる。名前はデビッド・ワード。軍事オタクで、軍事映画を撮るのが趣味の映像マンである。といっても真面目な軍事物ではなく、コメディ主体で映像作品をリリースしていた。そして今回の『潜望鏡下げろ!』は、WWBから企画原案があがりデビットにお呼びがかかったという次第である。
作品は25分を4本。連続ドラマであるので、『継続して出演出来る者』という縛りがある。特に主人公やヒロインは必須である。今回は〆なので、物語を締めてくれる人材が重要になってくる。
本募集では『役者』の応募を待っている。どのような集まり方をするのか分からないので、集まった役者でシナリオや配役を調整するそうだ。一昔前の香港映画と同じである。
●リプレイ本文
潜望鏡下げろ! A4
●消えたスティングレー
大型艦船の撹拌痕(ウォッシュバブル)に船を入れるのは、潜水艦が身を隠す常套手段である。
ただしこれは、第2次世界大戦時の話だ。原子炉を動力とする大型化した潜水艦では、その方法自体がナンセンスである。つまり、『常識的』にはありえない。
だからこの非常識な戦法によって、『常識的な』アベレック少将はころっとだまされた。
「なぜだ! なぜ見つからない! 消えるはずがないんだ!」
薄くなった髪をかきむしって、アベレックが言う。
「発見しました! 距離22000ヤード! 先行しています!」
「なんだと! 追え!」
アベレックはこの瞬間、軍人としては最低の命令を出した。軍人は見敵必殺、敵を追うのが仕事である。敵を追って当たり前なのだ。
*
その数分前。
「タンカーが進路を変えた?」
ソナー員の報告を受けた『スティングレー』艦長ハンス・マーベリック(ダン・バラード(fa2603))は、怪訝そうな顔をした。彼の目算では、このままノーフォークにタンカーごと入り込む予定だったのである。
「アベレックめ、手段を選ばないつもりだな」
ハンスが考える顔で言った。つまりアベレックは、ノーフォーク港の船舶の入港を差し止めるか何かしたのだ。少将に権限で出来ないことはないが、相当なリスクを伴う。
逆を言えば、アベレックはそれほどまでに『ハンスが嫌い』なのだろう。
「艦長、どうしますか?」
副長のジム・スキナー少佐(アルテライア・シュゼル(fa2400))が、顔色を曇らせて言う。しかし今は、ハンスに対する信頼の表情がある。
「針路変更。急速浮上。逃げ切るぞ!」
「アイ!」
「アイ・サー!! 進路026。上げ舵最大。浮上航行!」
潜水技官ヘンリエッタ・イムス(百瀬愛理(fa1266))がてきぱきと指示を出す。すっかり自信を取り戻したようだ。
「進路026。上げ舵最大!」
総舵手エリック・バルサー(沢渡操(fa1804))が、忠実にその指示を遂行する。
『機関室より艦長』
司令室に、機関長ニック・ゲーブ(田中雪舟(fa1257))の声が響いた。
『楽しい仕事でしたよ。ディーゼル船万歳!!』
直後ニックは、エンジンにウィスキーを投入した。
ぐっと回転がよくなるそうである。
●勝利へのカウントダウン
「スティングレーはまだつかまらんのか!」
すでに『艦長にしたくない提督ナンバー1』の地位を築きつつある、アベレック少将がオーランドの司令室で吼えた。
「距離18000ヤード追跡中」
「そんなことはわかっとる!!」
浮上航行に切り替え全速でスクリューをぶん回し、オーランドは着実にスティングレーを追跡している。しかしアベレックは、ハンスの奇計に完全にしてやられていた。不和の種を吐き散らし、オーランドの乗組員からも顰蹙を買っている。
「スティングレーを呼び出せ」
アベレックが唐突に言った。
『こちらスティングレー』
ハンスの声だった。
「やりおったなハンス。しかし諦めろ。もうすぐ射程内だ。軌道計算値が出たら貴様の負けだぞ。それがルールだ」
『そんなにルールが大事か? アベレック』
「なんだと! 貴様上官に向かって――」
『無能な上官など必要ない。悔しかった捕まえてみろ!』
――ヤー!!
スティングレー司令室からのときの声が、マイクに入ってきた。
アベレックの額には、いくつものペケ印が浮いている。もう少しで一本ぐらい切れるだろう。
*
「よろしいのですか? あんなこと言って」
副長のジムが、さすがに不安げな表情を見せる。
「いい機会だ。少将には少し頭を冷やしてもらおう」
ハンスが言った。
「あおっているとしか思えませんよ?」
ヘンリエッタが言う。
「ま、いいさ。魚雷発射準備!!」
「「魚雷?」」
ジムとヘンリエッタの声が唱和した。
「俺を信じろ」
ハンスが、にやりと笑った。
*
「距離5000ヤード、射程内」
「軌道計算値を出せ! 早く!!」
アベレックが吼える。
いいかげんオーランド乗組員も、辟易してきていた。
*
「潜望鏡上げろ! 標的までの距離は!」
「1000ヤードです!」
「方位267。距離1000ヤード。確認しますか?」
ヘンリエッタの言葉に、ハンスは首を振った。
「時間がない。方位267、距離900ヤード‥‥1番発射!」
バシュン!
緑色の魚雷が、射出された。
「方位268、距離850ヤード‥‥2番発射!」
バシュン!
*
「軌道計算値出ました」
「ご苦労。敗北宣言をしてやる」
アベレックが、マイクを取る。
*
スティングレー司令室。
「オーランドより通信です」
『こちらオーランド。魚雷軌道計算値を算出した。貴艦は『撃沈』だ』
勝ち誇ったアベレック少将が、余裕の態で言う。
「スティングレーからオーランドへ。貴艦の勝利を心より祝福する」
ハンスが言う。
「しかし――」
そこで、ハンスは言葉を切った。
「確認すれば分かると思うが、貴艦が我が艦を撃沈する前に、標的艦に向かって魚雷を2発発射した」
マイクの向こうで、血の気の引く音がした。
『なんだと! それは本物の魚雷か!』
「もちろんピカピカの本物だ。約10秒後に命中するはずだ。そうなれば、このゲームはこっちの勝ちだ。10」
「9」
「「8」」
「「「7」」」
「「「「6」」」」
「「「「「5」」」」」
「「「「「「4」」」」」」
「「「「「「「3」」」」」」」
「「「「「「「「2」」」」」」」」
「「「「「「「「「1」」」」」」」」」
ずどぉーん!!
「命中!!」
「やった!」
ジムが快哉をあげる。司令室は大騒ぎになった。
オーランドに司令室で、アベレックは椅子にへたりこんだ。
●凱旋
港に係留されたスティングレーから、真っ白の制服を着たハンス以下の水兵たちが歩いてくる。そこへナンバープレートに三ツ星をつけたリムジンが乗りつけた。
中から出てきたのは、ドナルド・カトー中将(藤岡作治(fa2579))と秘書官ミネルバ・ランス伍長(ベルタ・ハート(fa2662))である。
「ドナルド中将」
ヘリを降りたアベレックが、カトーに詰め寄る。
「命令の不服従と上官侮辱がありました。告発の用意を」
「そのまえに、私は貴官を処罰しなければならん」
ミネルバ伍長が前に出る。
「少将は、ウォーゲームのために港への船舶の入港を制限しましたね? それは海軍基地指令権限でなければ出来ない行為です」
「それは――!」
「君は降格だ。事務職へでも転向したまえ」
*
「1、2、1、2、1、2」
ニックの号令で、スティングレーの面々が行進してくる。
「ぜんたーい、とまれ!」
ざっざっ。
「敬礼!」
一糸乱れぬ敬礼が、カトー中将を出迎えた。
「よくやった」
「ありがとうございます」
カトーの言葉に、ハンスが答える。
「しかし君の戦歴を分析するに、アルファー級原子力潜水艦の艦長は任せられん」
「そうですか」
やや落胆したように、ハンスが言う。
「その代わり、最新鋭のシーウルフ級原子力潜水艦の艦長に抜擢しよう! 乗組員は、改めて選抜したまえ」
「それはお断りします」
「なんだと?」
ハンスの言葉に、カトーが怪訝そうな顔をした。
「今回の任務が達成できたのは、とりもなおさず今の乗組員が居たからです。彼ら無しに、新しい船への就任はいたしません」
じーん。
ヘンリエッタやジムが、感動していた。
「また任務に条件をつけたな?」
「切実なる願いです」
「よかろう」
ポンと、カトーがハンスの腕を軽く叩いた。
「刺青をした甲斐があったな」
びっ!
ハンスが敬礼した。
*
「解散!」
――ヤーッ!
帽子が飛び上がって、乗組員たちが解散する。これから彼らは、家族の元に帰りひとときの休息を取るのだ。
「艦長?」
ヘンリエッタが、ハンスに話しかけてきた。
「刺青ってなんですか?」
「あー、それには長い長い物語があるんだ‥‥」
ハンスが、ヘンリエッタをエスコートしながら画面を離れてゆく。
海軍基地は、今日も平和である。
【おわり】