GUN&ROAD T11南北アメリカ

種類 シリーズ
担当 切磋巧実
芸能 3Lv以上
獣人 3Lv以上
難度 普通
報酬 9.4万円
参加人数 6人
サポート 0人
期間 12/25〜12/29
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●本文

●trigger11――荒野に雪を(クリスマスver)
 地図の断片を頼りに当ての無い旅を続けるゴールディと仲間達。
 見知らぬ大陸を進む中、一行の幌馬車は或る小さな町に辿り着く――――。

1:一冊の絵本〜町付近の荒野にて〜
 ゴールディ達の耳に飛び込んで来たのは何かが射出される音だった。
 蒼穹に放たれたロケットは天空で破裂。近付いて見ると若い一組の男女(予定)と対面する。
『この時期はクリスマスがあって、雪ってものが降るらしいんだ』
『あたし達は雪を降らせる為に必要な雲や気候をロケットで変えようと実験しているのよ』
 渡されたのは一冊の絵本。どうやら異国のクリスマスを描いたものらしい。
 しかし、そんな事は可能なのか? 許される事なのか?

2:邪魔する者達〜町付近の荒野にて〜
 再び二人の元を訪れると銃声が響き渡った。町の権力を握る親がいる為、好き放題の連中が嫌がらせに来たのである。連中には好都合だった。町民からも呆れられ相手にされず、やっている事も馬鹿馬鹿しい。手頃な暇潰しである。連中はロケット発射台に狙いをつけた。
『やめろ! 村の外でやっている事に口を出さないでくれ!』
『やめて! あたし達の夢を壊さないで‥‥きゃッ』
 嫌がらせはエスカレートしているらしく、連中の横暴は続いてゆく。そんなピンチにトリガーを唸らせてしまうゴールディ達。連中は捨て台詞を投げて町に戻るのだった。

3:奇跡〜町付近の荒野にて〜
『町は圧政に苦しんでいるの‥‥サンタにはなれないけど、せめて雪でも降れば綺麗だろうなって』
『寝たきりのバアさんがこの絵本を小さい頃にくれたんだ。本当にそんな世界があれば一度は見てみたいって言ってた‥‥』
 翌日、二人の研究施設(小屋)に連中は強力な武器を持って姿を見せる。親の権力で入手した砲台牛車(牛に牽引させた小型戦車風のモノ)で報復に出たのだ。手下共の武装も強力そうである。
 なりゆきの激闘が展開される中、ついに一発のみの砲弾が轟音をあげる。小屋はおろかゴールディ達も無事で済まないだろう。機転を利かせて対処する中、奇跡は起こった。
 白い雪が天空から舞い降りたのだ。
 奇跡を喜びながらも地図の手掛かりは無し。苦笑しながら地図の断片を見つめる中――――。
『これはエルドラドの伝説じゃないのか?』
 一冊の書物を見せられると、この世界の何処かにエルドラドがあるという伝説を知る。様々な伝説が記される中、目を引いたのは『超高度文明の地』『地図の断片を守る獣人と性』『世界管理機構』『地図の断片奪い合い(ハンター)の歴史』『財宝の眠る地』『その他』‥‥。
 旅を再開させて手掛かりを追うか、町の圧政をブチ壊すかは次回へ。

「ま、クリスマスだしね☆ ちょっとファンタジーに構成したわ♪ さて、旗のプロデュースプロット決めなきゃならないし、季節柄やりたいドラマもあるのよね☆」
 サミィは忙しそうにキーを叩いて作業を始めた。何やら色々準備中らしい。助手の青年が少女のデスクに苦笑しながら紅茶のカップを置く。
「それにしても‥‥相変わらず時代考証も科学考証も無いのですね」
「だって、B級はノリが大切なのよ♪」
 プレゼントされた紅茶で喉を潤し、監督ははにかんでみせた。

●募集区分
・ゴールディ一行:性別不問(1人〜)
 見せ場を要演出。主に誰と誰が戦うか等、打ち合わせて下さい。
 クライマックスの機転を考えて下さい。雪が降る動機になるのが望ましいです。

☆今回のサブキャラクターたち。
・雪を降らせる研究をしているペア:性別不問(〜2人)
 どんなピンチに合うのか要演出。台詞は適所修正OK。

・町の権力者の子供:性別不問(1人〜)
 見せ場を要演出。

・手下:性別不問(1人〜)
 見せ場を要演出。主に誰と誰が戦うか等、打ち合わせて下さい。 

 尚、アクターが演じないNPCの場合は最低限の登場しかしない予定です。アクターが演じる場合、名前はお好きに☆

*エルドラドの伝説は相談で二つまで絞って下さい。代表1名が明記してもOKです。
 次回よりこの流れで展開します。
『超高度文明の地』エルドラドは超高度文明の地という伝説で進行します。
『地図の断片を守る獣人と性』人間に化けている獣人の事件を解決しながら断片を入手して進行します。
『世界管理機構』まだ明かせません。
『地図の断片奪い合い(ハンター)の歴史』ハンターとの争奪戦を繰り広げて進行します。
『財宝の眠る地』エルドラドは財宝の眠る地という伝説で進行します。
『その他』相談の上、要望があれば選択して下さい。

●演じる為に必要な書類項目
・配役:ゴールディ一行/ 今回のサブキャラクターたち。
・役名:登場人物の名前です。本名で出演してもOK。
・設定:どんなタイプ(設定)のキャラクターを演じるか明記して下さい。
・武器:敵と戦う時に使用する武器です。
 尚、結構ノリで制作されている為、とんでもない銃以外は採用予定です。
 勿論、所持していなくても、格闘武器でも構いません。

1:(行動や演出、台詞など)
2:(同上)
3:(同上)

●サポート関連
 衣装作成/脚本協力/大道具・小道具など前準備関連。
 名前とどんな仕事をしたか載る予定です。

●何らかの事情で優先期間を越えてアクター枠が空いた場合、新規、または復帰キャラ募集します。

●今回の参加者

 fa0558 クールマ・如月(20歳・♀・亀)
 fa1788 碧野 風華(16歳・♀・ハムスター)
 fa2121 壬 タクト(24歳・♂・兎)
 fa3464 金田まゆら(24歳・♀・兎)
 fa4020 ロゼッタ・テルプシコレ(17歳・♀・犬)
 fa4421 工口本屋(30歳・♂・パンダ)

●リプレイ本文

●trigger11――荒野に雪を(クリスマスver)
 地図の断片を頼りに当ての無い旅を続けるゴールディと仲間達。
 見知らぬ大陸を進む中、一行の幌馬車は或る小さな町に辿り着く――――。

☆ゴールディ・ゴールドウィン:碧野 風華(fa1788)
☆リリィ・ザ・タートル:クールマ・如月(fa0558)
☆霞/トニー:金田まゆら(fa3464)
☆クリスティー・サラン:ロゼッタ・テルプシコレ(fa4020)
☆チェスター・バートン:壬 タクト(fa2121)
☆ロバート・マクレガー:工口本屋(fa4421)

「ちょっと、いつまでそうしてる気?」
 ゴールディの呆れたような響きが向けられているのは幌馬車の中。ジトとした少女の眼差しが捉えるのは、幾つモノ毛布に白髪からスッポリと褐色の肢体を包み、酒瓶を抱きながら赤鼻を啜るリリィの情けない姿だ。
「アタシ変温動物なんだもん‥‥白人のお祭りなんて知らないわよぅ」
「なに訳の分からない屁理屈を捏ねてるの! 早く出なさいよっ」
 口で言って聞かないならと、荷台に細い足をあげて引っ張り出すべくゴールディが手を伸ばす。リリィは隅の方へと逃れて怯える。馬車の中はホラー映画の様相だが、愛らしいドレス姿で踏ん張る後姿は滑稽だ。そんな光景を赤い番傘さした和服美女は眺め、朗らかな微笑みを投げる。
「あらあら☆ そんなに寒いかしら?」
「あらあらじゃないわよっ! カスミも手伝いなさ‥‥!?」
 刹那、一発の轟音が響き渡り、金髪ツインテールに弧を描くゴールディの瞳が鋭さを増す中、たおやかにカスミがポニーテールの黒髪を揺らして蒼穹を見上げた。
「みんな気をつけて、襲撃よ!」
 ドレスからペーパーボックス拳銃を抜き身構えるゴールディ。次の瞬間、空で黒煙を舞い飛ばして何かが爆発すると、呆気に取られた少女はゆっくりと構えた銃を下ろした。
「な、なに? ‥‥っ!?」
 周囲を見渡せば、町の民は平穏そのものの空気。少女は顔を真っ赤に染めると駆け出し、手綱を握ると現場へ向かうべく幌馬車を走らせた。周り込む荷台に飛び乗るカスミ。寒がりリリィは突然揺れ出した荷台で転がる有様だ。

●一冊の絵本
 町付近の荒野で捉えたのは、小さな小屋と若い一組の男女だった。ゴールディは野盗の襲撃と勘違いした恥ずかしさから、怒鳴りながら相手を見据える。
「何してるのよ、貴方達! 説明によっちゃタダじゃ済まさないわよ!」
「だ、誰? ‥‥やつらの仲間!?」
 短い茶髪のやつれ気味な青年を庇うように対峙する金髪少女。見れば着飾ったドレス姿の幼い少女に、面妖な日傘を挿した和服美女、そして毛布に身を包む褐色の娘だ。怪し過ぎる。
「やつら? 仲間って何よ?」
「クリスティー、どうやら彼女達は違うみたいだよ」
 青年が少女の肩にそっと手を置くと、クリスティーは彼に振り向き、頬を染めて両手を組みゴールディ達に詫びた。
「え? チェスター本当なの? ‥‥ごめんなさい! てっきり邪魔に来たのかと‥‥」
「僕はチェスター。よかったら中で話しましょう」
 あたし、ミルクティ用意するね☆ と金髪を靡かせるクリスティー。
 ゴールディ達は小屋で事情を聞く事にした――――。

「これを見てほしい。僕は圧政に苦しむ人々へのクリスマスプレゼントにしたい‥‥と、雪を降らせる研究を続けているんだよ」
 手渡されたのは一冊の絵本。雪が降る中、ソリの乗った老人が夜空を駆けてプレゼントを渡す光景が描かれていた。クリスティーがテーブルにカップを置く。
「あたしは彼の助手ね☆ ロケットに関する知識は無いけど、炊事洗濯掃除の合間に専門書を読んで勉強中なんだよ♪」
「わお♪ ちょっとゴールディが好きそうな無茶じゃなぁい?」
「雪を降らせる、ね。1セントの得にもならないわね」
 赤鼻を啜りながらハシャぐリリィに対する言葉はシビアだ。チェスターが髪を掻いて穏やかに微笑む中、クリスティーが溜息を吐く。
「あなた達もそうなんだね。一晩の食事とベットは用意するから、翌朝になったら邪魔しないで出て行って頂戴」
「あらあら☆ それじゃ、私も手伝いますね♪」
 こうして、ゴールディ達は彼らの小屋を一晩の宿とするのだった。

●邪魔する者達
 ゴールディ達は銃声と喧騒に起こされた。様々な布地に埋もれた少女達が慌てて外へ飛び出す中、クリスティーが肩や足を恐怖で戦慄かせながらも果敢に端整な風貌の青年と対峙している。
「気に入らないなら放って置いて! 勝手に夢を踏み潰さないで!」
「お前ら、うっとおしいんだよォ! ロバート、やっちまえ!」
 少女の震える声に構わず、トニーは両肩に猫を乗せる男に命じた。どうやら、事情を聞いた時にでた町の権力者を親に持つ馬鹿息子の嫌がらせらしい。雇われたロバートがロケット発射台を庇うチェスターに近付く。
「これも仕事だ」
「やめてくれ! うああッ」
 容易く腕を取られ、ロバートが力を入れる度に骨が軋む。次いで響き渡ったのは男共に取り囲まれたクリスティーの悲鳴だ。
「いやあぁッ」
「やめてくれ! クリスティーは僕の‥‥」
 ――刹那、響き渡ったのは一発の銃声。
 予期しない相手にトニー等が驚愕の色を見せた。硝煙を漂わせながらゴールディが瞳を研ぎ澄ます。
「雪ってのを見たいわけじゃないわ。夢を追い続けてるのが無条件にいい物ってわけでもないわ。ただね、貴方達みたいな! 好き放題やってる連中が! 気に食わないだけよ!」
 言葉の合間に銃声を響かせると、鮮血を散らせて崩れる荒くれ共。逃げ出す相手の背後を捉えるは、何故か着ぐるみに身を包むリリィだ。どうやら徹夜で作ったものらしいが、どう見ても赤鼻のトナカイである。
「人の恋路を邪魔するヤツは! トナカイに蹴られて地獄に落ちなッ!」
 赤鼻のトナカイが銃声を響かせてゆく。
「何だよ! あんなのいるなんて聞いて無いぞ!?」
 ロバートがトニーを逃がすべく銃声を奏でると、捨て台詞を投げて町に戻るのだった。

●奇跡の価値は
 チェスターのロケット発射が行われようとした時だ。
「今日はもう許さないぞ。コイツを見ろッ!!」
 町の方から牛に牽引させた鋼鉄の砲台が姿を見せた。誇らしげに腕を組むトニーが報復に出たのだ。そんな中、ロバートは二匹を肩から放す。
「ペルノ、リカール。ここから先は留守番だ。おまえ達が巻き添え食ったら、何の為に馬鹿息子のお遊びに付き合っているか分らなくなるからな」
 鋭い視線を向ける先に捉えるはゴールディ達。ツインテールの少女は不敵に微笑む。
「派手な物が出てきたわね、相手に不足は無いわ! 秘蔵のロングライフルで相手したげるわよ!」
 ゴールディが構えたのは身長を遥かに凌駕するバイポット付きボルトアクションライフルだ。照準を『牛車砲』に合わせる中、着ぐるみトナカイが連中へ向けて駆け出す。
「悪い子たちには、鉛弾をプレゼントぅ!」
 地を蹴ってリリィが舞う。次の瞬間、トナカイ衣装をキャストオフ。姿を晒したのは、露出の高いミニスカサンタに大変身した艶やかな容姿だ。序盤の寒がりっぷりが嘘の如くセクシーポーズでプレゼント袋を提げウインクすると、中からダイナマイトをバラ撒いてゆく。
 次々に黒煙が噴き、宙を吹っ飛ぶ男共。しかし猛攻及ばず、銃撃もマイトの洗礼さえ雑魚を蹴散らすばかりだ。ロバートの邪魔も入り、肝心な時に何の機転も効かない。
「まだ若くみえるのにやるじゃないか、お嬢ちゃん」
「しまった! 間に合わない‥‥! どうすれば良いのよぉ」
 牛車砲は鈍い進軍を果たし、砲口はロケット発射台を捉えている。残すはゴールディの遠距離射撃。
「流石に大砲相手じゃこれも見劣りするけど‥‥要は腕よ! 当ったれぇッ!」
 ツインテールが反動に舞う中、洗礼は放たれた。吸い込まれてゆくは牛車砲の車輪だ。次いで咆哮が轟くと、唖然とするロバートの攻撃を魅惑的なチラリズムで躱しながら、リリィが飛び込む。
「牛は赤いものが好きいぃッ!!」
「はーい、危ないから下がりましょうねぇ♪」
 十手と番傘で二人の護衛に努めていたカスミが小屋から離れる。放たれた砲弾はゴールディの一撃で狙いが外れ、軌道が変わったのだ。爆風に巻き込まれながらもチェスターとクリスティーはカスミの番傘で無傷。
「クリスティー怪我は無いか?」
「うん、あたしは‥‥チェスターが庇ってくれたから平気だよ‥‥っ!? なに!?」
 艶やかなサンタが(絵本と異なるが)宙を舞う姿を捉えた驚きではない。小屋の中から何かが轟音と共に空へ放たれたのだ。それが何かを知る青年が瞳を見開く。
「あれは未完成のロケット! 爆風の中で偶然点火してしまったんだ!」
 誰もが呆然とする中、天空でロケットが爆発。隙を突いたゴールディとカスミの反撃にトニー等が退散を始めると、空から白いものがユラユラと降って来た。半信半疑ながらクリスティーは手を指し伸ばして感触に微笑む。
「これ、雪‥‥。こんなに綺麗だったらずっと降っていてくれないかな。絵本見たく真っ白に」
「‥‥ありがとう。奇跡が起きたんだよ」
 泣き出しそうな笑顔の青年に少女は寄り添いながら、手の平へ降る雪を眺め続けた。
「メリー、メリークリスマス☆ これが、雪‥‥街の皆は‥‥仲良くやってるよね‥‥」
 奇跡の爆風に飛ばされながらも微笑むリリィ。
 カスミは雪見酒と洒落込み、身を退いたロバートは降り続ける雪に瞳を穏やかに和らげた――――。