GUN&ROAD T12南北アメリカ
種類 |
シリーズ
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担当 |
切磋巧実
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芸能 |
3Lv以上
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獣人 |
3Lv以上
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難度 |
普通
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報酬 |
7.9万円
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参加人数 |
7人
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サポート |
0人
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期間 |
01/25〜01/29
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前回のリプレイを見る
●本文
●trigger11(前回のあらすじ)
――これはエルドラドの伝説じゃないか?
ゴールディが何気に取り出した地図の切れ端を見つめ、チェスターは驚愕の声をあげた。
「この書物を見てよ。ほら、ここ」
一冊の書物からこの世界の何処かにエルドラドがあるという伝説を知る。様々な伝説が記される中、目を引いたのは『超高度文明の地』という推測記述だ。
「超高度文明の地? なにそれ? その技術で美味しいお酒でも造れるのぉ?」
赤鼻を啜る半信半疑のリリィと裏腹に、金髪ツインテールの少女は青い瞳をギラリと研ぎ澄ませる。
「超高度文明! 素晴らしいわッ! この技術でもんのすごい銃を作るのよ♪」
「あらあら☆ 火が点いちゃったみたいねぇ〜」
たおやかに微笑む和服美女のカスミの傍で口を開くクリスティー。
「でも、これって売っている本じゃないわよね? 信じられるのかな?」
彼女の疑問も尤もである。全ては理想と想像に過ぎない可能性は否定できない。
「リネットの銃に隠されていた地図の断片‥‥そして書物の記録‥‥証拠があるなら探すのも悪くないわ! チェスター? この書物は何処で見つけたの!? 言いなさい!」
「ちょっと! チェスターにそんなにくっつかないでよ!」
「そんな光景にアタシは見えないけどぉ。首絞めてるって感じじゃない?」
「あらあら☆」
一気に青年へ飛び掛かり、馬乗りになって問い質すゴールディへ向けられる反応は様々だ。苦しそうにチェスターが口を開く。
「‥‥ま、街の図書館‥の、秘蔵書物だよ。亡くなった僕の祖父が返却しないで隠し持ってたんだ」
「ちょっとチェスター!? それ犯罪じゃない!?」
聞けば図書館の大火後、秘蔵書は町を取り仕切る役人に管理されているらしい。どうやらロケット研究の書物も秘蔵書だったようだ。
「つまり、エルドラド伝説の書物は他にもある可能性があるのね? 圧制に苦しむ街を開放するわよ! (独り占めにするなんて)許せないわ!!」
少女の心の声は二人以外に届いていただろう――――。
■募集区分
★ゴールディ一行:性別不問(1人〜)
見せ場を要演出。主に誰と誰が戦うか等、打ち合わせて下さい。
●前回から登場のサブキャラクター(今回も登場するか配役変更かはアクターの自由)。
・雪を降らせる研究をしていたペア。
★チェスター・バートン(男性)
★クリスティー・サラン(女性)
・町の権力者の子供。
★:トニー(男性)
・トニーに雇われた護衛。主に誰と誰が戦うか等、打ち合わせて下さい。
★:ロバート・マクレガー(男性)
●今回募集
★トニーの手下:性別不問(1人〜)
所謂やられ役。主に誰と誰が戦うか等、打ち合わせて下さい。
★謎の追跡者:性別不問(1人〜)
エルドラド関連でゴールディ達をターゲットとして追跡します。組織でも構いませんし、別途、単独でも構いません。
出番を抑えてミステリアスに演じられるとグッド☆
★トニーの父親(町の権力者):(1人)
上に弱く下に強い独裁主義。ゴールディ達に遣られ捲くり。情け無く演じられるとグッド☆
尚、アクターが演じないNPCの場合は最低限の登場しかしない予定です。アクターが演じる場合、名前はお好きに☆
●演じる為に必要な書類項目
・配役:ゴールディ一行/ 今回のサブキャラクターたち。
・役名:登場人物の名前です。本名で出演してもOK。
・設定:どんなタイプ(設定)のキャラクターを演じるか明記して下さい。
・武器:敵と戦う時に使用する武器です。
尚、結構ノリで制作されている為、とんでもない銃以外は採用予定です。
勿論、所持していなくても、格闘武器でも構いません。
●予定プロット
展開に合わせて演技とセリフ明記。尚、配役により、登場順番等を含めたプロット変更OK。
1:好き放題のトニーを優しく咎める父親。トニーが部屋から出ると、圧力を掛けるように現れる謎の人物。
2:ゴールディ達が町へ参上。トニーの権力を傘に好き放題の連中にお灸を据える。町の活気の無さに怒りつつ屋敷へと歩を進める少女達。
3:仲間の知らせを受けて秘密兵器(B級西部劇に出ても違和感ない程度)で待ち伏せするトニーと対決。アクション展開の末、父親共々懲らしめ、エルドラドの手掛かりから次の目的地を定めて町を去るゴールディ達。
動向を窺う謎の人物がゴールディ達を追跡して次回へ。
●何らかの事情で優先期間を越えてアクター枠が空いた場合、新規、または復帰キャラ募集します。別行動をしていた等で自然に復帰OK。
「やはり体調が悪いと無理できないわね」
サミィ・ライナー監督は『NiA』の件を悔やんでいた。様々なアクターや芸能人との交流番組は、体調不良で円滑とは言えない状況だったのである。
「冬は油断できませんから無茶はダメですよ。蜂蜜入りのジンジャーティーが風邪予防に良いらしいですよ」
「‥‥ミルクティか紅茶がいい」
上目遣いで助手に頬を膨らます少女。青年は溜息を吐く。
「健康ならいつでも用意しますよ。それで、今回のプロットはいかがですか?」
「Mr.エンブレム‥‥あんな役ができるアクターが欲しいわね。シリーズを続けるのはゴールディ達だけでも出来るけど、脇を固める人物の存在は不可欠と思うのよ。彼方此方暴れまわった少女達の後始末をしてくれたMr.エンブレム。追跡しながらも時に接触したヴィシャスやレイラ‥‥まあ、接触の方が多かったけど☆」
「謎の追跡者はそんな感じの予定で?」
「今は伏せているけど世界管理機構の者を予定しているわ。あ、そうよ、次の舞台だけど、エルドラドの手掛かりからどんな場所か決めておけると良いわね。アクターの相談に加えてくれる?」
●リプレイ本文
●trigger12
『トニー、少し落ち着いてみたらどうだ? あんな研究者など気にすることはないだろう? おい、未だ話は』
「はいはい判ったよダディ」
父親の説教をまともに聞かず、軽く流しながら部屋から出て来たのはトニーだ。勢い良くドアが閉じられ、足早に遠ざかる靴音を聞きながら、タイラーは溜息を吐く。
『困りますね』
飛び込む女の声に、男は額を押さえたままデスクから顔をあげた。戦慄に見開く瞳に映ったのは、白いコートに身を包んだ人影。右手のみに黒手袋が嵌められており、陽光に眼鏡のレンズが反射している。金髪を三つ編みに結った娘が再び口を開く。
「貴方たちには期待しているんですよ。町の統治者としてきっちり鎮めるようにして頂かないと」
青い瞳は穏やかな物腰と裏腹に、冷たい刃の如き色を放っていた。
☆ゴールディ・ゴールドウィン:碧野 風華(fa1788)
☆リリィ・ザ・タートル:クールマ・如月(fa0558)
☆霞/タイラー:金田まゆら(fa3464)
☆トニー:北沢晶(fa0065)
☆チェスター・バートン:壬 タクト(fa2121)
☆クリスティー・サラン/シェリカ・アイマー(通称『黒手袋』):ロゼッタ・テルプシコレ(fa4020)
☆ロバート・マクレガー:工口本屋(fa4421)
●いざ行かん! 手掛かり‥‥もとい、民を救う為に!
「町を圧政から開放するって!? 町の外の人間である君達にそんな危険を冒させる訳にはいかないよ!」
あれだけの大立ち回りを見たにも拘わらず、チェスターは町へ乗り込もうとするゴールディ達の行く手を阻み、引き止めていた。金髪ツインテールの少女がジトっとした眼差しで呆れる中、リリィはお気楽にガムを大きく膨らませ、カスミは和服の袖で口元を隠しながら「あらあら♪」と愉快そうに微笑んでいる。青年の真剣さが滑稽だ。そんな中、破壊された小屋から必要な物を運び出しているクリスティーが口を開く。
「ゴールディ達なら大丈夫だよ。それより手伝ってくれると嬉しいんだけど!」
キッと睨むパートナーの眼差しに青年が怯むと、空かさずゴールディ達が追い討ちを掛ける。
「私がトニー一家を許せないだけよ。さっさと手伝ってあげなさい」
「そそ☆ アタシ達の目的も兼ねてのサービスってやつ?」
「町の被害は最小限に抑えますから☆」
チェスターの少女達を気遣う心配が、町の被害を予感させる不安に変わった瞬間だった。
「分かったよ。なら僕も行く!」
青年の言葉に、両手で抱えた箱を床に落とすクリスティーの素っ頓狂な声が響く。
「ちょ‥‥っ! なに言ってるんだよ! あたしの手伝いしてくれるんじゃないの!?」
「君達はトニーの屋敷を知らないだろ? 僕が案内するよ」
確かにそうだ。目的地が分かっていた方が、事は円滑に運ぶ。
「‥‥分かったわ。案内だけしてもらおうかしら」
ゴールディの答えに、たたたッと靴音を響かせて対峙する少女が、豊かな胸元に手を運んだ。
「あたしも行く! チェスターだけじゃ頼り無いもの!」
こうして、ゴールディ達は町へ向かった――――。
「ジャパンのオトソだも〜ん♪」
褐色の頬を桜色に染め、リリィは上機嫌だ。呆れたようにゴールディが視線を流す。
「ちょっと‥‥なんでお酒呑んでるのよ。それよりこの恰好は何?」
「カスミに教わったのよぅ。ね〜、オショウガツなのよね?」
「ええ☆ 確かその『筈』よ。ささ、杯が空じゃない☆」
どうやら幌馬車の中でキモノに着替えたらしい。いつから呑んでいたのか、既に酔いが回ったリリィの足取りは危うく、両肩は曝け出され、艶かしい豊かな胸元で支えているような有様だ。構わずカスミはトックリを魅惑的な胸元から取り出しては満面の笑みで酒を注いでゆく。
金髪ツインテールの少女は溜息を吐き、今度はチェスターをジトリに視線を向けた。
「で、これは何?」
「やだなぁ、箒に決まってるじゃないか」
爽やかに微笑む青年。ゴールディが「そんなものは見れば分かるわ!」と口調を荒げる中、彼は当たり前のように答える。
「だって、銃や刃物なんか使ったら怪我をさせちゃうじゃないか‥‥」
「もぉ、チェスターらしいわよね。その気になれば銃くらい作れるのに」
「!! クリスティー、それ本当? チェスター、私達と旅をしなさい! あなたもついでだから面倒みるわよ」
「‥‥つ、ついでなの?」
ゴールディの何かが閃いたらしい。そんな中、様子を窺っていた人影が駆け出した。金髪ツインテールの少女が瞳を研ぎ澄ます。
「‥‥手下の一人ね」
「それでは、私は別行動という事で☆」
カスミはたおやかに微笑んでゴールディ達に手を振って見送った。
●屋敷の攻防
「はっははは!! この前は油断したが、今回はそうはいかないぜ!」
両手を美女達の腰に回し、笑い声を響かせたのはトニーだ。屋敷に辿り着いたゴールディ達を待ち構えるは大勢の手下共。華麗に不意打ちアタックを決めた状況に陶酔しているらしい。バレバレなのだが‥‥。
「‥‥よくもあれだけ遠くから声を張り上げて自信もってられるわね」
「いいんじゃなぁい? はべらせている娘を傷つける心配もない訳だしさぁ♪ あら?」
チェスターとクリスティーに支えられているリリィの視界が、雇われボディーガードのロバートを捉えた。
「この間の爆発で月まで飛んでったかと思ったが、元気そうじゃないか?」
「HA! アンタこそ、今ごろお天道様にこんがり焼かれてるトコかと思ったけどぉ?」
互いに好敵手を見据えて不敵に微笑み合うと、トニーが再び声を張り上げる。
「野郎共! やれー! ぶちのめしてしまえー!!」
一斉に得物を構えようとした刹那、零れそうな双峰を揺らしながらフラフラと前に進んだリリィがキモノの裾に両手を掛けた。何事かと動揺と期待の入り混じった瞳が、開いた褐色の脚に注ぐ。
「ア・ハッピーニューイヤー! あけまして〜」
ゴクリと喉を鳴らして首を伸ばす野郎共。最後尾から蹴飛ばせばドミノ倒しになりそうな勢いだ。
「リ、リリィさん‥‥まさか‥‥でも下着はキモノじゃ着けないって‥‥」
紅潮した頬に両手を運び、クリスティーが自分の事のように恥らう。
スススと褐色の脚が曝け出されてゆくと――――。
「おめでとーございまーす♪」
一気にキモノを捲り上げるリリィの後姿。野郎共が驚愕の声を轟かせる中、ごろごろと紅白模様のダイナマイトが転がり、派手に爆煙をあげた。爆風にはためくキモノが艶やかであり誇らしげだ。
「え? 何? どんな仕掛けなのよ?」
聞いてはいけない事もあるさ、クリスティー。
このサービスアタックにより、野郎共の半数が壊滅したという。この惨状にトニーは恐怖した。
「ひいいぃっ! ロバート! 頼んだぞ!」
銃を乱射しながら一目散に逃げてゆくトニー。銃声が響き渡り、爆発音が轟く中、両肩に猫を乗せた雇われボディーガードは深い溜息を吐く。
「やれやれ、バカのお守りはうんざりだが、給料分の働きはしないとな。仕事で選ぶな上がりで選べってね」
「相手にとって不足なしッ!」
ゴールディがツインテールとドレスに弧を描かせて銃を連射し、野郎共が吹っ飛ぶ中、リリィが無駄に飛んだり跳ねたりしつつ銃を放ってゆく。そりゃもう、たわわな膨らみが弾んだり、キモノから艶かしく露出したりと激しい事この上ない。対するロバートも負けずに銃を連射して立ち回る。
そんな光景を静かに物陰から眼鏡のレンズ越しに見つめる影。
「こちらの猫を連れた男も強いですけど、あちらの女の子達も相当良い動きをしますね」
静観しながらも素早く銃を撃ち捲くり、流れ弾を打ち落とすテクニックは相当なものだ。
戦況はゴールディ達の有利に展開し、ロバートは猫を庇った隙を突かれ負傷すると、一目散に駆け出す。
「あら? 逃げたようですね。さて、トニーはどうやって切り抜けるのかしら」
舞台は屋敷の中へ移ろうとしていた――――。
「こいつをぶち込まれたくなかったら降参しろ!」
追い詰めたトニーが凄みながら向けたのは、巨大なガトリング砲だ。怯まず歩を進めるゴールディ達。
「わぁお☆ スゴイんじゃなぁい?」
「当たらなければ意味ないわ。ボーヤ、よく狙いなさいよ」
小声でリリィに答えた後、ゴールディはトニーに向けて声を響かせた。
「く、来るなあぁぁッ!!」
ガトリング砲が唸り声を轟かせる。激しい衝撃に震えながらも、複数のバレルは左右に散る少女達に向けられた。薬莢が床にバラ撒かれる中、一発の銃声が青年を吹っ飛ばす。
肩を押さえるトニーを見下ろすゴールディとリリィ。
「だからよく狙いなさいって言ったのよ」「素人じゃ簡単に当たられないんだけどねぇ♪」
悔しげに俯くトニー。結末を見守る影は微笑みを浮かべ、小さな拍手を鳴らすと気配を消した。
「‥‥ん? 今の感じ‥なんだろう?」
リリィが戦慄を覚えた刹那、カスミが扇動した民が雪崩れ込み、タイラーの元へ向かう。
「何ィ!? あれを突破されただと!? にににに逃げるのだ! おひゃぁぁー! わわわわ私が悪かったどうか助けてくれ!」
最後の抵抗もカスミの洗礼を叩き込まれ、二人は縛られ連行されてゆく。
「おまえらがだらしないからだぞ」
手下達に声を荒げるものの、誰一人無傷の者はおらず、むなしく響き渡るのみだ。後は報復を受けるなり、民次第だろう。チェスターとクリスティは圧政からの開放に喜び合った――――。
「そう、あの娘たちは本を持ち出したのですね。この手紙を渡して下さい。私が彼女達を追い掛けます」
黒手袋から封筒を受け取る影が去ってゆく。
レンズに幌馬車を捉え、金色の三つ編みが突風に揺れた――――。