GUN&ROAD T4南北アメリカ
種類 |
シリーズEX
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担当 |
切磋巧実
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芸能 |
3Lv以上
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獣人 |
2Lv以上
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難度 |
やや難
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報酬 |
8.2万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
03/25〜03/29
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前回のリプレイを見る
●本文
●TVCM
――荒野の中、追う者と追われる者あり。
少女達は何かを追って幌馬車駆って町から町へと旅烏。
そんな少女達を追う者の、目的とは如何なるものか。
辿り着いた先で起こる騒動に鳴り響くは銃声。
正義の化身か悪の破壊神か。
今日も硝煙の匂いを漂わせ、少女達を乗せた幌馬車は行く――――。
幌馬車で旅を続ける少女は四人。
ゴールディ・ゴールドウィン:賞金首を倒してお金を稼ぐ為に銃をコレクションする娘。
リリィ・ザ・タートル:部族を虐殺された過去持ち、シルクハットの者追うインディアンの娘。
エイミー・ライム:過去の過ちを背負い、贖罪の旅を続ける修道服の娘。
リネット:記憶喪失だが、製造元不明のシングルアクションリボルバーを所持する娘。
そんな少女達を追う者。
ヴィシャス・バイパー、Mr.エンブレム、レイラ・シフォン。
次第に浮かび上がる片鱗に浮かぶは正義か悪か。
そして、リネットの記憶に浮かび上がるウェスタンハットにマントを靡かせる者とは?
新西部劇『GUN&ROAD』絶賛放送中!!
今日も何処かで少女達の奏でる銃声が響き渡る――――。
「これで4人は完了ね。第1話と2話が短いフイルムだったけど、役者の成り切り次第かしら?」
第1話と2話はかなり編集したものだった為、サミィ・ライナー監督は今後の主役選択を役者の打ち合わせ次第と決めたようだ。
「レイラも再登場し、追う者達の動向も見えて来ましたからね。今後はどうします?」
泡立てたミルクティをテーブルに置き、ブロンドヘアの少女へ尋ねた。サミィがカップに息を吹き掛け、軽く喉を鳴らす。
「そうねぇ。リリィ役の娘がね、水着の町とかぁ、美青年の支配するハーレムの町もやってみたいような事を言ってたのよね〜」
「水着って‥‥西部劇ですよ!? そんな史実にない事いいんですか!?」
「そんなのノリよノリ☆ もはや史実マニアは観てないわよ。重要なのはテイストなの。ヴィシャスの宣伝ポスターも見掛けたわ。キャラクターの魅力が受けるなら、もっと色んな姿を見せてあげるべきよ」
――否、趣味としか思えない!
「‥‥確かに前回がシリアスでしたから(ゾンビものな上、リネットに無茶なシーン足したのは置いとくとして)明るい話も良いかと思いますが‥‥。監督、気になったのですけど、何話で終了する予定なんですか?」
「‥‥うーん、役者さん次第ってやつ?」
「は?」
「ヴィシャスも、Mr.エンブレムも、レイラも、ウェスタンハットの男も一度に消化できるもんじゃないわ。視聴率も悪くないようだし、打ち切り宣告届くまではやってみようかなって☆ 物語を核心へ導くタイミングは役者さんに任せるわ。それくらい役を掴んでくれなくちゃ♪」
その後、こくんこくんとミルクティを飲む音だけが室内に流れていた――――。
●trigger4――優劣の町=美しいもの>美しくないもの
基本は、『町を訪れ、トラブルに巻き込まれ(トラブルを作ってしまい)、力押しで解決(?)して 次の町を目指して旅立つ』です。
・予定プロット:配役の相談による修正可能。
起:新たな町に辿り着くゴールディ一行。
荒れ果てた荒野にも拘らず、ウォーターパラダイス(仮)は正に楽園のような町だった。但し、この町に入るには条件がある。武器の持ち込みは禁止。衣服は町で用意された物の着用。所謂水着にならなければ、町に入れないのだ。
承:「美しい者は人々の心を豊かにし、安らぎと平穏を与えてくれるよ」
街の地面は石畳で全体に水面が揺れる神秘的な世界だ(リゾート地のプールを想像して下さい)。街中は美男美女のオンパレード。ゴールディ一行も外見は悪くない。特に美しいリネットが仲間である事から、この町で権限を持つ美貌の青年に招待され、平穏な日々を約束された。そんな中、追われている少女を助ける事になる。事情は兎も角、彼女の案内で地下施設へ。
転:「彼は間違っています! でも、私達には闘う武器もない‥‥ううん、そうじゃなくて!」
地下では容姿の劣る者達が、地上へ出る事を禁じられた上、常に綺麗な水を供給する為、地下で強制労働を課せられていたのだ。少女はレジスタンスの一人。元恋人が豹変した事で、改心させようと反抗を繰り返していたのである。因みに上空は未対応との話だが、彼等に空を駆ける手段はない。外の馬車から武器を中へ持ち込めれば良いのだが‥‥。
結:「僕を助けてもくれなかった町をどうしようと僕の勝手だ!!」
何とか武器を手に入れ、毎度のドンパチ。語られる青年の過去。実は人買いに攫われ、ある好色な人物に買われて可愛がられたそうだ。嫌々ながら応えて来た彼は主の遺言で巨額の財産を手に入れた。
「美しさこそ成功の鍵なんだよ! 町を訪れる者も後を絶たない。滅び掛けた町を救ったんだ。人々は喜んでいる。追放せず食料も与えている慈悲深さが分からないかな?」
説得による改心か? それとも力押しで解決(?)か。
●募集区分
・主人公:女性(1人)
今回の主人公です。メインの4名の内から相談して決めましょう。一応、4人分回ったので、追う者から1名メインサブとしてあげても構いません。
・主人公の仲間:女性(3人〜)
メインの3名です。
・主人公達(幌馬車)を追う者:性別不問(1人〜)
何らかの理由で少女達を追い続ける者です。誰をどんな理由で追っているのか決めておいて下さい。
構成としては毎回なぜか追い着くが、また旅立たれて追跡となる予定。
・今回のサブキャラクター:性別不問(登場頻度が少ない方、または追う者として今回登場しない方)
ハーレムの美青年/レジスタンスの少女/町の民/その他
今回のNPCです。上記のように、置き換える事が可能です。今回の主人公に関連付けして、エピソードを盛り上げるもアリです。
・サポート関連
衣装作成/脚本協力など前準備関連。
●演じる為に必要な書類項目
・配役:今回の主人公/幌馬車の少女達/幌馬車を追う者/今回のサブキャラクター
・役名:登場人物の名前です。本名で出演してもOK。
・服装:簡潔に。衣装はイメージに合うものを用意する予定です。
★相手に着せたい水着があればこっそり書きましょう(笑)。
・設定:どんなタイプ(設定)のキャラクターを演じるか明記して下さい。
・容姿:髪型や髪色、瞳の色など、明記していなければ役者のそのままとします。
・武器:敵と戦う時に使用する武器です。
尚、結構ノリで制作されている為、とんでもない銃以外は採用予定です。
勿論、所持していなくても、格闘武器でも構いません。
●前回の役者が揃わなかった場合
物語上、役名は変えられませんが、目的等前回語られない部分は修正可能です。
●リプレイ本文
●trigger3
――プールに水面が揺れる。
「それは本当かい!?」
驚愕の響きを含んだ青年の声が流れた後、ゆっくりと爪先から赤いトランクスの水着を映し、そのまま白いウィンドパーカーを羽織った男の胸元へ流れ、Mr.エンブレムの整った顔を捉えた。顎鬚を生やした短い白髪の紳士は、穏やかな微笑みを浮かべる。
「いいでしょう。友人の貴方がお望みでしたら」
★(CAST)Mr.エンブレム:芹沢 紋(fa1047)
「助かるよ! これで不穏分子を払う事が出来るかもしれない。キミがクソ爺の知り合いだった事が何よりも幸運だ。‥‥おっと、失言だったかい?」
Mr.エンブレムの隣で共にビーチチェアで寛ぐブーメラン水着の美青年は、興奮気味に話した後、バツが悪そうに頬を掻いて視線を逸らした。壮年の男が低く笑い声を洩らす。
「気にする必要はありませんよ。‥‥死人は、何も語りませんから」
口元に微笑みを浮かべたまま、紳士の黒い瞳は冷たい色を放った。
「故郷の土地を手に入れる事が出来たのもキミが動いてくれたからだよ! Mr.エンブレム、キミには感謝している」
「もう他人行儀な呼び方は止めましょう。私はレオロア・エンブレム。今後も貴方の友人としてお役立て下さい」
「こちらこそ、宜しく頼むよ‥‥レオロア・エンブレム。さあ、宴の用意だ! 僕の友人を最高の美女達で持て成してくれ!」
ガッチリと握手を交わす中、柔らかい金髪を靡かせて青年が声を響かせた。豪勢な装飾の大きなプールを俯瞰に、視界は水着美女達の現われる光景を映しながら窓枠を抜けて屋敷全体を捉える。
更に大きく視界は広がり、街全体に水面が揺れる一見アトラクションのようなウォーターパラダイスの全容を映し出した。
●GUN&ROAD
「ぜ、全員水着の町ぃぃぃ!?」
素っ頓狂な少女の声が青い空へ響き渡った。
視界はそのまま降下し、4人の後ろ姿を捉える。左から背の高い修道服、頭一つ分低いテンガロンハットとボロボロのマント、腰まで届く艶のある黒髪のカウボーイはやや背丈は高く、一歩前で門番と対峙しているのは、金髪ツインテールで着飾ったドレスの小柄な背中だ。
★ゴールディ・ゴールドウィン:碧野 風華(fa1788)
「ど、ど、どういう事なのよ!? 水着じゃなきゃ入れないって。し、しっかり説明して貰うわよ!」
動揺から覚めぬものの、ゴールディは細い腕を組んで門番を上目遣いで睨んだ。どんなに可愛らしい風貌だとしても、細い眉を戦慄かせながら凄みを効かせられては門番も敵わない。門番の話に因ると、決まりであり、水着の方が住み易いらしい。
「少し私も聞きたいが、構いませんか?」
落ち着いた声で一歩踏み出し、修道服のフードを被った少女が口を開く。たぷんと胸元が弾み、門番は思わず視線を注いだ。
★エイミー・ライム:水島 無垢(fa1028)
「水着という話だが、私達は所持していない。‥‥聞いていますか?」
怪訝な表情を見せるエイミーに、慌てて門番は視線を戻して答えた。どうやら貸し出してくれるらしい。すると呆気らかんとした声をテンガロンハットの少女が響かせ、隣に佇む黒髪ロングヘアの美少女へ褐色の顔を向けて微笑んだ。
「なーんだ♪ ゴールディの好きなタダじゃないのよん☆ 悪い話じゃないわよ、ね♪ リネットちゃん?」
「え? はい、私はベッドで寝れれば‥‥」
★リリィ・ザ・タートル:クールマ・如月(fa0558)
★リネット:華夜(fa1701)
「そお? リネットはベッドで寝れればどこでも良いって言うのね!?」
「えぇ〜ッ? 変な風に取らないでよゴールディ‥‥」
「リネットにヤツ当たりしても仕方ないだろう? 何が不満なんだ?」
修道服の少女の言葉に、ゴールディは青い瞳を仲間達にチラリと流す。誇張するような効果音と共に、エイミーとリリィの豊かな胸元が何故か弾み、細身ながらバランスの取れたリネットの優麗なヒップラインが腰を捻ると同時にプリンと揺れる(注:ゴールディのイメージ視覚効果が含まれています)。
「くっ‥‥じゅ、銃の腕前じゃ負けてないんだからっ」
ツインテールに弧を描かせ、仲間達にクルリと背中を向けると、拳を戦慄かせて涙ぐむのだった――――。
「武器の持ち込み禁止は、何となくわかる気もするのですけど。なぜ水着っ!?」
門を抜けると、水着に身を包む受け付け官が終始笑顔で対応する中、ゴールディ、リネット、エイミー、と通過してゆく。そんな中、待ったを掛けられたのはリリィだ。
「いーじゃない♪ いつも被ってるものが落ち着くのよん。ほら、中に何も入ってないでしょ?」
どうやらテンガロンハットが問題になったらしい。白髪の少女は帽子を脱いでまるでマジシャンのように裏と表をクルクルと見せた。受け付け官は視線をあげ、不自然に切られた白い前髪に気付くと、丁寧に詫びた。何か勘違いしたようだが、リリィは気付いていない。
「そお? 分かれば良いのよ♪ そんなに畏まらなくて良いわよん☆」
軽やかな足取りで仲間達を追うのだった。
●更衣室でのスゴイ再会
ゴールディ一行は通された一室で水着を選び着替えに入っていた。巧みなカメラワークと装飾品でカバーする中、エイミーとリネットが白い素肌を晒し、それぞれが魅惑的な肢体を選択した水着に包んでゆく。一方、ゴールディは水着が飾られたハンガーを見上げ、困惑の色を浮かべていた。今が好季とリリィがニンマリと笑い近付くと、背後から水着を広げて見せる。
「ほらほら♪ 何度みてもゴールディのサイズに合うのはこれしかないってば♪」
「う、うるさいわね! 誰かが返しに来たかもしれないじゃないっ!」
幾ら普段着飾ったドレスに身に包んでいるとはいえ、リリィが選んだ水着は抵抗があった。しかも楽しんでいるのが明白だ。
「さっき聞いたが、一度着用した水着は直ぐに洗われるから返しには来ないぞ」
スッと白いしなやかな足が歩む。褐色の少女とゴールディが視線をあげる中、紺色のワンピース水着姿のエイミーが映った。露出が極めて少ない薄布に包まれた肢体は、窮屈そうにボディラインを際立たせ、過激なシルエットを浮かび上がらせる。
「‥‥なんだ‥‥あんまり、見るな」
ボリュームのある銀の長髪を揺らし、困惑気味に視線を逸らしながら右腕で左肩を抱く。その仕草が更に胸元を締め寄せ、たわわな膨らみを強調している事を彼女は知らない。あぁ、ゴールディが今にも泣きそうな表情を浮かべて膝を着く。
「うぅっ‥‥お、大き過ぎるわ‥‥」
「い、いやぁ‥‥エイミーちゃんには負けるわね‥‥」
「‥‥何の話だ? リリィも早く着替えるんだな」
愕然とする少女の横をモデルの如く歩み抜け、壁際の椅子に腰を下ろした。褐色の少女が視線をゴールディに戻す。
「じゃ、アタシも着替えて来ようかなぁ♪ そういやリネットちゃん未だかしら?」
『きゃッ!』
グルリと視界が室内を周る中、小さな悲鳴が飛び込んだ。聞き慣れた少女の声を探し出し、長い黒髪の背中を捉えた。
「どうしたの? リネットちゃん!」
「わっ! リリィ‥‥」
両手で尻を庇い、腰を捻って身体を向けるリネット。スレンダーながらバランスの取れた肢体は、緑色のワンピース水着に包まれていた。端整な風貌は仄かに桜色に染まっている。清純派代表らしく、恥かしがっているようだ。予想通りの反応を示す少女に、褐色の風貌が悪戯っぽい微笑みを浮かべる。
「わぁお♪ グリーンが似合うじゃないの☆ やっぱり細身でも出るとこが出てると違うわねぇ♪」
「え、そんな、こと‥‥目の色に合わせてみたんですけど‥‥」
リネットは緑色の瞳を潤ませ、何か言いよどむ。
「良いじゃない? 大人しめな感じだし、悪くないわよ?」
「でも‥‥あの、お、お尻の方が‥‥合わなくて」
リリィがリネットの背後に回ると、躊躇いながら庇った手を退けた――刹那、優麗なラインを浮かばせる桃肉が薄布を中央に寄らせて窮屈そうに飛び出した。再び悲鳴を洩らして両手で美尻を覆おうとした刹那、白い手がスルリと伸びる。短い悲鳴と共に身体がピクンと跳ねた。
「このお尻の形はって思ったら、やっぱり? なぁに♪ 私を誘惑してるの?」
リネットの肩に顎を預け、灰髪ポニーテールの少女が赤い瞳を艶かしく流して微笑んだ。
★レイラ・シフォン:ティーナ・アリスン(fa2462)
「んんっ‥‥ッ!? レ、レイラさんッ!?」
困惑に細い眉を戦慄かせていたリネットが、熱を帯びた緑の瞳でレイラを捉えると、顔を真っ赤に染め、慌てて踵を返して身を退いた。傍にいるリリィは唖然とした表情を浮かべる。
(「なに? お尻の形で分かるってどんな関係?」)
「レ、レイラさんっ、なんて格好しているんですかっ!?」
「な、なによ、これ、水着ぃ!? っていうか、露出狂!?」
視界に飛び込んだのは、部分的に肢体を薄布で覆う少女の姿だ。僅かな布地をゴム状の紐で引き伸ばし結んだクリアスリングタイプと呼ばれるもので、局部を隠しているものの、正直目のやり場に困るほど過激で艶かしい。
「‥‥失礼ね。時代の最先端をイク女って言えないのかしら? どお? ここで会えたのも何かの縁だし、同行させて貰っても構わないかしら?」
「本気ですか!? この水着で外に出るんですか!?」
「ゴールディの着替えが終わっ‥‥た、ぞ」
迎えに来たエイミーの声も流石に動揺の響きを浮かばせた。対する灰髪の少女は陽気に振り向いて挨拶して見せる。
「ハァーイ☆ レイラ・シフォンよ♪」
こうしてレイラを加えた一行はゴールディに合流するべく歩み出した――――。
「やはん、ゴールディは可愛いわねぇ〜♪ ホント、ちっちゃくて可愛いわよぉ♪」
両手を合わせて満面の笑みを見せるリリィ。
視界に映るは、水着にぷにぷにとした柔らかそうな肢体を包んだ金髪ツインテールの少女だ。ぴっちりと張り付いた薄布はなだらかなラインを浮き上がらせ、発展途上の容姿を際立たせた。ゴールディは肩を戦慄かせて頬を染めながら上目遣いで睨む。
「う、うるさいわね! さっさと街に入るわよ」
流石に自分のプロポーションをからかわれても事実上論破できないゴールディ。言い負かされ続けたリリィの、ここぞとばかりの逆襲に、耐えるしかなかったのである。
●ウォーターパラダイス
「凄い技術ですね、この街」
街の情景を見渡し、リネットは感嘆の声をあげた。街の建物は水に濡れても問題ない材質で造られており、足元は何処も至る所に設営されたプールから溢れた水に浸かっている。神秘的な街並を歩くのは薄布に身を包んだ者達。手荷物を持つ者は殆どいない。正に武器の無い世界であり、治安の良さが自然と滲み出ていた。一歩町を出れば荒野が広がっている。正にここは楽園だ。しかし、ふと違和感に気付いた。胸元に手を当て、緑色の瞳が言い知れる不安を彩る。
「でも、お年寄りがいない‥‥小さな子供も? それに、綺麗な人ばかり‥‥」
「そう言われればそうねぇ? 子供っぽい体型の人はいるみたいだけど♪」
「!! リリィ〜、あぁんた〜喧嘩売ってる訳ぇ〜?」
おどろおどろしい凄みをきかせた声で褐色の少女を睨むゴールディ。
「‥‥ゴールディ、構わない方が気は楽だと思うのだが‥‥」
「うるさいうるさい! エイミーに私の気持ちなんか分かる訳がないわ!」
背後を振り向き、ビシッと、はちきれんばかりの胸元を指差すと、涙目の少女が駆け出した。刹那、前に立つ男の筋肉にぶつかり、そのまま弾かれたように尻餅を着き、パシャンと飛沫があがる。
「うきゃん! な、なによ! レディに道くらい開けなさいよ!」
「も、申し訳ありません、レディ・ゴールディ様。私は皆様を迎えに参った者です。レディ・リネット様、この町の主が是非屋敷に招待したいと仰られまして」
ゴールディに手を差し延べて、軽く起こすと、男は一際見目麗しい黒髪の少女へ事情を話した。
「招待? 旅人をわざわざ? 本当に?」
これまでの様々な経験により、リネットの瞳が疑心の色を放つ。そんな中、割って入るは褐色の少女だ。
「ね、ね♪ 招待受けると美味しい食い物とか美味い酒とか出る訳?」
「‥‥リネット様が来られるのでしたら、勿論でございます。最高の料理と最高の部屋を用意し、お持て成しさせて頂きます」
男はリリィを眺めてから答えた。正直、彼女やエイミーの風貌は並だが、水着から浮かぶ肢体は魅力的だ。事実、彼方此方から突き刺さるような視線を受け、銀髪の少女は困惑気味である。リネットは仲間達を見渡し、結論を出した。
「清潔なベッドと美味しい食事は嬉しいかもー♪」
満面の笑みを浮かべる美少女。リネットはやはり能天気らしい。
●屋敷への招待
「ん? あの娘達は‥‥」
窓から街を眺めていたレオロアは、眼下に映るリネット一行を捉える。
「この屋敷に招き入れるとはな。厄介な事にならなければ良いが‥‥」
Mr.エンブレムはグラスを傾け、口元を歪めて見せた――――。
「ようこそ! 僕の城へ! おぉ、リネットさん、待っていたよ。美しい者は人々の心を豊かにし、安らぎと平穏を与えてくれる♪」
案内された大きな扉が左右を開かれると、豪華な装飾が施された巨大なプールが視界に飛び込み、中央に真っ直ぐ伸びた白い道の先に待つ、金髪の美青年が賛美の声をあげて立ち上がった。権力の象徴の如く水着の美女を侍らせ、リネット達が進む脇では美女達が水面を揺らして人魚の如く泳いでいる。プールサイドには水着に蝶ネクタイの格好で肉体美を晒す給仕達が立ち並んでいた。
「ほ、本日はお招き頂き、えっと、ありがとうござい‥‥あぁッ!?」
慣れない挨拶をする中、リネットは一点を指差し、素っ頓狂な声をあげた。瞳に映ったのは引き締った肉体美に美女達を侍らすもう一人の男。長い黒髪の端整な風貌に浮かぶ赤い瞳――――。
「あんた、ヴィシャス・バイパー!?」
★ヴィシャス・バイパー:小比類巻レイジ(fa1107)
「いつもフルネームで呼んでくれて嬉しいよゴールディ。こんな所でも再会するなんて、これはもう、運命としか言い様が無いな。どうだい? いっその事、俺の可愛い子猫ちゃん達の仲間に入るかい?」
「こ、子猫〜!? だ、誰があんたなんか」
「キミには言ってないよゴールディ。キュートだが、俺はロリコンじゃないんでね」
フッ、と乾いた笑みを向けるヴィシャス。ゴールディのツインテールが戦慄き、漆黒のオーラがゆらゆらと漂う。
「まあまあゴールディ、事実なんだから仕方ないじゃない♪ 早く席に着こうよん☆」
給仕達が長いテーブルへ料理や酒を運ぶ中、リリィが悪気なく満面を笑みを見せる。見渡せば、エイミー、リネット、レイラも椅子に座り、それぞれ感嘆の表情を浮かべていた。そんな中、美青年がオーラを放ちながら口を開く。
「キミ達は知り合いのようだね。ヴィシャスの無礼は僕に免じて許して欲しい。さあ、遠慮なく食べて飲んで楽しんでおくれ♪」
優雅な音楽が流れ、水着美女達がプールで舞を踊る中、それぞれ舌鼓を打ち料理を堪能する。褐色の少女は酒をグビグビと呑んでは注がれまた呑み、合間にモキュモキュと料理を口に運び、銀髪の少女は先ず両手を組んで祈りを捧げて、静かに食べ始めた。金髪ツインテールの少女はムスッとした表情を浮かべたまま、怒りを料理にぶつけるが如くパクつく。黒髪の美少女は満面の笑みだ。
「美味しい〜♪ ね、レイラさん☆ ‥‥‥‥レイ、ラ、さん? 美味しくないですか?」
「(情報は聞いてたもののあり得ないほどの豪奢さ‥‥彼のバックに誰かいるわね)え? ううん、美味しいわよ。ただ、美男美女も多過ぎると逆に地味かなって‥‥勿論、リネットは別よ☆」
「え〜〜、いやですよぉ☆ からかわないで下さい♪」
リネットは今日も能天気だった――――。
「退いて下さいっ!」
街を散歩する中、一人の少女が足元に飛沫をあげて走って来る姿を捉えた。その後を追い掛けるように数人のサングラス男達が筋骨逞しい肉体で駆ける。端から見れば危ない筋肉野郎に追われているように窺えるが、何処か違和感があった。何かと情報通のレイラが瞳を研ぎ澄ます。
「あの娘、水着じゃないわね。ほら、飛沫を浴びた部分が透けてるじゃない」
「えぇ〜!? まさか着替えてる最中に襲われたとかっ‥‥あっ!」
リネットが黒髪を靡かせ一気に駆け出した。少女が足を滑らせ転んだからだ。レイラが言う通りなら、大変な状態になっている筈。察した通り、水分を含んだ布地は白い肌を浮き上がらせていた。動揺を露に身を丸める中、男共が追いつき、下卑た笑みを浮かべて無理矢理立たせようとしてする。
――刹那!
「か弱い女性に何するのよ!」
黒髪を揺らし、振り上げた細腕は渾身の一撃を叩き込んだ。サングラスが舞い、男の頬が歪む。リネットは怒りの形相で睨み、少女の前に立ち憚った。しかし、相手の数は多い。
「邪魔するなら貴様も捕らえるぞ!」
一斉に男が銃を握る。その時だ! 風を切ってボロボロのテンガロンハットが回転し、魔の手から遮った。男共の手から鮮血が散る中、ブーメランの如く帽子は褐色の手に戻り、口付けて見せる。
「うふふん、これ切り札なのよねぇ♪」
キラリとテンガロンハットの縁に輝くは鋭利な刃。リリィが帽子を脱がなかったのは、万が一の為だった。空かさずゴールディ達が少女を囲み、一斉に走り出す。
「あ、あの‥‥」
「‥‥気にするな。仲間達は皆、見過ごしていられない性分でな」
リリィが優しげな微笑みを浮かべて見せた。男達は尚も追い掛けて来る中、少女が叫ぶ。
「左に曲がって下さい! 次は右へ!」
道案内に従い逃げ続ける中、何とか追っ手を撒くと、辿り着いたのは水の無い乾いた石畳の地面だった。少女はその一つを弄り、思いきり引っ張り開ける。所謂隠し扉というものだ。
「ついて来てくれますか?」
「何かありそうね、行くわよ!」
●楽園の裏と表と青い空
辿り着いたのは、地下に築かれた町だった。彼方此方に大きな機械が騒音を響かせており、幾つも歯車が施された柱が天井に向け伸びている。さながら地下鉱石採掘現場の様相だ。
「地下がこんな風になっていたなんて‥‥」
「ここが楽園の裏側。容姿の劣る者や老いた者は、地下から出る事を禁じられた上、常に綺麗な水を供給する為、地下で強制労働を課せられているのよ。容姿で差別するなんて‥‥彼は間違っています! でも、私達には闘う武器もない‥‥」
少女はレジスタンスの一人だった。武器を手に入れようと地上に出た所を見つかったらしい。
「ふ‥‥ふふふ‥‥‥‥いいじゃない、報酬無しで協力してあげようじゃないの!」
「話は纏まったか?」
★ジャスティン・ヘイルズ:赤倉 玲等(fa2328)
ゴールディの不気味な含み笑いが漏れる中、姿を現したのは、長い銀の前髪から赤い左目が覗く端整な風貌の青年だ。
「俺もあんた達と同じ流れ者だ。まあ、賞金稼ぎAとでも呼んでくれ。所であんた達、武器の当てはあるかい? ‥‥!?」
(「賞金稼ぎ?」)
「そうね、何も銃剣ばかりが武器って訳じゃないわ‥‥ね? ちょっと、なにリネットを見つめてるのよ! 駄目よ、この娘は!」
「‥‥いや、あんまり美しいんでな。‥‥作戦会議を始めようか」
「待って! 気持ちは理解できるけど住人同士のいざこざになれば後を引くわ。ここは私達に任せて貰えるかしら?」
レイラの提案に頷く一同。標的は分かっている。無駄な血が流れれば収拾が着かなくなる事を危惧しての言葉だった。
●夜に紛れて
「これがエイミーにわざわざ入手して来てもらったひみつ道具! ぱーっぱらっぱらー♪ にんげんたいほうー」
幌馬車に戻ると、ゴールディは被せてあった布を勢い良く取り払った。曝け出されたのは、カートゥンに出そうな丸っこい冗談のような大砲だ。
「‥‥ゴールディ? 今、にんげんたいほうーって‥‥」
「こんなので飛べるんですかぁ? って言うか、飛びたくないんですけどー」
「やかましーっ! とっとと銃を持って並びなさーいっ! リリィ〜? 先ずはあんたからよ♪」
二ヤリと笑い、ゴールディの邪悪な視線が褐色の少女を捉えた。リリィは戦慄の表情を見せる。
「あ、アタシが悪かったわよぅ‥‥やだ、ちょ、嫌あぁぁぁ!?」
「プールに落ちるようセッティングしてあげるから、銃を濡らさないでよね!」
問答無用に押し込まれ、すぐさま点火。轟音が響き渡り、リリィが宙を飛んだ。
「あははー、飛んでるぅ、アタシ飛んでるわぁぁ‥‥」
この夜、リリィは星になった――――。
「すみません、道を聞きたいのですが‥‥」
ジャスティンはサーフパンツ姿で二人の門番へ訊ね寄る。容姿も悪くない青年に疑いの目は向けられない。その油断を突くのが彼の思惑だった。丁寧に対応する男へ向けていた赤い瞳は冷たい色を見せると、掌に納まる筒状の固まりを至近距離で放った。呻き声と共に崩れる門番。異変に気付いたもう一人が拳銃を引き抜く。同時に一片の無駄もない動作で、崩れゆく門番から銃を抜き、引鉄を絞った。響き渡る銃声の後、一瞬で地面に二つの躯が転がる。端整な風貌に残忍な色を浮かべる中、赤い瞳は何事も無かったかのように見下していた。
「悪いが、レベルが違うのでね‥‥ん?」
何かが飛来する音が上空に流れ、ジャスティンが空を仰ぐ。瞳に映ったのは天空を舞う水着娘の姿だ。悲鳴を響かせながら放物線を描いており、青年の視線が下がってゆく中、やがてプールに大きな水飛沫が噴き上がった。次いでまた娘が悲鳴を棚引かせて飛んでゆく。
「‥‥呆れた娘達だ。武器は手に入った事だし良しとしとくか」
――人間大砲発射数刻前。
「はぁーい♪ 警備ご苦労さまぁん☆ 楽しんでくれてるぅ?」
その頃、広場ではレイラが派手な音楽に合わせ、ダンスショーを披露していた。巧いとは言えないが、何より裸体に紐を張ったような危うい水着で踊る姿はセクシー以外の何ものでもない。労いの言葉を投げれば、警備の男達は忽ち群がり出した。
歓声が沸き上がる中、赤い瞳に放物線を描く人影を捉えると、挑発的な踊りを見せながら、男共の中へ近づいてゆく。
「ショーはここまでよん☆ これからはぁ‥‥」
熱を帯びた瞳を潤ませれば、何かを期待する警備の視線は釘付けだ。刹那、レイラの瞳が研ぎ澄まされた。
「パーティのスタートよっ!」
ダンスの続きを踊るが如く肢体を躍動させ、次々と男共を蹴り飛ばし、拳を叩き込んでゆく。隙を突いた肉弾戦に、面白いように彼方此方で飛沫が舞い、警備達が崩れた。しかし、多勢に無勢、邪な眼光を放ち、次々と手が伸びると掴むは紐状の水着だ。
「やっ、ちょっと! あなた達、それでも警備を任され‥‥こら、引っ張っちゃ‥‥やぁん」
とてつもなくピンチの中、響き渡ったのは数発の銃声だ。鮮血が警備の腕や足に散り、レイラから身を退いてゆく。視界に飛び込むは屋上で腹ばいになり、2Mを超える折りたたみ式ロングバレルを備えた純白のスナイパーライフル『アンゼルス』を構え、コクリと頷くエイミーの姿だ。
「全員常に水着で歩いてる町なんてっ! 無くなっちゃえばいいのよーーーっ!」
叫びつつ銃を乱射するはゴールディ。
「そ、それが無料奉仕の理由なんですね‥‥」
「なるほど、ゴールディらしい本音だわ‥‥」
リネットとリリィも警備に銃弾を放ちながら駆け抜ける。この際、尻がどうとか、激しい動きに胸元が派手に揺れようと気にしてはいられない。目指すは権力を握る青年の屋敷だ。刹那、少女達の行く手を銃弾が遮る。
「ヴィシャス!?」
「今、彼に死なれる訳には行かないんでね!」
「殺したりしません! 間違いに気付いて欲しいだけです!」
リネットの銃弾が青年の銃を弾く。一瞬動揺を見せたが、瞳を閉じると少女達の通過を許した。
「来るのが早過ぎるんだよ。敵を騙すにはまずは味方からってね。彼には後から訊いても遅くないか‥‥」
――銃声が響き渡る中、一台の馬車が楽園を離れて行く。窓から顔を覗かせるはシルクハットの男。
「やはり、彼女達は厄介事の種と見るべきだな‥‥お別れだ、友よ」
「なんて事だ‥‥美しさこそ成功の鍵なんだよ! 町を訪れる者も後を絶たない。滅び掛けた町を救ったんだ。人々は喜んでいる。キミ達を追放せず食料も与えている慈悲深さが分からないかな?」
弱々しい声で膝を着き、美青年は震える声を投げた。対峙するのはゴールディ達とレジスタンスの面々だ。
「こんな街、砂上の楼閣よ。偽物ばかり‥‥全然綺麗じゃない!」
リネットが叫んだ後、静寂の中、エイミーが口を開く。
「知っているか? 美しさは罪‥‥という言葉を」
「そうだよ‥‥美しい故に僕は人買いに攫われ、好色な爺さんに飼われたんだ! 毎晩のように可愛がられ、嫌々ながら応えて、やっと死んでくれて‥‥遺言で手に入れた財産で、この楽園を作ったんだ。僕を助けてもくれなかった町をどうしようと僕の勝手だ!!」
美青年の叫びにレジスタンスの面々が顔を背けた。
「人買いに買われて‥‥可愛がられ‥‥うっ。私にはわからない世界‥‥」
「誰も助けてくれなかったからって今度は自分が虐げる側に回るって? しかも可愛がられて貰ったお金で‥‥甘えないでよ!」
リネットが頬を染めて困惑する中、レイラが地を蹴ると渾身の一撃を叩き込んだ。
「な、殴ったな! 僕の美しい顔を殴ったな!」
「何よ! 男は顔じゃないわ。大事なのはこれよっ!」
――何故に腕を叩く。心じゃないのか? リネット‥‥。
「自分が助けて貰えなかったからって、やり返すなんて。それじゃいつまでたっても負の循環は終わらないのよ。西部に生きる者に、銃はまだ必須の力よ。それを取り上げる、この町のやり方はやりすぎだった。私達が図らずも、それを証明してしまった、そうは思わない?」
ゴールディの諭すような言葉に、美青年は泣き崩れた――――。
『この町が間違っていたか否かは兎も角、繁栄したのは事実。自力復興可能。当面処分保留』
「後は町の人達が答えを出してくれるわ」
記録をタイプし、レイラが窓へ視線を流す。もう幌馬車は町を出ただろうか。
「道中御一緒したい所だが、遅れた分急ぐもんでな。縁があればまた会おう」
出発の準備を進める中、馬に跨った青年がウェスタンハットにカウボーイ風の出で立ちで手をあげ別れを告げると、風にマントを靡かせ、荒野を駆け抜けて行った。
「あれ? 誰でしたっけ?」
「自称賞金稼ぎよ」
あれ? なんだろう? あの影‥‥どこかで――――。
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