獣人ドクターズ撮影編2アジア・オセアニア

種類 シリーズ
担当 龍河流
芸能 2Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 3万円
参加人数 8人
サポート 3人
期間 05/18〜05/22
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●本文

●『獣人ドクターズ』撮影絶不調
 深夜の特殊な特撮番組『獣人ドクターズ』を製作中の弱小番組制作会社『るうぷ』を、この日も衝撃が襲った。衝撃がどんな姿のモンスターかはたった三人の社員の誰も知らないが、とりあえず駆け抜けていったのである。
 呼んでしまったのは、現在『るうぷ』のまとめ役の英田雅樹だった。こともあろうに。
「雅ちゃん、部長を殴ったら駄目なのよー」
「もうやっちまったもんは仕方がねえ。やっぱりこいつを呼ぶんじゃなかったな。この間の面子呼ぼうぜ」
 撮影の応援で呼んだ昔馴染みを、ぶん殴ったのである。
 この呼んだ昔馴染みは、過去に『るうぷ』の営業部長だった男である。その下について辞めてしまった元同僚が『仕事がないよう』と泣きついてきたので、ちょっとお安い契約で撮影補助を依頼したのだが‥‥英田と早々に軋轢が生じて、殴り合いの喧嘩をした挙げ句に、英田が相手を徹底的に殴り倒したのであった。

 実は『獣人ドクターズ』の撮影は、色々あって退職した元専務が新たに設立した会社と『るうぷ』の共同制作だ。ここに元営業部長が加われば、いずれは元営業部長と元専務が昔の内紛同様の騒ぎを起こすに違いないと皆川紗枝は思っていたのだが‥‥それよりも先に、英田がぶち切れたのである。
「この間の皆って、暇かどうかも分からないのに。困ったなー、もう」
「おまえ、よく平気な顔してるな」
 元営業部長をぶん殴った英田は、不機嫌も極まっていた。元同僚に泣きつかれて仕事を回す程度の情はあるのだが、幾つか絶対に許さないことがある彼である。元営業部長は、その逆鱗に触れるのだ。それはもう、分かっているくせに念入りに。
「そりゃあ、愛人になれって言われても嬉しくないけどさ、触られたりしてないから平気。だいたい愛人引き連れて辞めたんだから、あたしにまで声掛けるなって言うのよねー」
 そう。元営業部長は仕事は出来るが、女性関係に大変だらしがない奴だった。しかも二股どころではなく多数の女性、挙句に会社内外の関係者をたらしこみ、在籍していた折には紗枝にも散々声をかけていた。ただ紗枝は社長の妹の孫にあたるので、言うだけで行動は起こしていなかったのである。
 しかも不思議なことに、こんなに女性にだらしがないのにやたらともてて、一緒に辞めた中には確かに愛人と言われても不思議のない関係の女性が何人かいた。それ以外の女性は、元専務の会社に引き抜かれている。結局女性で残ったのが紗枝だけだったのは、その辺の事情もあった。
 なんにせよ、紗枝と出演者女性陣に迷惑は掛けるなと厳命した二時間後に、その約束が破られたものだから、セクハラ野郎に人権は認めない英田が殴り倒す騒ぎになったのだ。元営業部長は金遣いも荒かったから、そもそも英田とは相性が悪い。
「ああもう、急いで人を捜さなきゃー。この間の人達は暇かしらー」
 多分きっと危ういところを助けてもらったのに、全然感謝の念がない紗枝は、いつものように大至急の人集めに向かっていた。
 大至急が常態の『るうぷ』は、それでもなんとか存続している。

●『獣人ドクターズ』第七話あらすじ
 謎のウィルス『フッキョーワヲーン』感染者を操る存在がいる。
 この事実を突き止めた獣人界衛生局防疫課人間界出張所のメンバーは、この黒幕を探すための方策を練っていた。しかし黒幕は感染者ではないため、開発したウィルスの探知機にも反応しない。獣人そのものを探知する機械の開発を進める傍ら、感染者探しと身柄の確保、感染者からの聴取を進めようとするドクターズの前に、もう一人の獣人が。
 この『ウィルス探知機に反応しないもう一人の獣人』は敵か味方か。その手にある楽譜の謎とは?
 愛用楽器と新たな装置を人間界公用車に積み込んで、ドクターズはすべての謎を解くために『獣人の集う場所』に向かうのだった。(以下次回)

●『獣人ドクターズ』撮影スタッフ募集
「もしもし、番組制作請負『るうぷ』の皆川です。先日はお世話になりました。ところで、暇?」

●今回の参加者

 fa0388 有珠・円(34歳・♂・牛)
 fa1750 山田悟志(35歳・♂・豚)
 fa2037 蓮城久鷹(28歳・♂・鷹)
 fa2084 Kanade(25歳・♂・竜)
 fa2249 甲斐 高雅(33歳・♂・亀)
 fa2426 龍 美星(16歳・♀・竜)
 fa2544 ダミアン・カルマ(25歳・♂・トカゲ)
 fa2764 桐生董也(35歳・♂・蛇)

●リプレイ本文

 予想通りに順調に進行が滞っていて。
 それならそれで、早めに声を掛けてほしかったけど。
 セクハラを嫌う気持ちは分からないでもないし。
 でも殴ったらいけない、やっちゃったものは仕方がないけれど。
 いや、むしろよくやったと褒めてもよかろう。
 仕事が出来る人なら、一度話し合ってみるのもいいと思う。
「いや、修羅場仲間って凄い団結出来るけど‥‥色恋沙汰でそれは問題だよね」
 桐生董也(fa2764)とダミアン・カルマ(fa2544)とKanade(fa2084)と山田悟志(fa1750)と蓮城久鷹(fa2037)と甲斐 高雅(fa2249)のぼやきの後に、有珠・円(fa0388)があっけらかんと続けた。色恋沙汰じゃないと主張している『るうぷ』の英田雅樹の顔には、龍 美星(fa2426)がメイクかとつついてしまったほどにくっきりとした青アザがある。
「音響の手伝いで呼んだんだがな」
 ヒサが『それじゃ仕事にならん』と、応援を頼んでいた御神村小夜に英田の治療を任せている。彼女の能力に掛かれば、この程度の怪我はそれほど掛からずに治る。
「元部長さんと話に行くなら、アタシが運転するよ」
「後々の評判にも関わりますから、謝ったほうがいいですよ」
 一応は美星と山やんが勧めたのだが、相変わらず仕事はそれどころではない状態なのですげなく却下された。先方にも一角獣の女性がいるので、怪我の心配は必要ないらしい。皆川紗枝と状況の確認をしていたトウヤが、『時間がないな』と断言したので、速やかに仕事が終わったら先方と話し合いと言うことになった。
 なんか誤魔化されたようなと、思ったのはカイ君やダミアンやカナデだけではなかったが、番組を待つ大きなお友達とクラシックファンのためにも作業が第一なのである。

 どんなに仕事が大変でも、ちゃんと食事して、出来ればその時に各担当毎の進行具合をミーティングで確かめようというカイ君の意見は、皆の賛同を得た。幾ら修羅場でも美味しいものが食べたいし、一人で食べるのは味気ないと誰もが考えたからでもある。
 だが、昼間のうちから仕事は山積みだった。
「コンテはこんな感じで作ってみた。こことここがスタントで、こっちはセットが必要かな。どんな感じ?」
「問題なかろう。今ロケ先の確認は、ヒサがやってる」
 各話毎に脚本からちょっとずつ変更が入る、良くも悪くも柔軟な番組制作なのでトウヤがせっせと細かいところを調整した脚本を元に、アリスがコンテを描く。カナデに手伝いとつれてこられた桐尾人志も、脚本の脇役の台詞などを考えていた。
 前回の修羅場をくぐったトウヤは、もちろん短時間に限定された場所で可能な撮影を念頭に調整している。それでも今回は流石に黒幕に謎の獣人と登場するので、『郊外海沿いの静かな教会』をセットかロケで撮影に組み込む必要があった。コンテでは、その辺がセットかロケかで色々と違ってくるので、簡素なものが二通り出来上がっている。
 一部セットの場合には、ここのコンテがこう切り替わり‥‥などとやっているトウヤとアリスは『るうぷ』の営業部空き机を使っていたが、その頃のヒサは資材倉庫の一角にいる。
「音源の海関係はこの棚の下の辺り。あと教会はこれ」
「潮騒だけで五種類あるが、これは内容が違うのか?」
 『るうぷ』は番組制作会社なので、資料映像や過去の作成番組が多数保管されている。中には撮影されたが、公開されていない映像もたんまり。ロケハンしている暇はないので、紗枝が選んだ『海沿いの道』をチェックして、一番それらしいものを選ぶことにした。この場合、近いことも重要なチェックポイントだ。
 しかし。
「探しモノがすぐ出てくるのはいいが、整理の仕方が独特だな。今度これ貸してくれ」
 見やすいところに、『時代劇用ロケハン』と『刀鍛冶工房』の二本を見付けて、ヒサはすかさずチェックを入れている。
 ロケ地の候補はすぐに決まったので、とりあえず進行に支障はない。
 そうして、相変わらず毎回何かしら増えている気配の小道具大道具作成は、もちろん山やんとダミアンだ。その二人の隣に、ゴスロリ系黒の上下、一応ズボンの出演者エミリオが座って、うるさく注文をつけている。
「桐生さんは、獣人の脳波を感知する機械で、個体識別も可能な奴って言ってましたよ」
「そうしたら、それらしい表示が出る画面も必要だし‥‥画面に赤と青の点が入らないと駄目か。えーと‥‥なんにも言わなくていいから」
 弟のエミリオに『こんなに男率が高い職場で、実は女の子に興味がないんじゃ』と言われたダミアンは、ちょっと不機嫌だ。注文を出す弟に邪険にしているような気もするが、山やんは出演者の意見だから聞いてあげましょうと太っ腹な態度だ。さりげなく、『るうぷ』社用車に積み込む動物ぬいぐるみをエミリオに運ばせたり、洗車をさせたりしているが。だって忙しいから。
 結局、エミリオに手伝わせてもまだまだ忙しいので、ダミアンは『兄弟でよく似てるから、手の先だけ代理で撮影』とアリスに宣言されていた。
 そんなダミアンと山やんの楽しみは、夏のお祭りにおけるドクターズフィギュアのアイデアを練ることらしい。作る暇がいつ出来るのかは謎。
 このドクターズフィギュアに誘われているもう一人のカイ君は、土産に持ってきたお菓子で英田に渋い顔をされていた。紗枝が幸せになったのとは対照的だが、カイ君も自分で買ったわけではない。世の中には、誰しも逆らえない人がいるのである。
 それはさておき、映像加工を基本の仕事とするカイ君は、皆が働いている日中に、すでに仮眠モードだった。どうやら夜型人間らしい。
 対照的に昼型の美星は、皆が『るうぷ』で作業している頃、買い物に出掛けていた。彼女はスタントなので、色々決まらないと仕事がない。
「やっぱり、アタシは力だけの人ネ」
 他の皆は頭も使っているのにと美星はなにやら反省しているが、十人分を優に超える夕飯の買い物を一人でこなしてくれるのは大変にありがたい。あとは職制の違いと言うものである。
「えーと、後はお米アル」
 だいたい、米十キロと野菜、肉、魚介類をまとめて抱えて歩ける買出し担当は、滅多にいない。速やかに用事が済むのはいいことだ。
 この頃、キーボードの前から離れられないカナデは、小夜に手伝ってもらって『謎の楽譜』の作成に勤しんでいた。単に小道具としてそれらしい楽譜を作るのなら簡単だが、もちろん彼の仕事は違う。バイオリン曲をフルート用に編曲し、それをいかにも意味ありげな楽譜に書き起こすのだ。小夜が清書を手伝ってくれるが、音の確認はやはり自分でしなくてはならないので、あまり休む暇もない。フルートの演奏者が来るまでに、作業を終わらせておかなくてはいけないからだ。
「あー、ありがと。これ、美味しいな。こういうときは甘いものだよな」
 小夜が貰ってきてくれたカイ君のお土産を、カナデはあっという間に食べ尽くし、紗枝が自前のお菓子を分けてくれたのだが‥‥気付かなかった。コーヒーは山やんが気分転換で淹れた、こだわりの一品である。
 初日の夕飯は、前回同様に激烈なスケジュールの確認をしながら、でも全員がせっせと食べた。食後にもコーヒー。
 まだ、喫煙し始めた人はいない。

 翌日からは、時間との戦いが激化した。
「天気が崩れるかも知れん。急げ」
「車は安全運転アル」
 車で移動しているドクターズの映像を撮るために、ヒサと美星は出掛けていった。撮影補助に紗枝が小型車で同行している。車内部の撮影は、出演者達の時間が空いたときに別撮りだ。
 このときの運転は美星が請け負ったので、後部座席に陣取ったヒサがパソコンで何か熱心に確認していると思いきや。
「何の資料ネ?」
「日本刀」
 気分転換に趣味の世界に没頭していただけらしい。
 なにしろ、手伝いが二人いるとはいえ、カメラを道路脇に二箇所設置し、更に紗枝が運転する小型車から先行するドクターズの車を撮影するという、無理難題をこなすのだ。美星も移動中のことに文句はなかったが‥‥
「ここ、何時まで、撮影しても大丈夫アルか?」
「通報されないうちに帰りたいな〜」
 紗枝のこの返答には、文句の一つくらい頭に浮かんだだろう。ヒサは容赦なくでこピンを喰らわせて、でもしっかり撮るものを撮り終えるまでは帰ると言い出さなかった。
「お仕事は、ちゃ、ん、と、ね」
 美星の念押しに紗枝の返事は良かったが、ヒサと美星がそれを素直に受け止めたかは不明だ。
 それでも帰り道には、夕飯用の買い物をしたりしている。やっぱり美味しいものは食べたいからだ。毎日の買出しも、ほぼこの三人の仕事になった。
 トウヤが撮影場所を相当絞ったおかげで、アリスは本編の重要どころの撮影に専念していた。こちらは移動時間が短いし、撮影許可はばっちり取れているので、何の問題もなく撮影快調といきたいところだが‥‥
「いいか、ダミアン。今はトカゲのメカニックだぞ。そんな手がぷるっててどうする」
「ライトの位置直すから、その間にリラックスねー。別にとって喰わないからさー」
 時間節約、撮影スケジュールずんずん進行を合言葉に、弟の代役にされたダミアンは、そもそも露出する仕事が苦手だった。この仕事の契約もあくまで裏方仕事で、撮影される側に回ることはないはずだ。けれど。
 トウヤは眼光鋭く、いつもより数段渋くて低い声で、にやりなんて笑いつつ『やれ』と言い、アリスは上手におだてたり、慰めたり、煽ったりして仕事をさせようとする。更に喫茶店奥のスタッフルーム設定の『るうぷ』の一室の片隅で、山やんが器用に、先程ダミアンが組み立てた探知機をばらしている。また組み立てろということだ。
 しかも山やんは親切に、さっきの組み立てでちょっと引っかかりのあったねじ穴を上手に広げて、すんなりとねじが填まるようにまでしてくれている。とてもありがたい気遣いだ。普通なら。
 でも、どうして僕の弟はこの番組のレギュラーなんだろうかと、誰かに向かって尋ねたくなっているダミアンだった。
 もちろんトウヤはそんな気分はさて置かせて、『やれ』と言う。その姿たるや、カナデが言い始めた『ボス』の呼び名にふさわしく‥‥この人が黒幕役でもけっこういけるのではないかとアリスが感心したほどである。この感想には、誰も反論しなかったので、トウヤ本人はあまり嬉しくなかったらしい。なにしろ山やんも『任侠ものとかどうですか』と、面白がって口にしたくらいに、似合っていた。今では誰もがボスと呼ぶ。
「さ、頑張ってお仕事しよーねー」
 アリスが朗らかに宣言して、これまた器用に二台のカメラを操りつつ、ダミアンを働かせる。言葉尻はトウヤに比べて優しいが、有無を言わせぬ押しの強さはたいして変わらないとダミアンが言ったとか言わなかったとか。
「でも、二日目あたりまではまだ良かったですよね。ちゃんと寝てるから」
 山やんが、自分もふらふらしながら皆を評した、後日の発言である。
 更に夜中になると。
「おーい、効果入れたよー。BGMお願いー」
「音が合わないっ。どっかで一拍ずらして‥‥」
 カイ君とカナデが、夜食をつまみつつ、それぞれの作業に没頭する。撮影された映像に特殊撮影の効果を入れたり、BGMや効果音を合わせたりするのだ。カイ君は夜型人間で深夜に元気だが、カナデは演奏家の都合で日中に動くこともあり、コーヒーと甘いものが手放せない。他の面子もけっこう遅くまで手伝ったり、世話を焼いたりしてくれるのだが、丑三つ時には二人だけで作業となる。
 そうして、気晴らしに二人で益体もない話をしたりするのだが。
「あー、もうちょっと妖しくしたいのに、イメージが出てこない。カイさん、なんかさムーディな話して」
「僕にそういう話題を振っても無駄。妖しい雰囲気なんて、縁がないから」
「新婚のくせに、冷めてんなぁ」
 なにやら時々、作業とは違う会話や音が響いていたりする。
 挙げ句にカナデが朝食に味噌汁を紗枝にリクエストしたが、作るのは英田だったりして、カイ君にくすっと笑われるある日の出来事などがあったりするのだ。
 日が進むにつれて、美星と共にスタントに挑んだボス・トウヤが手違いで吹っ飛ばされたり、それで代わりにヒサがスタントに入ってみたが、出演者との身長差を埋めるのにカイ君が悶絶したり、おかげで美星が縮こまってみたり、カナデが限界まで仕事したら『謎の楽譜』にコーヒーを零しそうになって夜中に叫んだり、それで仮眠中のアリスが機械仕掛けのように跳ね起きて、小道具の改良をしていた山やんとダミアンが大事な小道具を取り落としそうになったりしたが、最終日の朝には、めでたく揃って英田の作った朝食を食べることが出来た。味噌汁は豆腐とわかめにねぎ。
「よし、あとは納品しておしまいだな。納品は俺と紗枝で行くから、寝てていいよ」
「無理じゃないですか?」
「運転するアルよ」
 英田の言葉に、山やんと美星が返す。
 彼らの視線の先では、味噌汁だけ飲んでテーブルに突っ伏したカナデと、朝食が並べられている間に寝入ってしまったアリスとカイ君、起きているが目の下の隈が運転できる状況ではないと示しているトウヤとヒサ、そもそも日本で運転するのに不安が残るダミアンが一応座っていた。紗枝は舟をこいでいる。
「行ってくる。代わりに、寝てる奴の目が覚めたら、この期間に仕事頼みたいって言っといて。多分十一話だな」
 今度は次の仕事の予約、つまりは再々修羅場の宣言をして、英田は紗枝を引き摺って出掛けていった。
 残った人々のスケジュール調整は、ひと寝入りしてからだろう。