CAT’S  12南北アメリカ

種類 シリーズEX
担当 ゆうきつかさ
芸能 2Lv以上
獣人 2Lv以上
難度 難しい
報酬 3.9万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 07/15〜07/19
前回のリプレイを見る

●本文

<参加資格>
 女性のみレスラーとして参加する事が出来ます。
 間違って男性が参加した場合は、女装する必要があります(ぉ

<詳しい内容>
 正統派プロレスではなく、ショープロレスです。
 試合の勝敗は実力ではなく、その場のノリで決まります。
 基本的にはベビーフェイス(正義)とヒール(悪)の戦いになるため、自分がどちらのチームに所属するかを選んだ上で、試合に参加してください。
 試合は基本4試合。
 状況によって増えたり、減ったりしています。
 対戦相手を選んだ上で一試合だけ参加してください。
 複数の試合に参加した場合は、こちらで適当に割り振られてしまうため、望むような試合は出来なくなります。
 また健康的なお色気を前面に押し出しているため、あまりにも卑猥すぎた場合はオーナーのワイズマン・ウォルター・エルマン(通称:WWE)から試合の中止を宣言されます。
 対戦相手が居ない場合や、遅刻した場合は雅・飛鳥(新人)が試合に参加する事になります。

<選択可能な試合一覧>
・追い剥ぎマッチ
 対戦相手の服を脱がして水着姿にする事が出来たら勝利です。
 専用のコスチュームを着て試合に参加してください。

・ローションマッチ
 全身にローションを塗りたくった上で試合をします。
 リング上にもローションが塗られているため、とても技が掛けにくくなっています。

・キャラクターマッチ
 レスラーのキャラクター性を強調した試合運びが可能となっており、架空の設定などを持ち込んで対戦相手と試合します。

・ガチンコマッチ
 ストーリー重視の試合になります。
 筋書きなどを決めた上で、魅せるプロレスを心掛けておきましょう。

・タッグマッチ
 所属の同じ者同士が組んで試合をします。
 タッグマッチならではの試合が出来ます。

<テンプレート>
所属:
リングネーム:
試合形式:
対戦相手:
登場シーン:
登場時の台詞:
コスチューム:
アピールポイント:
得意技:
苦手技:
決め台詞:
控え室での行動:

<説明>
所属:ベビーフェイス側(正義)かヒール側(悪)のどちらを選んでください。
リングネーム:未記入の場合はPC名になります。
試合形式:追い剥ぎマッチ、ローションマッチ、コスチュームマッチ、ガチンコマッチのうち、どれかひとつを選んでください。
対戦相手:対戦相手の名前とPCIDを記入してください。
登場シーン:登場の仕方を教えてください。
登場時の台詞:キャラクターの口調でお願いします。
コスチューム:コスチュームの説明をお願いします。
アピールポイント:一番アピールしたいポイントは?
得意技:得意な技を教えてください。
苦手技:苦手な技を教えてください。
決め台詞:勝利した場合の決め台詞。
控え室での行動:控え室で何をやっているのか書いてください。

●今回の参加者

 fa0383 ダイナマイト・アスカ(16歳・♀・竜)
 fa0936 霧夜マイナ(17歳・♀・蝙蝠)
 fa1326 リン紅原(18歳・♀・竜)
 fa1879 リスフィア・マーセナル(20歳・♀・竜)
 fa2585 ベリル・ライアン(24歳・♀・獅子)
 fa3148 ゴールデン・クイーン(24歳・♀・虎)
 fa3589 リップ・ザ・ウルフ(24歳・♀・狼)
 fa3793 エレクトラ・テーム(20歳・♀・鷹)

●リプレイ本文

●リスフィア・マーセナル(fa1879)の控え室
「うぅ‥‥、どうしよう‥‥」
 魂の抜けた表情を浮かべながら、リスフィア・マーセナルが頭を抱えて溜息をつく。
 対戦相手がゴールデン・クイーン(fa3148)と決まった時点で、ど派手な行動をしてくる事が容易に予想する事が出来るため、どんな演出で登場しようか悩み始めているようだ。
(「‥‥普通に登場したら、ちょっと地味だし、だからと言ってド派手に登場するのも、キャラじゃないし‥‥」)。
 一瞬、ゴンドラに乗って登場する自分が脳裏を過ぎり、リスフィアが顔を真っ赤にしながらプルプルと首を横に振る。
 孔雀の如く派手な衣装で登場する事も出来るのだが、そんな事をしたら恥ずかしくて試合どころではなくなってしまう。
(「でも、インパクトは大事ですよね。派手なコスチュームを着るとか、ちょっとしたトラブルに見舞われるとか‥‥」)。
 ‥‥悪い方にしか想像が浮かばない。
「や、止めておいた方が良さそうですね。いつものテンションで登場した方が、ファンの人達もついて来てくれると思いますし‥‥」
 大きく深呼吸をしながら、リスフィアが自分自身に言い聞かせる。
 色々と気になる事はあるのだが、ファンのためにも頑張るしか無さそうだ。
「と、とりあえず無事に終わると‥‥いいなぁ‥‥」
 引きつった笑みを浮かべながら、リスフィアが控え室を出て行った。
 リングに上がる以上、頑張るしかないのだから‥‥。

●ゴールデン・クイーンの控え室
「‥‥暑いですわね」
 黒革のボンテージ風衣装に身を包み、ゴールデン・クイーンがワインを飲む。
 ゴールデン・クイーンの控え室は18世紀フランスの雰囲気が漂っており、天井には派手なシャンデリアが吊るされている。
「も、申し訳ありません。女王様! す、すぐに涼しくしますのでっ!」
 慌てた様子でゴールデン・クイーンに駆け寄り、召使いの男が必死になって羽根扇をパタパタと扇ぐ。
 予算の都合で控え室にはクーラーが取り付けられていないため、自分達で何とかしないと蒸し風呂になってしまう。
 そのため、各自で部屋を涼しくする方法を考えておく必要がある。
「どうやら御仕置きが必要のようですわね」
 含みのある笑みを浮かべながら、ゴールデン・クイーンが鞭を掴む。
 召使いの男は悲鳴を上げて尻餅をついたが、恐怖のあまり逃げ出す事は出来ないようだ。
「前菜くらいにはなるかしら? ‥‥わたくしをガッカリさせないでね」
 召使いの男の首輪を嵌め、ゴールデン・クイーンがニヤリと笑う。
 彼に興味はまったく無いが、暇つぶしにはなりそうだ。

●第1試合 『追い剥ぎマッチ リスフィアVSゴールデン・クイーン』
「よ、よろしくお願いします」
 スポットライトを浴びて緊張した様子で登場し、リスフィアが観客達に手を振り笑顔で歩いていく。
 結局コスチュームはイメージカラーの青を基調としたレオタードに決まったが、観客達にとってはそれが逆に良かったらしく、観客席から彼女を応援する声が響いている。
(「‥‥よ、良かった。奇を衒って派手なコスチュームで登場していたら、みんながドン引きしていたかも‥‥」)。
 苦笑いを浮かべながら、リスフィアがホッと胸を撫で下ろす。
 観客達にとっては見た目の変化よりも、彼女の成長を見守る方が重要なようだ。
「おーほっほっほっほっほっ! 女王様とお呼び!!」
 続いて登場したのは、ゴールデン・クイーンである。
 彼女は荘厳なクラシックをロックにアレンジした曲を響かせ、18世紀フランス貴族の様な漆黒のドレスを身に纏い、漆黒の鞭で地面をピシリと叩いて漆黒の扇を仰ぐ。
 観客達はゴールデン・クイーンの気迫に驚き、緊張した様子で彼女がリングに上がるのを待っている。
「ううっ‥‥、やっぱり凄い。負けないように頑張らなきゃ!」
 拳をキュッと握り締め、リスフィアが自分自身に気合を入れた。
「セレブなわたくしと相対する事を光栄に思いましね」
 勝ち誇った様子で胸を張り、ゴールデン・クイーンが持っていた扇を振り下ろす。
 それと同時にリスフィアのコスチュームが切り裂かれ、彼女の真っ白な肌が露わになった。
「きゃあ!? ま、まさか‥‥、凶器を持っているんですか!? そんなのルール違反ですっ! 卑怯な事をしている自覚は無いんですか?」
 ハッとした表情を浮かべた後、リスフィアがゴールデン・クイーンを睨んで文句を言う。
「言い掛かりは止めて欲しいですわねぇ。わたくしは正々堂々と戦っていますのよ?」
 まったく悪びれた様子もなく、ゴールデン・クイーンが扇を仰ぐ。
 扇には刃物が仕込んであるのだが、よく見なければ分からない。
「それじゃ、わたくしの方から行きますわよ」
 含みのある笑みを浮かべながら、ゴールデン・クイーンがスピアーを放つ。
 リスフィアはゴールデン・クイーンのドレスを掴み、そのまま反動を利用して服を引き千切る。
 そこで、ようやくゴングの音が辺りに響く。
「絶対に‥‥負けませんからね‥‥」
 険しい表情を浮かべながら、リスフィアがヒット&アウェイを繰り返し、ゴールデン・クイーンのドレスを引き千切る。
 しかし、ゴールデン・クイーンは怯む事なく、彼女の攻撃をやり過ごしロックボトムをお見舞いした。
「あらあら、もうお休みなのかしら? 良い子はもう寝る時間なのかしらねぇ。わたくしは心が広いから、あなたが目を覚ますまで待っていて差し上げますわ。まぁ、カウント・スリーまでの短い間ですけどね。おーほっほっほっほっ!」
 彼女の技を喰らって後頭部を打ったリスフィアを見つめ、ゴールデン・クイーンが満足した表情を浮かべて高笑いを響かせる。
 レフェリーはマットにへばりつき、大声を上げてカウントを取っていく。
「はあ‥‥はあ‥‥。まだです。‥‥まだやれます」
 虚ろな表情を浮かべながら、リスフィアがふらりと立ち上がる。
 だが、技を仕掛けるだけの気力は残されておらず、今にも倒れそうな雰囲気だ。
「‥‥可愛そうに。わたくしがいますぐ地獄に送ってあげますわ!」
 すぐさまリスフィアの右手を掴み、ゴールデン・クイーンがゴールデン・ストライク(ジャンピング・パワーボム)を炸裂させた。
「‥‥お疲れ様。これで終わりですわ!」
 引き千切ったコスチュームをパラパラと落とし、ゴールデン・クイーンがニヤリと笑う。
 しかし、リスフィアはロープを掴んで立ち上がり、引き千切ったドレスを彼女に見せた。
「‥‥残念でしたね。私のコスチュームは、まだ残っていてます。それに‥‥、ベビーフェイスが勝たなきゃウソですよね」
 一部だけ残ったコスチュームを押さえ、リスフィアが自らの勝利を宣言する。
「あらあら、運が良かったのね。‥‥今回はわたくしの負けにしてあげますわ」
 そう言ってゴールデン・クイーンが高笑いを上げながら、ゆっくりとリングを降りていくのであった。
『勝者:リスフィア(ベビーフェイス) 決め技:判定勝ち』

●リップ・ザ・ウルフ(fa3589)の控え室
「HAHAHAHAHA! そのコスチューム、サイコーに似合ってマスYO! やっぱりコスチュームはアメリカンに限りマァースNE!」
 満面の笑みを浮かべながら、ワイズマンがリップ・ザ・ウルフの部屋に入ってくる。
 彼女の部屋にはワイズマンから送られたハイレグ水着が並んでおり、よく見るとアメリカ国旗の位置が微妙に異なっているようだ。
「なんだよ、オッサンか。てっきり瀬戸が来ると思っていたんだけどなぁ‥‥」
 ワイズマンをマジマジと見つめた後、リップが残念そうに溜息をつく。
 リップは女性にしか興味が無いため、ワイズマンがどんなにアピールして来ようと興味は無い。
「オゥ‥‥、それはツレない返事デスネ。せっかく控え室までアイサツに来たと言うのに‥‥。ひょっとして、ワタシはタイプじゃないんデスか!? 同じアメリカンな心を持つモノなのに‥‥」
 彼女の言葉が心臓にグサリと突き刺さり、ワイズマンが衝撃のあまりガックリと肩を落とす。
 よほど彼女の一言が聞いたのか、身に纏っていたワイシャツをビリビリと破っている。
「鬱陶しいんじゃ、ボケ! 用が済んだら帰りやがれっ!」
 不機嫌な表情を浮かべながら、リップがワイズマンを蹴り飛ばす。
 彼女にとって今のワイズマンは単なるオッサンでしかないのだから‥‥。

●リン紅原(fa1326)の控え室
「今回はガチンコマッチか。‥‥腕が鳴るぜ!」
 全身から汗を流して鉄アレイを何度も持ち上げ、リン紅原が興奮した様子でニヤリと笑う。
 初めてのガチンコマッチという事もあり、ギリギリまでトレーニングを続けている。
「た、助けてクダサイ‥‥。いまのワタシは哀れな子羊サンなのデェース‥‥」
 匍匐前進をするようにして控え室の中に入っていき、ワイズマンがリン紅原にむかって右手を伸ばす。
 隣の控え室でリップにボコボコにされたのか、ワイシャツがビリビリに破れている。
「自業自得だな。‥‥帰れ」
 クールな表情を浮かべながら、リン紅原がワイズマンを無視してトレーニングを再開した。
 どのような理由で彼の服がボロボロになったのかまでは分からなかったが、9割の確率でワイズマン側に非がある事は間違いない。
「うぅ‥‥、今日は厄日のようデスね。ふたりとも頑張ってクダサイ。藁人形を片手に応援シマス‥‥」
 雨の日に捨てられた子犬のような表情を浮かべ、ワイズマンがヒョコヒョコと這って控え室を出て行った。

●第2試合 『ガチンコマッチ リップ・ザ・ウルフVSリン紅原』
「よっしゃ! やったるじゃん!!」
 ラップの入場曲に合わせて真っ白なスモークが焚かれ、リップ・ザ・ウルフが真紅のガウン姿でレーザー光線が縦横無尽に光っている花道を突き進む。
 観客席から色取り取りのテープが雨のようになって降り注ぎ、花道を綺麗な虹色に染めていく。
「俺とガチでやるからには、それなりの覚悟があるんだろうな」
 威風堂々の余裕たっぷりの笑みを浮かべて、リン紅原が赤と黒を基調としたコスチューム姿でリングに上がる。
 それと同時にゴングの音が鳴り響き、リップが真紅のガウンを脱ぎ捨てた。
「覚悟が出来なきゃ、リングに上がるわけがないだろ! こっちはいつでもOKだぜ!」
 アメリカの国旗をモチーフにしたデザインのハイレグ水着を見せつけながら、リップがニヤリと笑ってリン紅原と両手を合わせて力比べをし始める。
 単純な力比べならば同等に近いレベルなのだが、リン紅原の方が試合慣れしているため、だんだん彼女の方が優位に立っていく。
「うぐ‥‥、やるじゃねえか。だが、これで終わりじゃないからな!」
 すぐさまフィンガー・ロック・フリップを仕掛け、リップが雄叫びを上げてリン紅原を放り投げる。
 しかし、リン紅原は受け身を取って立ち上がり、余裕な態度でスタンディング式のアンクルホールドを仕掛けていく。
「たくっ‥‥、ムカツク奴だぜ! だが、いつまで余裕でいられるかな?」
 悲鳴を上げてロープを掴み、リップがふらりと立ち上がる。
 リップはロープを反動にして勢いをつけ、リン紅原に対してラリアットを試みた。
「‥‥甘いな」
 呆れた様子で溜息をつきながら、リン紅原がドロップキックを炸裂させる。
 リップは腹にリン紅原の一撃を喰らい、呻き声を上げて尻餅をつく。
「ばっ、馬鹿にするんじゃねえぞ! あたいを怒らせたら、シャレにならないからな!」
 怒りに満ちた表情を浮かべてリン紅原の背後に回り込み、リップがアトミック・ドロップの体勢で持ち上げ、そこからアトミックスローを仕掛けていく。
「クッ‥‥、やるじゃないか」
 そのままフォールを決めようとしていたリップを蹴り飛ばし、リン紅原がスリーパーホールドからスリーパー式スープレックスを決める。
 リップは何とか身体を動かそうとしていたが、身体が痛くて動けない。
「‥‥良い試合だったぜ。久しぶりに楽しめた」
 コーナートップに立ってシューティングスタープレスを放ち、リン紅原がトドメとばかりにラストライドでフィニッシュを決めた。
『勝者:リン紅原(ヒール) 決め技:ラストライド』

●ダイナマイト・アスカ(fa0383)の控え室
「む、胸が‥‥大きい‥‥」
 対戦相手の写真を見つめ、ダイナマイト・アスカがゴクリと唾を飲み込んだ。
 今回の対戦相手であるエレクトラ・テーム(fa3793)は、彼女よりも胸が12mも大きいため、試合が始まる前から負けた気分になっている。
「き、きっと写真のせいですよね。こんなに胸が大きいなんて、普通じゃありえませんし‥‥。でも‥‥、凄い。こんなに胸が大きいと‥‥って、駄目駄目。こんなんじゃ、試合に負けちゃいます。自分を見失わないようにしておかないと‥‥」
 彼女の写真に引き込まれそうになりながら、アスカがハッとした表情を浮かべて自分の頭をポカポカと叩く。
 確かにエレクトラの胸は魅力的だが、このままでは試合に勝つ事が出来ない。
「‥‥どうしたんだろ、頑張らなきゃ!」
 自分の中に芽生えた何かに気づき、アスカが不思議そうに首を傾げる。
 うまく説明する事は出来ないが、この試合だけは負けられない。

●エレクトラ・テームの控え室
「そろそろ準備は出来ましたか? 何か必要なものがあったら、いまのうちに言ってくださいね」
 控え室の扉をコンコンと叩き、瀬戸・カトリーヌが部屋の中に入ってくる。
 瀬戸は手帳を片手に控え室を回っており、レスラー達の様子を見ているようだ。
「‥‥あら? もうそんな時間なの? 思ったよりも早いのね。それじゃあ、ローションを貰えるかしら? 試合以外にも必要なの♪」
 妖艶な笑みを浮かべながら、エレクトラが胸元を強調するようにして立ち上がる。
「私のスケジュールなら空いているわよ? 良かったら、この後どう? 試合よりも凄い経験が出来るわよ?」
 彼女の胸元に指を這わせ、瀬戸がエレクトラにキーを渡す。
 しかし、エレクトラはクスリと笑い、胸の谷間に挟まったキーを取る。
「せっかくのお誘いだけどゴメンナサイ。‥‥今日は先客がいるの。まさか三人ってわけにはいかないでしょ?」
 彼女にキーを返した後、エレクトラが冗談まじりに微笑んだ。
「‥‥それは、ちょっと残念ね。さぞかし可愛い子猫ちゃんなのかしら? 嫉妬しちゃうわ」
 残念そうに溜息をつきながら、瀬戸がキーをポケットにしまう。
 これ以上、彼女の邪魔をする気はないのか、携帯電話を取り出すと追加のローションを注文する。
「ふふふっ‥‥、ハズレよ。今夜は彼氏と試合なの」
 そう言ってエレクトラが彼氏の写真を見せるのだった‥‥。

●第3試合 『ローションマッチ エレクトラVSダイナマイト・アスカ』
「サンバ! アミーゴ! セニョリータ!」
 陽気に音楽に合わせてダイナマイト・アスカが登場し、黒いビキニの水着に孔雀の尻尾をつけ、リオのカーニバル風に108cmの爆乳を揺らして花道を歩いていく。
 彼女の後ろには沢山のサンバダンサーがついて来ており、陽気な笑みを浮かべて観客達に愛敬を振り撒いている。
「ふふ‥‥、これが終わったら、彼氏ともう一試合あるの。いいウォーミングアップになりそうね」
 会場を見回しながらロープを掴み、エレクトラが180度開脚でサードロープ下を股割り状態で潜っていく。
 彼女のコスチュームは途中でポロリがないように、スリングショットタイプの水着である。
「本当にウォーミングアップだけで済みますかね? このまま病院送りになる可能性だってあるんですよ?」
 ゴングと共にアームホイップを仕掛けてエレクトラを背中からマットに叩きつけ、アスカがバケツに入ったローションを頭から被って彼女の胸に飛びついた。
 ‥‥ぶつかり合う、胸と胸。
 観客達も興奮した様子で立ち上がり、ふたりの事を応援する。
「やっぱり大きい‥‥。鷲掴みにしても、溢れるくらい‥‥」
 胸の大きさに驚きながら、アスカが彼女と絡み合う。
 何とか技を仕掛けようとはしているが、ローションで滑って身動きがとりづらい。
「何か別の事を考えているんじゃないの? ‥‥油断していると怪我をするわよ?」
 妖艶な笑みを浮かべて彼女に抱きつき、エレクトラがアスカに俵返しを炸裂させた。
 幸いローションのおかげで致命傷にはならなかったが、アスカは体勢を立て直すためロープを掴む。
「変な事なんて考えてませんっ! む、胸が大き過ぎて掴み辛いだけですっ!」
 恥ずかしそうに頬を染め、アスカがエレクトラに反論する。
「ふふっ‥‥、隠さなくてもいいのよ。普段は別のものを挟んでいるんだけど、最後はこれで決めてあげるわ」
 それと同時にエレクトラがアスカの頭を胸で挟み、そこから袈裟固めの体勢に入ろうとした。
 しかし、ローションで滑ってしまうため、うまく技が決められない。
「‥‥経験不足が仇になりましたね」
 すぐさまエレクトラに吊り天井を仕掛け、アスカが彼女の乳と山並みにして披露する。
 観客達は興奮した様子で身を乗り出し、彼女達の艶姿を心のアルバムに保存していった。
「これで‥‥トドメですっ!」
 そのままパワーボムで潰してフォールを決め、アスカがレフェリーに腕を掴まれ拳を上げる。
「もう‥‥、乱暴ね。もっと試合を楽しみたかったのに‥‥。早く帰って彼に慰めてもらいましょ。うんと激しくしてもらわないと‥‥」
 不機嫌な様子で大きく頬を膨らませ、エレクトラがリングを降りていく。
 この様子では今夜は激しい試合になりそうだ。
『勝者:ダイナマイト・アスカ(ヒール) 決め技:バワーボム』

●ベリル・ライアン(fa2585)の部屋
「皆さん、準備は出来ましたか? 今日は派手にやってくださいね」
 海賊船の船長の衣装に身を包み、ベリル・ライアンがエキストラ達にむかって声を掛けた。
 エキストラ達は海賊の格好をしており、ガラの悪いメイクで気合を入れている。
「姐さん! せっかくですから、観客席にも乗り込んで行きやしょうか? カップルでも襲ってリングに連れて行けば、試合も盛り上がると思いやすぜ!」
 いやらしい笑みを浮かべながら、エキストラのひとりがレプリカのサーベルをペロリと舐めた。
 既に海賊の役になりきっているのか、口調まで下品になっている。
「それは止めておいた方がいいかも知れませんね。男性を攫った場合は妙な事を期待するかも知れませんし、女性の場合でも彼氏の方が黙っていないと思いますから‥‥。例え相手に殴られたとしても、反撃したらお終いですからね」
 苦笑いを浮かべながら、ベリルがエキストラに答えを返す。
 観客達の中には血気盛んな者もいるため、迂闊に手を出すと返り討ちに遭ってしまう。
「うぐっ‥‥、そう言われると返す言葉が無くなりやす。わしらも命は惜しいでゲスから‥‥」
 だんだん口調が下っ端口調になりながら、エキストラがションボリと肩を落とす。
 どうやら観客席に乗り込む事で、自分も目立とうとしていたようだ。

●????の控え室
「なぁ‥‥、出場する予定だったレスラーが来ていないんだろ? それじゃ、試合が出来ないじゃん! 代理のレスラーはいるのかよ?」
 興奮した様子で瞳をランランと輝かせ、雅・飛鳥が瀬戸・カトリーヌに詰め寄っていく。
 飛鳥は最近、試合に出る事が減っているため、自分をアピールする事に夢中なようだ。
「残念ですが、あなたの出番はありません」
 クールな表情を浮かべながら、瀬戸が手帳を広げて答えを返す。
 手帳には各選手のスケジュールが書かれており、すべてに『×』がついている。
「ちょっと待てぃ! まだ俺は何にも言ってねえだろうが! まぁ‥‥、試合には出たいけどさ。あなたの出番が無いって、どういう意味だっ! ぶち切れるぞ、ゴルァ!」
 胸倉を掴む勢いで瀬戸に迫り、飛鳥が拳を振り上げた。
「殴りたければ殴りなさい。それで貴女の気が済むのなら‥‥。ただし、その時点で貴女のレスラー生命が絶たれる事になりますよ?」
 飛鳥をジロリと睨んで胸を張り、瀬戸がキッパリと言い放つ。
 試合の開始まであまり時間が無いため、早く飛鳥との話し合いを終わらせておきたいらしい。
「つーか、アレか! 胸の差ってヤツだな! 胸が大きいからって、いい気になるなよっ! そんなモンは、いつか垂れちまうんだぞ! ち、畜生! お、覚えてろおおおおおおお!」
 溢れ出る涙を拭いながら、飛鳥が捨て台詞を残して走り去る。
 その後、飛鳥が豊胸マッサージをするため、エステに通い出したという噂が流れるのであった‥‥。

●第4試合 『キャラクターマッチ ベリル・ザ・ゴールデン・レオVSクールビューティー・瀬戸』
「喧嘩上等! 逝きなさい!!」
 海賊船の船長の格好で登場口に設置された帆船の船首に立って格好良くポーズを決め、ベリル・ザ・ゴールデン・レオがエキストラ達を従え花道を歩いていく。
 エキストラ達は観客席に向かって威嚇はしているようだが、それ以上の事はせずにベリルをリングまで護衛する。
「まさか自分から死にに来るなんて‥‥。暑さのせいで冷静な判断が出来なくなっているんじゃないの? それとも私の奴隷になりたくなったのかしら」
 含みのある笑みを浮かべながら、クールビューティー・瀬戸が天井からゆっくりとリングに降り立った。
 瀬戸の背中にはワイヤーがつけられており、着地と同時に留め金が外れて天井まで戻っていく。
「笑えませんね、その話‥‥。こんなに手下を引き連れて、奴隷になるなんて‥‥。勘違いしているのは、そっちなんじゃないですか?」
 大袈裟に笑い声を響かせながら、ベリルがエキストラ達を嗾ける。
 エキストラ達は滅茶苦茶にサーベルを振り回し、次々と瀬戸に攻撃を仕掛けていった。
「ふっ‥‥、甘いわね。こんな事をしても、無駄に手下を失うだけなのに‥‥。それが分からないなんて‥‥、可愛そう」
 何処か寂しげな表情を浮かべながら、瀬戸がエキストラの女性を捕まえ、その喉元にガブリと噛みつき微笑んだ。
 瀬戸は吸血鬼にして、海の魔女という設定で、伝説の宝珠と言われる『覇王のオーブ』を守っている。
「やはり‥‥、駄目でしたか。でも、ここで諦めるわけには行かないんですっ! 『覇王のオーブ』を手に入れるためにもっ!」
 真剣な表情を浮かべてモンキー・フリップで投げ倒し、ベリルが起き上がろうとした瀬戸めがけてシャイニング・ウィザードを炸裂させた。
「ふふっ‥‥、やはり人間では限界があるようね。‥‥あなたの欲しいのはコレでしょ? そんなに欲しいのだったら、私を倒して奪い取りなさいっ!」
 『覇王のオーブ』を高々と掲げながら、瀬戸が恍惚とした表情を浮かべてニヤリと笑う。
 瀬戸にとっては人間達を誘き寄せるための餌なので、その力自体には全く興味を持っていない。
「何も気づいていないんですね。さっきの一撃であなたの身体に傷がついている事を‥‥」
 彼女の右腕を指差した後に飛びつき、ベリルが腕ひしぎ逆十字固めを仕掛けてグランドに移行する。
 瀬戸は激しく悲鳴を上げて身体を何度もバタつかせたが、ベリルの技が完璧に決まっているため逃げられない。
「いまさら暴れたって無駄よ。あなたの身体は崩壊を始めているのだから‥‥」
 そのままヒールホールドを極め、ベリルがフォールを決めてトドメをさす。
 瀬戸は持っていた『覇王のオーブ』をゴロリと落とし、そのままピクリとも動かなくなった。
「これでカリブの海賊のクイーンよ!!」
 そう言ってベリルが瀬戸に背を向ける。
 その手には『覇王のオーブ』を握り締め‥‥。

●ワイズマンの言葉
「皆さん、お疲れ様デェース。今日はヤボ用があるので、用件のみのお知らせデース。次回の『CAT’S』は8月10日を予定してイマァース! 皆さん、忘れずに参加してクダサイねー!」
 そう言ってワイズマンが藁人形を片手にリングを降りていった。