DOG’S 03南北アメリカ
種類 |
シリーズEX
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担当 |
ゆうきつかさ
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芸能 |
2Lv以上
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獣人 |
2Lv以上
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難度 |
難しい
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報酬 |
3.9万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
03/21〜03/25
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前回のリプレイを見る
●本文
<募集内容>
デスマッチの出来るレスラーを募集しています。
<参加資格>
試合に参加する事が出来るのは男性レスラーのみ。
セコンドのみ女性も可。
<詳しい内容>
正統派プロレスではなく、ショープロレスです。
試合の勝敗は実力ではなく、その場のノリで決まります。
基本的にはベビーフェイス(正義)とヒール(悪)の戦いになるため、自分がどちらに所属するかを選んだ上で、シナリオに参加してください。
現時点で無所属は選べませんので、ご了承くださいませ。
試合は全部で4試合。
対戦相手を選んだ上で一試合だけ参加してください。
複数の試合に参加した場合は、こちらで適当に割り振られてしまうため、望むような試合は出来なくなります。
また、あまりにも危険であると判断された場合は、『PET SHOP』の社長であるワイズマン・ウォルター・エルマン(通称:WWE)から試合の中止を宣言されます。
<選択可能な試合一覧>
・チェーンデスマッチ
両選手の片手にチェーンを繋ぎ、試合を行う形式です。
チェーンは長めのものを使用しているため、武器として使用する事も出来ます。
・ケージデスマッチ
リングの四方を金網で囲み、逃げ場を無くして行う試合を行う形式です。
相手をKOすればケージから出れます。
・有刺鉄線デスマッチ
ロープの代わりに有刺鉄線を張ったリングで行う試合を行う形式です。
追加オプションで爆破や電流なども選べます。
・ガチンコマッチ
ストーリー重視の試合になります。
筋書きなどを決めた上で、魅せるプロレスを心掛けておきましょう。
<テンプレート>
所属:
リングネーム:
試合形式:
対戦相手:
登場シーン:
登場時の台詞:
コスチューム:
アピールポイント:
得意技:
苦手技:
決め台詞:
<説明>
所属:ベビーフェイス側(正義)かヒール側(悪)のどちらを選んでください。
リングネーム:未記入の場合はPC名になります。
試合形式:チェーンデスマッチ、ケージデスマッチ、有刺鉄線デスマッチ、ガチンコマッチのうち、どれかひとつを選んでください。
対戦相手:対戦相手の名前とPCIDを記入してください。
登場シーン:登場の仕方を教えてください。
登場時の台詞:キャラクターの口調でお願いします。
コスチューム:コスチュームの説明をお願いします。
アピールポイント:一番アピールしたいポイントは?
得意技:得意な技を教えてください。
苦手技:苦手な技を教えてください。
決め台詞:勝利した場合の決め台詞。
●リプレイ本文
●第1試合 『有刺鉄線デスマッチ 醍醐・千太郎VSグリード』
「‥‥そろそろ俺の出番だな」
リングをジロリと睨みつけ、醍醐・千太郎(fa2748)が紺色のガウンを身に纏い、力強い足取りで花道を歩いていく。
それと同時に観客達の歓声が会場を包み込み、次第に『醍醐コール』が聞こえてくる。
「‥‥ったく、前回の試合は何だったんだ? 一撃で失神KOとは‥‥。立ち技や総合じゃねェんだし、プロレスラーがこれじゃ、笑い話にもなりゃしねェ‥‥。奴をマットに沈めるのは、当分先になりそうだなぁ‥‥」
ワイズマンを倒す事を目標に置き、グリード(fa0757)が自分自身に気合を入れた。
二度とあんな屈辱的な負け方をしないためにも、今回の試合で勝利を掴み取らねばならない。
「それじゃ、行くか!」
毛皮のロングコートを羽織って両脇に美女をはべらせ、グリードが観客達の歓声に包まれながらリングに上がっていく。
前回の試合でワイズマンと試合をしたせいもあってか、彼を支持する者達も増えている。
「随分と気合が入っているじゃないか。打倒ワイズマンと言ったところかな? ほんのウォーミングアップのつもりで俺との試合を組んだのかも知れないが、そう簡単には負けないから覚悟しておけよ」
含みのある笑みを浮かべながら、醍醐が紺色のガウンを勢いよく脱ぎ捨てた。
「‥‥安心しろ。そこまで天狗になっちゃいねぇ! ここで足元を掬われてもシャレにならないしな」
毛皮のロングコートを美女に渡し、グリードが醍醐を睨んでニヤリと笑う。
それと同時にロープの代わりに有刺鉄線が張り巡らされ、試合開始を伝えるゴングの音が響き渡る。
「お前にとっても負けられない戦いというわけか。‥‥いいだろう。相手になるから、かかって来いっ!」
グリードの動きに合わせて様子を見ながら、醍醐が警戒した様子で有刺鉄線から離れていく。
「ヘッ‥‥、分かっているじゃねえか。だが、それだけじゃねえぜ。まぁ、ここで説明する必要は無いがな」
醍醐と間合いを取っていき、グリードがマウスピースを口に含む。
デスマッチというだけあって、それほど厳しい制限は設けられていないため、醍醐の得意技を警戒しマウスピースを仕込んだようだ。
「その必要は無い。すべては拳が語ってくれる。‥‥お前の拳が偽りでなければな」
次の瞬間、醍醐がいきなり攻撃を仕掛け、グリードの喉元めがけてチョップを放つ。
しかし、グリードは醍醐の攻撃がまったく効いていないのか、ニヤリと笑って近距離からラリアートを放ち、そのまま有刺鉄線めがけて叩きつける。
「クッ‥‥、やるじゃないか。ワイズマンに挑んだのもハッタリじゃなかったようだな」
凄まじい激痛が全身を駆け巡る中、醍醐が納得した様子でグリードを睨む。
『何をそんなにニヤけているんだ。激痛のあまりハイにでもなったか?』
身の危険を感じたため、グリードが後ろに下がる。
「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!!」
それと同時に醍醐が雄叫びを上げて気合を入れ、全体重を載せてグリードに低空タックルをお見舞いし、そのまま掴んで持ち上げマットめがけて叩き落す。
『グッ‥‥、しまった!?』
悔しそうな表情を浮かべ、グリードが何とか立ち上がろうとする。
しかし、醍醐のエルボーが決まり、グリードが再びマットに沈む。
(「クッ‥‥、このままフォールを決める気か。させるかよ、ンな事っ!」)
醍醐のフェイスクラッシャーを寸前でかわし、グリードがマウスピースを吐き捨てた。
これ以上、試合を長引かせる必要もないため、ここで一気にカタをつけるつもりでいるらしい。
「これで‥‥、トドメだっ!」
すぐさまバックブリーカーの体勢に持ち込み、グリードがデザードファルコンを炸裂させる。
それと同時に有刺鉄線が身体に絡み、醍醐が血反吐を吐いて気絶した。
「‥‥悪く思うなよ。テメェが弱いわけじゃねぇ。俺が‥‥、強過ぎただけだ‥‥」
ハアハアと息を吐きながら、グリードがゆっくりとリングを降りていく。
観客席で黙って試合を観戦していたワイズマンをジロリと睨み‥‥。
「‥‥待ってろよ、ワイズマン!!」
拳をギュッと握り締めながら、グリードがワイズマン打倒を心に誓う。
まだ戦いは始まったばかりなのだから‥‥。
『勝者:グリード(ヒール) 決め技:デザードファルコン』
●第2試合 『有刺鉄線デスマッチ The:FiveI’sVSドン・ドラコ』
「‥‥それじゃ、行こうかな」
スポットライトを全身に浴びながら、The:FiveI’s(fa2188)が両手で扇を持って舞うように花道を歩く。
観客達は血に飢えた獣のような表情を浮かべ、拳を突き上げ大声を上げる。
「うふふふふっ‥‥、あたしのサムライ・ソウルに勝てるかしら?」
日本の雅楽に合わせてバカ殿風の衣装とメイクで登場し、ドン・ドラコ(fa2594)がリングに上がって毒霧を吐いた。
「君が僕の対戦相手か」
腰にぶら下げていた木刀を引き抜き、The:FiveI’sがドラコの目の前で素早く止める。
「‥‥よろしくね」
含みのある笑みを浮かべた後、The:FiveI’sが木刀をレフェリーに渡す。
それと同時に有刺鉄線が張り巡らされ、レフェリーが慌てた様子でリングを降りた。
「かっわいいじゃなぁ〜い。ビビッと来たわ。シビれちゃうわよねぇ〜。ひょっとして愛の告白〜? リングの上で大胆ねぇ〜♪」
恥ずかしそうに頬を染め、ドラコが右手をパタパタさせる。
「ち、違うっ! 僕はそんなつもりで言ったわけじゃないぞ!」
慌てた様子で首を振り、The:FiveI’sがドラコの言葉を否定した。
徐々にドラコのペースに飲み込まれ、冷静な判断が出来なくなっているようだ。
「うふふふふ‥‥、恥ずかしがらなくてもいいのよ。初めはみんなそうなんだから♪ 美しいのも罪よねぇ〜。毎日のようにイイオトコに言い寄られちゃうんだから‥‥。本当に神様って罪作りな事をするわねぇ‥‥」
ウットリとした表情を浮かべ、ドラコがクスクスと笑う。
本気とも演技とも取れるため、The:FiveI’sも警戒し始めている。
「さぁて、そろそろ肌と肌の触れ合い‥‥じゃなかった、試合をしましょうか? 触れ合う事で分かる事って多いと思うから‥‥。きゃっ! 言っちゃった!」
The:FiveI’sの背中をバンバン叩き、ドラコが顔を真っ赤にしながら笑い声を響かせた。
(「うっ‥‥、このまま死んだフリなんかしたら、そのまま『男の世界』にレッツゴーって感じだなぁ。でも、演技だって噂もあるし‥‥、本物じゃない‥‥よねぇ? いくらなんでも本気じゃないはず‥‥というか、冗談であって欲しい。試合の最中にめくるめく『男の世界』に導かれたりなんてしたら、一生トラウマになりそうだし‥‥」)
攻撃するのを躊躇しながら、The:FiveI’sがダラリと汗を流す。
既にドラコ・ワールドの虜(?)になっているためか、蛇に睨まれた蛙のような心境になっている。
「うふふふふっ‥‥、恥ずかしがっちゃって! いっくわよぉ〜!」
The:FiveI’sにむかって投げキッスをした後、ドラコが素早く足にタックルすると、すぐさまドラゴン・ホイップを炸裂させた。
「うわっ!? ‥‥やはり罠か」
ようやく冷静さを取り戻し、The:FiveI’sがジロリとドラコを睨む。
「あら、怖いわぁ〜ん。目で殺すってこういう事かしら。あたしのハートも狙い撃ちされちゃったみたい♪」
The:FiveI’sのペースを乱すため、ドラコが再び自らのワールドに引きずり込む。
「こ、これは‥‥罠なんだ。‥‥間違いなく!」
ドラコの顔をマジマジと見つめ、The:FiveI’sが自分自身に言い聞かせる。
本当なら途中でグロッキー状態になるつもりだったが、そんな事をすれば間違いなく、『男の世界にようこそ!』な展開になってしまう。
「うふふふふふふっ‥‥、そうやってドキマギするところも可愛いわぁ〜。すぐにでも食べちゃいたいくらいにね」
満面の笑みを浮かべてThe:FiveI’sと腕を組み、ドラコがランランとスキップした後、足を絡ませ河津掛け落としを炸裂させた。
「うぐっ‥‥、もう‥‥駄目だぁ‥‥」
予想外の攻撃を喰らって倒れ込み、The:FiveI’sが悔しそうに唇を噛み締める。
「あらぁん。ひょっとして、あたしを誘っているのかしら? それじゃ、いっただきまぁ〜す♪」
それと同時にドラコが助走をつけて飛びつき、そのままフォールを決めようとした。
「いまだあああああああああああ!」
絶体絶命のピンチ(主に貞操)に陥り、The:FiveI’sが駄々っ子の如く蹴りを放つ。
合言葉は『ヤラれる前に殺れ』。
ドラコの悲鳴すら耳に入っていないのか、パンチとキックを使ってボコボコにする。
「ひっど〜い! せっかくセットした髪型が台無しじゃなぁ〜い! このチョンマゲも気に入っていたのに‥‥。もう許さないんだからっ! お仕置きよっ!」
不機嫌な表情を浮かべながら、ドラコが大きく頬を膨らます。
「うっ、嘘‥‥。あれだけボコボコにしたのに‥‥」
信じられない様子でドラコを見つめ、The:FiveI’sが後ろに下がっていく。
「逃がさないわよっ! 骨の髄までしゃぶり尽くしてあげるわ!」
いきなりThe:FiveI’sに抱きつき唇を奪い、ドラコがフロント・スープレックス風の投げを放ち、そこからラブ・ハグ・スープレックス・パート2の体勢に持ち込んだ。
「うっ‥‥、唇を‥‥奪われた‥‥」
青ざめた表情を浮かべながら、The:FiveI’sが意識を失った。
これが夢である事を心の底から祈りつつ‥‥。
「‥‥ごめんなさいね。もう少し遊んでいたかったんだけど‥‥。それじゃ、いつものアレをやっちゃうわよぉ〜。ドラゴン・ファイヤ〜!!」
観客達に向かって合図を送り、ドラコが毒霧の要領で火を吹いた。
横目でThe:FiveI’sの身体を見つめつつ‥‥。
『勝者:ドン・ドラコ(ヒール) 決め技:ラブ・ハグ・スープレックス・パート2』
●第3試合 『ケージデスマッチ ハンマー・金剛VSキング・バッファロー』
「ハンマー・金剛は死んだっ! ‥‥試合終了後、大量の血を吐いて倒れたあと、彼は病院の集中治療室に運ばれ、数日間ほど生死の境を彷徨っていた。‥‥容態が急変したのは、つい先日だ。これから彼の葬儀を行おうと思う! お前達もそれで異論はないな」
ハンマー・金剛(fa2074)の棺をリングまで運び、黒ずくめの男がマイクを握って彼の死を報告する。
観客達も初めは訳が分からずザワついていたが、ハンマー・金剛の死を知りシクシクと泣き出した。
「‥‥今回は神様に会う用意が出来ているようだな」
赤いポンチョに白いテンガロンハットで登場し、キング・バッファロー(fa2572)がカントリーソングの流れる中、堂々と拳を突き上げ花道をズンズンと歩いていく。
リングの上にはハンマー・金剛の入った棺桶が置かれており、黒ずくめの男がコクンと頷き花を渡す。
それと同時にハンマー・金剛がいきなりムクッと立ち上がり、有刺鉄線を巻いた右手でアイアンクローを放ち、左手で何度も地獄突きを繰り出した。
「ぐはっ‥‥、卑怯な真似を‥‥」
不意討ちを食らって血反吐を吐き、キング・バッファローが納得のいかない様子でジロリと睨む。
「俺は嘘なんて言ってませんよ。事実、ハンマー・金剛は死んだ。ここにいるのは、デスコントラクター(死の契約人)なのだから‥‥」
凍るように冷たい視線を送りながら、デスコントラクターがスーツを脱ぎ捨てニヤリと笑う。
「ヒールVSヒールの試合は禁止されているはずだが‥‥。まさか、それでベビーを名乗るのか‥‥?」
顔面から流れる血を拭い、キング・バッファローがふらりと立ち上がる。
未だに状況を理解していないため、何をしていいのか分からない。
「いや、リングにヒールはひとりで充分。つまり、この試合は真のヒールを賭けた戦いというわけです‥‥」
含みのある笑みを浮かべ、デスコントラクターが指をパチンと鳴らす。
それと同時に天井からケージがゆっくりと降りていき、レスラー達が逃げられないようにまわりを塞ぐ。
「‥‥なるほどな。すべて了承済みという事か。だが、そう簡単に負けるつもりはないからな。例え、この試合が仕組まれていたものだとしても‥‥」
すぐさまショクダータックルをお見舞いし、キング・バッファローがミノタウロス・アックス(ショルダー・チョップ)を連打する。
「クッ‥‥、さすがだな」
コーナー際まで追い詰められ、デスコントラクターがニヤリと笑う。
「まだまだこんなものじゃないぞっ!」
騙された事に対して激しい怒りを感じているのか、キング・バッファローが容赦のない一撃を放っていく。
「喰らえっ!」
それと同時にキング・バッファローがトップコーナーに上がり、デスコントラクターにカーフ・ブランディングを炸裂させた。
「まさか、ここまで強いとは‥‥」
キング・バッファローの実力を甘く見ていたためか、デスコントラクターがフラつきながら口元の血を拭う。
本当ならここで、かつてリングで即死したレスラーが出て禁じ手となった『オースチン式のパイル・ドライバー』を仕掛けようと思っていたが、あまりにもキング・バッファローが強過ぎるため太刀打ちできない。
「そろそろ決着をつけようじゃないか。いくぞ、天国への7階段だっ!」
観客達に向かって合図を送り、キング・バッファローが餅つきパワーボムを七連続で仕掛け、『昇天』と叫んで肩越しに頭から落とす。
「ぐはっ‥‥」
そのまま棺桶の中に放り込まれ、デスコントラクターが悔しそうに唇を噛む。
「俺を倒したいのなら、もっと強くなって帰って来い。おまえの実力はそんな物じゃないはずだ」
そう言ってキング・バッファローがゆっくりとリングを降りていく。
お決まりのマイクパフォーマンスをした後に‥‥。
『勝者:キング・バッファロー(ヒール) 決め技:天国への7階段』
●第4試合 『チェーンデスマッチ ????VSボディ・カーペンター』
「さぁーって、いっちょやってやるか!」
念入りにウォーミングアップをした後、ボディ・カーペンターことかいる(fa0126)が虎縞の目元を覆うマスクをつけてリングに上がる。
対戦相手が遅刻しているせいか、観客達が妙にザワついているようだ。
「HAHAHAHAHAHAー! 皆サァーーーン、心配ゴム用デェース! ボディ・カーペンターサァンの対戦相手は、このワタクシ‥‥。ワイズマンサァンがお相手シマァース!」
無駄に札束をバラ撒きながら、ワイズマンが爽やかな笑みを浮かべてリングに上がる。
「な、なんだこりゃ! 全部ニセ札じゃねぇか!」
ワイズマンの投げた札束を拾い上げ、観客達が納得のいかない様子で文句を言う。
「NOOOOOOOOOOOOOOOOOOOッ! それはクーポン券というモノで、ニセ札なんかじゃありまセェーン! 10枚集めて福引だって出来ちゃいマァース!」
観客席を睨みつけながら、ワイズマンが札束の素晴らしさを熱く語っていく。
ざっと見た感じでも一束で百枚ほどあるため、10回分の福引が出来る計算になる。
ちなみに1等〜3等まではレスラー達の愛用グッズ。
特別賞はワイズマンのパンツ(洗濯済)になっている。
「あんたが噂のワイズマンか。色々と話は聞いているぜ。いい噂だけでなく、悪い噂もさ!」
自分の利き腕にチェーンを取りつけ、ボディ・カーペンターがワイズマンを見つめてニヤリと笑う。
「ザンネンながら、噂には興味がアリませぇーん。そんなモノは単なる弱者のヒガミですカラNE! だから後でコッソリ教えてクダサァーイ。報酬の方はバッチリお支払いしますカラッ!」
どんな噂が流れているのか気になったため、ワイズマンが心配した様子で耳打ちする。
「‥‥てか、物凄く気になっているじゃねえか! 意外とちっちゃい奴なんだな?」
呆れた様子で頭を抱え、ボディ・カーペンターが大きな溜息をつく。
ワイズマンが強い事は知っているが、人間的にはとても脆い感じがする。
「それじゃ、試合を始めマショウか! ワタシに対する悪い噂の内容も気にナリますシネ!」
真っ白な歯をキラリと輝かせ、ワイズマンが素早くスーツを脱ぎ捨てた。
「へぇ、随分と鍛えているじゃないか。現役を退いてからも、トレーニングをしているんだな。まっ、俺ほどじゃないが‥‥」
ワイズマンの引き締まった肉体を睨み、ボディ・カーペンターが自らの筋肉を隆起させて対抗する。
「なかなかイイ身体をシテますねぇ〜。まぁ、ワタシほどじゃありまセンが‥‥。最近、命を狙われるコトが多いので、ワタシの場合は命懸けデスからネ。お金の掛け方だってハンパじゃアリませんYOー!」
自信に満ちた表情を浮かべ、ワイズマンがニカッと笑う。
セコンドとして参加している秘書(瀬戸・カトリーヌ)が呆れた様子で溜息をついているが、ワイズマンはまったく気にしておらず、観客席から激しいブーイングが聞こえてくる。
「どうするんだ、ワイズマン? 観客達はあんたの敵だぜ? それでも戦いたいって言うんだったら相手をしてやるが‥‥」
観客達のブーイングが響く中、ボディ・カーペンターがチェーンを引っ張った。
「いまさらチケットの払い戻しも出来まセンからネ。ここでアナタを倒して、観客達の心をガッチリ掴みマァース!」
それと同時にワイズマンがタックルを食らわせ、そのままコブラツイストの体勢に入る。
「おっと! そう簡単にはやられないぜ!」
流れるようにしてワイズマンの攻撃をかわし、ボディ・カーペンターがお返しとばかりにタックルを放つ。
「なかなかイイ感じデスネー! ですがワタシを倒すつもりなら、もっとパワーがなければなりまセェーン!」
ボディ・カーペンターを正面から受け止め、ワイズマンがニヤリと笑って放り投げる。
「ば、馬鹿な! ワイズマンは化け物か。この体勢から俺の身体を軽々と投げるなんて‥‥」
チェーンをつけていたせいで右腕を痛め、ボディ・カーペンターが険しい表情を浮かべて汗を流す。
ワイズマンの右腕にも同じような傷が出来ているが、まったく痛がっている素振りがない。
「HAHAHAHAHAHAHAー! この程度の怪我で怯むワタシではありまセェーン! 専属のドクターがすぐに治療シテくれマァース!」
有り余る金にモノを言わせ、ワイズマンが豪快に笑う。
怪我をした方が色々とメリットがあるのか、ワイズマンがやけにヤル気になっている。
「ば、馬鹿にしやがって!」
悔しそうな表情を浮かべて立ち上がり、ボディ・カーペンターがワイズマンをジロリと睨む。
それと同時にワイズマンが寝技を仕掛け、ボディ・カーペンターの首をギチギチと締め上げていく。
「オーッと、そろそろ会議の時間デェース。申し訳ありませんが、ここで試合は終了デェース」
秘書の持っていた携帯電話が鳴ったため、ワイズマンがハッとした表情を浮かべて立ち上がる。
「ま、待て‥‥。まだ‥‥試合は終わってないぞ‥‥」
納得のいかない表情を浮かべ、ボディ・カーペンターが鎖を掴む。
このまま戦っても勝ち目はないが、無効試合になるよりマシだ。
「残念ですが、アナタはまだ本気を出してイナイようデェース! このままでは勝負を続けたとしても、納得の行く試合は出来ないデショウ‥‥。なのでワタシはリングを降りマァース。アナタが本気になる時を待つために‥‥」
そう言ってワイズマンがニカッと笑い、ゆっくりとリングを降りていく。
観客達のブーイングを浴びながら‥‥。
『勝者:なし(−) 決め技:無効試合』
●試合が終わり
「皆さん、試合お疲れ様です。社長は急遽、会議のため、本社に呼び戻されてしまったので、ここからは私、瀬戸・カトリーヌが代わって今後の予定をお知らせします。次回の予定は3月30日(公開)。現時点で健康の予定はありませんのでよろしくお願いします」
そう言って瀬戸が深々と頭を下げた。