PARADISE ARMY A3南北アメリカ
種類 |
シリーズ
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担当 |
三ノ字俊介
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芸能 |
2Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
やや難
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報酬 |
4.9万円
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参加人数 |
6人
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サポート |
0人
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期間 |
06/25〜07/01
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●本文
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【タイトル】
PARADISE ARMY
【内容】
何をやっても中途半端。フリーターで社会からは落ちこぼれの青年ジャック・スレッジは、一念発起して幼馴染のフランク・ブレックとアメリカ陸軍へ入隊する。訓練の中で意外な適正を見せたジャックは伍長へ昇進し、中東(仮想イラク)へ派兵される。
配属は補給部隊の給水小隊(水をろ過して飲料水にする部隊)になるが、水の輸送中にゲリラに襲われて小隊は孤立してしまう。そしてなんと、ゲリラがミサイル(仮想スカッドミサイル)を使って大規模な攻撃をしようとしている情報を入手してしまう。
敵地に一番近いのはジャックの居る小隊。そしてジャックの小隊に、敵駐屯地を空爆するための作戦行動が指示される!
果たして、ジャックたちは作戦を成功させることができるか!
【脚本概要(全4回中の第3回)】
第5525給水小隊に、実戦命令が下された。16時間後に行われる空爆作戦のサポートをしろというのである。現在ある装備は給水車2台に小銃ぐらい。こんな状況では、とてもサポートなどできない。
補給を受けるため、5525はGPSを頼りに物資の投下地点へと向かう。しかし途中で、武装ゲリラに発見されてしまう。
とにかく捕球物資の投下地点へ急ぐ5525。かろうじて補給が間に合い、ゲリラを退ける。しかし状況が厳しくなったことは否めない。
しかし5525は、再びゲリラの本拠へと進路を取る。
【募集】第5525補給小隊
・主人公:ジャック・スレッジ(伍長)
・サブ主人公:フランク・ブレック(一等兵)
・ヒロイン:ホリー・ホーランド(一等兵)
・いわゆる鬼軍曹:アーネスト・ジョンストン(軍曹)
・色々と前途多難な小隊長:ロジャー・ブラックアウト(少尉)
・その他、個性的な小隊仲間など。
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「後半の山場の一つ、戦闘シーンを挿入‥‥と」
ここに、新人監督が一人いる。名前はデビッド・ワード。軍事オタクで、軍事映画を撮るのが趣味の映像マンである。といっても真面目な軍事物ではなく、コメディ主体で映像作品をリリースしていた。そして今回の『PARADISE ARMY』は『潜望鏡下げろ!』に続き、WWBから企画原案があがりデビットにお呼びがかかったという次第である。
作品は25分を4本。連続ドラマであるので、『継続して出演出来る者』という縛りがある。特に主人公やヒロインは必須である。
本募集では『役者』の応募を待っている。どのような集まり方をするのか分からないので、集まった役者でシナリオや配役を調整するそうだ。一昔前の香港映画と同じである。
●リプレイ本文
PARADISE ARMY A3
●第5525給水小隊出撃す
世の中何が起こるか分からない。
第5525給水小隊に、司令部から実戦命令が下った。それも援護無しに、1小隊を以て敵ゲリラ空爆の補助をせよというのである。
それにてきめんにうろたえたのは、フランク・ブレック一等兵(ウォンサマー淳平(fa2832))だった。
「我々は補給部隊ですよ!? そんなの無理に決まっているじゃないですか!!」
「訓練は受けているだろう? 君の戦闘技術評価は『A−』。充分実戦に耐えられる」
隊長であるロジャー・ブラックアウト少尉(守山脩太郎(fa2552))が、フランクをなだめる。まあロジャーにしても青天の霹靂なので、気持ちは分からないでもない。
しかし、命令はおそらく本物である。お調子者のジャック・スレッジ伍長(朝守黎夜(fa0867))が単独行動で拾ってきた通信とはいえ、いや、お調子者のジャックが拾ってきた情報だからこそ、『実戦命令』というのが真剣味を帯びてくるのだ。
「それに、不可能な命令ではない。我々が行うのは空爆補助。距離を置いてスカッドミサイルにレーザー照準機をポイントするだけだ。おそらく銃弾一発撃つこともないだろう」
ロジャーが言う。精密爆撃用レーザー誘導爆弾の照準補助というのは、要するに着弾点へ誘導レーザービームを当てるだけのこと。別に小銃を持って、敵陣に突撃せよというわけではないのだ。
「隊長、出発準備が整いました」
アーネスト・ジョンストン軍曹(小鳥遊真白(fa1170)(代役))が、ロジャーの所へやってきた。彼女はいましがた、無許可の単独行動を行ったジャックに一喝入れてきたところである。実は出発準備とは、それだけのことだった。
*
「ねえジャック」
ホリー・ホーランド一等兵(佳奈歌・ソーヴィニオン(fa2378))が、給水車の最終整備整備をしていたジャックに話しかけた。
「なんだい?」
「わたし、あなたのこと誤解していたわ」
ホリーが、やや目をきらきらさせて言う。
「単身敵地に潜入して、しかも無線連絡まで取り付けてくるなんて‥‥それも私たちのために‥‥」
ジャックはこの反応に、頓狂な顔をした。そんなたいそうな理由で無線連絡を取りに行ったわけではないが、結果的にジャックのお陰で部隊は支援補給を受けることになる。つまり、帰る手段を確保できたのだ。
独断専行によって部隊を危険にさらしたとも言えるが、結果的には二進も三進も行かなくなった部隊を救ったとも言える。余録で実戦命令を受けたのは微妙だが、どのみち5525の取れるオプションは、危険を冒して無線連絡を取るか砂漠で野垂れ死ぬか、またはゲリラの捕虜になるかしか無かったのだ。
だから軍曹も、ジャックのボディーに一発くれただけで許してくれたのである。
「まあ俺は君の上司だし、これぐらいの事をして当然さ」
調子よく、ジャックが言う。
「期待しています、伍長殿!」
ホリーが敬礼する。それにジャックも応じた。
ホリーが去ったあと、ジャックは小さくガッツポーズをした。
●補給物資投下地点へ
「前方、異常なし」
オペラグラスで前方を確認したメリッサ・フライマン一等兵(ティタネス(fa3251))が、小隊内通信用の短距離無線機で部隊に連絡する。
強い日差しの中、給水車2台に分乗した5525は一路、指定された座標へ向かっていた。地図が無いので地形を読みながら座標へ向かうが、砂丘や丘陵などで時折迂回を余儀なくされる。頼りは電池の切れかけたGPSのみである。
「あれ?」
そのメリッサが、後方に何かを見つけた。
「隊長! 五時の方向に砂煙があります!」
「むっ! こちらの砂煙を見られたか。小隊戦闘用意!」
ロジャーが言い、全員がM−16突撃銃に弾を込め初弾を装填した。
――ヒィィィィィィイイイイイイン、ドッカーン!!
「うわ!」
給水車の横合いに、強烈な弾着があった。おそらくソ連製RPGロケット弾であろう。
「きゃああああああっ!」
ホリーが、衝撃に振り落とされそうになった。
「の野郎!」
ぎゅいん!
ジャックが強引にハンドルを切る。給水車が片輪走行になり、振り落とされかけたホリーをすくい上げる形になった。
どすん!
給水車が両足を地に付ける。ホリーもジャックもフランクも、信じられないようなものを見たような顔をしている。
「ジャック」
フランクが、真面目な口調で言った。
「あなた、時々すごいですね」
ゴン!!
その車両が、後ろからガツンと殴り飛ばされたような衝撃を受けた。タンクが爆ぜる音がして、盛大な水しぶきが上がる。
「直撃です! タンクをやられました!」
「たかが水タンクだろ! 走れりゃいいって! 軽くなってありがたい!」
フランクの悲鳴にジャックが言う。やけっぱちにも思える。
タタタン、タタタタタタン。
銃撃音が、後方から響いてくる。ガタイの大きな給水車だけあって、遠距離からでも何発か着弾していた。
「水はもう放棄していい。補給物資の投下地点まで保てば充分だ!」
ロジャーが部隊に指示を出す。2台の給水車はバルブを開放し、水を捨て始めた。
「こんのやろー!」
タタタタタタタタタタン!
フランクがドア越しに、後方へ銃撃を放った。それがどういうわけか相手の車両を爆発炎上させる。驚いたのは、それを放ったフランク本人だ。
「見えた! 前方に補給物資!」
メリッサがオペラグラスを見て言う。
「よし、2号車は全員降りろ! ハンドルは私が取る!」
ロジャーが言った。そして乗員全員を飛び降りさせると、給水車を反転させた。
『バンザイ・アタック』を想像させる無謀な突撃。しかしロジャーには勝算があった。
「むん!」
銃撃を浴びながら、給水車はゲリラの車列に突っ込みスピンターンを決める。そしてワイパーで雨を拭うように、3台のジープを地面から『拭い取った』。
「すげぇ‥‥うちの隊長、元暴走族か何かか!?」
神業的なドライビングテクニックに、ジャックが驚く。
「ジャック! そこのパラシュートの前で下ろしてくれ!」
メリッサが補給物資を前に言った。向こうにはハンビ戦闘ジープも落ちている。
「3名降車! 武装を確保! ジャックはそのままハンビを取ってこい!」
アーネスト軍曹が指示を出す。
「反撃するぞ! 総員対車両戦闘用意!」
アーネストの檄が飛んだ。
●ゲリラ退却
「むん!」
ハンドルを切って給水車を激突させ、また一台ロジャーは敵車両を擱坐させた。
「まだ現役でいけるな」
余裕の態で、ロジャーが言う。が。
どがん!!
衝撃。RPGロケットが給水車の横腹に直撃したのだ。さすがにこれをくらっては、給水車もまともに動くことができない。
運転席に伏せて、ロジャーは45口径を取り出した。
どがーん!
強烈な爆音。しかしロジャーへ向けたものではなかった。
ゲリラの車列に、次々とたたき込まれるロケット弾。M72A3『LAW』である。アメリカで一番安価でそこそこ優秀なロケットランチャーだ。
「次!」
伸張して射撃準備の整えたLAWを、メリッサが受け取り放つ。ゲリラは文字通り散を乱し、後退していった。
「「「イエー!!」」」
5525から、快哉が響き渡った。
*
「我々は幸運に恵まれているようだ」
からくも生き延びたロジャーが、部隊の面々に向かって言う。
「補給も装備も充分。戦力としては申し分ない。あとは任務を全うするだけだ」
ハンビ2台に武器弾薬。そしてレーザーポインターとその予備。
作戦まで、あと6時間。
いよいよである。
【つづく】