GUN&ROAD T13南北アメリカ
種類 |
シリーズ
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担当 |
切磋巧実
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芸能 |
3Lv以上
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獣人 |
3Lv以上
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難度 |
やや難
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報酬 |
8.2万円
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参加人数 |
7人
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サポート |
0人
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期間 |
03/05〜03/09
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前回のリプレイを見る
●本文
●聞けぬ声
――この地をエルドラドなどと信じる者が未だいようとはな‥‥。
黒手袋からの報告は聞いた。その者達は地図の断片を集めて向かって来ているのは事実。
いつまで追跡する気だ? さっさと始末してしまえば済むだろうに‥‥。
楽しんでいるのか? ならば楽しみを増やしてやろうではないか。
刺客という娯楽を送り込む事としよう。黒手袋の真意も自ずと見えて来るだろう――――。
新たに入手した書物により、地図の断片が散らばる地を把握する事が出来たゴールディ一行は幌馬車で旅を続けていた。幾つか断片は見つけたものの、肝心のエルドラドの場所は未だ分からない。
辿り着いた小さな町でゴールディ達は最大のピンチに陥る。
次回、脅威の魔銃(マガン)。
■募集区分
★ゴールディ一行:性別不問(1人〜)
今回の見せ場は圧倒的危機により、次々と傷つくクライマックスです。
●前回から引き続き登場する者:性別不問(1人〜)
新たにゴールディ一行に加わったとか、謎の追跡者(黒手袋)、何故か先回りしていて現れる雇われガンマンなど。
●今回募集
★エルドラドからの刺客(マガン):性別不問(1人)
ハイテクノロジーの超スナイパーライフル(魔銃)を扱う者です。姿の視認はおろか銃声すら微かにしか聞こえない距離からゴールディ達を狙撃して痛めつけます。
尚、エルドラドからの刺客は複数でも構いません。但し、マガン(仮)以外は視聴者への顔見せ位の演出に留めて下さい(登場は次回以降を予定していますので、ハイテクノロジーの武器を設定して下さい。格闘武器でも弾丸を弾き飛ばす盾でもOK。但し、強力過ぎるとゴールディ達が勝てない為、考慮は必要)。
★町の牧師またはシスター:いずれかで性別確定(1人)
地図の断片は教会に保管されています。この町では『神の道標』とされており、誰もが知っていますが、何処に隠されているかは町の牧師またはシスターしか知りません(アクターが決めて下さい)。
予定としては、十字架の中か、シスターだったら‥‥××ってのも有り勝ちですよね(^^;
奪われたと知るや、町中の住民が武器を手に襲って来ます。
尚、アクターが演じないNPCの場合は最低限の登場しかしない予定です。アクターが演じる場合、名前はお好きに☆
●演じる為に必要な書類項目
・配役:ゴールディ一行/ 今回のサブキャラクターたち。
・役名:登場人物の名前です。本名で出演してもOK。
・設定:どんなタイプ(設定)のキャラクターを演じるか明記して下さい。
・武器:敵と戦う時に使用する武器です。
尚、結構ノリで制作されている為、とんでもない銃以外は採用予定です(エルドラドからの刺客は自由)。
勿論、所持していなくても、格闘武器でも構いません。
●プロット
展開に合わせて演技とセリフ明記(相談によりアレンジOK)。
1:町の牧師またはシスターと説得合戦。断固として教えないし、渡す事も拒否されるゴールディ達。
2:地図の断片の在り処を突き止め、奪うゴールディ一行。
3:住民に追われながら町から荒野へ。ホッとしたのも束の間、手綱を引くゴールディが凶弾に負傷、次々に幌馬車から姿を見せる仲間達が撃たれて行く。最後の1人が散った鮮血から方角を予想して幌馬車を壁に仲間達を引っ張り込み難を凌ぎ次回へ。
●サポート関連
衣装作成/脚本協力/大道具・小道具など前準備関連。
名前とどんな仕事をしたか載る予定です。
●何らかの事情で優先期間を越えてアクター枠が空いた場合、新規、または復帰キャラ募集します。
「さて、そろそろ終わらせるわよ」
サミィ・ライナーは中国茶を啜りながらEnterキーを叩いた。モニターに映るは最終回までのプロットだ。
「やはり佳境は強敵の登場とピンチよね。エルドラドに到達したら2回は展開させて最終回へ雪崩れ込みたい所ね。真実と選択がキーワードだわ」
「纏まりそうですか?」
「アクター次第ね」
――プロットが完成したと先ほど言いませんでしたか? 監督‥‥。
「だって、どんな展開が次に欲しいか希望ないし、私だって弱気になるわよ。‥‥それにしても盲点だったわ」
「‥‥何がですか?」
「‥‥大量の蟲に襲われる少女‥‥パニック第2弾もピキーンときたのよね☆ ああ、時間が足りないわッ」
少女はテーブルに突っ伏してブロンドヘアを抱えた。閃きやアイデアか浮かんだのは喜ばしい事だと助手は茶を啜りながら思ったが‥‥。
GUN&ROAD‥‥本当に終わるんでしょうね――――。
●リプレイ本文
●trigger13
――あの娘達、ここまで来ると思うか? こっち側に来て欲しくはないが‥‥。
端整な風貌の男は、指先まで神経を集中させる如き人体の限界を超越した究極のポージングで瞳を研ぎ澄まし、小さな呟きと共に溜息を吐いた――――。
――ゴールディ一行が小さな町に辿り着いて数日が経過した所から物語は始まる。
「こんな小さな町なのに手掛かり一つ見つからないってどういう事よ!」
食事の為に立ち寄った店のテーブルを睨みながら愛らしい風貌を戦慄かせ、ゴールディは苛立ちを露に浮かべていた。ふと視線を向かいの席へあげる。お気楽そうに固そうなパンをスープに浸してパクつくリリィの姿すら腹立たしい。文句の一つでも瞳に映る褐色娘に言ってやろうかとした時だ。
「あ、カスミが来たわよぉ♪」
軽い響きの声にゴールディが金髪ツインテールに弧を描く。視界に映るは、窓ガラス越しに満面の笑みで手を振るシスターの姿。そのまま歩いて食事処のドアを開き、情報収集中のカスミが訪ねた。
「で? わざわざシスターの恰好になって教会を探った結果はあったの?」
「あらあら☆ ご機嫌斜めみたいね。今日を過ごせる悦びを神に感謝しないといけませんよ?」
両手を豊かな胸元で組んで微笑むカスミ。たおやかな風貌から本物のシスターにも見えるが‥‥。
「神父さんが持ってるみたいだけど、渡してくれそうもないよ。どうする〜?」
微笑み絶やさず小首を傾げて見せた。この町では『神の道標』とされる地図が教会に保管されている事までは辿り着けたが、簡単にはいかないらしい。
舞い込んだ情報に、リリィはスックと腰をあげると、人差し指を見せてウインク☆
「まっかせてよぉ☆ アタシにアイディーアがあるわよん♪」
――此処まで来てしまいましたか‥‥。
ゴールディ達が地図の断片を求めて奔走する様を離れた所から窺いつつ、眼鏡の奥で瞳に苦い色を浮かばせた。
「‥‥分かっていますわ。此処で終わりにします」
背後で黒い影が去る中、右手の黒手袋が優雅にパフェを掬い、愛らしい口に運んだ――――。
<口笛のエフェクトがオープニング曲と重なり、銃痕の刻まれたタイトルが模られてゆく>
☆ゴールディ・ゴールドウィン:碧野 風華(fa1788)
☆リリィ・ザ・タートル:クールマ・如月(fa0558)
☆霞:金田まゆら(fa3464)
☆ヨハン・ボルディアック:辰巳 空(fa3090)
☆SE&BGM/ロバート・マクレガー/町民:工口本屋(fa4421)
☆エルク・ハーシェル:壬 タクト(fa2121)
☆シェリカ・アイマー(通称『黒手袋』):ロゼッタ・テルプシコレ(fa4020)
●説得は異国情緒とお色気で☆
「ジャパンのヒナマツリだも〜ん♪」
前回同様に褐色の肩を肌蹴させた着崩し着物姿で微笑んで見せるリリィ。如何に小さな町とて、奇抜な恰好には変わりなく、教会に辿り着くまで好奇の視線を数多に浴びたものである。当然、カスミが呼んで来た神父のヨハンも、戸惑いに若さの残る風貌を引き攣らせた――――。
「地図が何処にあるって‥‥只の神父がそんな事知る訳無いでしょう。それに、伝承によると恐ろしい物で、もしあっても渡す所か教える事もできません。お引取り下さい」
教会に招き入れたものの、ゴールディ達の用件を聞くなり腰をあげるヨハン。
「よし、飲もう!」
――は?
開口一発、リリィも立ち上がると、艶かしい足取りで青年神父の傍に寄る。
「腹割って直談判よ神父様。何ならお腹触らせたげるから♪」
それとも生脚がいい? 両肩の着物もっと摺り下ろしちゃおうかなぁ♪ なんて言いながら肩を抱いて野性的な谷間を露に覗かせてゆく。そこまでして酒が呑みたいかと呆れるゴールディだが、相手は若いとはいえ神父だ。
「止めて下さい! お酒も飲めませんし‥‥こんな、色仕掛けは私には通用しませんッ」
――今の間は何? 神父様。
長身の青年神父は一瞬だけ豊満な膨らみが目に入ってしまい瞳を見開き、動揺しながらもドアを開け退出を願う。刹那、視界に飛び込むオーバーオールと麦ワラ帽子の男。
「今日はポテトの良いのが採れたんだよ、食べてみてくれ。おや、お客さんかい?」
「いつも有り難うございます。丁度今、お引取り願っていた処ですよ」
流石にゴールディ達も一時撤退を余儀なくされた。
ドア越しに去ってゆく姿を見つめながら、ヨハンは赤い瞳に手を当てる。
「何故、エルドラドの地図の事を‥‥居場所が発覚したという事ですか‥‥」
●強奪よ! 強行手段しかないわ!!
リリィの色仕掛けで瞳を見開いた神父の目に違和感があったと知り、ゴールディ達は計画を実行に移す事にした。犯罪行為に等しいが、今更正義振る気もない。夜の闇に紛れながら教会に忍び寄り、カスミの素敵アイテムで鍵を開けると神父の許へ向かう。そんな中、落ち着いた男の声が飛び込んだ。
「私を探しておいでですか? お嬢さん方」
「あらあら☆ お見通しって訳ですね〜」
「あなたが地図を持っているのもお見通しよ! 手荒な事はしたくないわ、目の中にある地図を渡しなさい!」
ゴールディの威圧に、青年は優しげな表情を崩さず首を竦めてみせる。
「しょうがないですね‥‥私もついて行く事にしますか‥‥」
「ち、ちょっと! 地図を渡してくれればいいのよ?」
「‥‥お嬢さん方が知っているなら、既に気付かれたでしょう。刺客が来る筈です」
「刺客って‥‥どういう事よぉ」
『もう十分大冒険を楽しんだでしょう? それは貴方が望むにはまだ早いわ』
リリィが訝しげな色を浮かべた刹那、背後で穏やかな女の声が闇に響いた。瞬時に少女達の表情が研ぎ澄まされる中、神父の瞳が捉えたのは、白いコートに身を包む三つ編み金髪の少女だ。黒手袋を嵌めた右手のリボルバーを構えるシェリカの瞳が、眼鏡の中で驚愕の色を見せる。
「貴方がこの町の神父?」
動揺の声を隙と見なし、ゴールディとリリィが腰を捻って背中越しに得物の咆哮を響かせた。空かさずカスミが番傘を開いて神父を庇う中、教会は硝煙に包まれ、銃声のセッションを奏で捲くる。
小さな町に聞き慣れない銃声。次第に民が武器を手に教会へ集まり出していた。シェリカを食い止めながら神父と共に外へ出た途端、オーバーオールと麦ワラ帽子の男が指差す。
「この小娘達だ! 神父様を助けるんだー!」
一瞬にしてゴールディ達の表情が滑稽な程に崩れた。『彼女』なら旋風の如きガン捌きで最小限の被害に済ませる事が出来たかもしれないが、ツインテールの少女と褐色の娘では射撃に不安が残る。カスミは格闘武器を扱うものの、銃は専門外の上、人数が多過ぎた。
「逃げるわよ!」
再び教会に戻ると津波の如き民が一気に雪崩れ込む。幸いなのは素人の為、ドミノ倒しの様相となる者がいたり、統率が取れていない為、追い着かれずに難を凌げた事だろうか。カスミの機転で角材や砂袋を倒し、何故か胸元からマキビシを撒いたりしつつ、町から逃走を果たしたのは空が白み始める頃だった。
●凶弾
――荒野に一陣の突風が吹き荒んだ。
カウボーイハットを目深に被った者の短い金髪がサラリと靡く中、ゆっくりと得物を組み立ててゆく。鈍い金属音だけが風音に混じり、荒野へ流れる。
ふと傍で真っ黒な毛並みの愛馬がハナを摺り寄せた。何処か憂いを帯びた緑色の瞳を向け、エルクは薄く微笑み、愛馬ノエルのハナ筋を優しく撫でる。
「どうして人は知らなくても良いことを知りたがるんだろうね、ノエル。理想郷は‥きっと何処にもないから理想郷なのに‥‥」
身の丈ほどはある得物を構え、ジーンズの膝を折ると、カウボーイブーツが乾いた地表を踏み締めた。覗くスコープから複雑なラインを描く緑色の光が流れ、長い銃身へと続く。スコープ越しの視界は急速に荒野を疾り、遥か先の幌馬車を捉えた。更に手綱を握る金髪ツインテールの少女を狙う。
「可哀想だけど、これ以上首を突っ込むなら‥‥消えてもらうしかない」
――小さな銃声が荒野の風に紛れる如く響いた。
「銃声!? ‥‥ッ!?」
ゴールディの小柄な身体が鮮血を散らせて宙を舞う。次いで周囲に響き渡ったのは、地面に何かが転がる鈍い音だ。馬車内でリリィと縛られた神父、カスミが異変を感じる。
「ゴール‥ディ? 馬車が止まったみたいだけどぉ」
――まさか!?
神父の瞳が動揺に揺れた時だ。
「来るわよ!」
馬車の中で番傘を開き、二人を庇うように身構えるカスミ。刹那、一発の銃弾が防壁を貫き、次いで二発目が鮮血を咲かせて和服の帯を吹き飛ばす。
「カスミッ!?」
際どく着物を肌蹴させ、衝撃でカスミが倒れ込んだ。震える手は脇腹を押さえ、木の床が赤く滲む。
「ごめん、やられちゃ‥‥た」
眉を戦慄かせながらも微笑み、カスミは意識を失う。怒りを露に馬車から飛び出すリリィ。周囲に人影は見えない。視界は地面に倒れ伏すゴールディを捉え、戦慄を覚えながらも銃声を撒き散らす。
「ゴールディ!? よくも‥‥! どこ!? どこからなの!?」
「姿を晒してはなりません! あれはエルドラドの‥‥」
神父の声が飛び込むと共に、褐色の肌に鮮血が舞う。
――これでは皆、やられる‥‥。妹の為、何年も待ったというのにっ。
馬を疾走させる背中で三つ編みが跳ねる中、手綱を握る黒手袋は幌馬車を追って荒野をゆく。
銃声が風に乗って流れ、荒野でまた一人、太陽が昇る中で倒れた――――。